
距離が短いことと、お尻の負荷が小さいことは別である
全国大会でスモウと通常のデッドリフトを各12人ずつ比較した研究では、通常の構えの方が重りの垂直移動距離、力学的仕事、予測したエネルギー消費が約25〜40%大きかった。力学的仕事は、重りを動かす力と移動に関わる量である。この結果を、日常の運動で消費する熱量や体脂肪の変化の差へ読み替えない。競技者の高重量での比較から、18〜39歳の女性の練習でも同じ割合になるとは判断できない。[15]
同研究では足首と膝のモーメントに有意な差があった一方、股関節のモーメントには有意な差がなかった。重りの移動距離の差と、股関節まわりのモーメントの差は一致していなかった。「楽に見える」と「どこに力が必要か」は、分けて眺めたい情報である。[15]
一方、経験のある男性30人が最大挙上重量の85%で両スタイルを行った実験では、通常のデッドリフトで股関節を伸ばすモーメントが大きかった。スモウでは股関節と膝の、横方向や回旋方向のモーメントが大きかった。こちらは同じ参加者が両方を行う比較であり、大会で別々の選手を比べた研究とは条件が違う。男性経験者の結果なので、18〜39歳の女性にも同じ負荷の分担が生じるかは、この実験だけでは確定しない。[5]
古い研究と新しい研究を並べても、「股関節の負荷はどちらでも完全に同じ」「必ず通常の方が大きい」と一文では決められない。大会での群間比較では有意差がなく、経験者が両方を行った実験では違いが出た。その食い違いを残したまま、広い構えでは横方向や回旋方向にも目を向ける、と理解するのが妥当である。[5][15]
さらに、どちらもワイドスクワットとの直接対決ではない。通常のデッドリフトと比べた結果を、ワイドスクワットに対する優位性として使わない。比較相手の名前を省くと、正しい研究結果から別の結論ができてしまう。数値を読むときは「何より大きいのか」を戻しておく。[5][15]
練習のノートでも、重さと回数の横に、床から始めたか、どこまで戻したかを添えると比較対象が明確になる。前の運動と違うやり方で軽く感じたなら、その感覚を打ち消す必要はない。ただし「同じ重さで楽だった」を、そのまま狙う筋肉の負荷が足りないという採点にはしない。距離、姿勢、局面を含めて考える材料が増えたと捉える。[5][15]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
内ももを一つの筋肉として選ばない
内ももを使いたいからワイドスクワット、さらに強く使いたいからワイドデッドリフト。こうした順番は分かりやすいが、内ももの筋肉をひとまとめにしている。けがのない15人を対象とした研究では、スクワット、通常のデッドリフト、スモウデッドリフトなどの運動から、個々の内転筋に生じる力を推定している。18〜39歳の女性の種目選択に使う際も、モデルによる筋力の推定と、自分の練習で得られる変化を分けて考える必要がある。[4]
用いたのは動作、床から受ける力、表面筋電図を入力する筋骨格モデルである。内転筋を直接引っ張って測った数値ではなく、動作と筋活動を組み合わせた計算上の推定だ。そのうえで、筋肉ごとに最大の力を基準として運動を上位、中位、下位の群に分類している。運動全体に単独の順位をつけたものではない。[4]
大内転筋のうち股関節の伸展に関わる部位では、通常のデッドリフトとスモウデッドリフトに加え、スクワットも上位群に入った。一方、薄筋はデッドリフト系で上位群、スクワットでは中位群だった。内ももという同じ場所の呼び名でも、筋肉や部位を変えると分類が変わる。[4]
研究のスクワットは、ここで探している家庭のワイドスクワットそのものと同義には扱わない。それでも「スクワットでは内ももを使わない」「デッドリフトなら内転筋のすべてで最上位」といった読み方を避ける材料にはなる。股関節を伸ばす動作でも、大内転筋の特定の部位に大きな力が生じていた点が大切である。[4]
また、この研究は筋肉の力を推定した比較であり、内ももの見た目の変化を追った試験ではない。ある部位が上位群だったことから、そこにある脂肪が減るとはいえない。運動を選ぶ問いは、体の一部分を小さくする順位探しではなく、どの動作を練習し、どの筋肉の働きを考えたいかへ戻せる。[4]
仕事帰りに鏡を見て、昨日より内ももに感覚がないと気になる日もあるだろう。感覚の有無を研究の順位表と一致させる必要はない。今回の比較で筋肉の力を推定するためには、姿勢だけでなく床からの力や筋活動も使われている。自分の一言の感想で全部を置き換えず、何を変えた日の感覚なのかを記録する程度から始めたい。[4]

よくある誤解
「スモウは上体が起きるから腰に負担がない」という理解は行き過ぎである。全国大会の女性13人と男性44人を分析した研究では、通常の構えと比べてスモウで腰椎の関節モーメントが10%、せん断力が8%低かった。せん断力はずらす方向の力である。これは非常に重い重量を扱う競技者のモデル推定であり、腰の負荷が消えた結果でも、初心者のけがの発生率を比較した結果でもない。男女の競技者の結果であり、18〜39歳の女性の初心者にも同じ低下率が当てはまるかは、この比較では判断できない。[14]
この研究は選手によって関節の負荷の分担に大きなばらつきがあることも示している。平均の低下率だけを切り出して「腰が痛いならこの種目」と決めない。痛みがある場合の運動の可否や変更は医師に相談する対象である。競技の力学を理解する情報と、個別の健康状態に対する判断を混ぜないことが必要だ。[14]
「膝が曲がるから、ワイドデッドリフトはスクワットの失敗形」という見方も違う。スモウでは膝を伸ばすモーメントが生じ、太もも前面の筋活動も通常のデッドリフトより大きかった。膝が働くこと自体は、その研究で観察された動作の特徴である。膝を使うか否かだけで種目名の正誤を決める根拠にはならない。[12][15]
「研究の足幅をまねれば正解」という思い込みにも注意したい。競技者のスモウの足幅は平均70センチ、通常の構えは32センチだったが、これは比較された選手の特徴である。別の40人の競技者を撮影した研究でも、スモウは通常の構えより重りの垂直移動距離が短かった。構えによる違いが複数の場で見られても、自分の足幅まで同じ値にする理由にはならない。40人の対象も競技者であり、18〜39歳の女性の練習に適した足幅を示す比較としては使えない。[13][15]
