子どもの運動習慣は親が動くと育つ?小学生・中学生への見本と支援の違いを読む

子どもの運動習慣のために、親も運動しなければいけないのか。小学生・中学生を含む研究から、親自身が動くこと、励ましや参加の手助け、一緒に外へ出ることを分けて読む。親子の活動量の関連の大きさと測定方法による違いを確かめ、家庭でできる支援と子ども本人の手応えを考える。

玄関に置いた子どもの運動靴は、今日も出番がなかった。「外で遊んだら」と声をかけながら、親は夕食の支度に戻る。休日には一緒に出かけたいが、洗濯物も仕事の連絡も残っている。子どもの運動習慣を検索したはずが、いつの間にか自分の運動不足を採点している。

親が動く姿と子どもの活動量には関連がある。ただし、その関連は弱く、親自身の運動よりも、子どもの活動を支える行動のほうが大きな関連を示したメタ分析がある。親が運動の得意な人になることだけを、家庭の出発点にする必要はない。[2]

一緒に公園へ行った回数と、子どもが実際に体を動かした量も同じではない。[4] ここでは親の努力の総量を数えるより、「見本」「支援」「本人の行動」を分けて考える。親になる前後の大人の生活変化は既存記事「運動習慣は子どもが生まれると減る?親になる前後の余暇と総活動量を研究で読む」に譲り、今回は小学生・中学生の側に目を向ける。

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親が運動していることと、子どもを支えることは違う

親が走る、泳ぐ、ヨガに通う。こうした親自身の行動を見本として扱う研究がある。一方で、子どもの活動を励ましたり、参加を手助けしたりする行動は支援として扱われる。両者を分けた研究を検討すると、「親も運動している家庭だから」という説明だけでは捉えきれない違いが見えてくる。[2]

子どもと青年の身体活動を扱った115研究のメタ分析では、親の見本行動と子どもの活動量の相関係数は0.16、95%信頼区間は0.09〜0.24だった。相関係数は、一方が多いときにもう一方も多い傾向を表す指標であり、ここでは弱い関連と評価された。子どもと青年の活動を調べた結果であり、18〜39歳の女性自身の運動習慣にそのまま当てはめることはできない。親が運動すれば、その割合だけ子どもの運動時間が増える、という数字ではない。[2]

同じ分析で、親の支援と子どもの身体活動との相関係数は0.38、95%信頼区間は0.30〜0.46だった。研究者は全体として中程度の関連と評価している。見本になることにも関連はあるが、支えることを一緒に考えたほうが、親子の活動を理解しやすい結果である。[2]

たとえば親が自分の運動に出かける場面と、子どもが参加したい活動の準備を一緒に考える場面は、家庭では別の時間に起きる。自分の予定表に運動が入っているかだけでは、子どもへの支援を数えられない。これは支援と見本を分けた研究を生活の場面へ置き直した考え方であり、特定の手伝い方の効果を保証するものではない。[2][14]

また、支援との関連が大きいという結果を、「親の頑張りが足りないと子どもは動かない」と読み替えるのも違う。メタ分析では研究間のばらつきが大きく、調べた条件だけでは十分に説明できなかった。家庭ごとの結果を、まとめた相関係数から決めつけることはできない。[2]

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大きな数字でも、測り方によって見え方が変わる

支援との相関係数0.38だけを見れば、かなり頼れる方法に感じるかもしれない。ところが同じメタ分析では、子どもの活動を機器などで客観的に測った研究では相関係数0.20、95%信頼区間0.13〜0.26だった。報告による測定では0.46、95%信頼区間0.37〜0.55で、測り方による違いが認められた。[2]

親が「よく支援している」と感じること、子どもが「よく動いている」と報告されること、実際の身体活動を測ることは、重なる部分があっても同じではない。この違いは支援を無意味にするものではなく、支援の効果を期待するときの目盛りを調整する材料になる。客観的に測った研究でも関連は正の方向だったが、大きさは小さかった。[2]

家庭でも「外へ連れ出した」「運動着を買った」「本人が楽しく体を動かした」を別々に振り返ってみたい。前の行動をしたから後の行動も済んだ、と帳簿を閉じないためである。研究の測定方法による違いを踏まえるなら、親が行った支援と子どもの実際の過ごし方を分けて見る、という姿勢が役に立つ。[2]

