ダイエットのおやつの抹茶は茶葉ごと届く?食物繊維と腸内細菌の変化を読む

抹茶は茶葉を粉にして飲むため、抽出するお茶とは食物繊維の扱いが異なる。発酵加工で水溶性の割合が変わった実験と、人が飲んだ腸内細菌の試験から、茶葉ごと口に入ることと吸収・便通の改善を分けて読む。おやつや食後の抹茶を、色の濃さや健康イメージだけで選ばないための視点である。

茶こしに残るはずの葉まで飲んだら、体の中ではどうなるのか。湯のみに抹茶を混ぜると、葉の色が広がる。茶葉を取り出すお茶と違い、抹茶は緑茶の葉を粉末にしたものだ。そのため、茶の成分だけでなく、不溶性食物繊維も含む葉を飲むという違いがある。[2]

ただし、葉ごと口に入ることと、その中身がすべて吸収されることは別である。食品の加工を扱ったレビューでは、抹茶の成分の働きは元の組成だけでなく、加工や一緒にある食品成分との関係に強く左右されると整理されている。粉末化の先にも、食品から成分が放出される過程と、体に利用される過程が続く。[4]

人が抹茶を飲んだ試験では腸内細菌の構成の変化が報告されている。一方、その変化をそのまま便秘解消や減量の証拠と読むことはできない。ここで追うのは、抹茶が痩せるかという大きな問いではなく、茶葉を粉にして飲むと何が研究の対象になるのか、という細い道である。[2][5]

既存の「食物繊維と腸内細菌のダイエット科学 種類と食事条件で読む平均−1.25 kgの差」には繊維全般と減量の問いを、「睡眠不足で腸内細菌も変わる?運動日の食事とおならからは見えない変化を読む」には眠りと菌の問いを譲る。ここでは抹茶という葉の粉末を出発点にする。

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茶葉を飲むことと、成分を取り出すことは違う

抹茶を調べた無作為化二重盲検試験の著者らは、抹茶を粉末にした緑茶葉と説明し、通常の緑茶と比べてカテキンや不溶性食物繊維などを豊富に含む点に着目した。カテキンは茶に含まれる成分群の名前であり、食物繊維と同じものではない。この試験が扱ったのは、そうした成分を一緒に含む抹茶飲料である。[2]

ここで「抹茶の成分」とひとまとめにすると、話が早く進みすぎる。葉の中に複数の成分があること、飲む食品の中にそれらが残ること、体の中で利用されることは、それぞれ別の問いだ。加工を扱ったレビューが重視するのも、成分表の数字だけではなく、実際の食品の中で成分がどう変わり、消化の過程でどう放出されるかという点である。[4]

たとえば、お茶として飲む抹茶と、菓子に混ぜた抹茶を比べたい場面を考える。どちらにも同じ名前の原料が入っていても、加熱や周囲の食品成分という条件は同じではない。レビューでは、カテキンの分解や構造の変化、カフェインの保持、テアニンの安定性、クロロフィルの減少などが、加工中に検討すべき現象として挙げられている。[4]

したがって、緑色の濃さだけを頼りに「葉の栄養が全部届く」と判断するのは飛躍である。クロロフィルという色素の変化と、ほかの成分の変化は別に扱われている。目で見える色に、成分の量も利用のされ方もすべて代表させることはできない。[4]

既存記事「女性の抹茶プロテインは消化が違う?茶の成分との結びつきを模擬消化で読む」では、たんぱく質との組み合わせを扱っている。こちらはそこに踏み込まず、葉の食物繊維と、人の腸内細菌を調べた研究の間をたどる。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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発酵加工で変わったのは、繊維の量だけではない

抹茶の食物繊維を直接調べた食品化学の実験がある。研究対象は低グレードの抹茶で、研究者らはトリコデルマ・ビリデという菌を使って発酵させた。不溶性食物繊維を多く含む素材の性質を変え、加工副産物としての利用価値を高めることが目的である。人に抹茶を飲ませて健康状態を調べた試験ではない。[1]

この実験では、水溶性食物繊維の含有率が6.74%から15.24%へ増えた。水溶性と不溶性は、水に溶ける性質に注目した分け方であり、同じ「食物繊維」という名前でも素材の状態は一様ではない。少なくとも、この加工条件ではその内訳が動いたという結果である。[1]

構造にも変化があった。発酵によって不溶性食物繊維の密な構造が崩れ、蜂の巣状の構造になったと研究者らは報告している。水溶性の割合が増えたという成分の数字と、素材の形が変わったという観察が、同じ実験の中に並んでいる。単に粉末をさらに細かくした話ではない。[1]

