
骨髄の密度が変わっても、骨密度の改善とは限らない
若い女性の運動研究には、体重計だけでは追えない変化が出ている。過体重または肥満のアフリカ系米国人女子大学生を対象にしたパイロット研究から、15人を分析した報告である。平均年齢は21.7歳で、中強度の有酸素運動を週4回、各30〜60分行う3か月の計画だった。[13]
この研究では、体格指数は有意に低下した一方、体重減少は統計学的に境界的だった。さらに、予想に反して全身の体脂肪量や体脂肪率、体幹の脂肪指標は増えていた。運動の話だから都合のよい項目だけを選ぶ、という読み方をすると、このねじれが消えてしまう。[13]
骨についても結果は一枚岩ではない。二重エネルギーX線吸収測定法、略してDXAで測った骨密度と骨塩量に有意な変化はなかった。一方、前腕の橈骨を末梢定量的CTで調べると、骨髄密度は増加した。骨の外側にある皮質骨の密度は変わらなかった。[13]
骨髄密度とMRIの脂肪分率は、名前も測り方も異なる指標だ。この報告の骨髄密度増加を、別の研究にある脂肪分率の何パーセント減に置き換えることはできない。また、骨髄密度が増えたのだから骨密度も増えたはずだ、と結果を補うのも誤りになる。[8][13]
この小規模研究から持ち帰れるのは、運動後の変化が全身の脂肪、骨髄、骨密度でそろうとは限らなかった、という点だ。著者らも今後の検証につなげる探索的な結果として位置づけている。若い女性の研究であっても、そのまま自分の数か月後の成績表にはしない。[13]
ここで比較したいのは、運動前後を追ったか、人同士を比べたかという違いでもある。若い女性の報告は運動期間中の変化を扱い、ランナーの報告は異なる運動歴の群を比較している。どちらも読む価値があるが、変化の時間軸が違う以上、数字をつなげて「この運動ならこの減少量」と計算することはできない。[4][13]
もう一つ、数字の大小と健康上の意味も区別したい。運動によって変わる指標を探す研究と、その変化によって骨折などの結果が変わるかを確かめる研究は、答えようとする問いが異なる。骨髄脂肪分率や骨髄密度の結果は、まずその測定指標の結果として受け止めるのが適切である。[4][8][13]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
脂肪の量と質、仕組みの仮説を混ぜない
骨髄の脂肪には「どれくらいあるか」とは別に、「どんな脂肪酸で構成されるか」という問いもある。15〜27歳の若い成人35人を調べたパイロット研究では、磁気共鳴分光法を用い、不飽和度という脂肪酸の性質を表す指標を測った。これは脂肪の量そのものとは別の評価である。男女を含み、18歳未満の参加者もいるため、18〜39歳の女性全体を代表する結果としては扱えない。[11]
この研究では、不飽和度は現在の肥満や幼少期の肥満の影響を受けず、身体活動や体脂肪組成とも関連しなかった。一方、年齢との間には正の関連があり、若い成人期に起こる骨髄の正常な成熟を反映する可能性が示された。「運動する人では骨髄脂肪のあらゆる指標が低い」という結論にはならない。[11]
腰の脂肪分率に関連が見られた研究と、この不飽和度の研究は、単純な賛成・反対の投票ではない。何を測ったかが違うからだ。量の研究が肯定的だから質の研究でも変化があるはず、と期待して読むと、関連がなかったという結果を見落としてしまう。[4][8][11]
では、運動と骨髄脂肪が結びつく仕組みはどう考えられているのか。間葉系幹細胞という、骨や脂肪などの組織へ分かれる能力をもつ細胞に注目した論考がある。骨をつくる側と脂肪をつくる側に共通の前駆細胞があり、物理的な刺激が細胞の分化先に影響しうる、という考え方である。細胞の分化を論じた仕組みの考察であり、18〜39歳の女性の運動効果を直接確かめた結果ではない。[16]
この仕組みの考察は、骨髄脂肪を単なる余分な燃料としてだけ見ない視点につながる。論文は物理的な刺激による細胞の分化先の調節を論じており、エネルギー消費だけで骨と脂肪の関係を説明していない。たくさん汗をかいたから骨の中の脂肪もたくさん使った、という一本道の説明にはならない。[16]
ただし、細胞に関する仕組みがもっともらしくても、日常の運動で何がどれだけ変わるかは、人を対象にした結果と分けて判断する必要がある。特定の運動をした人で腰の脂肪分率が低かったことは、その細胞の分化先が変わったと直接確認したことと同義ではない。仕組みの候補と測定結果を、別々の役割で読むのである。[4][16]
部位による違いを考えるうえでは、動物実験にも注意を促す結果がある。若い雄マウス40匹を食事と回し車運動の組合せで分け、21週間調べた研究では、骨の変化は部位や食事条件で異なった。走った群では、大腿骨頸部の最大曲げ荷重が低く、強さの評価は一様には改善しなかった。雄マウスの実験なので、18〜39歳の女性に同じ変化が起きるかは、この結果だけでは判断できない。[14]
これは人のジョギングが骨を弱くするという結論ではない。対象はマウスであり、食事と運動を組み合わせた実験である。骨髄脂肪が少なそうな運動を見つけたら、骨の強さも自動的によくなると結びつける、その飛躍に立ち止まる材料として読むべき結果だ。[4][14]

よくある誤解
「運動で骨髄脂肪が低いなら、皮下脂肪も同じように低い」は正しくない。地域住民の観察研究では、骨髄脂肪は内臓脂肪と関連したが、皮下脂肪とは関連しなかった。また若い女性の運動研究では、骨髄密度の増加と全身の脂肪指標の増加が同時に見られた。体の脂肪を一つの袋として扱わないことが大切だ。[3][13]
「走れば走るほど、誰でも同じ量だけ減る」も、群の比較を個人の予測へ広げている。長距離ランナーでは腰の脂肪分率が低かったが、習慣的なジョガーでは腰の平均値に有意差がなく、特定の胸椎では差があった。運動量の違いだけでなく、測定場所と対象の違いまで含めた結果である。[4]
「骨の中の脂肪は、ゼロに近づけるほどよい」という目標も、この研究群からは導けない。不飽和度には年齢に伴う成熟との関連を示す報告があり、脂肪分率も部位によって異なる。研究が扱う指標を、日々の達成ノルマに変える必要はない。自分の見た目を評価する新しい物差しにもしない。[8][11]
とくに、若いランナーと中年期の地域住民の結果を合わせて、自分にとっての理想値を決めるのは避けたい。研究ごとの対象と測定部位を添えて読むことは、効果を小さく見せるためではない。どこまで確かめられた話なのかを保ち、自分へ当てはめる際の誤差を勝手に消さないためである。[4][8]
今日からできること
