ファスティング中の食欲は胃の動きと同じ?空腹の波と収縮の場所を読み分ける

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食べたい点数と、実際に食べる量は別々に測る

「空腹感が上がった」という結果を読むと、すぐに食べる量も増えると思いやすい。だが、人が付けた感覚の点数と、食事として口にした量は別の測定である。胃の収縮が食事量に関わるかを確かめるには、食べる行動まで調べる研究が必要になる。[8]

無作為化試験を含む研究では、健康な14人で空腹のピークを検出する手法を使い、第Ⅲ相との関係を調べた。参加者の半数が男性で、平均年齢は25±2歳、平均BMIは23±1だった。この集団で、空腹のピークが現れることと、第Ⅲ相との有意な関係が確認された。男女を合わせた集団の結果なので、18〜39歳の女性だけでも同じ関連の強さになるかは別に確かめる必要がある。[8]

続く別の健康な14人の実験では、男性が43%、平均年齢が29±3歳の集団で、薬理学的に誘発した第Ⅲ相と空腹のピークの関係が調べられ、アセチルコリンを使う神経の経路が関与することが示された。自然な空腹の波を観察する段階から、仕組みに介入して関係を調べる段階へ進んだ研究である。男女を含む介入実験のため、18〜39歳の女性の自然な空腹の波への適用は慎重に考えたい。[8]

さらに健康な15人では、男性が40%、平均年齢が28±3歳の集団で、モチリン受容体を刺激する薬剤を投与した場合とプラセボの場合で、食物摂取を比較した。薬剤の条件で食物摂取が有意に促された。空腹の採点に加えて、食べる行動を調べた点に、この研究の価値がある。18〜39歳の女性に同じ程度の摂取の変化が起こるかは、この男女を合わせた比較だけでは判断できない。[8]

一方、これは日常の断食で自然に起きる変化と、そのまま同じ条件ではない。特定の薬剤で受容体を刺激し、健康な人の反応を調べた試験である。「収縮を感じたら、必ず食事量が増える」という予測や、「胃を静かにすれば長期的に体重が減る」という処方へ置き換えることはできない。[8]

昼食前に強く食べたいと思った日と、実際に多く食べた日を、記録の上でも分けるとよい。これは食べた量を責めるためではない。研究が感覚と行動を別々に測っているのと同じく、本人の経験でも何が変わったかを曖昧にしないための読み方である。空腹の強さだけを、食事全体の成績表にしない。[8]

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胃腸の不快感まで「空腹の波」に入れない

食べていない時のお腹の感覚を、全て同じ空腹だと扱うのも正確ではない。健康な若い成人12人を対象にした無作為化二重盲検試験では、十二指腸へ酸または生理食塩水を注入して、消化管運動と不快感を同時に調べている。二重盲検とは、比較の条件を参加者と評価側に分からなくして調べる方法である。若い健康な成人の結果でも、18〜39歳の女性の日常の不調へそのまま当てはめるには、酸を注入する実験条件との違いがある。[10]

酸を注入した条件では、不快感、膨満感、吐き気、みぞおちの焼ける感じの採点が有意に高かった。一方、空腹期の第Ⅲ相が現れることや続く時間には差がなかった。症状が強いことと、強い収縮の段階が増えることは、この実験では重ならなかったのである。[10]

食後の運動にも部位による違いがあり、酸を注入した条件では胃の出口寄りの運動指標が低く、空腸の運動指標は高かった。空腸は十二指腸に続く小腸である。「お腹が落ち着かない」という一言の下に、胃と腸で違う変化が含まれ得ることが分かる。[10]

これは断食中の不調を再現した試験ではなく、十二指腸への酸の注入という実験である。そのため、身近な不快感の原因をこの結果だけで決めない。ただ、「感じ方が強まったから空腹期の収縮も強まったはずだ」と一続きに推測しないためには役立つ。感覚と運動を分けて調べる意義が、ここにもある。[10]

空腹を観察するつもりが、痛みや吐き気まで我慢する競争になっていたら、記録の目的を戻したい。つらい症状がある場合や、食欲の低下が続く場合は医師に相談する対象である。「胃が動いているだけ」と自分で原因を確定しない。研究用の収縮の区分は、受診の代わりになる自己診断表ではない。

研究の対象を見直すことも役立つ。空腹のピークを調べた研究には、自然な収縮を調べる集団、薬理学的に誘発する集団、食物摂取を調べる集団がある。それぞれを同じ参加者の長期経過のようにつなげず、各実験が何を確かめたかを分けて読む。実験をいくつも組み合わせる強みと、日常へ移す際の範囲の両方が見えてくる。[8]

ファスティングという言葉から想像する実践は人によって違う。それに対し、ここで中心にした研究の問いは、空腹時の収縮と空腹感がどう対応するかである。食事を抜く回数や継続期間を選ぶための試験として読むと、問いと答えがずれる。仕組みを知ったあとにも、空腹感だけで生活の食事計画を決める根拠にはしない、という線を残しておきたい。[2][8]

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よくある誤解

「第Ⅲ相なら、どこで始まっても同じくらい空腹になる」という理解は違う。人の研究では、胃の第Ⅲ相では空腹感が高まり、十二指腸の第Ⅲ相では同じ関係が認められなかった。収縮の強さを表す段階と、始まる部位の両方を残して読む必要がある。胃と腸をまとめた見出しほど、本文では場所を確かめたい。[2]

