
力が戻ることと、筋肉が育つことを混ぜない
筋トレの頻度を考えるとき、知りたいのは長く続けた後の変化だろう。一方、試合後に測った筋力は、その時点でどれだけ力を発揮できるかという情報である。ラグビーの試合後に落ちた筋力が戻る経過は、休む間に内転筋がどれだけ大きくなったかを示したものではない。短期の回復と長期の成長は、別の問いとして読む必要がある。[2]
実際、異なる検査の結果がそろわない研究もある。ブラジルのプロ男性サッカー選手13人を、シーズン前の開始時と終了時、その後の大会終了時に測定した研究では、短く集中的な準備期間の後にジャンプの複数の指標が低下した一方、等尺性の股関節内転・外転筋力は維持されていた。等尺性とは、動かさずに力を出す測定である。男性プロ選手の競技日程を追った結果なので、18〜39歳の女性の筋トレの頻度へそのまま当てはめることはできない。[6]
この結果は、内転筋力が落ちていないことと、全身が十分に回復していることを同一視できない、と教える。逆に、跳びにくい日だから内転筋の力も同じ割合で落ちている、と決めることもできない。測定対象をはっきりさせるほど、結果を予定に使うときの飛躍が減る。全身の疲れを内ももの検査だけに背負わせないのである。[6]
左右を比べる場合も、数字の差をそのまま追加練習の指令にしない。負傷のないエリートサッカー選手100人を調べた横断研究では、利き脚側の内転筋力は反対側より3%高かったが、著者らはその小さな差が検査の測定変動の範囲内だと述べている。測定変動とは、測り直すと値が多少変わる幅のことだ。差が見えたことと、その差を埋める必要があることも別になる。エリート競技者の左右差から、18〜39歳の一般女性に必要な追加練習を直接決めることはできない。[13]
この研究では、利き脚側の内転筋力は平均2.45、反対側は2.37 Nm/kgだった。こうした値は、その競技者集団の測定条件で得た結果であり、一般女性が目指す合格点ではない。体重で調整した単位でも、対象者や測り方の違いは残る。家庭で物を挟んだ感触から、この値に達したかを推定するのも適切ではない。[13]
長期の変化を知りたいなら、短期の調子と分けた記録が必要になる。今日の出来が昨日よりよかったとしても、それだけで毎日実施の優位性は決まらない。逆に、予定した日を休んだからといって、それまでの取り組みが無意味になったと判定する理由もない。比較したいのが成長なのか、その日の実施可能な内容なのかを先に決めると、数字への期待が整理される。
運動量の増やし方を相談する際も、「毎日できますか」だけで終えず、「今の内容を分けて行いたいのか、同じ内容をさらに足したいのか」を伝えたい。日数の変更がそのまま負荷の追加になる場合と、配置の変更になる場合では、相談の中身が違う。頻度という短い言葉の中に、別々の変更を押し込まないことが実用的な工夫になる。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
痛みがあるときは、日数より判断の目的を変える
内ももの筋トレ中に脚の付け根が痛むときは、頻度を工夫して鍛え続ける方法を探す前に、医師に相談したい。競技後の疲労を扱う話と、損傷からの復帰を扱う話は混ぜられない。受傷した選手に行われた研究も、自己判断で毎日の課題を増やすためではなく、回復をどのように評価するかを知るために読む。
急性の内転筋損傷を負った男性競技者の前向き観察研究では、基準を満たしながら進むリハビリテーション中に、触れたときの痛みの範囲、股関節の動く範囲、内転筋力などを繰り返し調べている。痛みが臨床的になくなる段階には61人、その後の管理されたスポーツ練習を終える段階には50人が解析対象となった。損傷を負った男性競技者の治療経過であり、18〜39歳の女性の通常の筋トレ予定にはそのまま当てはめられない。[14]
各段階までの期間の中央値は、それぞれ15日と24日だった。ただし、これは医療的な評価を伴う回復過程の結果である。痛みのない段階とスポーツ練習を終える段階を分けている点に意味がある。家庭で同じ日数を数えれば復帰できる、という使い方はしない。カレンダーの日付より、何をできる状態に戻すかが先に置かれている。[14]
同研究では、個々の検査がリハビリテーションの進み具合のばらつきを説明した割合は13〜36%だった。どれかの値だけで進み具合を把握するには限界がある。痛みの消失だけ、力の数値だけ、経過した日数だけに判断を集約しない読み方が必要だ。家庭の感覚で専門的な復帰評価を置き換えない理由でもある。[14]
長く続く内転筋関連の脚の付け根の痛みを持つ競技者15人には、10週間の運動療法を実施した前後比較研究もある。筋力や痛みなどの成績が改善し、13人が平均12.06週で競技へ戻った。ただし、比較する対照群のない研究なので、改善に特定の頻度がどれだけ寄与したかは切り分けられない。治療として組まれた運動の結果を、一般の筋トレ予定へ移し替えないことが必要だ。痛みのある競技者への運動療法なので、18〜39歳の健康な女性に同じ回数や期間を勧める根拠には使えない。[15]

よくある誤解
「毎日できるなら、毎日同じだけ増やせばよい」という考えには、回復状態の確認が抜けている。男性ラグビー選手では、練習後と試合後で筋力の変化が異なり、試合後の低下は翌々日にも残っていた。同じ部位を使ったという共通点だけでは、次の負荷を決められない。一方で、この結果を理由に軽い動作まで一律に禁止する必要もない。[2]