- 運動記事の数字を見たら、まず「骨髄脂肪分率」「骨髄密度」「骨密度」のどれかを確認する。若い女性15人の研究では、骨髄密度に変化があってもDXAの骨密度に有意な変化はなかった。[13]
- 研究メモには運動名と一緒に、測った場所を書く。385人の調査では、運動との逆の関連は椎骨で見られ、股関節では見られなかった。[8]
- 予定表を作る際は、週2時間超という研究上の区分を、骨髄脂肪を減らす最低ノルマにしない。まずは生活に組み込める活動を考え、観察研究の群分けを個人の効果保証へ変えない。[8]
- ランナーの5.6パーセントポイントという差を見たら、自分の運動後の予想減少量にはしない。運動歴の異なる人同士の差であり、同じ人の前後差ではない。[4]
- 骨の検査結果について相談する場面では、数値だけでなく、検査方法と部位を医師に確かめる。MRIで調べた腰の脂肪分率と、前腕のCTによる骨髄密度を同じ数値として扱わない。[8][13]

オンザショア立川店で、通える時間から運動を選ぶ
骨の中の数字を目標にする前に、生活のどこへ運動の時間を置けるかを考えたい。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分の溶岩ホットヨガスタジオである。営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休だ。朝に動く予定にも、仕事や用事の帰りに立ち寄る予定にも、時間を照らして検討できる。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがあり、ヨガだけでも25種類以上のレッスンがある。通い続ける場所を考えるなら、種目と通える時間を一緒に見ておきたい。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加できる種目を確かめたうえで、ヨガの体験レッスンを検討できる。税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。店舗情報と料金、体験の予約を、通う予定を具体化する入口にできる。
参考文献
[3] Vertebral Bone Marrow Fat Is independently Associated to VAT but Not to SAT: KORA FF4-Whole-Body MR Imaging in a Population-Based Cohort — Hasic D, Lorbeer R, Bertheau RC, ほか, 2020, Nutrients. DOI: 10.3390/nu12051527
[4] Specific Modulation of Vertebral Marrow Adipose Tissue by Physical Activity — Belavy DL, Quittner MJ, Ridgers ND, ほか, 2018, Journal of bone and mineral research. DOI: 10.1002/jbmr.3357
[8] Bone marrow fat fraction assessment in regard to physical activity: KORA FF4-3-T MR imaging in a population-based cohort — Bertheau RC, Lorbeer R, Nattenmüller J, ほか, 2020, European radiology. DOI: 10.1007/s00330-019-06612-y
[11] Bone marrow fat unsaturation in young adults is not affected by present or childhood obesity, but increases with age: A pilot study — Huovinen V, Viljakainen H, Hakkarainen A, ほか, 2015, Metabolism: clinical and experimental. DOI: 10.1016/j.metabol.2015.08.014
[12] Ectopic and serum lipid levels are positively associated with bone marrow fat in obesity — Bredella MA, Gill CM, Gerweck AV, ほか, 2013, Radiology. DOI: 10.1148/radiol.13130375
[13] The effect of a 3-month moderate-intensity physical activity program on body composition in overweight and obese African American college females — Joseph RP, Casazza K, Durant NH, 2014, Osteoporosis international. DOI: 10.1007/s00198-014-2825-z
[14] Effects of diet-induced obesity and voluntary wheel running on bone properties in young male C57BL/6J mice — Ma H, Torvinen S, Silvennoinen M, ほか, 2010, Calcified tissue international. DOI: 10.1007/s00223-010-9346-3
[16] Mechanical Signals As a Non-Invasive Means to Influence Mesenchymal Stem Cell Fate, Promoting Bone and Suppressing the Fat Phenotype — Luu YK, Pessin JE, Judex S, Rubin J, Rubin CT, 2009, BoneKEy osteovision. DOI: 10.1138/20090371
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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