ダイエットのデカフェは製法でも違う?カフェインを抜く工程と残る成分を読む

ダイエット中のコーヒーをデカフェに替えると、カフェイン以外の成分もなくなるのか。水、超臨界二酸化炭素、吸着による処理の研究を比べ、クロロゲン酸の残り方と焙煎との関係を読む。成分分析、消化を模した実験、動物実験を区別し、製法表示から判断できることと、減量効果を結びつけない選び方を整理する。

豆の袋にある「水でカフェインを除去」の文字。カフェインと一緒に、ほかの成分まで流れ出たのだろうか。ダイエット中なら残る成分も気になるが、この記事で扱う研究は、デカフェを飲む人の減量効果を直接示すものではない。豆や抽出液の成分分析、消化を模した実験、ラットの脂質指標の測定が中心である。[4][13][9][6][3]

答えの芯は、デカフェでも成分の残り方は一律ではない、ということだ。超臨界二酸化炭素による処理ではクロロゲン酸の濃度がほぼ変わらなかった豆の実験があり、水で処理した豆では生豆と焙煎後で変化の向きも異なった。カフェインを減らす工程を、ほかの成分を全部なくす工程と考えるのは正確ではない。[4][13]

ここで答えるのは「何が残るか」だ。製法表示と実験の条件を読み合わせ、カフェイン以外の成分がどう変わるかを追う。減量の方法を選ぶための順位表ではなく、袋の説明を具体的に読むための比較である。[4][13][9]

既存記事「ホットヨガ後のコーヒーはデカフェなら安心か、残るカフェインと眠る時刻を考える」には睡眠の問いを、「ダイエットの間食の飲み物にデカフェ?空腹の実感と実際に食べた量を分ける」には食欲の問いを譲る。ここでは注文する時刻や空腹の変化ではなく、カフェインを取り出す工程で、ほかの成分がどう動くかを比べる。

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カフェインを抜くと、ほかの成分も全部消えるのか

まず、比較しているものをそろえたい。コーヒーの成分分析には、生豆を測ったもの、焙煎した豆を測ったもの、いれた飲料を測ったものがある。水による脱カフェインを調べた比較研究は、生豆と焙煎したアラビカ種を対象にした。一方、消化を模した研究は、市販の通常とデカフェのカプセルで作ったエスプレッソを対象にしている。同じ「コーヒーの研究」でも、測定している段階が違う。[13][6]

クロロゲン酸は、ここで比べるフェノール性成分の一群である。水による処理の研究では、この成分と、その関連成分であるラクトンを分けて測っていた。関連する名前が並んでいても、すべてを同じ量の「よい成分」として足し合わせることはできない。処理によって、個々の成分の量は同じ方向に動かなかったからだ。[13]

超臨界二酸化炭素で処理した豆の研究では、カフェイン濃度は大きく減り、トリゴネリンという別の成分の濃度はわずかに減った。その一方で、調べたクロロゲン酸類の濃度はほぼ変わらなかった。狙った成分と、同時に測ったほかの成分とで、変化の大きさが異なる結果である。[4]

この結果は、デカフェを「通常のコーヒーからカフェインだけを引いた、完全に同じ飲料」と呼ぶ根拠にはならない。少し変わった成分もあるからだ。同時に、「カフェインを抜いたので中身は空に近い」と呼ぶ根拠にもならない。実際に残った成分がある。[4] 白か黒かで決めたくなる袋の前で、成分表の世界はもう少し細かく枝分かれしている。

既存記事「コーヒーは深煎りほどカフェインが多い?焙煎の色とクロロゲン酸の違いを読む」には、焙煎の色そのものをどう読むかという問いを譲る。この記事で追うのは、その前に加わる脱カフェイン処理と、処理後の豆を同じように比べてよいかという問題だ。

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水で処理した豆は、生豆と焙煎後を分けて見る

水による脱カフェインを扱ったアラビカ種の比較研究では、生豆の総クロロゲン酸濃度は、乾燥重量を基準にすると平均16%増えていた。ところが焙煎後のクロロゲン酸濃度は、通常のコーヒーよりデカフェで3〜9%低かった。同じ研究の中に「増えた」と「減った」が並ぶ。[13]

ここで「水で処理するとクロロゲン酸が増える」とだけ覚えると、焙煎後の結果が消えてしまう。逆に「デカフェはクロロゲン酸が少ない」とだけ覚えると、生豆で測った結果を説明できない。対象の段階と測定の基準を付けて読む必要がある。生豆で乾燥重量当たりの濃度が高かったことを、飲料のカップに含まれる量が増えたという意味へ進めないことも大切だ。[13]

