腹筋の筋トレは声を出して数える?呼吸の合図と筋力の成果を分けて読む

腹筋の筋トレで声を出して数えると、呼吸や腹圧までよくなるのか。発声の合図と運動の成果を分け、産後の女性、高齢者、運動経験のない高校生を対象にした研究から考える。筋力、持久力、腹直筋の間隔という異なる評価を読み分け、声の大きさに頼らず練習を振り返る視点を示す。

上体を丸めるたびに「いち、に」と数える。腹筋運動を教わったときの声が、マットに横になると思い出される。黙っているより息を止めにくそうだが、声を出せば腹筋の働きまでよくなるのだろうか。

答えの芯は、声を出す合図と、腹筋運動の効果を別々に考えることにある。発声を腹圧の保証や筋力向上の証明にするのは早い。腹筋運動で筋力が伸びた試験でも、同時に測った腹直筋の間隔は変わらなかった。運動の成果は、何を測ったかで違う顔を見せる。[16]

既存記事「ワイドスクワットの呼吸は立つ時に吐く?軽い負荷でも変わる息止めの負担を読む」には脚の運動中の呼吸の問いを譲る。ここでは、腹筋運動で声を出して数えるという小さな工夫を、どこまで効果の説明に使えるかに絞る。声を腹圧計の代わりにしない、という読み方である。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

声で数えることと、効果を測ることは違う

「声を出す」「息を止めない」「お腹に力を入れる」「腹筋が強くなる」。レッスンでは続けて聞こえる言葉だが、研究を読むときには別々の問いとして置きたい。合図を実行できたことと、継続後の筋力が伸びたことは同じ評価ではない。たとえば産後の女性を対象とした試験では、筋力と筋厚、腹直筋の間隔、痛みなどが区別して測られている。[16]

声で数える方法を取り入れるなら、まず「数を見失わずに動きたい」という自分の目的を言葉にしておく。そこで数えやすく感じたとしても、直ちに腹圧が適切になったと書き換えない。声の大きさ、数え終えた満足感、運動後の変化を、記録の中でも同じ欄に押し込まないための工夫だ。

無言で行った日に比べて回数が多かった、という日常の比較にも注意が要る。種目も、動く範囲も、疲れ具合も違っていたなら、発声だけの手柄にはできない。発声の効果を確かめたい問いと、運動プログラム全体の効果を確かめたい問いは分ける必要がある。実際に筋力向上を示した試験は、頭を持ち上げる運動や体幹を丸める運動などを含むプログラムを比較したものだ。[16]

腹圧という言葉が加わると、話は急に専門的に聞こえる。合図から成果への道筋を確かめるには、実際に発声の条件を変えた比較が必要だ。「声を出せた」というその場の観察は、その場の観察として扱う。後日の筋力や症状を語るには、別の測定が必要になる。腹筋運動の研究が複数の評価項目を置く理由を、家庭の練習にも持ち帰りたい。[16]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

筋力が増えても、お腹の間隔は同じだった

具体的に見よう。産後6〜12か月で腹直筋離開のある女性70人を対象に、腹筋運動を行う群と介入しない群を比べたランダム化比較試験がある。腹直筋離開とは、左右の腹直筋の間が離れた状態を指す。運動群は頭上げ、カールアップ、ひねりを伴うカールアップを含む標準化された練習を、週5日、12週間行った。[16]

カールアップは上体を丸めて持ち上げる腹筋運動である。この試験では腹直筋の間隔を超音波で測り、筋厚や筋力も評価した。結果は、おへその2 cm上の安静時の間隔で群間差1 mm、95%信頼区間は−1〜4 mmだった。間隔を改善も悪化もさせなかったという結論である。[16]

一方で、腹直筋の厚さの群間差は0.7 mm、95%信頼区間0.1〜1.3 mmだった。体幹の角度10度で測った筋力の群間差は9 Nm、95%信頼区間3〜16 Nmである。Nmは力の回転作用を表す単位だ。同じ練習でも、間隔の変化と筋力の変化はそろわなかった。[16]

この結果は、声を出す方法が優れていたという意味ではない。比較の単位は、腹筋運動を含むプログラムと介入なしである。発声を意識して練習した人がこの記事を読んでも、9 Nmという差を「声で増える力」と受け取らないでほしい。どの違いを作って比べた試験なのかが、結果を使える範囲を決める。[16]

また、この試験では骨盤底の障害や腰、骨盤周囲、腹部の痛みの重症度に変化はなく、ほかの副次的な評価への効果はごく小さいか不明確だった。筋力の向上と、困っている症状の改善は別に確かめる必要がある。声が出せた、動けた、力が伸びた、痛みが変わったという段階を、飛び越えずに読む必要がある。[16]

