プロテインはキヌア由来でも補える?粒と抽出粉で違う含有量と消化率を読む

キヌア由来のプロテインを選ぶとき、穀粒の栄養と抽出した粉の数字は分けて読む必要がある。純度の高い粉が必ず消化されやすいとは限らない研究や、加熱・乾燥で変わる性質を紹介する。試験管内の消化と動物試験の違いも確かめ、含有量だけで決めない表示の読み方を考える。

夕飯のサラダに入れるキヌアと、シェイカーに入れるキヌア由来の粉。同じ植物の名前が付いていても、粒を盛る皿と粉を量る容器では、確かめたい中身が違う。抽出方法を比べた実験では、たんぱく質の純度が87.1%の分離物より、27.8%の濃縮物の方が、試験管内の胃消化で消化されやすかった。含有量の大きい数字だけでは決まらないのである。[5]

キヌアのたんぱく質は食品原料として使える候補であり、その構造や栄養面の性質は加工によって変わる。したがって「キヌア由来でも補えるか」への答えは、原料になり得るが、粒の話と粉の話、含有量と消化の話を分けて判断する、である。[8] 粉の純度を、そのまま自分の体で利用できる割合と読まないことが出発点だ。

既存の「ダイエットのキヌアはよく洗うほどよい?苦味成分と栄養の流出を研究で読む」には、穀粒を洗う場面の問いを譲る。ここで追うのは、粒からたんぱく質を取り出し、熱を加え、乾かしたときに何が変わるかである。シェイカーへ粉を入れる前に、まずそれがどういう材料なのかを確かめたい。

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キヌアの粒と分離したたんぱく質は同じではない

キヌアたんぱく質の組成と構造を整理したレビューでは、幅広いアミノ酸組成、なかでもリシンに富む特徴が述べられている。アミノ酸はたんぱく質を構成する成分であり、この研究で重要なのは「植物の名前」だけでなく、そのたんぱく質の中身に目を向けていることだ。さらに酵素的、化学的、物理的な処理が、分離したたんぱく質の構造や栄養・食品加工上の性質に影響するとされる。[8]

このレビューでは、成熟した種子のたんぱく質のうち、ケノポディンと呼ばれるグロブリンが約37%、アルブミンが35%を占める。どちらもキヌアの種子に含まれるたんぱく質だが、その構造のまとまり方まで含めて研究対象になっている。袋に書かれた含有量は、こうした構造の違いまでは表していない。[8]

穀粒を食べる場面と、分離した原料を飲料に混ぜる場面は区別しておきたい。抽出の研究で比較されているのは、粒から得た分離物や濃縮物である。穀粒をそのまま食べた人の消化率と、抽出粉を飲んだ人の消化率を直接比べた結果として読むものではない。[5] サラダの粒を見て、粉の研究の数値をそのまま当てはめないということだ。

表示を見る側にも順序がある。原材料として何が使われているのかを確かめ、そのうえで手に取った食品のたんぱく質量を見る。「キヌア入り」と「キヌアから分離したたんぱく質を主に使う」は、買う側が同じ意味にまとめない方がよい言葉だ。研究でも、取り出し方が違えば原料の純度と消化の結果が違っている。[5]

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高純度の粉が消化でも上位とは限らない

抽出方法を比べた食品科学の実験では、水を使う湿式分画で、乾燥重量当たりの純度87.1%のキヌアたんぱく質分離物が得られた。一方、粉砕とふるい分けによる乾式分画で得られた濃縮物の純度は27.8%だった。分離物はたんぱく質を高い割合で集めた試料であり、濃縮物はこの実験ではそれより純度が低い試料である。[5]

ここでいう純度は、乾いた試料のうち、どれほどがたんぱく質なのかという数字だ。研究では回収率も示され、湿式は約54%、乾式は約47%だった。こちらは原料から取り出す工程の成績である。純度と回収率はどちらも割合で表示されるが、問うている対象が違う。回収率を、飲んだ後に体へ吸収される割合と読み替えてはいけない。[5]

さらに、両試料を試験管内で胃の消化条件に置き、加熱による前処理も検討したところ、濃縮物の方が分離物より有意に高い消化性を示した。研究者は、濃縮物では前加熱の際に大きな凝集体ができるのを避けられたことから、この違いを説明している。凝集体とは、たんぱく質が集まった大きな塊のことだ。[5]

この結果は、「純度が低い方を買えばよい」という買い物の順位表ではない。比較された抽出方法と試料の組み合わせでは、純度の高さと胃消化のしやすさが同じ方向に並ばなかった、という結果である。[5] 同じ重さの粉に含まれる量を重視する問いと、消化の条件を重視する問いを、別々に立てる必要がある。

