女性の筋トレを想像するときは目を閉じる?景色の有無と動きの鮮明さを研究で読む

筋トレの動きを頭の中で練習するとき、目は閉じる方がよいのか。閉眼を用いた研究、開眼との比較、歩行や手指の実験から、景色と体の感覚がイメージに関わる仕組みを読む。鮮明さと動きの正確さ、脳活動と筋トレの成果を分け、女性が実際の練習に添える際の考え方も示す。

腕を上げる動きを思い出そうと目を閉じる。腕の形は浮かんでも、自分が持ち上げる感覚がつかめない。形を見るように想像することと、動く感覚をたどることでは、目を閉じる意味も違うのだろうか。実際に、開眼と閉眼を比べた脳波の実験では、視覚に関わる領域と運動に関わる領域で異なる反応が見られた。[5]

答えは、閉眼は使える方法だが、いつも開眼より優れると決めないことだ。運動イメージを扱う系統的レビューでは閉眼が用いられていた一方、直接比較した実験では、目の開閉の影響は想像する内容や測る指標によって異なった。[2][5][8]

ここで扱うのは、実際には動かず、動作を頭の中でたどる運動イメージである。[7] 「ピラティス初心者のイメージ練習は形を想像する?動く感覚との使い分けを読む」が扱うイメージの種類から問いを絞り、こちらでは景色を見せるか遮るかを考える。女性の筋トレで使う際も、想像の鮮明さをそのまま筋力の向上と読み替えないことが出発点になる。[2][5]

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目を閉じる方法はよく使われている

運動イメージは、ただ「できた自分」を思い浮かべることとは少し違う。研究では、動作の順番や、自分が動くときの感覚、動いている姿など、課題として決めた内容を想像させている。成功への気合だけを強める方法として読むと、実験で何が行われたのかが見えなくなる。[1][2][5]

教育、医療、音楽、心理、スポーツを対象とした系統的レビューは、133研究、141の運動イメージ介入を整理した。そこでは閉眼、自分の側から動きを想像する視点、動く感覚を使う方法が記述されている。練習の場所や参加者の姿勢は課題に合わせられ、音声による詳しい指示も使われていた。[2]

閉眼は、運動イメージの介入で実際に使われてきた方法である。ただし、閉眼を含む練習が行われたことと、閉眼だけが成果の原因だったことは別である。このレビューは練習を構成する要素を整理したものであり、全研究で目の開閉だけを入れ替えた比較ではない。姿勢、指示、実際の練習との組み合わせを含む結果として読む必要がある。[2]

成果を示した介入の特徴として、個別に行うこと、監督を伴うこと、実際の練習の後に加えることなどが挙げられた。目を閉じれば準備が完成するというより、何を思い出すかが具体的になった場面で使われていたのである。まぶたを閉じる前に、練習の中身を決める必要がある。[2]

仕事帰りに動きを思い出すなら、まず思い出す対象を決めたい。たとえば「今日教わった腕を上げる動き」と「上手に運動している自分」では、頭の中でたどるものが違う。前者のように課題を特定して考えることは、課題に即した運動イメージを扱ったレビューに沿う使い方である。実際のフォームの良否は、想像した気分と分けて確認する。[2]

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景色を消すと脳の働きも一方向に強まるのか

開眼と閉眼を直接比べた研究に、動く感覚を想像する課題と、動きを視覚的に想像する課題を用いた実験がある。前者は、動かす自分の感覚に重心を置く方法、後者は動作の見える様子に重心を置く方法だ。研究者は脳波を測り、視覚に関わる領域と運動に関わる領域のリズムを調べた。[5]

視覚的な運動イメージでは、閉眼条件で後頭部の領域に強い脱同期が見られた。脱同期とは、ここでは脳波のリズムのそろい方が変化する指標であり、研究では視覚情報の処理に関係する反応として扱われている。一方、運動に関わる領域のアルファ波の脱同期は、閉眼より開眼で強かった。[5]

つまり、「目を閉じると運動に関わる反応が全部強くなる」という単純な図にはならない。同じ実験でも、脳のどこを見るか、何を想像させるかで違う結果になる。閉眼で外の景色が見えなくなることと、運動イメージに関わるすべての処理が有利になることは同義ではない。[5]

この実験では、脳波から想像中の信号を機械が分類する精度も、開眼と閉眼の影響を受けた。これは脳の信号を使って機器を操作する仕組みにとって意味のある知見である。しかし、信号を分類しやすいことを、ダンベルが重く持てることや、動作を正しく覚えたことへ直接置き換えることはできない。測った成果の名前を省かないことが大切だ。[5]

