
筋力が変わることと、開く範囲が変わることは別である
内ももの練習を振り返るとき、力がついたことと、脚を広く開けるようになったことを、同じ変化として扱いたくなる。だが、両方を測った試験では結果が一致するとは限らない。鼠径部の内転筋関連痛がある男性サッカー選手30人を無作為に分けた試験は、その違いを考える材料になる。痛みのある男性競技者が対象なので、18〜39歳の女性に成果の大きさや運動手順をそのまま当てはめることはできない。[13]
試験では、通常のリハビリにコペンハーゲン内転運動を加える群と、加えない群を比べた。両群とも週2回、8週間のプログラムを行った。追加群では、筋肉が伸ばされながら力を発揮する遠心性内転筋力がより改善し、体重あたりの群間平均差は0.49 Nm/kgだった。一方、股関節可動域の群間差は有意ではなかった。[13]
つまり、この試験では追加運動による筋力の改善と、可動域の追加的な改善は同じ結果にならなかった。内ももの力が増えたのだから脚も同じだけ開くはずだ、という読み方にはならない。対象は痛みのある男性競技者であり、一般の女性が行う自重・自由重量の練習へ、運動の種類や成果の大きさまで置き換えることもできない。[13]
逆に、動きやすさを扱った研究もある。内転筋に硬さがある健康な人54人を対象とした無作為化比較試験では、動きを伴う関節への操作とストレッチを組み合わせる方法、筋膜リリース、通常のストレッチを比較した。介入直後には各群で改善がみられ、操作とストレッチを組み合わせた方法で、股関節外転可動域などの改善がより大きかった。[15]
こちらの問いは、直後の開きやすさがどう変わるかである。筋肥大のレビューとは評価対象も時間の見方も違う。ストレッチのあとに動ける範囲が変わったという結果を、内転筋が育った証拠として使うことはできない。反対に、筋肉の成長に有利な反復範囲を示す研究だけで、柔軟性の変化を説明することもできない。[1][15]
練習帳を分けて書くなら、「扱える負荷や動作」「開いて戻せる範囲」「その日に感じたこと」を別々の欄にする発想が役立つ。これは新しい運動処方ではなく、研究が分けて測った成果を混ぜないための記録案だ。「今日は効いた」の短いひと言を、何が起きたのか確かめられる文章へ変えていく。[13][15]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
他人の広さを、自分の正解にしない
健康でけがのない成人の股関節可動域を調べた系統的レビューとメタ分析には、38研究、計3,234人が含まれた。女性は片脚の跳躍と片脚スクワットで、男性より股関節の内転が平均で大きく、平均差はそれぞれ4.5°と4.4°だった。一方、外へ開く外転や伸展、外旋には、著者らが臨床的に意味があるとした性差はなかった。[14]
この結果が示すのは、動作によって集団平均の差の現れ方が違うということである。「女性は股関節が全部柔らかい」という一言では表せない。片脚で体を支える場面の内転角度を、自重の内もも運動での開始位置に変換することもできない。姿勢と課題が変われば、測っている問いも変わる。[14]
スタジオで隣の人より脚が開かないと気になっても、その見た目だけを基準に自分の運動範囲を決めない。集団平均を個人の達成目標にせず、同じ人が同じ動作で比べられる記録に戻す。メタ分析の性差は比較条件を意識する手掛かりであり、全員に同じ角度を要求する根拠ではない。[14]
動作の区別は、走る場面にも必要だ。レクリエーションとして走る11人を調べた研究では、疲労時に股関節の内転のピーク値が増えた。一方、16研究を統合した系統的レビューとメタ分析では、走行による疲労で股関節内転のピーク角度は変わらないという強い証拠が得られた。小規模研究の結果と統合結果が一致しない例である。対象は走行中のランナーであり、18〜39歳の女性の内ももの筋トレに、そのまま当てはめることはできない。[4][11]
したがって、疲れたら必ず脚が内へ入ると決めつけることはできないし、走行中に脚が内へ入る動きを、内ももの筋トレの成功と呼ぶこともできない。ここで紹介した走行研究は、疲労時の動作を観察する問いであり、全範囲の内転運動による筋肥大を検証したものではない。脚が内へ動くという共通点だけで研究をつながないことが大切になる。[1][4][11]
こうした区別は遠回りに見えるが、運動の情報を選ぶときには役立つ。「女性」「股関節」「内転」という単語がそろった説明でも、片脚スクワット、走行、筋トレの反復では同じ答えを得られない。自分が知りたいのは脚を寄せる反復の範囲である、と問いを置き直すだけで、使える情報の輪郭がはっきりする。[1][14]

よくある誤解
「閉じた位置を強く意識すれば、全範囲を動かすより筋肉が育つ」とは言い切れない。レビューの内転筋の比較では、全可動域が終わり側の部分反復より有利だった。閉じる手前の感覚を否定する必要はないが、その感覚の濃さを筋肥大の比較結果より上に置く根拠にはならない。成果を判断するときは、何を測って結論にしたのかへ戻る。[1]
「部分反復は全部意味がない」も誤りだ。大腿直筋や上腕三頭筋では、特定区間の部分反復が全可動域より有利だった比較がある。重要なのは、部位と区間を省略しないことだ。内ももの終わり側だけの反復に関する結果から、他の筋肉の長い筋長で行う反復まで一緒に否定することはできない。[1]
「脚が大きく開くようになれば、内ももの筋力も同じだけ増えたはずだ」という見方も分けて考えたい。可動域の即時変化を調べた試験と、筋力の変化を調べた試験では成果指標が異なる。男性競技者の試験では、内転運動を追加した群の筋力はより改善したが、可動域の群間差は有意ではなかった。動かしやすさと力を出す能力を、同じものさしに載せないことが肝心だ。[13][15]
今日からできること
- 反復を振り返るときは、閉じたかどうかに加え、どこから戻したかを書く。11研究を集めたレビューも全範囲と部分範囲、さらに区間を分けて比較している。[1]