「休みを入れれば、すべての力が同じように戻る」という理解も粗い。フットサルの連戦では、内転と外転で回復の経過が異なった。サッカーの準備期間の研究では、股関節の等尺性筋力を保ちながらジャンプ指標が低下していた。体の調子を表す検査は互いに関係していても、測っている能力には違いがある。[3][6]
「女性は決まった日数を休むべきだ」という一律の規則を、この研究から作るのは無理がある。女性サッカー選手の試合後の回復が男性より遅い可能性を示した研究はあるが、人数は女性9人、男性13人で、年齢や所属リーグも異なる。一般女性の自宅での筋トレの最適頻度まで結論を広げるより、対象と運動の条件を添えて読むことが大切だ。[5]
「筋力の数値が低い側を毎日鍛えればよい」という発想にも注意が要る。サッカー選手の左右差を調べた研究では、平均差が測定変動の範囲に収まっていた。小さな差を見つけるたびに追加するのでは、測り方による揺れまで練習課題になる。左右差の解消を目的にする前に、再現性のある比較かを確かめたい。[13]
今日からできること
- 運動日だけでなく、何をどれだけ行ったかも残す。男性ラグビー選手32人の研究で、練習後と試合後の反応が異なったことを、日数だけで判断しない手がかりにする。[2]
- 強い運動の後は、予定を固定せず状態を振り返る。試合48時間後にも13%の筋力低下があった結果を、全員共通の休みの長さにはせず、回復確認の必要性として読む。[2]
- 痛みや張りの感覚と、実際に行えた動作を別々に書く。女性選手9人の研究でも筋肉痛と複数の機能を組み合わせており、感覚の欄を筋力の代用にしない。[5]
- 左右の感触の違いだけを理由に片側の予定を増やさない。100人のサッカー選手で見られた小さな左右差が測定変動の範囲内だったことを踏まえ、比較条件をそろえる。[13]
- 脚の付け根の痛みが続く場合は医師に相談し、始まった場面と運動内容を伝える。受傷者の研究で15日、24日という中央値があっても、それを自分の復帰日として使わない。[14]

オンザショアで、通う時間から予定を考える
自宅の運動と通う時間を並べて考える場所として、オンザショア立川店がある。営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休である。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。JR立川駅北口から徒歩1分の場所にある。通う時間帯を考える際には、営業時間と駅からの位置をあわせて確認できる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングを扱っている。女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。運動を続ける場所として、種目と通う時間を検討できる。
参加条件も予定を組む前に確認したい。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガへの参加対象外で、常温のマタニティヨガがある。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。施設の案内は店舗トップ、利用料金は料金ページ、体験の申し込みは体験予約で確認できる。
参考文献
[2] Hip adduction and abduction strength recovery in senior male rugby union players during a full training and match week. — O’ Connor C, Coyle E, Mc Intyre M, Delahunt E, Thorborg K., 2026, Physical therapy in sport : official journal of the Association of Chartered Physiotherapists in Sports Medicine. DOI: 10.1016/j.ptsp.2026.101915
[3] Effects of a Congested Match Schedule on Isometric Muscle Strength Performance in Elite Futsal Players. — Gantois P, Farinha A, Fonseca FS, Ribeiro J., 2026, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000005346
[5] The Effects of Match-Play on Markers of Recovery in Professional Female and Male Soccer Players. — Abbott W, Rowland SN, McKnight CE, Hansell EJ, Clifford T., 2026, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000005586
