
同じ薬剤でも結果がそろわない試験を読む
健康な20人を対象にした別の無作為化・二重盲検・プラセボ対照の交差試験も、デキサンフェタミンによる変化を調べている。こちらではプラセボに比べて、ファネリング錯覚にも位置判断の誤差にも有意な増加が認められなかった。それぞれp=0.88とp=0.5である。18〜39歳の女性のヨガ中の感覚に、そのまま当てはめられる結果ではない。先の試験と同じ方向の結論だけを並べることはできない。[5]
一方、この試験では心理尺度の得点変化と錯覚の変化に正の相関があり、相関係数はρ=0.48だった。同時刺激の条件ではρ=0.6が報告されている。全体として介入の差が有意ではないことと、個人ごとの変化の対応が認められることは両立する。全員に効いたという話と、変化同士が対応したという話は違う。[5]
相関は、ある人の心理尺度が変わったから錯覚が生まれたと、原因を確定する数字ではない。この研究の相関を使って、「気持ちが整えば触覚も正確になる」と説明するのは飛躍である。そもそもここで対応したのは錯覚の変化であって、ヨガ中の落ち着きや姿勢の改善を比較した結果ではない。[5]
さらに健康な32人を対象にした、ナビロンという別の薬剤の無作為化・二重盲検・交差試験では、錯覚の減少が時間差に依存して認められた。位置判断の誤差も距離に依存して減少した。18〜39歳の女性の日常の触覚にそのまま当てはめるには、薬剤を使った実験という条件の違いがある。この結果は、触覚のまとまりがいつも増加方向にしか動かないという説明に合わない。研究ごとの介入と条件をそろえてから読む必要がある。[1]
この試験にも心理尺度との関連があるが、全体の平均得点には有意な変化がなかった。一部の尺度の評定と、平均した得点、錯覚との関連を混ぜないことが肝心である。「心理と感覚に関係がある」という大きな見出しだけでは、何が変わり、何が変わらなかったのかが消えてしまう。[1]
これらを並べたときの実用的な収穫は、錯覚を増やす方法が見つかったということではない。健康な人を対象にしても、試験によって結果がそろわず、時間と距離によって読み分ける必要があるということだ。ヨガの体験談へ当てはめる前に、対象、介入、測定項目を確認する。そのひと手間が、効果効能の話を必要以上に膨らませない。[1][4][5]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
空中の刺激は、位置より強さを問う研究だった
両手の人差し指に刺激を与えた15人の心理物理実験は、空中に感じる刺激の強さと、実際の刺激の強さの数学的な関係を調べたものだ。心理物理実験とは、物理的な刺激の条件と本人が感じた量の関係を調べる実験である。ここでは、体に直接加えた刺激とは別の場所に感じる刺激を対象にしている。18〜39歳の女性がヨガ中に感じる刺激の強さへ、そのまま当てはめるための比較ではない。[18]
研究は段階を分けて進められた。まず既存の線形、対数、平方という計算方法を比較し、平方を使う方法がほかよりよい結果だった。次にその方法の適合を確かめたが、それでも理想的とはされなかった。そこで、刺激の強さ同士をべき乗の関係で表す新しい方法が、よりよい結果を示した。[18]
数式の名称を覚えることより、比較の中身が大切である。「ある方法が最もよかった」は、候補の中での順位だ。「十分に表現できる」と同じ意味ではない。研究が比較を重ねたのは、先に選ばれた方法にも改善の余地があったからである。最初の勝者だけを紹介すると、その後の検討を落としてしまう。[18]
また、この研究は幻の刺激の強さを扱い、その位置と物理的な刺激の強さの関係は今後の課題としている。つまり、どれほど強く感じるかを説明する方法がよくなっても、どこに感じるかまで同じ精度で説明できるとは限らない。感覚には、場所と強さという別々の問いがある。[18]
これはヨガ中の会話にも使える区別だ。「どこを触られた感じか」と「どれほどはっきり感じたか」を別々に尋ねる場面を考えてみよう。後者の答えが確かでも、前者の答えまで確かになったとは扱わない。実験の手続きをレッスンへそのまま移すのではなく、異なる質問を混ぜないという読み方を借りるのである。[18]
中央線で帰宅しながら思い出すのが、「今日は体の感覚が分かった」という印象だけでもよい。ただ、記録に残すなら、触れた位置を指せたのか、接触が強く感じられたのか、刺激がまとまって感じられたのかを分けて言葉にする。それぞれを別の測定対象にする研究を読むと、感想の解像度も言葉の側から整えられる。[1][4][18]

よくある誤解
「離れた刺激がまとまったら、ヨガの感覚が上達した証拠」という受け取り方には注意が要る。紹介した研究が調べたのは、薬剤条件や刺激条件による錯覚の変化、または空中に感じる刺激の強さである。ヨガの練習前後の技能を比べたものではない。錯覚が起きたという体験だけを、上達の成績表にはできない。[1][4][5][18]
反対に、「触れた場所を正確に言えなければ、体の使い方が悪い」という採点も、この実験からは導けない。位置判断の誤差と、刺激がまとまることを別々に測る必要があるからだ。場所を答える課題の成績を、動作全体の評価に広げない。曖昧な感覚は、そのまま曖昧だったと伝えればよい。[4][5]
