ヨガの呼吸は吸い終わりの間で力む?息の量と止めて支える筋肉を分けて読む

ヨガで吸い終わった瞬間、胸は動かないのに肩やお腹に力が残る。その間は休息なのか。飲み込み、胸郭の形、立位の揺れ、競泳を調べた研究から、息の流れが止まることと筋肉が休むことを分ける。吸った量や姿勢をそろえて感覚を振り返る視点と、息止めの長さを上達の点数にしない練習の考え方を示す。

腕を上げて息を吸った。次の動きの合図を待つ間、胸は止まったままなのに、肩だけが仕事を続けている気がする。動きの合図を待つだけのはずが、吸った形を保つことに気を取られる。

吸い終わりに間ができたからといって、呼吸に使う筋肉が休むかどうかは、気流の停止だけでは決まらない。健康な成人6人の飲み込みを測った実験では、空気の流れが途切れる間も横隔膜が静的に活動していた。息の停止と筋活動の停止は別の出来事である。18〜39歳の女性のヨガへ当てはめる際には、飲み込みを測った結果である点を踏まえる必要がある。[8]

ただし、飲み込むときの働きを、そのままヨガの正しい息止めと呼ぶことはできない。ここで確かめるのは、吸い終わりの間に感じる力みを、肺にある空気の量、筋肉の活動、姿勢の支えに分ける見方だ。「ヨガの呼吸でハミングすると何が変わる?鼻の通気と一酸化窒素を分けて読む」には音を伴う鼻の呼吸の問いを譲り、こちらでは音のない停止を考える。

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空気が止まった瞬間、筋肉も休むのか

呼吸を見ていると、動いている時間が活動で、止まっている時間が休息に見える。しかし、健康な男性を対象とした生理実験では、息止め中の呼吸筋の活動は、外から呼吸に弾性の抵抗を加えた場合と質的に似ていた。空気が出入りしないことだけで、筋肉の負担が小さいとは判定できない。18〜39歳の女性に同じ筋活動が起こるかは、この男性の実験からは判断できない。[10]

弾性の抵抗とは、伸ばすほど戻ろうとする物を相手に息をするような負荷である。この研究では、健康な男性が異なる抵抗に対して呼吸する条件と、息を止める条件を比べた。二酸化炭素の条件をそろえてみると、抵抗の増加に伴って一息の量や吸う流れは減ったが、呼吸筋の活動は強くなった。少ない動きの背後で、呼吸を保とうとする働きが増えていたのである。[10]

また、息止め中には、同じ酸素と二酸化炭素の条件で自由に呼吸する場合よりも、強く速い不随意の呼吸筋収縮が現れることがある。不随意とは、自分が意識して命令しなくても起こることだ。この研究の対象は呼吸への負荷であり、ヨガの短い間の良し悪しを決める比較ではない。それでも、外から見える静止と、内側の活動を分ける理由にはなる。[10]

写真では動かない人も、筋肉まで静止画になったわけではない。胸の上下が見えないときに「きれいに止まれている」と評価するより、空気の流れが止まっているのか、吸う形を保とうとしているのかを言葉で分けたい。その区別が、力みを振り返る出発点になる。

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飲み込む間は、横隔膜が空気の量を保っていた

健康な成人6人を調べた研究では、気流、横隔膜と腹部の筋電図、呼吸の量、のどや食道の圧を組み合わせて、自然な飲み込みを観察した。筋電図とは、筋肉の電気的な活動を捉える測定である。安静時だけでなく、二酸化炭素が増えた条件や呼吸の速い条件も扱っている。[8]

飲み込む間には呼吸が一時的に中断される。そのとき、横隔膜が受動的に呼気へ戻っていく過程は、静的な筋活動によって中断されていた。研究ではこれを能動的な息止めと捉え、飲み込み後に吐くための呼吸の量が保たれていたと報告している。止まるとは、ただ力を抜いて待つことではなかった。健康な成人6人の飲み込みの結果を、18〜39歳の女性の吸気後の停止へそのまま適用するには、場面の違いがある。[8]

この6人では、飲み込みの前には常に呼気があった。飲み込み後も呼気が続く割合は、通常の二酸化炭素の条件で93%、二酸化炭素が増えた条件で85%だった。ここでの数字は、吸い切ってから止めるヨガの手順の成功率ではない。呼気の途中に組み込まれた飲み込みと、その間の筋活動を測った値である。[8]

この違いは小さく見えて重要だ。同じ「息を止める」でも、食事中に飲み込む停止と、吸い終わりの胸を保つ停止では、前後の流れが違う。飲み込みの研究は、気流がないのに筋肉が働くという具体例を与える。一方、それを理由に吸気後の停止を長くする必要は生まれない。

昼食の水を飲み込む瞬間を思えば、息止めという言葉の幅が分かる。長さを競うために止めていなくても、呼吸は一時的に途切れる。ヨガの記録でも「止めた」だけで済ませず、吸った後なのか、吐いている途中なのか、次にどちらへ流れたのかを区別すると、違う出来事を同じ箱へ入れずに済む。

