
大きな追試で再現されなかった結果を、どう受け止めるか
2026年の研究は、健康な若い成人372人を対象に、先の結果を直接確かめ、検討を広げた。参加者は分類と具体例を使う標準的な記憶課題を行い、選択的な検索練習の後に最終テストを繰り返した。18〜39歳の女性の日常学習へ応用する際にも、健康な若い成人の実験課題と生活で使う英語との違いを考える必要がある。テストの間は、運動、立ったままの対照、両者の組み合わせなど、運動の有無、長さ、順序を変える条件へ無作為に割り付けられた。[1]
運動はトレッドミルで行い、強度は心拍予備能の80%だった。心拍予備能は運動強度を示すための指標であり、この実験は高強度の条件である。対照条件では、動いていないトレッドミルの上に立っていた。通勤途中の散歩を想像してこの研究を読むと、運動の条件も、比較相手の過ごし方も取り違えやすい。[1]
結果は、先のテスト間運動の実験と食い違った。選択的な検索に伴う忘却は確認されたが、運動がその忘却を保つという結果は再現されなかった。むしろ、どの群でも後のテストでは忘却の大きさが小さくなった。主に、以前は出にくかった項目を、後でより多く思い出せたことによる変化だった。[1]
つまり、「一部を思い出すと、関連する別の情報が出にくくなる」という基本現象と、「運動を挟むと、その状態が保たれる」という追加の仮説は別である。前者が再び確認されたからといって、後者も裏付けられたことにはならない。追試で否定されたのは、今回の実験条件で運動が忘却を安定させるという予測である。[1]
人数の大きい追試と、それ以前の実験は併せて読む。先の実験は、どの順序なら違いが出るかという問いを作った。一方、より大きく条件を管理した追試でも同じ結果が続くかは、別に確かめる必要があった。現在は、肯定的な実験と、再現を支持しなかった実験を併せて読む段階である。[1][2]
この食い違いは、運動の後に単語が出なかった経験を解釈するときにも効いてくる。個人のその日の結果を、運動が記憶を抑えた証拠にするのは早い。実験でさえ結果がそろっていない以上、日常の感想から原因をひとつに決めることはできない。出なかった言葉を確認する行為と、出なかった理由を断定する行為は分けておこう。[1][2]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
普段よく動く人の違いと、今日の運動の効果も分ける
2018年の研究では、普段から身体活動を行う若い人と、座りがちな若い人を比較した。若い参加者の群比較であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、活動習慣や学習課題の違いを考える必要がある。使用したのは、検索練習の合間に、情報を更新する別の課題を入れる方法である。思い出す作業だけに集中できる場面とは違い、注意の資源に負担をかけた状態で検索誘導性忘却が起こるかを調べていた。[3]
活動的な参加者は、その負担があっても検索誘導性忘却を示した一方、座りがちな参加者では示されなかった。研究者はこの結果を、運動習慣と、注意や記憶を調整する実行制御との関係から論じている。実行制御とは、課題に合わせて注意や情報の扱いを調整する働きを指す。[3]
ただし、これは普段の活動性が異なる群の比較である。今から運動を始めれば同じ違いが生まれると確かめた無作為割付の試験とは違う。活動的な人に見られた特徴と、運動そのものが作った変化を、同じ意味で扱ってはいけない。この結果を理由に、勉強の合間の運動を強くする必要もない。[3]
学習との両立を考えるなら、「運動中に思い出す」と「別の課題が交互に入る」も区別したい。この研究で注意の負担を作ったのは情報更新課題であり、歩きながら英語を口にする条件ではない。日常の同時作業を考える手掛かりにはなるが、そのまま同時暗記の優劣の判定には使えない。[3]
薬学生の調査では、検索練習だけでなく生活習慣も一緒に変わったと報告されていた。学び方を整える取り組みと、運動を含む暮らし方を整える取り組みは、同じ授業の中に置ける。しかし、複数のことが同時に変わった調査から、運動だけが成績を上げたという割合を取り出すことはできない。[4]
ここまでの研究では、単語の正答が何割増えたという共通の効果量で運動の利益を示すことはできない。実験は忘却の有無やテスト間の変化を扱い、群比較は活動性による違いを扱い、調査は学び方の使用や認識を扱う。同じ「記憶」という言葉で包んでも、調べたものは異なる。自分の学習に持ち帰るときは、その違いを残したい。[1][2][3][4]

よくある誤解
「思い出す練習なら、関係する単語も全部出やすくなる」という理解は正確ではない。検索練習では取り出した項目の保持が促される一方、関連する未練習項目の想起が低下する現象がある。練習で答えたカードだけを数えると、周辺で何が起きたかが見えない。単語帳の得意なページだけで今日の仕上がりを決めない、という視点につながる。[1][2]
ただし、これを「思い出す練習は危険だからやめる」と読むのも飛躍である。検索誘導性忘却の実験は、選択して取り出す過程の働きを検討している。学習方法全体の価値を、関連項目が出にくくなったという指標だけで判定する設計ではない。取り出せた情報と、取り出せなかった情報の両方を確かめることに意味がある。[1][2]
