
動きの大きさは、疲労や課題によって変わる
Weeksらは、健康な20〜40歳の男女60人で片脚スクワットを調べた。脚を疲労させる運動の前後を比較すると、体幹の前への傾き、横への傾き、回転が増え、骨盤の前後の傾き、左右の傾き、回転も増えた。膝への影響は小さい一方で、体幹と骨盤には変化が現れた。腰の揺れだけを見れば、同じ人でも運動前後で違う評価になり得る。18〜39歳の女性と年齢が重なる男女の研究だが、片脚課題の結果を両脚の自重スクワットへ直接広げるには検証が要る。[10]
この研究の片脚スクワットでは、骨盤回転の最大値は男性が平均3.9°、女性が7.7°であり、女性の方が大きかった。先ほどの画像研究では両脚の自重スクワットに男女差を認めなかったが、ここでは片脚で支える別の課題を用いている。結果を「女性の骨盤は歪みやすい」という物語へまとめるのは不適切である。課題も測定項目も異なる結果として並べて読む必要がある。[3][10]
中央線で立って帰った日の脚と、休んだ日の脚を比べたくなることもある。ただし、この研究が確かめたのは、実験で脚を疲労させる運動を行う前後の変化である。通勤後の骨盤の角度は、この実験の測定対象ではない。生活場面への応用は、動画を比べるときに「何をした後か」を書き添える、という観察の工夫にとどめたい。[10]
別の研究では、健康な14人の歩行と片脚スクワットなどを比べた。片脚スクワットでは、歩行より股関節の前後方向の動きが大きく、横方向の動きが小さかった。対象は症状のない若者であり、18〜39歳の女性だけの特徴を示した比較ではない。しゃがむ動作と歩行では、目立つ特徴も分けて捉えたい。駅までの歩き方が気になる人に、片脚スクワットの動画だけで答えを出すのは早い。[6]
片脚スクワットと、片脚で小さく沈むディップテストを調べたPerrottらの研究も参考になる。レクリエーション競技者62人を臨床基準で分類し、良好な8人と不良な14人の動きを比較した。両課題では動作の滑らかさが群を分け、片脚スクワットでは骨盤の回転や体幹の横への傾き、ディップテストでは骨盤の左右の傾きなどが評価と対応していた。競技者を比較した結果であり、運動経験が異なる18〜39歳の一般女性にも同じ評価が当てはまるかは別に確かめる必要がある。[7]
つまり、評価の名前が同じ「安定性」でも、どの課題で何が見えたかを残す必要がある。「骨盤が不安定」というラベルだけでは、しゃがむ間の回転を指すのか、支える側と反対側の上下差を指すのか伝わらない。研究で区別した動作を日常の記録でも区別する方が、次に相談するときの材料になる。[7]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
動画で動きを捉える精度と、けがを予測する力は違う
正面動画は、動きを観察する手がかりになる。思春期の女子バレーボール選手41人を調べた研究では、片脚スクワットや着地などの動画評価を、立体的な動作解析と比較した。膝が靴の内側の縁より内側にあるという評価項目は、骨盤の左右の傾き、股関節の内側への動き、足首や足の向きといった複数の立体的な特徴と関連していた。思春期の競技者の結果なので、18〜39歳の一般女性への適用には年齢と競技経験の違いを考慮する必要がある。[4]
この項目の識別性能を示す曲線下面積は、比較する項目によって0.67〜0.93であった。曲線下面積は、区別したい特徴をどの程度見分けられるかを表す指標である。ただし、ここで見分けようとしたのは解析装置で測った動きの特徴であり、将来けがをする人ではない。「動画と立体計測が対応する」から「動画でけがを当てられる」までには、別の検証が必要になる。[4]
その区別を示すのがNilstadらの前向き研究である。女性のハンドボール選手とサッカー選手を対象に、開始時の片脚スクワットと着地の正面動画を記録し、その後の非接触性の前十字靱帯損傷を追った。解析対象は損傷なし722人と損傷あり56人であった。骨盤の横への傾き、膝の内向きの位置、左右差などでは、損傷者と非損傷者を判別できなかった。対象はエリート競技者であり、18〜39歳の一般女性のけがのリスクを、この結果だけで判断することはできない。[9]
この集団に対して「正面から見た膝や股関節の制御で、将来の非接触性損傷を見分けられる」という期待は否定された。一方で、あらゆる運動評価が不要だと結論する研究ではない。今の動作を説明する検査と、その後のけがを予測する検査では、成功の基準が違うのである。動画の膝が内へ動いたという事実だけで、未来のけがまで宣告しない。[9]
評価する人の一致にも限界がある。健康な軍関係者22人の片脚スクワットを理学療法士5人が評価した横断研究では、股関節の内側への動きと体幹の前傾は比較的一致しやすかったが、ほかの個別項目の一致はおおむね低かった。立体計測との対応も、個別評価75項目のうち一致度の係数が0.40を超えたものは6項目だった。対象は軍関係者であり、18〜39歳の一般女性の動画評価でも同じ一致度になるかは別途検証が必要である。[13]
同じ研究は、同じ評価者が繰り返し見る使い方を支持している。これはスマホの動画を専門家の検査と同一視してよいという意味ではない。自分の記録であれば、異なる人の採点を集めて安心や不安を増やすより、何がどう見えたかを言葉にして残す方が相談につなげやすい。「骨盤が悪い」より「下降中に腰が右へ向いた」の方が、確かめたい対象が明確になる。[13]

よくある誤解
「腰が横へ動いたら、立っているときから骨盤が歪んでいる」という読み方は飛躍である。健康な人でも動作ごとに股関節の左右差は違い、疲労後には骨盤の動きも変わった。動画の中の変化を説明するには、そのときの課題と状態を含める必要がある。鏡の前に立つときと片脚でしゃがむときを、同じ検査として扱わない。[3][10]