信頼区間も読み飛ばさずにおきたい。産後の試験で、間隔の群間差の区間は−1〜4 mmと、差がない値をまたいでいる。一方、筋力の群間差の区間は3〜16 Nmで、同じ形ではない。平均値だけを見るより、どの程度の差が推定されているかを、幅も含めて読む方が結果を見失いにくい。どちらも「参加者全員がこの範囲で変わった」という意味ではなく、群間の差についての推定である。[16]

また、0.7 mmという筋厚の差を、そのまま見た目の変化の大きさに置き換えることも避けたい。測ったのは腹直筋の厚さであり、鏡に映るお腹への満足度とは異なる。筋力の単位と筋厚の単位が違うように、研究の数字にはそれぞれ担当する問いがある。手応えのある練習だったかを振り返るときも、研究が何を評価したのかを脇に書き添えると、期待を広げすぎずに済む。[16]

レビューの「改善」には大きさと場所がある

個別の試験の次に、複数の試験を統合した研究を読む。2023年の系統的レビューとメタ分析は、産後の女性698人を含む16試験を扱った。腹筋運動と通常のケアを比べた6試験、161人の分析では、腹直筋の間隔の平均差は−0.43 cm、95%信頼区間は−0.82〜−0.05 cmだった。エビデンスの確実性は中程度とされた。[7]

統計的な差はあるが、著者らは保存的な介入による間隔の減少を、臨床的に重要な大きさとは評価していない。また16試験のうち、バイアスのリスクが低かったのは3試験だった。研究数が多く見えても、結果の受け止め方には質と効果量の両方が必要である。[7]

2025年の別の系統的レビューとメタ分析は、産後の最初の1年における運動を対象に、65研究、21,334人を含んだ。腹筋運動は、運動なしに比べて、安静時と頭を持ち上げたときの腹直筋の間隔をより減らすとされたが、この結果の確実性は低い。全体の参加者数には、腹筋運動以外の介入を扱う研究も含まれる。[4]

ここで「レビューでは減ったのに、さきほどの試験では変わらなかった」と戸惑うかもしれない。レビューは異なるプログラムや対象をまとめた結果で、個別試験は特定の対象と方法の結果である。2023年の別のレビューも、測定法と測定場所、評価する産後の時期、組み合わせる運動が研究ごとに違い、最適な運動の組み合わせは定まらないとしている。[14]

発声の話に戻ると、「腹筋運動には改善を示す研究がある」という広い事実から、「声を出すと間隔が縮む」という細い結論へは進めない。声を足したときの感覚と、時間をかけて測定した体の変化は別である。運動全体への評価を、気に入った呼吸の合図だけに貼り付けないことが大切だ。[7][14][16]

評価する場所にも意味がある。腹直筋の間隔といっても、おへそとの位置関係や、安静時なのか頭を持ち上げているときなのかが測定の条件になる。レビューが測定法や場所の違いを課題として挙げているのは、同じ名前の指標を並べるだけでは比較しにくいためだ。自分でお腹を見て気づいた形の違いと、決まった位置で測った研究の変化を、同じ数値のようには扱えない。[14][16]

産後のレビューには骨盤底筋の練習も登場するが、腹筋運動とは分けて読もう。2025年の分析では、骨盤底筋トレーニングによる尿失禁のオッズ比は0.63、95%信頼区間0.41〜0.97だった。これは7件のランダム化比較試験、1,930人を統合した結果で、確実性は中程度とされた。腹筋運動の間隔への効果とは、介入も評価も異なる。[4]

オッズ比は、起こる可能性を表すオッズを群の間で比べた指標である。この数字を、そのまま「声を出して腹筋をすれば尿漏れが減る」という宣伝には使えない。レビューの中に並んでいる結果でも、誰が何を行い、何が変化したのかという組み合わせを保つことが必要だ。産後の悩みをひとつの呼吸のコツで扱おうとせず、相談したい症状を分ける手がかりとして読む。[4]

数字で読む腹筋運動の評価

70人:産後6〜12か月の腹直筋離開のある女性を対象とした比較試験の人数だ。[16]

9 Nm:その試験での筋力の群間差。95%信頼区間は3〜16 Nmであり、発声の効果量ではない。[16]

−0.43 cm:産後の腹筋運動を通常ケアと比べた分析での間隔の平均差。95%信頼区間は−0.82〜−0.05 cmだ。[7]

118人:運動経験のない高校生を対象に、練習頻度と腹筋持久力を調べた試験の人数だ。[19]

64人:高齢者の運動に体幹トレーニングを加える効果を調べた比較試験の人数である。[20]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約