
筋力の増加と、一歩の負荷の変化を分ける
疲れやすいなら脚を鍛えれば解決するのか。ここにも、何が改善したかを分けて読む必要がある。内反配列と膝の内側の変形性関節症がある高齢の大人を対象にした研究は、18か月の筋力トレーニングを調べた。18〜39歳の女性に同じ負荷の変化を見込めるかは、高齢の患者を対象としたこの研究からは判断できない。無作為化比較試験の二次解析で、対照群49人と、股関節を外に開く筋力が開始時から20%以上増えたトレーニング群39人を比べている。[1]
トレーニング群の筋力の増加は、大腿四頭筋で45%、ハムストリングスで68%、股関節外転筋で42%だった。対照群ではそれぞれ16%、11%、4%であり、筋力についてはトレーニング群でより大きな増加が認められた。ところが、歩行中の膝関節負荷の多くの指標には、対照群と比べた有意な変化がなかった。[1]
この結果は「鍛えても何も起こらない」ではない。実際に筋力は増えている。一方、「筋力が増えれば必ず膝の負荷も減り、歩き疲れなくなる」というつながりも成立しない。筋力と関節負荷を別々に測ったからこそ、変化がそろわないことが見えた研究である。[1]
参加者の選び方にも注目したい。この二次解析では、トレーニング群全員ではなく、内反配列があり、かつ股関節外転筋の筋力が一定以上増えた人が選ばれた。元の試験が無作為化されていても、この比較を読む際は、筋力が増えた人を選んだ条件も含めて考える必要がある。それでも、筋力の増加をそのまま歩行負荷の減少と同義にしないための、具体的な材料になる。[1]
別の無作為化比較試験の二次的な探索解析は、膝の変形性関節症がある97人について、12週間の大腿四頭筋トレーニングと着地時の負荷を調べた。18〜39歳の女性への適用には、膝の病気がある集団との違いを考慮する必要がある。筋力はトレーニング群で増えたが、衝撃負荷の指標には変化がなかった。両群をまとめた分析でも、筋力の変化が説明した最大荷重増加率の変化は3%にとどまった。[16]
この研究でいう荷重増加率は、足が着いたときに負荷がどれだけ速く増えるかという指標である。長期研究の関節負荷も、こちらの衝撃負荷も、疲れの自己評価とは別のものだ。「鍛えたのだから歩く数字が全部よくなるはず」と期待すると、筋力という達成を見落とす。取り組みの評価には、最初から目的に対応する物差しが要る。[1][16]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
成人の研究では、何を測って歩く負担と呼んだのか
18か月の研究と12週間の研究は、どちらも筋力を測りながら歩行を調べている。ただし、前者は膝関節負荷の複数の指標、後者は着地時の衝撃負荷に注目した。運動期間の長短だけを並べるより、どの場面の負荷を評価したかを先に確認すると、結果を読み違えにくい。[1][16]
12週間の試験では、膝の変形性関節症がある成人97人に歩行の動作計測を行い、最大荷重増加率、平均荷重増加率、足から受ける鉛直方向の力の最大値を評価した。18〜39歳の女性の日常歩行にも同じ変化が起こるかは、この患者集団の結果だけでは判断できない。着地の瞬間に注目することで、筋力の測定だけでは捉えられない歩行中の特徴を調べた研究である。[16]
同じ試験でも、筋力の変化が最大荷重増加率の変化を説明した割合は3%で、鉛直方向の力の最大値や平均荷重増加率の変化は予測しなかった。「筋力」と「負荷」をそれぞれ一つの言葉で呼んでも、測定する項目ごとの関係は異なる。筋力の数値だけを見て歩き方の変化まで採点せず、実際に測った項目を確かめたい。[16]
散歩を楽に続けたい人なら、知りたいのは筋力測定の成績だけではなく、休憩したくなる場面や、途中で感じる痛みの変化だろう。研究で測った関節負荷と、暮らしで確かめたい歩きやすさを並べておくと、相談時の目標が具体的になる。試験の期間を自分の改善期限として借りるのでなく、何を確認するために運動するのかを言葉にする。
痛みという別の出口も見ておこう。膝の内側の変形性関節症と内反配列がある100人を対象にした試験の事後的な探索解析では、12週間の大腿四頭筋トレーニングと神経筋運動が比較された。18〜39歳の女性に同じ痛みの変化が起こるかは、この患者集団の結果からは判断できない。神経筋運動は、ここでは研究で用いられたもう一方の運動プログラムを指す。内反スラストの有無などによって、痛みの変化と運動の種類との関係が異なった。[18]
内反スラストがある人では神経筋運動での痛みの変化が平均28.7mm、95%信頼区間は19.4〜38.1mmだった。内反スラストがない人では大腿四頭筋トレーニングで平均29.4mm、95%信頼区間は21.2〜37.7mmである。これは痛みを線上の位置で表す尺度上の変化であり、脚の角度の変化ではない。[18]
研究者はこれらを予備的な結果と位置付け、確認のための研究が必要だとしている。また、検討した身体的特徴は、運動による自己申告の身体機能の変化には影響していなかった。痛みの結果から、自分に合う運動を写真だけで選ぶことはできない。それでも、全員に同じ処方を当てはめず、症状と動作を見て考える理由にはなる。[18]

よくある誤解
「O脚なら、歩く消費カロリーも必ず高い」。この断定は避けたい。膝の変形性関節症の研究で観察された筋活動の増加は、エネルギー消費の増加率ではない。効果量0.64を64%と読み替えることもできない。脚の見た目から通勤の消費カロリーを上乗せして計算する理由にはならない。[15]
「横揺れの割合が高いなら、O脚の自分も膝が悪い」。頻度の研究は、主として膝の変形性関節症がある人を調べている。その集団で得た割合から、検索した本人に病気がある確率を計算することはできない。内反スラストと静止時の配列を同一視することも避ける必要がある。[2][7]
「筋トレで歩く負荷が減らなければ、運動は失敗」。筋力が増えた一方で、負荷の指標には有意な差がなかった試験がある。さらに、痛みや身体機能は別の項目として調べられている。どの項目も脚の見た目だけで代用せず、何を目標に取り組み、何が変わったのかを対応させて読むべきだ。[1][16][18]
この区別を自分の言葉へ戻すと、「O脚だから全部つらい」という説明を急がずに済む。たとえば相談のメモには、脚の形の感想だけでなく、「駅から帰る途中で膝が痛む」「痛みはないが歩き続けると脚が重い」と書ける。前者と後者を同じ原因だと決めないことが、研究の限界を暮らしの判断へ生かす方法になる。
今日からできること
