ダイエットのお茶をカフェインなしで選ぶ前に、減量試験の対象と平均差を確かめる

ダイエット用のお茶をカフェインなしに替えても、同じ効果を期待できるのか。カフェインを除いた緑茶の試験と、カテキンとの組み合わせを調べた研究を比較する。代謝や歩行中の脂肪利用の変化と、実際の体重減少を分け、平均差の大きさや対象者の違いから日々の一杯の選び方を考える。

仕事帰りにお茶を選び、「カテキンは欲しいが、カフェインは控えたい」と表示を見比べる。ダイエットへの期待まで同じように残るのか。答えは、カフェインを除いた緑茶にも人での研究はあるが、カフェイン入りと同じ減量効果は確認されていない、である。カフェイン除去緑茶を使った乳がん治療後の女性の小規模試験では、対照群と比べた体重変化に統計的な有意差はなかった。18〜39歳の健康な女性に、そのまま当てはめる根拠にはならない。[19]

ただし、そこから「カフェインを足せば痩せる」と進むのも早い。過体重・肥満の成人を対象とする系統的レビューでは緑茶製剤の減量効果は小さく、有意でないと評価された。一方、より新しい飲料の比較では小さな体重減少が示されており、研究全体の読み方にも幅がある。[14][2]

既存記事「脂肪燃焼のお茶は二煎目も同じ成分?カテキンとカフェインの出方を研究で読む」には抽出の話を譲る。ここで確かめるのは、カフェインを除いたお茶と、カテキン・カフェインを組み合わせた介入を、同じ効き目として扱えるかという問いだ。

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カテキンの研究と、カフェインなしの研究を分ける

緑茶のエネルギー消費を扱ったレビューは、関係する主な成分としてカフェインとカテキンを挙げ、それぞれの作用を検討している。カテキンという文字だけを見て研究結果を探すと、実際にはカフェインと一緒に使った試験も含まれる。成分名の見出しと、参加者が飲んだものの中身は、照らし合わせる必要がある。[8]

たとえば、カテキンとカフェインの混合物を扱うレビューは、エネルギー消費の維持や脂肪の利用、減量後の体重管理に肯定的な評価をしている。ただし評価の対象は組み合わせであり、普段のカフェイン摂取や食事のたんぱく質などが結果を左右する要因として挙げられている。成分の組み合わせに加え、食事や飲料の習慣も評価に含めたレビューなのだ。[5]

比較したいことも整理したい。カフェインを除いた緑茶が対照のお茶に勝るか、カフェイン入り緑茶が水に勝るか、カフェインの有無だけで効果が変わるか。この問いは別々である。前の比較で差が出ても、最後の比較の答えにはならない。緑茶飲料をまとめた分析とカフェイン除去緑茶の試験を並べるときも、直接の対決として読まないことが肝心だ。[2][19]

また、緑茶と、緑茶以外のお茶をすべて同じ枠に入れない。成人の飲料を比較したネットワークメタ分析は緑茶についてのデータが中心で、ほかのお茶についてはデータが限られるとしている。「カフェインなしのお茶」という売り場の分類だけで、緑茶の試験結果を別の飲み物へ移すことはできない。[2]

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カフェインを除いた緑茶では何が起きたか

直接参考になるのは、過体重の乳がん治療後の女性を対象とした無作為化試験だ。無作為化とは、比較する群への振り分けを偶然に任せる方法である。参加者54人をカフェイン除去緑茶または対照のお茶に分け、毎日960 mLを6か月飲む条件で、体重や体組成、代謝の指標を調べた。[19]

この乳がん治療後の過体重の女性の試験では、体重変化は緑茶群で−1.2 kg、対照群で+0.2 kgだった。数値だけなら緑茶群が有利に見えるが、この差は統計的に有意ではなかった。対象が治療後の患者集団であるため、18〜39歳の健康な女性に同じ体重変化が起きると当てはめることはできない。一般の健康な成人のカフェイン除去緑茶による減量効果を、この試験だけで裏づける根拠は不足している。[19]

ここを「効果なし」と一語で片づけるのも粗い。緑茶摂取は血中脂質の指標であるHDLの上昇と関連し、摂取エネルギーの減少との関連も報告された。一方で、HDLとLDLの比や、糖代謝に関わる指標の改善は有意ではなかった。体重、血中脂質、糖代謝では、結果の確かさが異なる。[19]

さらに、試験を完了した人は39人である。設定された摂取量と、完了者が実際に飲んだ量を区別して報告している点も、日常に引き寄せる際の手掛かりになる。これはカフェイン除去緑茶を一定期間取り入れた試験であり、気が向いた日に飲む一杯や、どんな成人にも当てはまる結果ではない。[19]