「統計的な差があった研究があるので、誰にでも同じ現象が起きる」という理解も違う。同じ薬剤を扱った試験にも、錯覚の有意な増加を認めた結果と、認めなかった結果がある。また、心理尺度の変化との相関は、全員で同じ変化が起きたという証明ではない。結果の向きだけでなく、差と相関のどちらを読んでいるかを確かめたい。[4][5]
こうした区別は、感覚の面白さを取り上げるためではない。空中に刺激が感じられる実験は、それだけでも十分に不思議である。そこに「体が整った」「深い筋肉が目覚めた」と別の意味を足さなくても、読む価値はある。実験が扱った問いのまま味わうほうが、体験の細部を見失わずに済む。[18]
今日からできること
- 触れた感覚を振り返るときは、刺激した場所と感じた場所を分けて言葉にする。両手の人差し指の間に刺激を感じた15人の実験でも、この区別が問いの土台になっている。[18]
- 「まとまった」という感想には、同時の接触だったか、順番に触れたのかを添える。研究では0、500、750 msを分けており、時刻も条件になる。ただし数値を練習の目標にしない。[4]
- 研究の刺激間隔1〜5 cmを、ヨガで触れる位置の正解として使わない。場所の条件を変えた実験と、レッスンでの動作確認の目的を区別する。[4]
- 効果の説明を読む際は、錯覚の増加、位置の誤差、心理尺度との相関のどれが結果かを確認する。20人の試験では、介入による有意な増加と個人の変化の相関が別の結果だった。[5]
- 不思議な感覚を上達の義務にしない。32人の試験と46人の試験は介入も結果も異なり、錯覚の起こり方を単一の良し悪しに並べる材料ではない。[1][4]

オンザショアで、通う時間と選択肢を確かめる
感覚の不思議を確かめることと、通い続ける場所を選ぶことは、別の軸で考えたい。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30で、全曜日同じ、年中無休である。生活の予定と照らし合わせ、運動の時間を置く場所として検討できる。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分だ。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、ほかにピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングを扱っている。
参加するレッスンは体調や条件に合わせて確認したい。妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。体験レッスンのヨガは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。
継続の予定を立てる際の確認先は、店舗の案内、料金、体験の予約である。通える時刻、用意する物、選ぶレッスンを具体的にしてから、日々の予定へ組み込むための入口となる。
参考文献
[1] The effect of a synthetic cannabinoid agonist (nabilone) on unimodal tactile illusion correlates with a psychometric scores in healthy volunteers — Kassim FM, Davey AJW, Tod S, Rodger J, Albrecht MA, Martin-Iverson MT., 2025, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-025-02280-9
[4] Dexamphetamine widens temporal and spatial binding windows in healthy participants — Kassim FM, Lahooti SK, Keay EA, Iyyalol R, Rodger J, Albrecht MA, Martin-Iverson, 2023, Journal of psychiatry & neuroscience : JPN. DOI: 10.1503/jpn.220149
[5] Dexamphetamine influences funneling illusion based on psychometric score — Kassim FM, Mark Lim JH, Albrecht MA, Martin-Iverson MT., 2023, Human psychopharmacology. DOI: 10.1002/hup.2862
[18] Power Law Based “Out of Body” Tactile Funneling for Mobile Haptics — Patel P, Ray RK, Manivannan M., 2019, IEEE transactions on haptics. DOI: 10.1109/toh.2019.2933822
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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