「左右差をなくせば必ずけがを防げる」という予防効果は、ここで扱う研究では確かめられていない。膝の再建手術後では骨盤回転と膝の力学的な左右差が関連していたが、それは予防効果を検証した結果ではない。さらに、女性競技者の正面動画による左右差などは、その後の靱帯損傷を判別できなかった。動きの調整を考えることと、予防を保証することは分けておく。[2][9]
「お尻の筋肉が早く働けば解決する」という単純化にも注意が要る。健康な成人女性20人が片脚の小さなスクワットへ移る場面を調べた観察研究では、中殿筋という臀部の筋肉の準備的な活動量は、骨盤の傾きや膝への力の作用と関連した。一方、活動し始める時点には有意な関連がなかった。開始の早さと活動量は別の情報である。[12]
この研究は筋肉の活動と動作の関連を見た横断研究であり、特定の筋トレで骨盤が整うことを確かめた試験ではない。「お尻を鍛える」と処方を急ぐ前に、痛みの有無、支える脚、動作の局面といった相談の材料を整理したい。筋肉の名前が分かっただけで、本人の動作の原因まで確定することはできない。[12]
今日からできること
- 動画を残すなら、両脚でしゃがんだのか片脚でしゃがんだのかを添える。健康な14人の比較でも、歩行と片脚スクワットで股関節の動く範囲は違った。異なる課題の記録を同じ採点表に混ぜない。[6]
- 疲労前後を区別する。60人の実験では、疲労後に骨盤と体幹の動きが増えた。撮影した日に先に行った運動を書き添え、運動前の記録と無条件に優劣をつけない。[10]
- 「歪み」という採点を急がず、動いた方向と局面をメモする。22人の動画を5人が評価した研究でも項目ごとに一致度が異なったため、相談時には見えた動作を具体的に伝える。[13]
- 自分の動画を健康判定の点数にしない。24人の画像研究が示した左右差は、個人の正常と異常を分ける基準ではない。見つけた差の角度を他人の最大値と競わない。[3]
- 自重スクワットを観察するときは、下降・切り返し・上昇のどこで腰が横へ動くかと、足裏で支える感覚が左右で違うかを別々にメモする。24人の健康な若者の画像研究は動作中の左右差を示したが、足裏の感覚から膝の負担を測った研究ではない。疲れたときの記録は運動前と区別し、見た目をそろえるために回数を重ねない。痛みや運動の可否は医師に相談する。[3][10]

オンザショアで、動く時間を生活の予定に置く
立ち姿の左右差だけで採点せず、動いている間の変化に目を向ける時間を予定に置く。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分の溶岩ホットヨガスタジオである。営業時間は8:00〜23:30、年中無休。仕事や学業の前後に通う場所を考える際は、所在地と営業時間を続ける仕組みの条件として確認したい。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITも行っている。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている場合は利用できない。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。通う予定を組むための案内は店舗トップ、費用の確認は料金ページ、申込みは体験予約から確認できる。
参考文献
[2] Pelvic Rotation Is Associated With Asymmetry in the Knee Extensor Moment During Double-Leg Squatting After Anterior Cruciate Ligament Reconstruction — Ishida T, Samukawa M, Koshino Y, Ino T, Kasahara S, Tohyama H., 2023, Journal of applied biomechanics. DOI: 10.1123/jab.2022-0204
[3] Hip kinematics in healthy adults during gait and squatting: Sex differences and asymmetry revealed through dynamic biplane radiography — Johnson CC, Ruh ER, Frankston NE, Charles S, McClincy M, Anderst WJ., 2022, Journal of biomechanics. DOI: 10.1016/j.jbiomech.2022.111280
[4] A 2D video-based assessment is associated with 3D biomechanical contributors to dynamic knee valgus in the coronal plane — Erdman A, Loewen A, Dressing M, Wyatt C, Oliver G, Butler L, Sugimoto D, Black A, 2024, Frontiers in sports and active living. DOI: 10.3389/fspor.2024.1352286
[6] A Biomechanical Investigation of Selected Lumbopelvic Hip Tests: Implications for the Examination of Walking — Bailey RW, Richards J, Selfe J., 2016, Journal of manipulative and physiological therapeutics. DOI: 10.1016/j.jmpt.2016.04.007