反対に、機器で測っていない日常の会話には価値がない、とする必要もない。ここで比べているのは研究で捉えられる関連の大きさである。「今日は何をして遊んだか」「何がやりにくかったか」と話すことは、活動の中身を知る入口として考えられる。ただし会話だけで運動量が増えたと判定せず、本人の行動と切り分けて受け止めたい。[2][14]

父親と息子の活動の相関係数が0.29、母親と息子では0.19という違いも、このメタ分析では示された。これは息子の活動との関連であり、18〜39歳の女性の活動を説明する数値には使えない。[2] ただし、これを家庭内の担当表に使うのは早い。親の性別による一部の組み合わせの結果から、「母親ではだめ」「父親が必ず必要」とは結論できない。子どもに届く支援を考える際には、全体にあったばらつきも一緒に持ち帰る必要がある。[2]

中学生では、親の運動量より本人の手応えも見る

小学生の外遊びを見守る場面と、中学生が活動を選ぶ場面では、親の関わり方を同じ形に固定しにくい。青年期の研究には、親自身が何をしているかだけでなく、本人が自分の行動をどう捉えているかを調べたものがある。[7][14]

平均年齢14.0歳の生徒380人とその親を対象にした研究では、親の運動習慣、楽しさや重要性への考え、子どもへの支援、本人の自己効力感などを質問紙で調べた。自己効力感とは、ここでは自分が身体活動に取り組めそうだという手応えとして捉えると分かりやすい。18〜39歳の女性自身に同じ関連があるかは、この生徒と親の研究からは判断できない。[14]

研究者が関係のつながりを検討したモデルでは、親自身の身体活動から子どもの身体活動への直接の経路は有意でなく、それを除き、支援から子どもの活動への直接の経路を加えたモデルで適合が改善した。支援は直接、また自己効力感を介する形でも、子どもの身体活動と関連していた。[14]

これは、親が実際に支援を増やす実験をして、その順番で活動量が増えたことを証明した結果ではない。質問紙のデータを使い、考えた関係の形がどの程度合うかを調べた研究である。それでも、「親が走れば子も走る」という直線だけで説明しない点には、家庭での見方を広げる意味がある。[14]

青年と親94組を対象にした別の横断研究でも、検討した予測変数のうち有意に寄与したのは青年本人の自己効力感で、身体活動との関係を示す係数は0.29だった。青年の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめる根拠にはならない。横断研究は同じ時点の関係を見るため、手応えが先に育ったのか、動く経験で手応えを得たのかは区別できない。[7]

子どもが「それならできそう」と話すことと、親が「これくらいできるはず」と考えることは別である。放課後に何を選ぶかを話すなら、親が自分の運動歴を披露する前に、本人が参加できそうと感じる条件を聞いてみる。これは自己効力感と支援に注目した研究からの実践上の提案であり、会話の言い回しに決まった正解があるわけではない。[7][14]

親の運動に関する考え方と、支援の行動も区別したい。生徒380人の研究では、親が運動を楽しむか、重要だと考えるかという方向性だけでなく、子どもを支える行動そのものを測っていた。[14] 「運動は大切だ」と言った日の回数を、そのまま支援の回数とみなさない読み方ができる。価値観を語る場面から、本人が参加する場面までには、具体的な段取りを相談する余地がある。

たとえば、放課後に動きたいと話す子どもに、何が必要かを聞いてみる。行き先が決まっていないのか、誰かと一緒なら参加したいのか、活動そのものを選び直したいのか。これは研究から個々の家庭への効果を計算した提案ではなく、支援を具体化するための会話の例だ。支援と身体活動の関連を調べた研究を使うときも、子どもの返事を聞く前から必要な手助けを決めないようにしたい。[2][14]

加えて、青年94組の研究では、本人の自己効力感との関連が見つかっても、調べた要因のすべてに有意な関連が見つかったのではない。[7] 親子の活動に関係しそうなものを集めれば、結びつきの強さや確かさには違いがある。家庭で取り組みを選ぶときにも、親ができる行動を増やし続けるより、本人の反応を見ながら関わり方を考える、という使い方が穏当だ。[7][14]

数字で読む親子の身体活動

115研究:見本行動と支援を分けて検討したメタ分析の対象数である。[2]

相関係数0.16:親の見本行動と子どもの身体活動の弱い関連が示された。[2]

相関係数0.38:親の支援と子どもの身体活動との全体の関連を表す。[2]

相関係数0.20:子どもの活動を客観的に測定した場合の、支援との関連を示した数値だ。[2]

380人:親の支援、本人の自己効力感、身体活動の関係を調べた生徒の人数である。[14]

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