
泳ぎが速くなった試験は、何と比べた結果なのか
持久力への応用を考えるなら、臓器や血液だけでなく運動の成績が必要になる。2020年のランダム化比較試験では、地域から全国水準の競泳選手9人、男性6人と女性3人が、400m自由形の記録を条件を変えて測定した。準備運動も息止めも行わない条件、準備運動のみ、息止めのみ、両方の併用を、無作為な順序で比較している。競泳を専門とする男女の結果であり、18〜39歳の一般女性の運動にそのまま適用するには、競技歴と種目の違いがある。[3]
併用条件の記録は275.79±12.88秒で、何もしない条件の278.66±13.31秒と、息止めのみの278.64±4.10秒より有意に速かった。ここだけを切り出すと「競泳前に息を止めると速くなる」と読める。しかし、普段の準備運動に何を足すかを判断したい人には、別の比較が重要になる。[3]
準備運動だけの記録は276.01±13.52秒で、ほかの条件との有意差は認められなかった。したがって、併用が何もしない場合より速かった結果はあっても、息止めを加えることで準備運動だけを上回ったとは言えない。比較相手を省くと、研究の中で確かめられた範囲より結論が大きくなる。[3]
脾臓容積は併用条件で最大約45%、準備運動だけでも約20%減少した。収縮の大きさには違いが見られても、泳ぎの成績には準備運動だけとの差が認められなかった。仕組みの変化と競技成績を、同じ実験の中で照らし合わせる必要がある。[3]
好ましい結果が別の種目にないわけでもない。2023年のエリート男性ラグビー選手17人の研究では、通常の準備運動と比べ、動きを伴う息止めの準備運動後に最高酸素摂取量が3.14L/分から3.38L/分へ、7.64%増えたと報告された。最高酸素摂取量は、その試験で到達した酸素摂取の大きさを表す値である。18〜39歳の女性に同じ変化が生じるかは、男性のエリート選手だけを対象としたこの研究では確かめられない。[5]
この結果は、一度の準備運動後に有酸素能力の測定値が改善した例として扱える。ただし、対象はエリート男性選手であり、一般の人が練習を続けた後の血液増加を示す試験ではない。競泳のタイムとラグビー選手の酸素摂取量は、種目も評価項目も違う。両方を残しつつ、同じ結論に無理にそろえないことが大切だ。[3][5]
2025年のレビューも、息止めに伴う脾臓収縮が酸素摂取の立ち上がりには役立ちそうだとする一方、準備運動への導入が直ちに有酸素運動の成績向上へ移るとはしていない。低い肺気量での低換気練習や短い息止めを伴う反復スプリントには別の可能性を認めているが、それを静かな息止め一般の効果へ広げてはいない。[1]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
競技者の血液を見ても、練習の因果は決まらない
長く取り組む競技ダイバーならどうか。2007年の研究は、訓練した息止めダイバー10人と、長期の息止め訓練をしていない潜水者7人で脾臓反応を調べ、さらに持久系競技者9人と未訓練者10人を含めてヘモグロビン総量を比較した。訓練したダイバーでは反復潜水後の脾臓容積が25%減ったが、総量の増加は見られなかった。競技ダイバーと持久系競技者を含む群間比較であり、18〜39歳の女性が練習を始めた場合の予測には使えない。[11]
総量は訓練したダイバー、比較対象の潜水者、未訓練の非潜水者の間で違わず、持久系競技者より30%低かった。この研究は、息止めへの熟練と持久系競技者の血液の特徴が、同じものではないと示している。脾臓が収縮する能力を確かめても、体内の酸素の蓄えが増えたという結論には直結しない。[11]
対して2024年のエリート息止めダイバー11人と、年齢、体格指数、最大酸素摂取量をそろえた比較対象11人の研究では、ダイバーのヘモグロビン濃度が高かった。最大息止め中には、ダイバーの脾臓容積が約102mL減少したことも報告されている。濃度が高い競技者を認める研究は確かに存在する。対象はエリートダイバーであり、18〜39歳の一般女性に同じ血液の特徴が得られるかは別に検証する必要がある。[6]
ただし、これはすでに異なる背景を持つ群を比較した結果である。息止め練習を始める前から追って総量の増加を確かめた結果とは異なる。また、濃度を見た研究と総量を見た研究では、評価する対象自体が違う。高い濃度という観察を消す必要も、それを誰でも得られる訓練効果に読み替える必要もない。[6][11]
機序を整理した2024年のレビューは、脾臓の容積や収縮の変化から、脾臓が訓練に応じうる点を重視している。一方、2025年の運動成績を扱うレビューは、ヘモグロビン総量と有酸素能力の長期的改善には否定的だ。両者が見ている到達点は異なる。臓器の適応を認めることと、持久力向上の方法として勧めることを分ければ、評価の違いを読みやすくなる。[2][1]

よくある誤解
「赤血球が出てくるなら、そのたびに血液が増える」という理解は、移動と産生を混ぜている。息止めによる脾臓収縮は一時的に循環する血液の状態を変える反応であり、継続練習後の赤血球数やヘモグロビン濃度が変わらなかった介入研究もある。その場の働きがあることと、蓄積する効果があることは別に判定する必要がある。[1][7]
「脾臓が大きくなれば、次からもっと赤血球を出せる」という予想も、そのままでは成り立たない。静的息止めの継続研究では安静時容積が増えた一方、収縮量と急性のヘモグロビン濃度の上昇は変わらなかった。容器の大きさから、実際に移動した量まで決めつけない読み方が必要になる。[9]
「増血に関わる反応が出たのだから、強く続ければよい」という受け取り方も避けたい。レビューでは赤血球の産生に関わるエリスロポエチンや網状赤血球の増加は、主として経験者による長く強い条件で報告され、未経験者では急性のエリスロポエチン増加を誘発できていないとされる。しかも練習による総量と有酸素成績の改善にはつながっていない。研究上の刺激の強さを、日常で追う目標にする理由はない。[1]
息止めを長くできる人への感心と、自分に必要な練習の選択は分けてよい。試験で確かめたのが息止めの記録なのか、血液なのか、泳ぎや酸素摂取なのかを見れば、話はかなり整理される。階段で息が弾むことへの答えを探しているのに、いつの間にか息止め競技の記録を追う必要はない。[12][1]
今日からできること
- 「血液が増える」という説明を見たら、濃度、総量、赤血球数のどれかを確認する。8週間の介入でも、脾臓容積の増加と赤血球数の変化は一致しなかった。[7]
- 秒数だけを心肺機能の成果にしない。2週間で44秒延びた試験でも、安静時ヘモグロビン濃度は変わらなかった。息止めの上達と血液の変化を別々に読む。[12]
- 準備運動の工夫を選ぶときは、何もしない条件だけでなく、通常の準備運動との比較を見る。競泳選手9人の試験では、併用と準備運動のみの間に有意差はなかった。[3]