- 小刻みな動きを選ぶ説明では、始まり側・中間・終わり側のどれかを確かめる。筋肥大の結果は部位と区間で異なるため、「部分反復」のひと言で評価しない。[1]
- 開く範囲と出せる力の記録を分ける。週2回・8週間の男性競技者の試験で筋力と可動域の群間結果が異なったことは、期間や方法の推奨ではなく、成果を分ける実例として読む。[13]
- 隣の人と開脚の広さを競う代わりに、自分の同じ動作を言葉で残す。3,234人の統合結果で示された性差も、動作ごとに異なる集団平均である。[14]
- 痛みが関わる場合は、動く範囲を増やす自己判断より医師への相談を優先する。鼠径部痛のある競技者のリハビリ試験を、そのまま自宅で行う運動の手順にはしない。[13]

オンザショアで、練習を予定に置く
動かす範囲を意識して運動を続けるなら、まず通う時間と場所を生活の中に置きたい。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休である。朝と仕事帰りのどちらを使うか、生活の予定と合わせて考えられる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。運動を続ける場所を選ぶ際には、種目と通える時間を照らし合わせたい。
参加条件も予定を立てる前に確認したい。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方が参加できるのは常温のマタニティヨガで、溶岩ホットヨガには参加できない。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。持ち物と予定を確認する入口として利用できる。内容は店のトップ、費用は料金ページ、体験の予定は予約ページで確認できる。
参考文献
[1] Which ROMs Lead to Rome? A Systematic Review of the Effects of Range of Motion on Muscle Hypertrophy — Kassiano W, Costa B, Nunes JP, Ribeiro AS, Schoenfeld BJ, Cyrino ES., 2023, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000004415
[4] Neuromuscular and trunk control mediate factors associated with injury in fatigued runners — Glover NA, Chaudhari AM., 2024, Journal of biomechanics. DOI: 10.1016/j.jbiomech.2024.112176
[11] Effects of running-induced fatigue on joint kinematics and kinetics during overground running: a systematic review and meta-analysis — Trowell D, Kenneally-Dabrowski C, Bonacci J., 2025, Sports biomechanics. DOI: 10.1080/14763141.2024.2353390
[13] The effectiveness of the Copenhagen adduction exercise on improving eccentric hip adduction strength among soccer players with groin injury: a randomized controlled trial — Alsirhani AA, Muaidi QI, Nuhmani S, Thorborg K, Husain MA, Al Attar WSA., 2024, The Physician and sportsmedicine. DOI: 10.1080/00913847.2024.2321958
[14] Hip Range of Motion During Passive and 1-Leg Exercises Is Greater in Women: A Meta-analysis and Systematic Review — Freiberger C, Thomas CM, Lupica GM, O’Connell S, Stamm MA, Mulcahey MK., 2024, Arthroscopy : the journal of arthroscopic & related surgery : official publication of the Arthroscopy Association of North America and the International Arthroscopy Association. DOI: 10.1016/j.arthro.2023.04.006
[15] Immediate effect of MWM adductor stretch, myofascial release, and conventional stretching in asymptomatic individuals with hip adductor tightness: A randomized controlled trial — Metgud SC, D’Silva PV, Kamat PS., 2022, Journal of bodywork and movement therapies. DOI: 10.1016/j.jbmt.2022.04.006
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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