画面の選手と同じ形に近づける前に、自分がどこから重りを持ち、どこで動作を終えるかを説明する。フォームの相談では、種目名だけを伝えるより実際の動きを見てもらう方が話を具体化できる。今回の数字は選択の背景を知るための情報として持ち、身体の寸法を合わせる定規にはしない。[1][13][15]
今日からできること
- メニューに開始位置を添える。研究で用いた床を離れる瞬間、膝の通過、立ち終わりの区切りを参考に、まずどの動作を練習しているか整理する。[15]
- スモウで膝が曲がることだけを失敗と決めない。13人の筋活動比較では太もも前面も働いていた。動作を相談するときは、膝だけでなく重りの位置も伝える。[12]
- 内ももの目的を言葉にする。15人の推定では大内転筋と薄筋で運動の分類が異なった。「内もも全部に最強」という説明では選ばない。[4]
- 研究の重さを練習の目標にしない。最大挙上重量の85%で行った実験は経験者が対象だった。初心者の開始重量を決める数字とは分けて読む。[5]
- 比較する日は構えと出発点を記録する。距離の短さと関節負荷は同じ意味ではないため、重さやきつさだけで前の種目との優劣をつけない。[5][15]

オンザショア立川店で、動作を確かめる時間を予定にする
床から持つのか、立った姿勢からしゃがむのか。練習する動作を整理したら、それを確かめる時間も予定に入れたい。オンザショア立川店にはパーソナルトレーニングがある。営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休。通勤や通学の予定に照らし、続けるための時間を考える場所として検討できる。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分だ。店の情報は公式サイト、料金は料金ページで確認できる。運動の予定を組む際は、場所と費用も合わせて確かめたい。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温ヨガやピラティスもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験予約から予定を選べる。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。種目の名前を覚えるだけで終えず、参加条件と生活の予定を確かめながら、運動を続ける時間を置いていく。
参考文献
[1] A three-dimensional biomechanical analysis of the squat during varying stance widths — Escamilla RF, Fleisig GS, Lowry TM, Barrentine SW, Andrews JR., 2001, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1097/00005768-200106000-00019
[4] Hip Adductor Muscle Forces during Strength Training and Rehabilitation Exercises — Collings TJ, Horsman A, Hams AH, McGill A, Watts D, Hambly MJ, Barrett RS, Diamo, 2026, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/mss.0000000000004002
[5] Biomechanical analysis of conventional and sumo deadlift — Hanen NC, Ben Mansour K, Ertel GN, Duchene Y, Gauchard GC., 2025, Frontiers in bioengineering and biotechnology. DOI: 10.3389/fbioe.2025.1597209
[12] An electromyographic analysis of sumo and conventional style deadlifts — Escamilla RF, Francisco AC, Kayes AV, Speer KP, Moorman CT., 2002, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1097/00005768-200204000-00019
[13] Biomechanical analysis of the deadlift during the 1999 Special Olympics World Games — Escamilla RF, Lowry TM, Osbahr DC, Speer KP., 2001, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1097/00005768-200108000-00016
[14] Lumbar spine loads during the lifting of extremely heavy weights — Cholewicki J, McGill SM, Norman RW., 1991, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/00005768-199110000-00012
[15] A three-dimensional biomechanical analysis of sumo and conventional style deadlifts — Escamilla RF, Francisco AC, Fleisig GS, Barrentine SW, Welch CM, Kayes AV, Speer, 2000, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1097/00005768-200007000-00013
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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