例えば、売り場で高純度という言葉を見たら、まず「粉に占める割合の話だ」と置き直す。そのあとで、消化に関する説明が何を測ったものなのかを見る。この実験の消化性は、試験管内で胃の条件を再現した酵素消化モデルで、試料がどのように分解されるかを調べたものだ。[5] 胃の条件での分解を扱う評価と、食べた後の小腸まで追う評価は測定する範囲が違う。後で紹介するブタの試験は、小腸の終わりでアミノ酸の消化を評価している。[2] 試験管には吸収を担う腸も、吸収後に栄養を使う体もなく、試料の分解から吸収や筋肉での利用までを一続きに測った数字にはならない。18〜39歳の女性の消化吸収へそのまま当てはめず、加工した試料を同じ実験条件で比べる情報として読む。

乾式分画については、粉砕とふるい分けだけで処理し、たんぱく質を自然な構造の状態に保つ点も述べられている。湿式と乾式の比較は、最終的な含有量を変えるだけでなく、その後に熱を受けたときの振る舞いまで含む比較だった。[5] 加工が多いか少ないかという印象だけで選ぶより、どの工程で何を変えたのかを見る方が、この実験には合っている。

また、この研究では、消化されやすい部分の割合も濃縮物の方が高かった。単に最終的な数値を比べるだけでなく、消化が進む過程をモデルで捉えている。[5] 同じ植物から取り出した粉でも、消化のされ方には内部の構造が関係するという見方だ。原料名が同じなら条件も同じ、と省略してしまうと、この比較の面白い部分が消えてしまう。

加熱で変わるが家庭の調理時間には置き換えない

熱処理を比較した実験では、キヌアたんぱく質分離物に、通常の沸騰加熱、高圧下の沸騰加熱、焼成を施した。いずれも、人に飲ませる試験ではなく、原料の構造や食品としての性質、試験管内での消化性を調べた研究である。熱処理により、たんぱく質の構造がほどける変化が生じ、消化性も未処理の対照より改善した。[4]

この実験では高圧下で処理した試料の消化率が最も高く、88.26%に達した。また、その試料の必須アミノ酸含有量は497.17 mg/gだった。必須アミノ酸という成分の量と、消化率という割合が、別の指標として報告されている点に注意したい。数字が近くに並んでも、どちらか一方がもう一方を表すわけではない。[4]

熱で変わったのは消化性だけではない。溶けやすさ、油を保持する性質、乳化の指標、乳化の安定性、ゲルの強さも改善し、この実験では高圧下の沸騰加熱、通常の沸騰加熱、焼成、未処理の順となった。乳化とは、水と油を細かく混ざった状態にすることを指す。飲料や加工食品に使いやすい原料を作るための研究でもある。[4]

一方、前の抽出実験では、加熱時に大きな塊を作らないことが消化性の違いを説明していた。[5] 熱処理で改善した実験と、塊のでき方に着目した実験を合わせて読むと、「熱を加えれば常に同じ結果」にはならない。出発する原料と加工方法を含めて、結果を受け取る必要がある。[4][5]

そのため、88.26%という数値を見て、家庭で粉を長く煮れば同じ割合になると期待するのは飛躍だ。対象は特定の条件で処理された分離物である。[4] 夕食のスープに混ぜるか、冷たい飲料にするかという使い方は、食品としての説明に沿って考えたい。論文の加工条件を、台所の加熱の強さを競う課題にしなくてよい。

熱処理の実験では、たんぱく質の折り畳まれた構造のうち、らせん状の部分が減り、別の折り畳み方の部分が増える変化も調べている。さらに、水となじみにくい部分が表面に現れやすくなった。[4] 消化性の向上は、単に粉が温まったという説明にとどまらず、こうした構造の変化と並べて検討されているのである。

この層を知っておくと、加工食品の説明の受け止め方も変わる。「加熱済み」という短い表示から、研究で比較したすべての構造の変化を推測することはできない。熱処理した分離物の実験結果は、その試料の性質を説明するものとして使う。[4] 原料の研究に詳しくなることと、家庭で同じ処理を再現することは、別々に考えられる。

数字で読むキヌアたんぱく質の加工

87.1%と27.8%:湿式分画の分離物と乾式分画の濃縮物の純度。乾燥重量当たりで、消化率ではない。[5]

約54%と約47%:同じ抽出比較でのたんぱく質回収率。原料から取り出す工程の指標である。[5]

88.26%:高圧下で加熱した分離物が示した、試験管内の消化率の最高値。[4]

91.6%と94.9%:キヌア粉とエンドウ豆たんぱく質の混合物で、押出加工の前後を比べた必須アミノ酸の真の回腸消化率。ブタの試験である。[2]

80%と89%:同じ混合物の加工前後の消化性必須アミノ酸スコア。年長児・青年・成人向けの参照値を使った評価である。[2]

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