- 運動記録を残すなら、息止め秒数を代わりの指標にせず、続けたい運動そのものの時間と内容を記録する。2週間の試験で44秒延びたのは息止めの記録であり、歩行やヨガを続ける力は別に確認する。[12]息止めの改善が有酸素成績の改善を保証しない、という研究の区別に合わせるためだ。[1][12]
- 研究に登場する最大息止めの回数や長さを、自宅の練習表に写さない。試験では最大努力時の酸素飽和度が練習前の84%から練習後の72%へ低下した。数値を目標にせず、単独で最大息止めを試さない。個別の健康状態と運動の可否は医師に相談する。[12]

オンザショア立川店で、止めた秒より通える時間を考える
息止めの記録を追う代わりに、生活のどこへ運動を置くかを考える場所として、オンザショア立川店を紹介したい。営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休である。朝に通うか、仕事帰りに立ち寄るか、まず予定との重なりから検討できる。
場所はJR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングを扱い、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。
参加条件も先に確かめたい。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。店の案内と料金を確かめ、通う時間を描けたら体験予約へ進む。生活に組み込む順番から、続ける場所を選びたい。
参考文献
[1] Apnoea as a novel method to improve exercise performance: A current state of the literature — Bouten J, Declercq L, Boone J, Brocherie F, Bourgois JG., 2025, Experimental physiology. DOI: 10.1113/ep091905
[2] On the mechanisms of stress-induced human spleen contraction: training for a higher blood oxygen-carrying capacity — Sotiridis A, Makris A, Koskolou M, Geladas ND., 2024, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-024-05589-x
[3] Effects of Pre-race Apneas on 400-m Freestyle Swimming Performance — Robertson C, Lodin-Sundström A, O’Hara J, King R, Wainwright B, Barlow M., 2020, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000002711
[5] Effect of dry dynamic apnea on aerobic power in elite rugby athletes: a warm-up method — Wendi W, Dongzhe W, Hao W, Yongjin S, Xiaolin G., 2023, Frontiers in physiology. DOI: 10.3389/fphys.2023.1269656
[6] Hemoglobin concentration and blood shift during dry static apnea in elite breath hold divers — Kjeld T, Krag TO, Brenøe A, Møller AM, Arendrup HC, Højberg J, Fuglø D, Hancke S, 2024, Frontiers in physiology. DOI: 10.3389/fphys.2024.1305171
[7] Eight weeks of dry dynamic breath-hold training results in larger spleen volume but does not increase haemoglobin concentration — Yang K, Wang WB, Yu ZH, Cui XL, Yu ZB, Jiang Y, Gou JF, Du MM., 2022, Frontiers in physiology. DOI: 10.3389/fphys.2022.925539
[9] Eight weeks of static apnea training increases spleen volume but not acute spleen contraction — Bouten J, Caen K, Stautemas J, Lefevere F, Derave W, Lootens L, Van Eenoo P, Bou, 2019, Respiratory physiology & neurobiology. DOI: 10.1016/j.resp.2019.04.002
[11] Total haemoglobin mass and spleen contraction: a study on competitive apnea divers, non-diving athletes and untrained control subjects — Prommer N, Ehrmann U, Schmidt W, Steinacker JM, Radermacher P, Muth CM., 2007, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-007-0556-y
[12] Effects of two weeks of daily apnea training on diving response, spleen contraction, and erythropoiesis in novel subjects — Engan H, Richardson M, Lodin-Sundström A, van Beekvelt M, Schagatay E., 2013, Scandinavian journal of medicine & science in sports. DOI: 10.1111/j.1600-0838.2011.01391.x
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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