[7] Athletes with a clinical rating of good and poor lumbopelvic stability have different kinematic variables during single leg squat and dip test — Perrott MA, Pizzari T, Opar MS, Cook J., 2021, Physiotherapy theory and practice. DOI: 10.1080/09593985.2019.1655823
[9] Kiss goodbye to the ‘kissing knees’: no association between frontal plane inward knee motion and risk of future non-contact ACL injury in elite female athletes — Nilstad A, Petushek E, Mok KM, Bahr R, Krosshaug T., 2023, Sports biomechanics. DOI: 10.1080/14763141.2021.1903541
[10] Effect of sex and fatigue on single leg squat kinematics in healthy young adults — Weeks BK, Carty CP, Horan SA., 2015, BMC musculoskeletal disorders. DOI: 10.1186/s12891-015-0739-3
[12] The Relationship of Anticipatory Gluteus Medius Activity to Pelvic and Knee Stability in the Transition to Single-Leg Stance — Kim D, Unger J, Lanovaz JL, Oates AR., 2016, PM & R : the journal of injury, function, and rehabilitation. DOI: 10.1016/j.pmrj.2015.06.005
[13] Single leg squat ratings by clinicians are reliable and predict excessive hip internal rotation moment — Barker-Davies RM, Roberts A, Bennett AN, Fong DTP, Wheeler P, Lewis MP., 2018, Gait & posture. DOI: 10.1016/j.gaitpost.2018.02.016
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- 骨盤の歪みは仰向けの脚の長さで分かる?足先のずれと測定の限界を読む
- 骨盤の歪みはレントゲンでわかる?寝た検査と立った姿勢の違いを研究で読む
- 骨盤の歪みが気になる座り方は左右均等にする?座面の圧と自然な揺れを研究で読む
- 骨盤の歪みは腰回しで整うといえる?動かせる方向と姿勢の変化を研究で読む
- インナーマッスルは歌声や声量に関係する?深い腹筋の働きと力みの違いを読む
- インナーマッスルは温めれば緩む?皮膚と深い筋肉の温度差を研究で読み解く
- インナーマッスルと平滑筋は同じもの?内臓の動きと姿勢を支える筋肉の違いを読む
- インナーマッスルのミトコンドリアは特別?筋肉の深さと代謝の測り方を読む
- インナーマッスルは胸式呼吸でも働く?肋骨の広がりと腹筋の分担を研究で読む
- 巻き肩は遺伝で変わらない?生まれつきという印象と姿勢の調整を分けて読む
- 骨盤の歪みが気になる寝方は横向き?膝の間の支えと回転を分けて研究で読む
- 汗をかくとお腹が空くのは水分不足?喉の渇きと空腹の取り違えを研究で読む
- 反り腰はうつ伏せで寝ると反りが増す?腰の角度と腹部の支えを研究で読み解く
- 運動の酸化ストレスは採血の時刻で違う?直後と翌日の数値を分けて研究で読む
- 反り腰で仰向けに寝るときは膝を支える?膝下枕の高さと腰の角度を研究で読む
- 巻き肩で仰向けに寝ると肩は床につく?腕の置き方と距離の意味を研究で読む
- 巻き肩のうつ伏せ寝は腕を上げると違う?肩の位置と圧を分けて研究で読む
- 股関節を柔らかくする外側のストレッチは何を伸ばす?内転角度と組織を読む
- 巻き肩が気になる日の枕は高くする?首の快適さと肩甲骨の位置を分けて読む
- 足首が硬いと捻挫しやすい?曲がる範囲とその後のけがを追った研究を読む
- 足首が硬いと扁平足にも関係する?土踏まずの形と曲がる範囲を分けて研究で読む
- 背中痩せの腕回しは肩甲骨も大きく動かす?円の大きさと筋肉の分担を研究で読む
- 背中痩せの腕立ては手を高い台へ置く?壁と床で変わる肩甲骨の筋活動を読む
- 背中痩せのローラーは横向きでも使える?広背筋と肩の動く範囲を研究で読む
- 反り腰の歩き方は速さでも変わる?立っている腰と歩行中の動きを研究で読む
- 反り腰で床に座るならあぐらにする?正座との違いを安定性と膝から読み解く
- 巻き肩の歩き方は腕を後ろへ振る?肩の位置と自然な腕振りの幅を研究で読む
- 反り腰は生まれつきで決まる?背骨の形の個人差と動かせる姿勢を研究で読む
- 筋肉痛の回復に鍼は役立つ?偽の鍼との比較で痛みと戻る筋力を読み分ける
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2