日常では「頭に動きが浮かんだ」という言葉だけで済ませがちだ。研究では、その主観、脳波の変化、機械による分類を別々に扱う。目を閉じたら集中できたという感想は自分の練習条件を選ぶ手掛かりにはなるが、脳活動の実験から一足飛びに筋トレの効果を保証する理由にはならない。[2][5]

見えている景色が動きの再現を邪魔する場合もある

景色があれば、動きを想像する材料が増えそうに思える。歩く場面なら、進む方向が見える方が実際の歩行に近く感じられるだろう。ところが、高齢者を対象にした歩行の実験では、視覚的に周囲を探索できる条件で、実際に歩く時間と想像で歩く時間の対応が、かえって不正確になった。18〜39歳の女性の筋トレにも同じ結果が当てはまるかは、この高齢者の歩行実験だけでは判断できない。[8]

この実験が見たのは、頭の中の映像が美しいかどうかではない。実行した歩行と想像した歩行の時間がどれほど対応するかという、運動イメージの質の指標である。映像の鮮明さと、実際の歩行の時間関係を再現する正確さは、区別して測る必要がある。この違いを知ると、想像の上手さを映像のくっきり感だけで採点しなくて済む。[8]

脳の画像では、開眼でも閉眼でも、歩行に関わる運動回路の活動パターンはよく似ていた。ただし開眼では、側頭部、後頭部、頭頂部にまたがる追加の活動があり、その活動が強いほど、開眼時の歩行イメージの正確さが低かった。著者らは、周囲を見張り、見回すことに伴う処理の負担が関わる可能性を挙げている。[8]

これは高齢者の歩行課題の結果であり、若い女性の筋トレでも閉眼が同じ程度に有利だと決める根拠にはならない。ただ、外からの手掛かりは増やすほどよい、という考えを見直す材料にはなる。想像する動きに必要な景色と、ただ目に入っている景色は分けて考えたい。[8]

中央線の車内で動きを思い出そうとして、広告を追い、通知を読み、また動きを思い出す。これは研究の歩行課題そのものではないが、視覚情報を足す場面を考える例にはなる。自宅で試すなら、鏡や動画を常に増やす前に、景色が自分の想像を助けているのかを問い直す。閉眼を選ぶ理由は、上級者らしく見えるからではなく、余分な視覚処理を減らしたいから、でよい。[8]

ここでは、目を開けることと、役立つ視覚の手掛かりを与えることも区別したい。単に周囲を見る条件と、自分の手の形を見る条件では、入ってくる情報の役割が違う。歩行研究と手指の研究を並べると、「視覚あり」という大きな括りだけでは、動きを想像する助けなのか負担なのかを判断できないことが分かる。[8][14]

筋トレ前に鏡を使う場面でも、見ている対象を考える余地がある。教わった腕の位置を確認するために見るのか、周囲の人の動きを眺めるのか。同じ開眼でも、自分が使おうとしている情報は異なる。これは筋トレの鏡の効果を実証した結果ではなく、視覚情報の内容を区別した研究から日常へ引き寄せる際の問いである。[8][14]

また、研究の対象が違えば、困っていることも違う。歩行の実験は、視覚的な方法を好み、動く感覚への依存が少ないとされる高齢者を対象にしていた。女性の筋トレの準備に応用するときは、対象者の特徴を飛ばして「閉眼の方が正確」と短縮しない方がよい。実験が示したのは、その歩行課題で視覚探索を許した条件に起きた違いだ。[8]

目を閉じると頭の中が静かになる人も、動きの手掛かりが減って困る人も、自分の感想を出発点にはできる。ただし感想を一般的な優劣へ変えず、次に実際に動く場面とつなげる。この距離感で読むと、閉眼を多く用いたレビューと、開眼にも意味があった実験を、無理にどちらかだけ採用せずに扱える。[2][14]

数字で読む目の開閉と運動イメージ

133研究・141介入:運動イメージ練習の要素を整理した系統的レビューの規模である。[2]

平均17分:同レビューに含まれた練習時間の平均であり、初心者に勧める最低時間ではない。[2]

68人:閉眼で、地上の体の動きと浮遊する体の動きを想像した若年者の実験の対象者数である。[1]

23人:つま先立ちなどを想像するときの体の揺れを調べた実験の対象者数である。[10]

12人・400試行:集中的な運動イメージによる機器操作を調べた研究では、疲労感の変化があっても操作成績に有意な変化はなかった。[7]

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