
回数を数えるなら、何の成果を追うかを決める
声で数える場面では、どうしても回数が主役になる。そこで、回数の記録と持久力の研究を分けて見てみよう。運動経験のない高校生118人、男女各59人を対象としたランダム化比較試験では、カールアップ系の運動を週1日、2日、3日行う群と、練習を行わない群を設けた。期間は6週間である。男女の高校生の結果を、18〜39歳の女性の練習頻度にそのまま当てはめることはできない。[19]
練習をした各群では腹筋持久力を測るテストの得点が有意に増えたが、終了時の練習群同士に有意差はなかった。著者らは、腹筋運動を始めたばかりの高校生では、初期には週1日の少量の練習でも持久力を高める刺激になり得るとしている。成人全員に最適な頻度を決めた試験ではない。[19]
この結果から読み取るのは、毎日数え続けることだけを成功条件にしなくてよい、という限定的な視点だ。高校生の初期の持久力という条件を外し、「誰でも週1日で十分」と一般化してはいけない。さらに、練習頻度の比較を、声ありと声なしの比較に読み替えることもできない。[19]
家庭のメモでは、声を出したかどうかの横に、何の動きを行ったかも残すと整理しやすい。たとえば「今日は声で数えた」「上体を丸める運動をした」「途中で数を見失った」を別々に書く。これは筋力を推定する採点表ではなく、次回、指導者に何を相談するかを思い出すための記録である。
回数の多さだけで満足しにくい人もいるだろう。ただ、研究での持久力は、決められたテストによって評価されている。家で数えた回数と研究の得点は、そのまま交換できる数字ではない。数える声が元気だった日を、体幹の機能が改善した日と決めず、練習の記録として置いておけばよい。[19]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
年齢や目的が変われば、成果の読み方も変わる
高齢者の体幹トレーニングも、腹筋運動の成果を考える手がかりになる。60歳以上の64人を対象にしたランダム化比較試験では、歩行とバランス運動に体幹の筋力・運動制御の練習を加えるかどうかを比べた。平均年齢は69.8歳で、女性は59.4%だった。練習期間は12週間である。高齢者の筋力や生活機能を調べた結果であり、18〜39歳の女性に同じ効果量をそのまま当てはめることはできない。[20]
体幹の練習を加えた群では、歩行とバランス運動だけの群と比べて、腹直筋の大きさの群間差が2.08 cm2、95%信頼区間1.29〜2.89 cm2だった。体幹を曲げる筋力の差は29.8 N、95%信頼区間4.40〜55.31 Nである。Nは力を表す単位だ。先ほどの産後の試験のNmとは測っている量が異なる。[20]
立ち座りや移動などの機能にも改善があった。その後、6週間は歩行のみの期間となり、一部の成果は低下したが、いずれの評価も開始前より改善した状態を保った。これは体幹の練習を複数の運動に組み込む意義を支える結果であり、声の出し方を決める結果ではない。[20]
対象が変われば、運動の目的も変わる。産後の女性の腹直筋の間隔、高校生の腹筋持久力、高齢者の筋力や生活機能を、単に「腹筋に効いた」という言葉で括ると、何を期待してよいか見えなくなる。同じ腹筋運動の名前が出ていても、比較と評価をたどり直したい。[16][19][20]
中央線で帰宅してからの腹筋運動を、研究参加者と同じ生活に合わせる必要はない。必要なのは、研究の対象を自分に勝手に置き換えないことである。自分が確かめたいのは、練習を思い出せるか、筋力を高めたいのか、産後の状態を相談したいのか。目的を先に言葉にすると、声の出し方だけに答えを集めずに済む。
高齢者の試験で使われた体幹の練習には、筋力だけでなく運動制御の要素も含まれている。運動制御とは、動きを調整する働きのことである。さらに、比較した両群には歩行とバランス運動があった。したがって、何もしていない人に腹筋運動だけを足した結果として説明すると、試験の問いが変わってしまう。どちらの群にも共通した内容と、追加された内容を分けると、研究が確かめたことが明瞭になる。[20]
持続性の読み方も同様だ。歩行のみの期間に一部の評価が下がったことと、開始前より改善が残ったことは両立する。「やめたら全部元に戻る」とも、「いったん鍛えれば変化はずっと保たれる」とも読まない。発声の習慣に関心があっても、長い期間の成果を語るなら、このように練習内容と測定時点を一緒に確認したい。[20]

よくある誤解
「声が出ていれば、腹圧も適切だ」という思い込みがある。だが、ここまで見た筋力、間隔、持久力、生活機能の成果から、声を腹圧の判定法にすることはできない。声を出す合図を採用することと、その合図に科学的な保証を付けることは別である。筋力が伸びた試験の効果は、比較された運動プログラムの効果として読む。[16][20]
「腹筋運動で筋力がつけば、腹直筋の間隔も縮むはず」という見方も修正したい。産後の比較試験では、筋力と筋厚が増えても、間隔は改善も悪化もしなかった。腹直筋離開を気にしている人に、数え声や筋力の手応えだけで間隔の変化を判断するよう勧めることはできない。[16]
逆に、「間隔が変わらない運動は無意味」とするのも飛躍である。産後のレビューでは間隔の減少は小さく、臨床的に重要とは評価されなかった一方、別の試験では筋力と筋厚に改善があった。間隔を目的にした評価と筋力を目的にした評価は、違う答えになってよい。何をよくしたいのかを曖昧にしたままでは、運動の評価も揺れてしまう。[7][16]
「よい研究で効果があれば、誰にでも同じ」という期待にも線を引く。産後の最初の1年を扱ったレビューと、高齢者の運動プログラムを比べた試験では、対象も内容も異なる。前者の結果を高齢者の呼吸の指示に使ったり、後者の筋力の数値を産後の人の目標にしたりする読み方は避けたい。[4][20]
今日からできること
- 声で数える目的をメモする。「数を見失わないため」など自分の目的と、研究が測った筋力の変化を分ける。産後70人の試験の9 Nmという差を、発声による上乗せとして使わない。[16]
- 練習を振り返るときは、行った動作と声の有無を別に残す。12週間の複合的な腹筋運動の成果を、呼吸の合図だけの成果に読み替えない。[16]