発酵した素材では、ペクチンとヘミセルロースの含有量にも増加が報告された。研究者らは水溶性食物繊維の含有率だけを測って終えず、繊維を構成する成分や、関連する糖の変化も調べている。繊維という大きな箱の中を、さらに分けて確かめた実験と読める。[1]

陽イオン交換能という、正の電荷を持つイオンとのやり取りを表す性質は、1.69 mmol/gから4.22 mmol/gへ変化した。これは素材の性質を表す測定値であり、人のミネラルの吸収率ではない。同じ論文の中でも、含有率、構造、交換能という異なる観察の窓が使われている。[1]

素材を評価する立場なら、こうした窓を組み合わせる意味がある。水溶性の割合が増えたとき、形やほかの性質も変わるのかを追えるからだ。一方、飲む人の立場では、何を測った数字なのかを残すことが先になる。割合にも単位にも役割があり、すべてを健康効果の大きさに置き換えると、実験の具体性が失われる。[1]

さらに、でんぷんを分解する酵素であるαアミラーゼに対する阻害作用が、実験条件下で47.38%から72.04%へ増えた。これは酵素の働きをどの程度抑えたかという測定値である。食後の人の血糖が同じ割合で低下したという意味でも、食べたものの吸収がその割合だけ減ったという意味でもない。[1]

数字が大きいと、つい自分の湯のみに移したくなる。しかし、この実験の主役は発酵処理した素材だ。家庭で抹茶を湯に混ぜることを、同じ処理として扱うことはできない。著者らも結論を抹茶加工副産物の食物繊維の品質改善という文脈に置いている。[1]

おやつ選びに持ち帰れるのは「この割合を目指して飲む」という指示ではなく、素材の成分や構造は加工によって変わりうる、という見方である。抹茶という名前が同じでも、未処理の粉末と発酵した繊維素材は区別して読む必要がある。茶筒と食品工場では、葉が通ってきた工程が違う。[1][4]

人が飲んだ試験は、便の中の細菌を調べていた

抹茶と腸内細菌の関係については、人を対象にした無作為化二重盲検試験がある。参加者は抹茶飲料群17人とプラセボ群16人に分けられ、2週間それぞれの飲料を飲んだ。この人の試験の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、別に確かめる必要がある。飲む前と後に便を採取し、細菌の遺伝情報を使って、腸内細菌の構成を解析している。[2]

抹茶群では、細菌の構成の違いを表すβ多様性に有意な変化があり、プラセボ群ではその変化は有意ではなかった。β多様性とは、細菌の集まりの構成がどの程度異なるかを見る指標である。「多様性」という字面から、増えれば増えるほど健康だと読みたくなるが、この結果が直接表しているのは構成の変化である。[2]

抹茶群で有意に変化した菌の属は30、プラセボ群では3だった。「属」は細菌を分類するまとまりの呼び名だ。この数字は、便通が改善した人の数でも、体によい菌が増えた人数でもない。人の人数と、細菌の分類の数を混ぜると、実験の規模が急に大きく見えてしまう。[2]

具体的には、抹茶群でコプロコッカス属の増加とフソバクテリウム属の減少が報告され、著者らは宿主の健康に役立つ可能性に言及している。この方向づけは研究の結論として受け止めてよい。ただし、可能性を示す細菌の変化と、本人が感じる症状の改善は別の段階である。[2]

また、試験で飲んだのは抹茶飲料だ。不溶性食物繊維だけを取り出して与えた設計ではないため、変化を繊維だけの手柄にすることはできない。研究者らが着目した抹茶にはカテキンなども含まれる。葉を丸ごと使う食品を調べる面白さは、同時に、単独成分の効果と切り分けにくい点でもある。[2]

無作為化して比較したことは、単に抹茶好きの人を集めた調査とは異なる強みである。一方、何を比較したかという枠は残る。この試験から読み取るのは、抹茶飲料を飲む前後の細菌の構成であり、抹茶を使った菓子全般の健康効果ではない。試験の方法と、日常の食品の名前を丁寧につなぐ必要がある。[2][4]

数字で読む抹茶と食物繊維

6.74%から15.24%へ:発酵処理した抹茶素材の水溶性食物繊維の含有率である。[1]

47.38%から72.04%へ:同じ加工実験で測ったαアミラーゼ阻害作用であり、人の血糖の低下率ではない。[1]

17人と16人:抹茶飲料群とプラセボ群の人数である。[2]

2週間:腸内細菌を調べた飲用試験の期間であり、飲み続ける推奨期間ではない。[2]

30属と3属:それぞれの群で有意に変化した細菌の属の数である。[2]

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宮川涼 Founder

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