とくに治療後の女性という対象を忘れたくない。健康な若い女性が帰宅後に飲む場合と、背景が同じではないからだ。この研究は「カフェインを除いても体の指標を調べる価値はある」という材料になるが、減量のために飲む量を増やす処方箋にはならない。研究の摂取量は、研究を説明する数字として読む。[19]

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緑茶全体の平均差も、大きな約束にはならない

成人のお茶とコーヒーを比べた系統的レビュー・ネットワークメタ分析には、22件の無作為化比較試験、計1710人が含まれた。介入期間は平均10週間である。緑茶の体重への平均差は、対照の偽飲料に比べて−1.23 kg、水に比べて−1.61 kgだった。ただし根拠の確実性はそれぞれ低い、非常に低いと評価されている。[2]

偽飲料との比較の95%信用区間は−2.45〜−0.02 kgだった。信用区間は、分析に用いたモデルのもとで効果の大きさがどの範囲にあると考えられるかを示すものだ。平均の数字だけでなく、ほとんど差がない側まで範囲が及ぶことも一緒に読む。個人の将来の体重を、そのまま予告する区間ではない。[2]

一方、過体重・肥満の成人の緑茶製剤を調べたコクランの系統的レビューでは、日本以外で行われた6試験、532人をまとめた体重の平均差は−0.04 kgだった。95%信頼区間は−0.5〜0.4 kgで、有意差はない。著者らは減量効果を小さく、臨床的な重要性も乏しいと評価し、減量後の体重維持にも有意な効果を認めなかった。[14]

日本の研究は、結果を一つにまとめるには違いが大きかった。体重に関する8試験、1030人の平均差は試験ごとに−0.2〜−3.5 kgである。最も大きな減少だけを抜き出すと、全体像を取り逃がす。研究場所で分けて解析した理由そのものが、結果の不ぞろいさを表している。[14]

新旧の分析は採用した試験や比較対象が異なる。飲料に着目した比較と、一定期間以上の緑茶製剤の試験を集めた比較を、同じ条件の再試験とは扱えない。ここから言えるのは、緑茶に小さな減量効果がある可能性は残るが、大きく安定した効果として期待する材料は弱いということだ。どちらの分析も、カフェインなしが同等だと証明したものではない。[2][14]

代謝が上がる実験と、体重が減る試験は違う

成分の組み合わせを理解するうえで、熱をつくる働きの研究は興味深い。健康な男性15人を対象とした無作為化クロスオーバー試験では、カテキン615 mgとカフェイン77 mgを含む飲料を使った。クロスオーバーとは、同じ人が条件を替えて比較に参加する設計である。褐色脂肪組織の活動とエネルギー消費の関係が調べられた。男性を対象にした実験なので、18〜39歳の女性にも同じ反応があるかは別に検証する必要がある。[15]

褐色脂肪組織は、震えによらず熱をつくることに特化した組織である。活動が認められた9人では、飲料の摂取後にエネルギー消費が増えた。活動が低い男性10人の継続試験では、飲料を毎日2回、5週間摂ると、寒さに反応して熱をつくる能力が高まった。ここで扱ったのはカフェインとの組み合わせだ。男性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[15]

大切なのは、継続試験の評価が19℃の環境で2時間寒さにさらした際の反応だったことである。立川駅から家まで歩き、その後暖かい部屋で過ごす一日と、同じ条件ではない。「代謝が増えた」という説明を見ても、どの場面の何を測ったかまで確かめたい。男性の寒冷条件での反応を、日常の女性の体重減少に直結させることはできない。[15]

熱産生の研究を読むときは、寒さへの反応を調べる実験と、体重管理を調べる介入の役割を分けるとよい。前者は、組み合わせた成分が体内でどう働くかを探る材料になる。後者は、その働きが暮らしの中の体重差として現れるかを確かめる材料だ。仕組みを支持する結果と、体重の試験で差が小さいという結果は両立する。[15][14]

体の反応を測る実験が精密であるほど、日常の条件まで同じだと思い込みやすい。しかし、褐色脂肪組織の活動を調べた参加者と、自分の背景は別に考える必要がある。活動のある人の反応を示した結果を、誰もが同じように反応するという説明に広げない。これは成分を否定する読み方ではなく、効果の届く範囲を確かめる読み方である。[15]

数字で読むお茶とカフェインの研究

22試験・1710人:成人のお茶とコーヒーを比較した分析の規模である。[2]

−1.23 kg:緑茶と偽飲料の体重の平均差。根拠の確実性は低い。[2]

−0.04 kg:別のレビューで日本以外の試験をまとめた体重の平均差。有意差はなかった。[14]

54人・6か月:カフェイン除去緑茶を調べた、乳がん治療後の女性の試験である。[19]

615 mg・77 mg:男性の熱産生試験で組み合わせたカテキンとカフェインの量である。[15]

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宮川涼 Founder

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