
洗う回数と表面の変化は、同じ方向に動くとは限らない
起毛の上着を普段着として使い続けるなら、手入れも選び方の一部になる。ただし、洗濯の研究の数字を、そのまま家庭での予言にしないことが大切だ。とくに表面から出る細かな繊維は、研究ごとに何を数え、どんな試料を洗ったかをそろえて読む必要がある。[19][3]
ポリエステルの布12種類を使い、切断や縫製の方法も変えて洗った材料実験では、洗濯を重ねると全ての布で放出される繊維が減り、5〜6回以降は少量の継続的な放出が観察された。表面を機械的に加工したフリースは、未加工の表面を持つ布より有意に多くの繊維を放出した。[19]
一方、別の実験はポリエステル100%のフリースの編み布を対象に、洗濯、乾燥、機械的な摩耗の影響を調べた。こちらでは放出量が3〜5回目の洗濯まで増加し、その後ほぼ一定となった。製造工程で残った繊維が、放出繊維のかなりの部分を占めることも示されている。[3]
この違いを、「どちらかが間違い」と片づける必要はない。比較する布も、処理の組み合わせも異なる実験である。先に減るという結果と、初めに増えるという結果を並べると、洗濯回数だけで手持ちの服の放出量を当てるのは無理がある。どちらの結果もフリースという名前の全商品に同じ曲線を約束しない。[19][3]
家庭で洗う前から、「何回目なら繊維が出なくなる」と予定を立てるより、服の表示に従って扱い、表面と着心地を観察するほうが現実的だ。細かな繊維の放出と、指で感じる柔らかさは同じ評価ではない。実験で放出量が落ち着いたことを、服の性能が全て安定したという意味にも読み替えない。[19][3]
隣の題材であるヨガ初心者の服装と毛玉の話には、表面の毛玉と汗の広がりという問いを譲る。この記事で洗濯を扱うのは、起毛があるという見た目だけで、着用前から手入れ後までの状態を決めつけないためだ。毛玉があるから蒸れる、毛玉を除けば乾く、という別の結論はここには持ち込まない。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
起毛面だけを見て、繊維の数字を比べない
先ほどの12種類の実験では、放出された微小なプラスチック繊維の数は、布1g・洗濯1回当たり210〜72,000本と幅があった。ただし、この幅をそのまま店頭の服の順位表にはできない。試料の切り方も放出量に影響し、はさみで切った試料ではレーザーで切った試料より3〜21倍多い繊維が放出された。[19]
端を封じた試料との比較から、放出繊維の平均84%が端に由来すると推定された。起毛の表面に注目して始めた話でも、布の端の条件が大きく関わる。ふわふわした面だけを拡大して見ていては、実験で数えられた繊維の出どころを取り違えるのである。[19]
これは、家で上着の端を切り直したり、熱で加工したりすることを勧める結果ではない。研究用の試料で出どころを分ける操作と、完成品の手入れは違う。手持ちの服でできる確認としては、表面に加えて縫い目や端の状態も見る、という範囲にとどめるのがよい。[19]
また、ここで数えているものは洗濯に伴い放出された繊維である。ヨガの最中に吸い込む量や、肌の症状の発生率ではない。大きい数字を見て服を捨てる判断につなげるより、何の量なのかを確かめたい。繊維が放出されるという材料の結果と、着用者に健康上の影響が起きるという判断を同じ文にしない。[19][3]
手入れに関する研究には、実際の家庭の汚れた洗濯物を調べたものもある。英国の家庭からの洗濯物79組では、放出された繊維の平均は布1kg当たり114mgで、主として天然繊維だった。合成繊維のフリースだけを調べた実験と、家庭の洗濯物全体を調べた実験では対象が違う。[14]
同研究の追加比較では、40°C・85分の洗濯から15°C・30分の洗濯へ変えると、繊維の生成が30%減った。温度と時間を一緒に変えているため、低温だけの効果、短時間だけの効果として分配できない。家庭で取り入れるか考える際も、まず服と洗濯機の表示を確認するという前提がいる。[14]
生活の中では「起毛だから特別な手入れが要るのか」と考えがちだが、研究を使うなら対象と条件を手がかりにしたい。布の重量当たりの量なのか、繊維の本数なのか。新品に近い布片か、実際に使われた衣類か。同じ洗濯という言葉でも、比べているものを確かめれば、数字の大きさだけに引っ張られずに済む。[14][19]

よくある誤解
「肌側の起毛が多ければ、冬の行き帰りには必ず適する」という見方は、評価項目をまとめすぎている。同じ糸の条件でも編み構造で布の重さ、寸法変化、毛玉などの物性は違った。起毛の見た目を好むことと、その服の作りや使い方を確認することは両立する。[5]
「濡れた布に接する温度が低ければ、熱の移動も必ず少ない」という理解も正確ではない。救助装備の実験では、乾燥と湿潤で発熱毛布の熱量は同程度で、湿潤条件では布を通る熱移動が効率的だった。温度、熱量、濡れ方を一つの指標として扱わないことが大切である。[4]
「何度か洗えば、どのフリースでも同じように繊維が減る」という決めつけも避けたい。繰り返し洗濯で減少した実験と、初めに増えてからほぼ一定になった実験がある。服の種類や処理条件を飛ばして回数だけを生活のルールにしない。[19][3]
誤解をほどく際に、新しい絶対ルールへ飛びつく必要はない。「毛を外へ向ければよい」「起毛を避ければよい」と服装を統一するより、これからどこで着るかを先に決める。駅までの上着を探すのか、動く際に着る服を探すのかで、自分が確認したい場面を具体的にしておくのである。
