
肩では黄体期、膝では疲労にも目を向ける
肩の不安定性に関わる要因をまとめた系統的レビューは、対象となった研究を4本、女性患者を合計129人としている。肩の位置を合わせる検査では、外へひねる動きや前へ上げる動きの変化を捉える成績が、排卵期より黄体期で低かったと報告した。これは膝で月経期の誤差が大きかった研究と、変化の時期が異なる。患者を含む集団の結果が18〜39歳の健康な女性にも当てはまるかは、このレビューだけでは判断できない。[2][11]
レビューという研究形式は複数の研究をまとめている点に意味があるが、対象関節は肩である。その結果を膝や足首へ移したり、全身で同じ時期に同じ変化が起こると考えたりはできない。「生理周期と位置感覚」という大きな表札の下に、異なる関節の課題が入っている。[2][6][11]
下肢についても、女性12人と男性12人を調べた研究では、女性の膝や足首の感覚に時期間の差があり、卵胞期より排卵期・黄体期で下肢の感覚が良好だったと報告している。これは周期差を認めなかった研究と結果が揃わない。対象者の人数だけでなく、装置で関節を動かす検査を含むことにも注意が必要だ。男女を含む小規模な集団で得た女性の結果を、18〜39歳の女性全体へ広げられるかは検証が必要である。[8]
実際のレッスンを考える際に、別の手掛かりになるのが筋疲労である。規則的な月経のある、身体活動を行う19〜30歳の健康な女性20人を対象とした研究では、膝を伸ばす筋肉と曲げる筋肉を局所的に疲労させ、疲労前後の位置の再現を調べた。比較したのは卵胞期と黄体期である。[4]
この実験では、筋疲労の主効果は有意だったが、周期の時期の主効果はなかった。疲労後には、どちらの時期でも自分で膝を目標の角度へ戻す正確さが低下した。また、測った目標の中では、膝をより深く曲げる角度ほど誤差が大きかった。[4]
したがって、動きが途中から雑になった場面では、周期だけに説明を求めず、その動作を続けて疲れていないかにも目を向ける余地がある。ただし、実験で筋肉を疲労させる手順と、仕事帰りに感じるだるさは同じではない。ここから言えるのは、周期以外にも位置の正確さを変える条件が、実験で確かめられているということだ。[4]
この研究は月経期そのものの成績を比較したものでもない。「生理中でも疲労の影響だけを考えればよい」と話を縮めるのも早い。膝では周期差が出た研究も出なかった研究もあり、局所的な疲労の影響を認めた研究もある。それぞれを別の手掛かりとして持つのが妥当である。[4][5][11][12]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
ピラティスの予定を周期だけで決められるか
ここで使った位置感覚の研究は、主に健康な女性や女性競技者を対象とし、実験室の関節課題を測っている。ピラティスのばね、姿勢、動作の流れを周期別に比較した結果ではない。マシンピラティスを含め、生理中のすべてのレッスンに共通する参加基準を、この結果から作ることはできない。[4][5][6][8][11][12][13]
たとえば「今日は黄体期だから肩の位置が分からないはず」と先に決めると、膝の研究と肩の研究を混ぜてしまう。反対に「差がない論文を読んだから、いつも通りにできるはず」と自分に要求するのも、研究の平均的な結果を個人への命令に置き換えている。研究結果は、自分の感覚を否定するための採点表ではない。[2][5][11]
一律の予定表を作る代わりに、記録する内容を具体的にしておきたい。出血の有無とその日の体調、どの姿勢のどの動きで気になったか、始めからか、続けた後か、といった区別である。目的は自分に「周期に弱い」という名前を付けることではなく、次に相談するときの材料を残すことだ。
たとえばメモに「脚が変」とだけあると、痛みなのか、力を出しにくいのか、位置が決まりにくいのかが分からない。「仰向けで膝を戻す位置が毎回違って見えた」「立って脚を動かすと支えにくかった」と分ければ、伝えたい場面が残る。研究で位置覚とバランスの結果が分かれたことは、この区別を考える手掛かりになる。[5]
また、関節位置覚の誤差とけがの発生は別の結果である。女性バスケットボール選手71人を追ったコホート研究では、シーズン前に着地動作と荷重時の位置感覚を測り、その後の足首・膝の非接触性のけがを記録した。研究では位置感覚とけがとの関連は認められなかった。バスケットボール選手の競技環境での結果が、18〜39歳の一般女性にもそのまま当てはまるかは別の問いである。[1]
この研究では月経の規則性も扱っているが、周期のある時期を指定してピラティスを行わせたわけではない。競技の着地場面とスタジオの動作を同じものとして扱わないこと、位置感覚の検査成績だけでけがを予言しないことが必要だ。誤差があるという結果と、けがが増えるという結果の間を、想像で埋めないようにしたい。[1][11]
体調の相談をするときにも、「論文で月経期は危険だと読んだ」と結論から伝えるより、自分の症状と動作を伝えるほうが話の出発点になる。痛みや不調について判断が必要な場合は医師に相談する。周期を調べる研究は、個別の症状の原因を診断する道具ではない。

よくある誤解
「生理中はどの関節の位置感覚も悪くなる」という理解は広すぎる。膝では月経期に再現誤差が大きかった研究があるが、周期差のない膝・足首の研究もあり、肩のレビューでは黄体期の低下が扱われている。関節と測った時期を消してしまうと、結果が揃っているように見えてしまう。[2][5][6][11][12][13]
「ホルモンが変動すれば、必ず動作も不正確になる」という理解は、測定結果と食い違う。膝の研究ではホルモンに対応する指標に時期の差があっても、筋力、位置感覚、姿勢制御などには有意差がなかった。足首の研究でも神経の働きの指標は変化したが、位置を合わせる成績は変わらなかった。仕組みの変化と動作の結果を分ける必要がある。[6][13]
「位置覚に差がないなら、その日の動きにくさは気のせい」という読み方も違う。女性45人の研究では、位置覚と動的バランスが同じ答えになっていない。生理中に支えにくいと感じたことを、関節位置覚の低下と決めつける必要も、研究に合わせて打ち消す必要もない。[5]
さらに「角度の誤差が大きい人は、そのままけがをする」という飛躍も避けたい。小規模な位置感覚の研究が示した平均値は、個人の危険を区切る線ではない。競技者を追跡した研究では位置感覚とけがの関連が認められなかったことも、同時に持っておくべき情報である。[1][11]
今日からできること
- 普段行っている無理のない膝の曲げ伸ばしで、止めた位置が違って見えたら、「位置のずれが気になった」「動きは安定していた」など、感じたことをメモする。4.2°と2.5°は女性競技者の平均であり、記録は角度の採点ではなく、指導者に場面を伝えるために使う。[11]
- 動作の記録は「位置が決まりにくい」と「支えながら動きにくい」を分ける。45人の研究でも位置覚と動的バランスの結果は異なったため、気になる場面をそのまま書く。[5]
