
同じ骨盤運動でも、体の条件で答えが違う
活動的な男性46人を対象にした横断研究では、内反膝がある23人と対照の23人で、ペルビックドロップと壁を押す運動を比較した。内反膝とは、膝の間が開く配列を指す。対照群では壁を押す運動を外旋位で行うと中殿筋と大腿筋膜張筋の活動比が高かったが、ペルビックドロップでは回旋による活動比の差がなかった。[16] 男性を対象とした結果であり、18〜39歳の女性に同じ回旋位置が適するかは、この比較だけでは判断できない。
内反膝群では、ペルビックドロップと壁を押す運動の双方で、内旋位の中殿筋活動が増え、中殿筋と大腿筋膜張筋の活動比も内旋位で高かった。[16] 同じ「脚の向きを変える」という操作でも、どの運動を、どの対象者が行うかで結果が変わっている。健康な人の平均値を、そのまま自分の脚の配列を直す方法に読み替えることはできない。
この研究は横断的に条件の違いを測ったものであり、内向きで練習を続けると脚の形が変わることを示す試験ではない。[16] 鏡に映った膝の位置から自分で群分けし、研究で高かった角度へ強くねじる、という使い方も避けたい。自分に必要な運動は、膝の見た目だけで選ばずに相談したい。
さらに、健康な成人男性20人を比べた研究では、片脚スクワット、ペルビックドロップ、ヒップエアプレーン、その修正版で筋活動を測った。ヒップエアプレーンは片脚で体を支えながら骨盤を回す動きを含む運動である。中殿筋活動は通常版と修正版のヒップエアプレーンで、比較した従来の運動より高かった。一方、大腿筋膜張筋の活動はペルビックドロップで最も高かった。[5] 成人男性の測定結果を、18〜39歳の女性の種目選びにそのまま当てはめるには検証が必要だ。
修正版では、大腿筋膜張筋の活動の低さと、中殿筋との活動比の高さが併せて認められた。ただし、通常版と修正版で中殿筋自体の活動には有意差がなかった。[5] ここで有用なのは、分母にあたる筋肉の活動が変わっても比率は変わる、という読み方だ。比率が高いから中殿筋の活動が必ずさらに増えた、と言い換えてはいけない。
自宅で取り入れる動きを考えるときは、運動名とともに、支える姿勢や骨盤を動かす方向も確認したい。自分の目的が中殿筋の活動なのか、ほかの筋肉との分担なのかを言葉にすると、何を参考にできるかがはっきりする。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
お腹の力やテープで「効き方」を決められるか
健康な女性20人に、腹部の収縮を自然に任せる場合と、内腹斜筋・腹横筋の収縮を強める場合で股関節運動を行ってもらった研究がある。内腹斜筋と腹横筋は腹部にある筋肉である。股関節を伸ばす運動、クラム、片脚での立ち座り、ペルビックドロップの各局面で、お尻や太もも裏の筋活動が増える結果がみられた。[15]
増加幅の1.7〜7.2という値は、最大随意等尺性収縮を基準とした筋活動の割合の差である。[15] 腹部への指示が変わると、股関節を動かす際の筋肉の活動も変わる。骨盤だけに視線を集めず、腹部にどんな指示があったかを確かめる理由になる。
日常の指導で「お腹も意識する」と言われたとき、この研究は声かけの背景を考える手がかりになる。ただし、腹部の収縮を強めた条件と、単に息を止めて力むことを同じものとして扱うことはできない。練習のメモには、お尻の感覚だけでなく、どんな指示を受けて動いたかも残すと、次回に同じ条件を振り返りやすい。
道具を加えた場合も、条件を比べる姿勢が必要だ。健康な90人、平均年齢21.79歳の無作為化比較試験では、伸縮性テープ、硬いテープ、プラセボのテープを用い、中殿筋活動を測った。貼る前、直後、48時間後に、ペルビックドロップを含む運動が評価されたが、どの測定時点でもテープの群の間に有意差はなかった。[1]
貼った直後には各群で活動増加がみられたため、「直後に上がった」という部分だけなら魅力的に見える。しかし、プラセボ群を含めて群間差がなかったことを一緒に読む必要がある。[1] テープを貼った実感があっても、その種類に固有の優位性が示されたことにはならない。
貼る前の種目比較では、クラムの中殿筋活動が54.12%で最も高く、両脚のブリッジが36.35%で最も低かった。[1] これはこの試験で比較した種目と測定条件の中の順位である。テープの効果を調べる前から、種目によって活動量が異なっていた点にも目を向けたい。[1]

よくある誤解
「骨盤が動いたら、お尻が働いていない」という見方は単純すぎる。骨盤を意図的に上下させるペルビックドロップそのものが、中殿筋の筋活動を調べる運動として使われている。[9][20] 静かに骨盤を保つ課題と、骨盤を動かす課題では、目指す動作が異なる。上下させるよう指示された場面で、動いたことだけを失敗の印にしてはいけない。
「つま先を外へ向ければ中殿筋に集中できる」とも言い切れない。健康な17人の比較では、外旋位より内旋位と中間位で中殿筋活動が高く、中殿筋と大腿筋膜張筋の比には差がなかった。[9] 一方、外旋方向への力を加えた研究では、中殿筋活動を増やす可能性が示唆されている。[6] 向きと力を区別すると、表面上は反対に見える結果を無理なく読める。
「膝が痛い人は、この運動でお尻が働かない」という決めつけもできない。軽い膝蓋大腿痛のある女性と対照女性の観察研究では、中殿筋活動に群間の有意差がなかった。[19] ランナーの比較研究でも、膝蓋大腿痛がある21人とない20人の全体では、骨盤の落ち込みや殿筋の筋活動、下肢筋力などによく想定される群間差は認められなかった。[17] 膝の痛みがあるランナーを含む比較であり、18〜39歳の一般女性の日常動作にも同じ結果が当てはまるかは別に確認する必要がある。
後者では、性別や足の着き方による部分集団を調べると違いが現れた。[17] 痛みの有無だけで筋活動を一律に推測することは難しい。運動中の痛みを「弱いお尻が働き始めた証拠」と解釈せず、個別の健康状態については医師に相談する。研究の平均値は、目の前の痛みに名前を付ける道具ではない。
今日からできること
- 動画やレッスンの種目名だけで選ばず、骨盤を動かす課題か、位置を保つ課題かを確かめる。15人の研究でも、異なる荷重運動で中殿筋の活動の仕方が変わった。[20]
- 骨盤の上下運動を教わる際は、脚の向きと力のかけ方を別々に確認する。17人の回旋位置の比較では、外向きより正面と内向きで中殿筋活動が高かったが、正面と内向きには有意差がなかった。[9]
- 練習の記録には、運動名に加えて腹部への指示を残す。健康な女性20人の比較では、腹部の収縮条件によって股関節運動中の筋活動が変わった。[15]
- 道具を買う前に、道具を使わない条件や対照条件との違いを見る。90人の試験では、テープの種類による中殿筋活動の群間差はなかった。[1]
- 研究の回数を自分の処方へ写さない。17人の研究で用いた2セット・各4回は回旋位置を比較する実験の条件であり、日常で筋力を伸ばす最適回数を示したものではない。[9]
記録するなら「今日はお尻に来た」で終えず、どちらの脚で支え、脚をどちらに向け、どんな指示で動いたかを短く添えたい。次の練習で感覚が違っても、すぐに成功と失敗へ振り分けず、変えた条件を見直せる。これは研究で測った効果を約束する方法ではなく、自分が行った動きを曖昧にしないための工夫である。

