ダイエット停滞期の代謝でリバウンドは読める?体重を保った後まで追う研究

ダイエット中の停滞期に代謝が下がると、必ずリバウンドするのか。減量直後と体重を保った後を比べた追跡研究から、予測より低い安静時代謝と将来の体重を分けて読む。維持期間を挟む食事法の試験も取り上げ、測定値の受け止め方と、食事や運動の記録で確認したい点を整理する。

体重のグラフが横ばいになると、今の停滞より、その先の戻りが気になる。「代謝が下がったのだから、もう戻るしかない」。朝、体重計を片づけた後も、その言葉だけが食卓に残る。まだ起きていない再増加を心配して、いつもの朝食を前に手が止まる。

しかし、減量後の安静時代謝が予測より低かったことと、その人が将来どれだけ体重を戻すかは別の問いである。肥満のある成人を追った研究では、代謝適応は体重を保つ期間の後に小さくなり、追跡時の体重再増加とも関連しなかった。[7] この成人集団の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできないが、低い数値だけで将来の体重を決めつける根拠にもならない。

測定時期そのものは既存記事「ダイエット停滞期の代謝低下はいつ測った?減量中と維持期の数字を読み分ける」に譲る。また、体の組織ごとの変化は「ダイエット停滞期の代謝低下は筋肉だけ?減量前後の内臓の大きさを読む」の問いである。既存記事「ダイエットのリバウンドは脂肪から戻る?筋肉との回復の時間差を読み解く」が扱う組織の戻り方とも問いを分ける。ここでは、体重を保った後まで追うと、リバウンドへの見通しがどう変わるかを考える。

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予測より低い代謝と、戻る体重は別の指標である

この話の「代謝適応」とは、減量後に測った安静時代謝が、体の変化から予測した値とどれだけ違うかを指す。中心となる追跡研究では、実測値が予測値より有意に低い、または高いことを代謝適応として定義している。[7] 単に減量前より消費が少ないことと同じではない。

減量では、体の組織が減ったことに伴う消費量の変化も起こる。そのうえで、組織の変化では説明できない消費の低下を分けて考えるのが、この分野のレビューの整理である。[14][15] したがって、以前と同じ量を食べて体重が保たれるようになった場面だけでは、予測を超える適応の大きさまでは分からない。

安静時代謝は、安静にしているときのエネルギー消費である。研究では安静時の消費だけでなく、日常の活動も含む総消費や睡眠中の消費を別々に調べている。[11] 検査で得た安静時の値を、そのまま通勤、仕事帰りの歩行、食事まで含めた暮らし全体の数字と扱わないことが大切だ。

そして、将来の体重再増加は別に測る必要がある。代謝適応が見つかった時点では、その後の食事や活動、体重の経過はまだ決まっていない。実際に追跡して、適応が大きかった人ほど戻りやすかったかを確認して初めて、予測との関係を論じられる。[7] 「低下がある」という結果から「必ず戻る」へ進むと、この確認を飛ばしてしまう。

体重を減らす必要があるかどうかも、人によって異なる。以下で主に扱うのは肥満のある成人を対象にした減量研究であり、健康な体重の若い女性がさらに減らすための手引きではない。[7,18] 検査値への不安を、食事を削る理由へ直結させずに読みたい。

検査の説明で「低下」という言葉を聞いたときは、その後に続く名詞を確かめたい。安静時消費そのものが低下したのか、予測値との差が広がったのか、後の体重が増えたのか。これらを同じ欄に入れると、消費の測定から将来の再増加まで、説明が一気に飛ぶ。追跡研究が代謝適応と再増加を別々に検討した設計は、この区別を理解する助けになる。[7]

また、維持の成功を「代謝適応が見つからないこと」だけで定義するのも、研究が確かめた範囲を超える。測定で予測との差が小さくなった後の体重も、別の経過として追う必要がある。[7] 数値が改善したから生活の調整は不要だと考えるのでも、低いから努力が無意味だと考えるのでもなく、いま何を測った数字なのかに戻る。

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同じ人を追うと、適応の大きさは固定されていなかった

Martinsらの研究には、肥満のある成人71人が参加した。平均年齢は45.4歳、男性は33人である。食事による減量を8週間行い、その後に4週間の体重安定化期間、さらに9か月の維持プログラムを置いた。研究者は開始時、減量後、安定化後、1年時点で体重、体組成、安静時代謝を調べた。[7] 男女を含み平均年齢も異なるため、18〜39歳の女性の維持経過をそのまま表す結果ではない。