研究では、ラクトンの直接の前駆体、つまりその成分になる前の物質は、生豆で237%増えていた。ところが焙煎後のラクトンの増加は、通常のコーヒーとの比較で平均5.5〜18%だった。前駆体と焙煎後の関連成分では、変化の比率が異なった。[13]

この並びから読み取れるのは、工程の途中の数字を完成品の数字として使わない姿勢である。生豆の段階で大きく変わった項目だけを見出しにすると、いれたコーヒーまで同じ大きさで変わるように感じやすい。研究は味や生物学的性質への影響をさらに検討する必要を指摘しており、ここでの濃度差を人の体重差に翻訳してはいない。[13]

自宅で選ぶときも、「水」という製法名と「成分がどれだけ残っているか」という問いを分けると整理しやすい。製法の説明を見つけたら、次に確かめたいのは、示された成分量が生豆の値なのか、焙煎豆の値なのか、飲料の値なのかである。この研究の結果は、その区別が結論の向きまで変えうる例になっている。[13]

超臨界二酸化炭素でも、その後の焙煎で変わる

超臨界二酸化炭素は、食品成分を選択的に分離する技術に使われる。食品分野を扱ったレビューは、順に抽出する方法、段階を分ける方法、特定の成分を選ぶ方法を区別して整理している。この技術名に加えて、原料と取り出す成分、分離の戦略を見る必要がある。[2]

コーヒー豆を対象にした比較実験では、この処理でカフェイン濃度を大きく下げながら、クロロゲン酸類の濃度をほぼ保っていた。そのうえで研究者は、処理した豆と処理していない豆を、焙煎の温度や時間を変えて比べている。脱カフェインの直後だけで結論を止めず、続く工程も調べた点が、この問いに役立つ。[4]

焙煎では、最高温度を125〜250℃に変えるなど、複数の条件が試された。225℃以上の高い温度で保持時間や温度を上げる時間を長くすると、カフェインを除く測定成分は有意に分解された。その分解の速さは、処理した豆と通常の豆で似ていた。カフェインを抜いた後も、焙煎の条件は残る成分に関わっていたのである。[4]

興味深いのは、デカフェの豆は、より少ない熱の履歴でも色が暗くなったことだ。熱の履歴とは、この研究で比べた加熱の温度や時間の経過を指す。同じ程度の色で比べると、デカフェの豆にはクロロゲン酸が多い傾向があった。色をそろえる比較と、加熱条件をそろえる比較は、同じ比較ではなかった。[4]

袋に印刷された焙煎の印象から、処理後の成分まで一直線に想像するのは難しい。通常の豆と同じ色だから同じ熱を受けた、と考えると、この実験で見えた違いを取り逃がす。研究が示したのは、脱カフェインと焙煎の条件を適切に調整することで、トリゴネリンやクロロゲン酸の分解を抑えられるという可能性である。[4]

製法と焙煎を別々の優劣表にせず、つながる工程として見る。そうすると「この方式なら必ず成分が多い」という順位を急いで作るよりも、どの条件で、何と比べた結果なのかを確かめるほうが実用的になる。同じ技術名でも、食品から成分を分離する戦略は複数あり、豆の実験でも焙煎条件によって測定値が変わったからだ。[2][4]

比較をもう少し具体的にすると、知りたい目的によって、そろえる条件が変わる。処理そのものの影響を知りたいなら、処理前後で何を測ったかを見る。焙煎まで含めた違いを知りたいなら、加熱条件をそろえたのか、仕上がりの色をそろえたのかも必要になる。豆の比較研究は、この違いを実際に調べていた。[4]

たとえば、袋を並べて「こちらのほうが色が薄いから成分が多いはず」と判断する前に、その豆がデカフェかどうかを確認する視点が持てる。色と熱の履歴の関係が処理によって違った以上、見た目だけで同じものさしを当てるのは難しい。成分量を知りたい場面では、製法の名前や色の印象より、その豆について測った値が目的に合っているかが先になる。[4]

数字で読むデカフェの工程

生豆で平均16%増加:水で処理したアラビカ種の総クロロゲン酸濃度。乾燥重量を基準にした比較である。[13]

焙煎後は3〜9%低下:同じ研究のデカフェと通常のコーヒーのクロロゲン酸濃度差である。[13]

ラクトンは平均5.5〜18%増加:水による処理後、異なる焙煎度で通常品と比較して得られた差を示す。[13]

225℃以上:豆の比較実験で、加熱時間の延長に伴う成分の分解が示された高温の条件である。[4]

30匹、42日間:脂質指標を調べた動物実験の規模と期間。人の減量試験の人数や期間ではない。[3]

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宮川涼 Founder

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