- 頻度の情報には対象も添える。週1日でも持久力の改善が見られたのは、運動経験のない高校生の6週間の試験である。自分の生活の予定を決める際の参考と、万人への処方を区別する。[19]
- 産後の相談では、気になることが間隔、筋力、痛みのどれかを伝える。16試験をまとめたレビューでの間隔の変化と、自分の症状を同じものとして扱わない。個別の健康状態については医師に相談する。[7]
- 目標を回数だけに固定しない。高齢者64人の試験は筋力や生活機能も評価している。自分が望む変化を指導者と共有し、数え終えたことだけで達成を判断しない。[20]
腹筋運動の最中にあれもこれも採点する必要はない。記録を作るなら、あとで読んで、その日の相談ができる程度でよい。「声を出すのが忙しくて、動作の説明を聞き直したい」という言葉でも十分に具体的だ。研究の効果量を自分の出来栄えの点数に変えず、分からない部分を相談の言葉に直す。それが、この細い問いを日々の練習につなぐ方法である。

オンザショア立川店を、練習を続ける予定に入れる
声で数える目的と、続けたい運動の内容を整理したら、練習を生活の予定に置く場所も考えたい。オンザショア立川店には、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガやピラティスがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、内容は店のトップで確認できる。発声の有無だけで選ばず、どの運動を続けたいかという問いから予定を考える入口になる。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。研究での対象と同じように、自分の参加条件も先に確認したい。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休だ。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。料金ページと体験の予約で条件と予定を確かめ、日々の生活で通う時間帯まで具体的にしておく。
参考文献
[4] Impact of postpartum exercise on pelvic floor disorders and diastasis recti abdominis: a systematic review and meta-analysis — Beamish NF, Davenport MH, Ali MU, Gervais MJ, Sjwed TN, Bains G, Sivak A, Deerin / 年: 2025 / 誌名: British journal of sports medicine / 被引用: 19. DOI: 10.1136/bjsports-2024-108619
[7] Conservative interventions may have little effect on reducing diastasis of the rectus abdominis in postnatal women – A systematic review and meta-analysis — Benjamin DR, Frawley HC, Shields N, Peiris CL, van de Water ATM, Bruder AM, Tayl / 年: 2023 / 誌名: Physiotherapy / 被引用: 17. DOI: 10.1016/j.physio.2023.02.002
[14] The Effects of Conservative Interventions for treating Diastasis Recti Abdominis in Postpartum Women: a Review with Meta-analysis — Weingerl I, Kozinc Ž, Šarabon N. / 年: 2023 / 誌名: SN comprehensive clinical medicine / 被引用: 13. DOI: 10.1007/s42399-022-01353-4
[16] Curl-up exercises improve abdominal muscle strength without worsening inter-recti distance in women with diastasis recti abdominis postpartum: a randomised controlled trial — Gluppe SB, Ellström Engh M, Bø K. / 年: 2023 / 誌名: Journal of physiotherapy / 被引用: 30. DOI: 10.1016/j.jphys.2023.05.017
[19] Short-term effect of crunch exercise frequency on abdominal muscle endurance — Juan-Recio C, López-Vivancos A, Moya M, Sarabia JM, Vera-Garcia FJ. / 年: 2015 / 誌名: The Journal of sports medicine and physical fitness / 被引用: 5. DOI: なし
[20] Trunk exercise training improves muscle size, strength, and function in older adults: A randomized controlled trial — Shahtahmassebi B, Hebert JJ, Hecimovich M, Fairchild TJ. / 年: 2019 / 誌名: Scandinavian journal of medicine & science in sports / 被引用: 25. DOI: 10.1111/sms.13415
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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