参加者は減量後までに平均14kg減った。ここでの数字は研究の経過であり、読者の目標ではない。代謝適応は減量直後に平均−92±110kcal/日、安定化後には−38±124kcal/日だった。両時点で統計的には有意だったが、安定化を挟むと大きさが縮んだ。[7] 低下が見つかったという共通点だけでは、この変化を取り落とす。

このマイナスは、体の変化から予測される安静時代謝より低い方向を表す。減量前からの安静時代謝の低下分すべてではない。また「±」は参加者間のばらつきを伴う表示であり、全員が同じだけ低下したことを意味しない。[7] 平均値を自分専用の消費量の補正値に使う読み方は避けたい。

安定化期間中に体重が増えた33人を取り出すと、その後の代謝適応は−26.8±121.5kcal/日で、有意ではなかった。[7] これは、体重を増やせば代謝の問題が解決するという指示ではない。安定化後という同じ名前の時点でも、そこでの体重の経過によって結果の見え方が違う、という分析である。

全時点のデータがそろう45人では、適応は減量直後と安定化後に認められたものの、1年時点には有意ではなかった。[7] 最初の測定値をずっと持ち歩くと、こうした経時変化が消える。測定票はその日の記録であり、体の未来の固定値ではない。

ただし、この結果から「全員の代謝が元通りになる」とまでは言えない。測っているのは予測値との差であり、減量前の体重へ戻った状態との比較ではない。[7] 予測を超える低下が小さくなることと、体が小さくなった後も以前と同じエネルギーを消費することは、区別しておく必要がある。[14][15]

体重が戻っても、最初の代謝適応では説明できなかった

同じ研究では、1年時点で当初減った体重の29%が戻っていた。一方、代謝適応の大きさと体重再増加には相関がなかった。[7] この29%は参加者の29%が戻ったという意味でも、体重全体が29%増えたという意味でもない。減った量のうち、どれだけ戻ったかを示す数字だ。

大切なのは、再増加が起きた事実と、代謝適応がそれを予測しなかった事実が両立することである。[7] 体重が戻った人を見て「やはり代謝のせいだった」と説明するだけでは、誰にどの程度戻るかを区別できない。原因を確かめるには、時間の順番に加え、両者の関係を検証する必要がある。

反対に、相関がないことは、体の反応が体重管理に一切関係しないという意味ではない。食事が不足する状態への反応を扱うレビューでは、消費の低下だけでなく、空腹を促す反応や食欲関連の変化も整理されている。[14] 安静時代謝の適応だけで、生活の中の食べ方や動き方を代表させることはできない。

仕事が長引いた日の夕食と、休日に落ち着いて食べた夕食では、本人が振り返りたい場面も異なる。こうした記録を検査値と並べるのは、意志の強さを判定するためではない。消費だけを見ていた説明から、食欲と生活を含む問いへ戻すためである。代謝と行動の反応は相互に関係し、個人差もあるというレビューの整理に沿った見方だ。[14]

この研究を読むときは、維持期という名前にも過剰な意味を持たせないほうがよい。研究では安定化後とさらに先の追跡を分けて測り、全時点のデータがそろった参加者についても分析している。[7] ある時期の結果が説明するのは、その分析対象者と測定時点の経過である。人数と時点を添えるのは、その違いを見失わないためだ。

暮らしの側からは「今の低い値が続くのか」と聞きたくなる。しかし、ここで観察されたのは、減量直後の値と後日の値が同じではなかったという経過である。[7] 将来の値を自分で決め打ちして夕食を減らすより、測定時の食事の状態、体重の経過、その後の変化を相談の材料にする。それが、この追跡結果から無理なく持ち帰れる見方である。

数字で読む、安定化後の追跡

71人:肥満のある成人を対象とした減量後の追跡研究。[7]

−92±110kcal/日:減量直後の、予測より低い安静時代謝の差。[7]

−38±124kcal/日:4週間の体重安定化後に測った同じ指標。[7]

29%:1年時点で戻った、当初の減量分の割合。適応の大きさとの相関はなかった。[7]

33研究・2528人:安定化期間の有無も検討した系統的レビューの対象。[11]

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宮川涼 Founder

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