今日からできること
- 手持ちの起毛の上着を、行き帰り用として通常の表裏で着て確かめる。構造比較は4種類の布でも物性が異なった研究であり、起毛だけで選ばない視点に使う。[5]
- 帰り支度で上着と下に着た服の湿りを確かめる。救助実験の乾燥・湿潤・濡れた条件を、自分の体温の予測値にせず、服の状態を分ける手がかりにする。[4]
- 洗う前後で丈、袖口、表面の変化を見比べる。編み構造で寸法変化が違った結果を踏まえた観察であり、何回で変わるという期限は決めない。[5]
- 洗濯表示と洗濯機の設定を確認する。15°C・30分への変更で繊維生成が30%減った比較は、40°C・85分との組み合わせの差である。数字だけで設定を決めない。[14]
- 繊維の放出量を読むときは単位と端の条件を見る。平均84%が端に由来した実験の結果を、目に見える起毛だけの評価にしない。[19]
次に上着を選ぶ日には、「起毛が肌に当たると好きか」と「帰りに着るとき、その服はどんな状態か」を別々に確かめたい。前者は好みとして答えてよく、後者は持ち物の準備に使える。ヨガ専用の新しい名前を探す前に、普段着を着て確かめる場面は作れる。

オンザショアで、服を準備する場面を決める
行き帰りの上着を考えるなら、まず通う時間帯と参加するレッスンを具体的にしておきたい。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30で、年中無休である。朝に通うか、仕事帰りに寄るかを考えながら、持っていく服の一式を組み立てる場所として検討できる。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。JR立川駅北口から徒歩1分である。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほかに、常温のヨガやピラティスもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、参加する内容を決めることが準備の出発点になる。
参加する内容には体調による条件もある。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。借りられるものを確かめたうえで、行き帰りの上着とレッスン用の衣類を準備したい。
予定に合う通い方は店のトップと料金で確認でき、体験の予約も用意されている。服をそろえる準備を、通う予定と一緒に具体化したい。
参考文献
[3] Release of Microplastic Fibers from Polyester Knit Fleece during Abrasion, Washing, and Drying — Novotna J, Tunak M, Militky J, Kremenakova D, Wiener J, Novakova J, Sevcu A., 2025, ACS omega. DOI: 10.1021/acsomega.5c00258
[4] Performance of a Chemical Heat Blanket in Dry, Damp, and Wet Conditions Inside a Mountain Rescue Hypothermia Wrap — Greene M, Long G, Greene K, Wilkes M., 2023, Wilderness & environmental medicine. DOI: 10.1016/j.wem.2023.08.001
[5] Evaluation of physical and mechanical characteristics of three-thread fleece knit fabric for their structural changes — Kaikobad M, Mahmud MF, Sayam A, Chandra Paul S, Ali Reza MM, Faruque MO, Apel NA, 2023, Heliyon. DOI: 10.1016/j.heliyon.2023.e21588
[14] Microfiber release from real soiled consumer laundry and the impact of fabric care products and washing conditions — Lant NJ, Hayward AS, Peththawadu MMD, Sheridan KJ, Dean JR., 2020, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0233332
[19] Systematic Study of Microplastic Fiber Release from 12 Different Polyester Textiles during Washing — Cai Y, Yang T, Mitrano DM, Heuberger M, Hufenus R, Nowack B., 2020, Environmental science & technology. DOI: 10.1021/acs.est.9b07395
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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