[6] Changes in lower-limb neuromuscular performance from pre-season to the end of the early competitive period in elite male professional soccer players. — Ferrari R, Borges da Silva W, de Oliveira Carpes L, Lazzari C, Silveira AD., 2026, Frontiers in sports and active living. DOI: 10.3389/fspor.2026.1722539
[13] Hip adduction and abduction strength profiles in elite soccer players: implications for clinical evaluation of hip adductor muscle recovery after injury. — Thorborg K, Serner A, Petersen J, Madsen TM, Magnusson P, Hölmich P., 2011, The American journal of sports medicine. DOI: 10.1177/0363546510378081
[14] Progression of Strength, Flexibility, and Palpation Pain During Rehabilitation of Athletes With Acute Adductor Injuries: A Prospective Cohort Study. — Serner A, Hölmich P, Tol JL, Thorborg K, Lanzinger S, Otten R, Whiteley R, Weir A., 2021, The Journal of orthopaedic and sports physical therapy. DOI: 10.2519/jospt.2021.9951
[15] The Effect of Therapeutic Exercise on Long-Standing Adductor-Related Groin Pain in Athletes: Modified Hölmich Protocol. — Yousefzadeh A, Shadmehr A, Olyaei GR, Naseri N, Khazaeipour Z., 2018, Rehabilitation research and practice. DOI: 10.1155/2018/8146819
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- 体脂肪率の女性平均は年齢だけで比べる?年代別の標本と測定方法から数字を読む
- 体脂肪率の女性向け計算は体重だけでよい?年齢を入れる式の誤差と対象を読む
- 体脂肪率と女性のウエストは一緒に減る?運動後と追跡時で違う数字の読み方
- 体脂肪率と女性の筋肉量は逆に動く?割合の分母と増減した重さを分けて読む
- 体脂肪率は女性の写真から分かる?画像推定の平均誤差と自分のずれを読む
- 体脂肪率は女性アスリートを目標にする?競技ごとの分布と自分の数字の距離を読む
- 体脂肪率を増やす食事は脂質を足す?女性の過剰摂取試験で読む蓄積の違い
- 体脂肪率が高い女性は体重も重い?標準体重でも分かれる脂肪と筋肉の内訳を読む
- 体脂肪率の女性基準は国が違っても同じ?日本人と海外を比べる前に読む条件
- 体脂肪率が低い女性ほど長生きする?追跡研究の年齢と体重減少を分けて読む
- 筋トレは胸と背中の回数をそろえる?交互に組む相手の量と胸の速度を読む
- ホットヨガは同じ日に2セットで効果が増す?追加する熱と運動の違いを読む
- ハムストリングの遠心性筋トレは休むと戻る?中断後の筋束長と筋力の時間差を読む
- ハムストリングを鍛えると足が速くなる?加速と最高速度で違う筋力の移り方
- 内転筋の筋トレマシンは片脚ずつ動かす?両脚同時と力の記録を比べる前に
- ハムストリングの内側は筋トレで均等に育つ?筋肉ごとの成長率とメニューを読む
- ハムストリングのアイソメトリックは角度で違う?静止で伸びる筋力の範囲を読む
- 内転筋の筋トレはチューブとケーブルで違う?途中の抵抗と効いた感覚の読み方
- 内転筋の筋トレでランニングも楽になる?挟む力と長距離の成果を分けて考える
- 内転筋の筋トレ負荷は回数とどう比べる?重さを増やした日の記録の読み方
- 内転筋の筋トレで太ももは太くなる?筋肉の成長と皮下脂肪の別々の変化を読む
- 内転筋の筋トレはタオルとクッションで違う?柔らかさと力の確かめ方を読む
- サイドプランクのローテーションは効く?静止と回旋の筋活動を比べる前に読む
- サイドプランクのやり方は手と肘で比べられる?初心者の記録ノートの作り方
- ソイプロテインのアイソレートは何が違う?濃縮と分離を成分と消化から読み分ける
- ソイプロテインの塩分はなぜ多い?製造工程と一食分の表示を分けて読む手掛かり
- ダイエットのオートミールはヨーグルトと混ぜる?酸性度と粘りの変化を読む
- 筋トレは胸と背中のどちらから始める?先に行う種目と長期の筋力変化を読む
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2