- 疲れを感じた場面を、息のきつさ、膝の痛み、脚の重さという自分の言葉で記録する。研究でも筋活動、負荷、痛みは別々の項目である。効果量0.64のような筋活動の数字を、自分の疲労点数に置き換えない。[15][18]
- 写真の膝の間隔だけで、歩く途中の横揺れまで決めつけない。63研究のレビューでも観察や機器による測定が区別されている。痛みなどが気になる場合は、歩行中の様子も含めて医師に相談する。[7]
- 運動の目標を「脚をまっすぐにする」だけに限定せず、相談時に筋力、痛み、日常の歩きやすさのどれを確かめたいか伝える。18か月の研究でも筋力と負荷の変化は一致しなかった。[1]
- 運動の成果を見るときは、筋力と歩きやすさを別々に振り返る。成人97人を調べた12週間の試験では、筋力が増えても衝撃負荷の指標は変わらなかった。研究期間を自分の改善期限にはせず、困る場面の変化を相談時に伝える。[16]
- 続けている運動に疑問があるときは、回数を増やす前に目的と評価方法を見直す。12週間で痛みの変化を調べた試験も探索的な結果であり、見た目だけで運動の種類を選ばない。[18]
このメモは自己診断の採点表ではない。うまく説明できない疲れを、相談できる言葉へ近づけるためのものだ。医師に相談する際も、鏡の写真を正解探しに使うより、実際の移動で困った場面を添えたい。運動を続けるかどうかという判断と、骨や関節の状態の判断を、ひとつの検索語だけに任せないためである。

オンザショア立川店で、予定に合う運動の入口を考える
脚の見た目だけを目標にせず、暮らしの中で続ける運動の時間を考えたい。その場所の候補として、オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分にある。営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休である。通える時間を先に見てから、予定に組み込むかを考える方法もある。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。これらは、O脚による疲れの原因を判定する場としてではなく、運動を続ける仕組みの候補として紹介するものだ。
参加条件も予定と一緒に確認したい。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。
ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。
内容は店のトップ、費用は料金ページで確認できる。体験の予約へ進む前に、自分の予定に合う時間と参加条件を確かめたい。
参考文献
[1] Does Long-Term Lower Extremity Strength Training in Adults With Knee Osteoarthritis and Varus Alignment Reduce Knee Joint Loading During Gait? — Messier SP, Vigliotti MN, Rice PE, Pietrosimone B, Mihalko SL, Ip EH, Loeser RF,, 2026, Arthritis care & research. DOI: 10.1002/acr.80017
[2] The prevalence of varus thrust: A systematic review and meta-analysis — Shen H, D’Souza N, Hiller CE, McKay MJ, Hu K, Wang Z, Simic M., 2026, Osteoarthritis and cartilage. DOI: 10.1016/j.joca.2026.05.001
[7] Defining and measuring varus thrust in knee osteoarthritis: A scoping review of current evidence and challenges — Di Bacco VE, Masood Z, Keogh JAJ, Ruder MC, Gafoor F, Wu J, Azari Y, Orogun E, K, 2025, Osteoarthritis and cartilage open. DOI: 10.1016/j.ocarto.2025.100683
[15] A systematic review and meta-analysis of lower limb neuromuscular alterations associated with knee osteoarthritis during level walking — Mills K, Hunt MA, Leigh R, Ferber R., 2013, Clinical biomechanics (Bristol, Avon). DOI: 10.1016/j.clinbiomech.2013.07.008
[16] Impact loading following quadriceps strength training in individuals with medial knee osteoarthritis and varus alignment — Kean CO, Hinman RS, Wrigley TV, Lim BW, Bennell KL., 2017, Clinical biomechanics (Bristol, Avon). DOI: 10.1016/j.clinbiomech.2017.01.002
[18] Influence of Biomechanical Characteristics on Pain and Function Outcomes From Exercise in Medial Knee Osteoarthritis and Varus Malalignment: Exploratory Analyses From a Randomized Controlled Trial — Bennell KL, Dobson F, Roos EM, Skou ST, Hodges P, Wrigley TV, Kyriakides M, Metc, 2015, Arthritis care & research. DOI: 10.1002/acr.22558
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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