「モチリンの値が上がれば、次の強い収縮も必ず早まる」という理解も支持されない。膵液と胆汁を含む液の注入でモチリンの反応が増えた試験では、次の活動前線までの平均間隔に有意差がなかった。反対に、一酸化窒素の働きに介入した試験では、測定したホルモンが変わらずに腸の運動が変わった。どちらも同じ単純な図式から外れる結果である。[6][19]

「苦い物でモチリンを下げれば、ファスティング中の食欲対策は完成する」という飛躍にも注意したい。モチリンのレビューは、苦味物質がモチリンを減らし、食欲抑制への応用が期待されることを述べている。また、モチリン受容体に働きかける薬剤には臨床応用に至っていないものがある。期待される機序と、日常の食事で実行できる効果が確立した方法を同じ欄に置かない。[1]

胃の第Ⅲ相と空腹感の関連を認めることは、収縮を消す方法を探すことと同義ではない。空腹期の運動には消化管の内容物を先へ進める働きがある。空腹の信号としての役割だけを取り出して、動きそのものを悪者にするのも研究の読み違いになる。[6][7]

今日からできること

  • 食べたい感覚を記すなら、その時のお腹の感覚と、実際に食べた内容を別に書く。健康な15人の摂取試験のように、感覚と食べる行動を分けて見る発想を借りるのである。[8]
  • 研究の数字を見たら、胃からの第Ⅲ相なのか、十二指腸からの第Ⅲ相なのかを確かめる。平均スコア62.5と40.4は、同じ部位の強弱を比べた数字ではない。[2]
  • ホルモンの変化を紹介する情報では、胃腸の運動も測ったかを読む。空腹時の8人の試験は、モチリンの反応が増えても運動パターンが変わらない例である。[19]
  • 不快感や吐き気を、空腹の採点とひとまとめにしない。健康な12人の実験でも、症状の増加と第Ⅲ相の出現・持続は同じ変化を示さなかった。症状がある場合の判断は医師に相談する。[10]
  • 「空腹期の研究」という言葉を見ても、そのまま長い断食の実践法として使わない。健康な14人で空腹のピークを調べた研究が答えたのは、収縮と空腹感との関係である。断食を延ばす目標に変換しない。[8]

空腹を記録するなら、食べたくなった理由を全て説明しようとしなくてよい。「胃が収縮したからだ」と後から決めるより、感じたことと測っていないことを分けて残す方が、研究の測定に近い。本人が感じる食欲と、機器で記録する圧と、採血で調べるホルモンは、それぞれ違う窓から見た情報なのである。[2][6][19]

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

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参考文献

[1] Physiological functions and potential clinical applications of motilin — Mori H, Verbeure W, Tanemoto R, Sosoranga ER, Jan Tack., 2023, Peptides. DOI: 10.1016/j.peptides.2022.170905

[2] Motilin-induced gastric contractions signal hunger in man — Tack J, Deloose E, Ang D, Scarpellini E, Vanuytsel T, Van Oudenhove L, Depoorter, 2016, Gut. DOI: 10.1136/gutjnl-2014-308472

[5] The influence of gastric motility on the intraluminal behavior of fosamprenavir — Braeckmans M, Brouwers J, Masuy I, Servais C, Tack J, Augustijns P., 2020, European journal of pharmaceutical sciences : official journal of the European Federation for Pharmaceutical Sciences. DOI: 10.1016/j.ejps.2019.105117

[6] Nitric oxide regulation of migrating motor complex: randomized trial of N(G)-monomethyl-L-arginine effects in relation to muscarinic and serotonergic receptor blockade — Halim MA, Gillberg L, Boghus S, Sundbom M, Karlbom U, Webb DL, Hellström PM., 2015, Acta physiologica (Oxford, England). DOI: 10.1111/apha.12554

[7] Redefining the functional roles of the gastrointestinal migrating motor complex and motilin in small bacterial overgrowth and hunger signaling — Deloose E, Tack J., 2016, American journal of physiology. Gastrointestinal and liver physiology. DOI: 10.1152/ajpgi.00212.2015

[8] The motilin receptor agonist erythromycin stimulates hunger and food intake through a cholinergic pathway — Deloose E, Vos R, Janssen P, Van den Bergh O, Van Oudenhove L, Depoortere I, Tac, 2016, The American journal of clinical nutrition. DOI: 10.3945/ajcn.115.113456

[9] The migrating motor complex: control mechanisms and its role in health and disease — Deloose E, Janssen P, Depoortere I, Tack J., 2012, Nature reviews. Gastroenterology & hepatology. DOI: 10.1038/nrgastro.2012.57

[10] Prolonged duodenal acid perfusion and dyspeptic symptom occurrence in healthy volunteers — di Stefano M, Vos R, Vanuytsel T, Janssens J, Tack J., 2009, Neurogastroenterology and motility. DOI: 10.1111/j.1365-2982.2009.01274.x

[19] Pancreaticobiliary juice releases motilin during phase I of the migrating motor complex in man — Nilsson I, Svenberg T, Hellström PM, Theodorsson E, Hedenborg G, Modlin IM., 1993, Scandinavian journal of gastroenterology. DOI: 10.3109/00365529309096049

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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