「高強度で運動したほうが、暗記にも強い刺激になる」とも決められない。学習前に行う実験では、中強度でも高強度でも検索誘導性忘却への影響はなく、追試の高強度運動も忘却を保たなかった。研究で使われた負荷を、学習効果を最大にする処方として持ち帰る理由はない。[1][2]
「運動が役立ったと感じた人がいるなら、英単語の得点も上がるはずだ」という読み方にも注意したい。薬学生の調査が示すのは、授業に伴う方法の使用や認識の変化である。学生の前向きな感想には意味があるが、外国語を使う能力の検査や、運動単独の比較結果の代わりにはならない。感想の欄を、そのまま成績表にはできない。[4]
今日からできること
- 教材に触れた時間と、答えを隠して思い出せた項目を分けて記録する。薬学生59人の調査も、学習方法の使い方と、役立ったという認識を扱っている。自分の記録でも、実施したことと結果を混ぜないための工夫である。[4]
- 学習前、学習中、確認の後のどこに運動を置いたかを書き添える。学習前に20分の運動を行った実験と、テスト間に運動を置いた実験は条件が違う。時間の数字を、そのまま自分の目標にする必要はない。[2]
- 思い出す確認には、練習した言葉だけでなく、関連する未練習の言葉も含める。372人の追試でも、選択的に思い出すことに伴う忘却は確認された。これは学習法の改善効果を保証する手順ではなく、自分の確認から抜ける項目を減らすための着眼点である。[1]
- 暗記が進まなかった日も、すぐに運動を強くしない。180人の学習前運動の実験では、運動の強さによって忘却の結果は変わらなかった。出なかった項目と、運動をした条件を別々に残し、原因の判断を急がない。[2]
- 学べたという感触と、教材を閉じて答えた結果を見比べる。59人の調査で報告された学習上の実感は、実際の学習成果の検証とは区別されている。同時に行うことへこだわるより、何を確認したいかが分かる形で学習と運動の予定を置く。[4]

オンザショア立川店で、学ぶ予定と動く予定を組む
暗記と運動を暮らしの中に置くなら、体を動かす場所への通いやすさも選ぶ軸になる。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分の溶岩ホットヨガスタジオである。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。営業時間は8:00〜23:30で、全曜日共通、年中無休である。
溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティスもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングも扱う。学習の時間と併せて、継続して体を動かす予定を考える場所として検討できる。
参加するクラスは体の状態に合わせて選ぶ。妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。学ぶ予定と重ならない時間を探す際は、店のトップ、料金、体験の予約から確認できる。
参考文献
[1] Temporal effects of exercise on retrieval-induced forgetting — Loprinzi PD, Shopeju DO, Storm BC., 2026, Psychological research. DOI: 10.1007/s00426-026-02355-w
[2] Acute exercise on memory: application of the retrieval-induced forgetting paradigm — Loprinzi PD, Storm BC., 2023, Psychological research. DOI: 10.1007/s00426-022-01758-9
[3] Improving Memory Inhibition: A Study of Retrieval Induced Forgetting, Executive Control, and Chronic Aerobic Exercise — Padilla C, Andres P, Bajo T., 2018, Frontiers in behavioral neuroscience. DOI: 10.3389/fnbeh.2018.00318
[4] Pharmacy Students’ Perception of an Elective Course on Evidence-based Learning Strategies — Peña I, Knecht K, Gavaza P., 2021, American journal of pharmaceutical education. DOI: 10.5688/ajpe8232
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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