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吸った量と、胸の形を保つ働きを切り分ける

仰向けの人の胸郭と腹部を測った研究では、能動的に息を止める状態と、力を緩めたときの関係を比較している。胸郭とは、肋骨などで構成される胸の枠組みである。前後方向だけでなく左右方向、腹部の前後方向や上下方向を測り、胸の形を複数の向きから捉えていた。18〜39歳の女性が立って行うヨガに同じ形の変化が現れるかは、この仰向けの測定とは分けて考える。[13]

呼吸筋が活動する間、肺の空気の量が多い領域では、胸郭は広がると同時に形も変わっていた。空気の量が少ない領域では、主に形の変化が見られた。つまり、胸の見た目を「大きいか小さいか」だけで読むと、筋活動に伴う形の違いを取りこぼす。空気の量と胸の形は、いつも同じ意味ではない。[13]

同じ研究では、眠っているときは起きているときより腹部の突出が小さく、胸郭の側面は大きく広がった。このため、胸の周囲を測った場合と前後方向だけを測った場合では、呼吸の動きの受け止め方が違い得ると論じている。正面から見て胸が動かないことと、胸全体に変化がないことは区別が必要だ。[13]

ヨガで「吸い終わりに胸が張る」と感じたときも、張りという言葉だけでは比較の条件が足りない。普段より大きく吸ったのか、腕を上げたのか、胸の形を維持しようとしたのか。その日の感覚を振り返るなら、こうした条件を文章に添える方がよい。胸の形の研究を、特定の形へ矯正する指示に変える必要はない。

たとえば、立って腕を上げた日の感覚と、仰向けで腕を下ろした日の感覚を、息の止め方だけの差と呼ばない。研究で測ったのは仰向けの胸と腹部である。[13] 日常の振り返りでも、まず姿勢の違いを書き分ける。自分の胸の動きを見つめることと、実験装置で量を測ることの距離も残しておきたい。

体を固めた結果は、揺れる方向で異なる

健康なボランティア48人を対象とした立位の実験では、通常の呼吸、吸気側と呼気側の息止め、過換気を扱い、首、体幹、股関節、膝の動きを制限する条件と、制限しない条件を比較した。過換気とは、ここでは呼吸を増やした実験条件であり、レッスンでまねる課題ではない。18〜39歳の女性のヨガにこの結果を当てはめる際も、関節を制限した立位実験との条件の違いを考える必要がある。[7]

測定したのは、床を押す力の中心である足圧中心の動く幅と速さだ。全体として、関節の動きを制限すると、前後方向の姿勢の安定性は低下した一方、左右方向の揺れの幅は小さくなった。動きを減らした結果が、方向によって異なったのである。[7]

研究者らは、体を固定すると、呼吸が立位の安定へ及ぼす影響を前後方向に補う能力が下がる一方、左右方向のバランスは保ちやすくなると考察した。「固めたから安定した」という感想の中には、左右には揺れにくいが前後には対応しにくい、といった異なる変化が同居し得る。[7]

この結果は、吸い終わりに止めれば誰でも揺れる、あるいは息を流せば必ず揺れなくなる、という順位表ではない。関節の動きを制限したことと、呼吸の条件を組み合わせた実験である。自分のポーズへ持ち帰るなら、「止まれたか」のほかに「どちらへ揺れたか」「どこを固めたか」という問いを増やす材料になる。

姿勢を保つ場面には、見た目を止めることと、変化に対応できることという別の問いがある。この実験の前後方向と左右方向の違いは、その区別を考えさせる。[7] 足元が動かなかったとしても、どこに支えを求めていたかまでは写真から読めない。「揺れなかったから呼吸も適切だった」と、別の評価まで一緒に済ませないことが大切だ。

胸郭の研究も、測る向きを残す必要を教えてくれる。胸の前側だけを見ていた人と、左右への広がりを見ていた人では、注目した変化が違う。[13] 自分の記録なら「胸が動いた」からもう少し進んで、「前側の動きを感じた」「脇の広がりを感じた」と書き分けられる。ただし感覚をそのまま肺の空気の量に換算はしない。測った量と感じた場所を区別すれば、前回との比較で何が変わったのかを話しやすくなる。

数字で読む呼吸の停止と体の支え

6人:飲み込みと気流、横隔膜・腹部の筋活動を組み合わせて観察した健康な成人の人数。[8]

93%と85%:通常と二酸化炭素が増えた条件で、飲み込み後に呼気が続いた割合。吸気後の停止の成績ではない。[8]

48人:呼吸条件と関節の動きの制限を組み合わせ、立位の足圧中心を調べたボランティアの人数。[7]

8人:呼吸頻度を変えたバタフライの筋活動を比べた、全国レベルの女性競泳選手の人数。[2]

12筋:その競泳研究で筋電図を記録した、右側の上下肢と体幹の筋肉の数。[2]

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宮川涼 Founder

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