- 始めは気にならず、動作を続けた後にずれが気になるなら、その経過も指導者に伝える。20人の実験では、卵胞期と黄体期のどちらでも局所的な筋疲労で膝の再現の正確さが低下した。[4]
- 肩の話を膝へ移さない。4研究をまとめた肩のレビューは、全身の動作やピラティスの参加日を決める表として使わず、自分が気になる部位と区別して読む。[2]
- 「周期差なし」を我慢の理由にしない。14人の女性競技者で有意差がなかった結果は、個人の不調を否定するものではない。気になる症状は動作の問題と分けて医師に相談する。[13]

オンザショア立川店で、通う時間と選択肢を持つ
脚の位置が決まりにくいのか、支えながら動きにくいのか。気になる場面を言葉にしてから、通う時間や運動の種類を考えたい。オンザショア立川店では、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングに加え、溶岩プレートを敷いたスタジオでホットヨガを扱っている。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、運動を続ける場所を選ぶ際の材料になる。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件や内容は店の案内で確かめられる。研究の周期別の平均値と、自分が参加できるかの確認は分けて考えたい。
営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。料金と体験予約を確認し、通える時間と参加条件を照らし合わせて選ぶ。
参考文献
- Motor Control and Regularity of Menstrual Cycle in Ankle and Knee Injuries of Female Basketball Players: A Cohort Study — Vico-Moreno E, Sastre-Munar A, Fernández-Domínguez JC, Romero-Franco N., 2022, International journal of environmental research and public health. DOI: 10.3390/ijerph192114357
- Hormonal Variation in Premenopausal Female Athletes Is Associated With Risk Factors for Shoulder Instability: A Systematic Review — Siddiqui RN, Randall SE, Terle P, Lo JE, Peterson J, Saraf SM, Mulcahey MK., 2025, Arthroscopy, sports medicine, and rehabilitation. DOI: 10.1016/j.asmr.2025.101285
- Effects of Muscular Fatigue on Position Sense in Two Phases of the Menstrual Cycle — Roditi EE, Tsatalas T, Sakkas GK, Koutedakis Y, Giakas G, Karatzaferi C., 2024, Journal of functional morphology and kinesiology. DOI: 10.3390/jfmk9030115
- Effect of the menstrual cycle on knee joint position sense and dynamic balance — Contarli N, Ozmen T., 2024, Journal of bodywork and movement therapies. DOI: 10.1016/j.jbmt.2024.10.030
- Influence of Menstrual Cycle Phases on Neural Excitability in the Primary Somatosensory Cortex and Ankle Joint Position Sense — Ikarashi K, Iguchi K, Yamazaki Y, Yamashiro K, Baba Y, Sato D., 2020, Women’s health reports (New Rochelle, N.Y.). DOI: 10.1089/whr.2020.0061
- Sex Differences in Lower Limb Proprioception and Mechanical Function Among Healthy Adults — Hu X, Li J, Wang L., 2020, Motor control. DOI: 10.1123/mc.2020-0015
- Menstrual cycle and knee joint position sense in healthy female athletes — Fouladi R, Rajabi R, Naseri N, Pourkazemi F, Geranmayeh M., 2012, Knee surgery, sports traumatology, arthroscopy : official journal of the ESSKA. DOI: 10.1007/s00167-011-1811-7
- The effects of menstrual cycle on the knee joint position sense: preliminary study — Aydoğ ST, Hasçelik Z, Demirel HA, Tetik O, Aydoğ E, Doral MN., 2005, Knee surgery, sports traumatology, arthroscopy : official journal of the ESSKA. DOI: 10.1007/s00167-004-0604-7
- Neuromuscular performance and knee laxity do not change across the menstrual cycle in female athletes — Hertel J, Williams NI, Olmsted-Kramer LC, Leidy HJ, Putukian M., 2006, Knee surgery, sports traumatology, arthroscopy : official journal of the ESSKA. DOI: 10.1007/s00167-006-0047-4
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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