オンザショア立川店を、続ける場所の候補に
骨盤の上下運動を含め、動く時間を暮らしのどこに置くかは、種目を選ぶこととは別に考えたい。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、営業時間は8:00〜23:30で年中無休である。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。通勤や買い物の動線と照らし合わせ、通う場所の候補として検討できる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITもある。研究で比較された骨盤運動と、当店のレッスンを同じものとして扱うことはできない。ここでは、運動を続けるための場所と時間の選択肢として紹介する。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件を確かめたうえで、体験の日程を考えたい。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。料金と店の案内を確認し、体験予約で予定を検討できる。
参考文献
[1] Effects of Kinesio Taping and Rigid Taping on Gluteus Medius Muscle Activation in Healthy Individuals: A Randomized Controlled Study — Zaworski K, Baj-Korpak J, Kręgiel-Rosiak A, Gawlik K., 2022, International journal of environmental research and public health. DOI: 10.3390/ijerph192214889
[5] Effects of modified hip airplane exercise on gluteal muscle activation in healthy individuals — Song JK, Yoo WG., 2025, Journal of back and musculoskeletal rehabilitation. DOI: 10.1177/10538127251322857
[6] Effect of external isometric hip rotation force on lower extremity muscles activities during pelvic drop with different hip positions — Piran RJ, Babakhani F, Balouchi R, Hatefi M., 2022, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-022-26472-9
[9] Hip Rotations’ Influence of Electromyographic Activity of Gluteus Medius Muscle During Pelvic-Drop Exercise — Monteiro RL, Facchini JH, de Freitas DG, Callegari B, João SM., 2017, Journal of sport rehabilitation. DOI: 10.1123/jsr.2015-0097
[15] Abdominal muscle recruitment and its effect on the activity level of the hip and posterior thigh muscles during therapeutic exercises of the hip joint — Tsang SMH, Lam AHM, Ng MHL, Ng KWK, Tsui COH, Yiu B., 2018, Journal of electromyography and kinesiology : official journal of the International Society of Electrophysiological Kinesiology. DOI: 10.1016/j.jelekin.2018.06.005
[16] The influence of hip rotations on muscle activity during unilateral weight-bearing exercises in individuals with and without genu varum: A cross-sectional study — Letafatkar A, Hatefi M, Babakhani F, Abbaszadeh Ghanati H, Wallace B., 2020, Physical therapy in sport : official journal of the Association of Chartered Physiotherapists in Sports Medicine. DOI: 10.1016/j.ptsp.2020.03.009
[17] Lower limb control and strength in runners with and without patellofemoral pain syndrome — Esculier JF, Roy JS, Bouyer LJ., 2015, Gait & posture. DOI: 10.1016/j.gaitpost.2015.02.020
[19] No difference in gluteus medius activation in women with mild patellofemoral pain — O’Sullivan K, Herbert E, Sainsbury D, McCreesh K, Clifford A., 2012, Journal of sport rehabilitation. DOI: 10.1123/jsr.21.2.110
[20] Electromyographic analysis of the three subdivisions of gluteus medius during weight-bearing exercises — O’Sullivan K, Smith SM, Sainsbury D., 2010, Sports medicine, arthroscopy, rehabilitation, therapy & technology : SMARTT. DOI: 10.1186/1758-2555-2-17
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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