基礎代謝を上げるには食べる量を増やす?短期の過食と安静時の消費を研究で読む

基礎代謝を上げるために、食べるカロリーを増やす必要はあるのか。短期の過食、食事制限後の再摂食、安静時のエネルギー消費を調べた研究を読み比べる。消費が増えても余分な摂取を相殺するとは限らない理由と、体重や除脂肪量の変化を含めた数字の受け止め方を考える。

夕食をしっかり食べたあと、「食べる量を増やせば基礎代謝も上がる」という投稿が目に入る。ならば明日の昼も多めに食べるべきか。茶碗を片づけながら、満足して食べ終えたはずの食事を、代謝のために足すべきか考え込んでしまう。

答えの芯は、食べる量を増やして安静時の消費が上がる場合はあるが、その上昇を目的に必要以上に食べる方法は支持できない、である。若い男性で消費の増加を認めた試験もある一方、健康な対照群では短期の過食で有意な増加を認めなかった試験もある。さらに、消費の適応は体重増加を防ぐほど大きくないとする研究がある。[3][4][5]

検索語では「基礎代謝」でも、ここで中心にするのは研究で測られた安静時エネルギー消費である。食後の消費や、安静にしていない時間の消費とは分けて読む。その区別を外すと、「食べたあとに使うエネルギーが増えた」が「いつでも多く消費する体になった」に化けてしまう。[1][5]

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食べた量と、増えた消費は同じ数字ではない

過食の研究でいう食べ過ぎは、本人の満腹感だけで決めた言葉ではない。必要なエネルギーに対して一定の割合で摂取を増やす、といった条件を研究者が設定している。たとえば非肥満の男性を対象にした試験では、必要量より50%多い摂取を行う期間が設けられた。18〜39歳の女性が普段の食事を増やした場合への適用は、この男性の試験だけでは判断できない。[2]

そして、摂取の増加率と安静時の消費の増加率は別の指標である。健康でやせ型の男性を対象にした別の小規模試験では、20%多い摂取に対し、安静時代謝の上昇は4.9%だった。摂取と消費では基準となる量も異なるため、この割合をそのまま引き算することはできない。ただ、食べる量を増やした割合だけ安静時の消費が増える、という読み方は成立しない。対象は男性であり、18〜39歳の女性にも同じ上昇率が生じるかは別に検証する必要がある。[5]

食事を増やせば、その分を体がすべて自動で使い切るという印象は魅力的である。しかし、体重変化に対する代謝の適応を調べた研究では、補正後の適応は体重減少や体重増加に抵抗しきれる規模ではないと評価された。「反応がある」と「結果を打ち消せる」の間には距離がある。対象は健康な若い男性32人で、18〜39歳の女性の反応量として直接使える結果ではない。[3]

夕食のご飯を追加するか考えるときも、研究に登場する「代謝が上がった」という一節だけで判断を終えない。何をどれだけ増やし、何日後に何を測ったかまでが、その一節の意味である。食べること自体に点数をつける必要はないが、代謝を上げるためという理由には、数字の確かめ直しが必要だ。[2][3][5]

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安静時の消費と食後の消費を混ぜない

体重変化と消費エネルギーを扱うレビューは、安静時の成分と非安静時の成分を区別している。また、適応性熱産生を、除脂肪量やその構成の変化とは独立した消費エネルギーの変化として扱っている。単に消費の測定値が増減しただけでは、適応が起こった量を確定できないのである。[1]

除脂肪量とは、脂肪以外の体の成分をまとめた量である。筋肉だけを指す言葉として使うと、この先の研究を読み違える。臓器や水分などの変化も含めて調べた研究では、除脂肪量の合計だけで補正する場合と、その内訳まで考慮する場合で適応の推定値が変わった。体重計の数字だけで体の消費を説明するのは難しい。[3]

食後の熱産生は、食事をとったあとに生じる消費の反応である。菜食の朝食と昼食を調べた小規模試験では、通常摂取と過食の両方で食後の反応を測り、安静時代謝とは別に報告している。体が温かく感じたという日常の感覚を、安静時の測定値に直接置き換えることはしない。[5]

既存記事「基礎代謝を上げるには高たんぱく食?食後の消費と安静時の変化を分けて読む」は、食事の内容を考える入口になる。ここでは栄養素の優劣を決めず、摂取する総量を増やすことと、安静時の消費がどう動くかに問いを絞る。

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小さな過食試験では、何が上がったのか

菜食の食事を調べた試験の対象は、18〜25歳の健康でやせ型の男性6人だった。通常摂取と20%の過食を、連続する28日間の研究の中で調べている。安静時代謝は過食に反応して4.9%上昇し、統計的に有意だった。しかし、人数も対象の幅も限られた試験であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには対象が異なる。[5]

食後180分の熱産生は、朝食で通常摂取時32.7±8.6 kcal、過食時38.3±8.3 kcalだった。昼食では54.8±6.3 kcalと57.2±5.4 kcalだった。朝食でも昼食でも数値は上を向いているが、過食による食後熱産生の総増加は有意ではなかった。表に大きい数字が並ぶことと、差が確かなことは同じではない。[5]

この試験が興味深いのは、安静時の消費と食後の消費が、別々の反応を示した点である。研究者は過食に伴う適応性熱産生が主に安静時代謝の増加として現れたと報告した。一方、体重変化に関するレビューは、過食中のエネルギー散逸を非安静時の適応成分で説明している。結果の言葉づかいも、評価した成分もそろえて読む必要がある。[1][5]

「上がった研究があるから絶対に上がる」とも、「レビューと違うから小規模試験は無意味」とも扱わない。対象や測定項目の異なる研究から、誰にでも同じ大きさの反応が起こるとまでは言えない、という位置に答えを置く。少なくとも、この試験の上昇率を自分の食事量を増やす目標にはできない。[1][5]

食後の結果をもう少し丁寧に見ると、食事の大きさによる違いも含まれている。通常摂取時の朝食のエネルギー量は223±10 kcal、昼食は1,033±220 kcalだった。過食時はそれぞれ330±48 kcal、1,247±222 kcalである。食後の消費を比較するなら、まず食べた量が異なることを押さえる必要がある。朝食と昼食の消費の差を、そのまま時間帯だけの効果にはできない。[5]

同試験では、食事に対する熱産生の割合は通常摂取でも過食でも朝食の方が昼食より高かった。ただし、割合が高い食事と、消費の絶対量が大きい食事は別の指標である。割合の話だけを使って、朝に多く食べれば一日の余剰をすべて処理できると読むことはできない。比率の前に、何に対する比率かを確認したい。[5]

こうした研究では、食べた量、食後の反応、安静時の反応がそれぞれ別の欄に置かれる。日常の「食べて燃やす」は短い言葉だが、その中には異なる測定値が入る。研究の欄をひとつにまとめずに読むだけで、食後の小さな変化を、一日中続く大きな変化に見誤ることを避けられる。[1][5]

数字で読む過食と安静時の消費

6人:菜食と過食の試験に参加した健康でやせ型の若い男性の人数である。[5]

20%と4.9%:同試験での過食の割合と、安静時代謝の上昇率である。分母の違う数字だ。食事全体に対する増加率と、安静時の消費に対する増加率を同じ目盛りに置かない。[5]

3日間:必要量に沿った食事のあと、50%多い食事を与えて群ごとの反応を比べた期間である。[4]

194±110 kcal/日:食事制限後に摂取を増やした若い男性での、安静時消費の増加量である。[3]

27±115 kcal/日:同研究で除脂肪量だけを補正した過食時の適応量で、有意ではなかった。[3]

出発点が違えば、同じ過食でも意味が違う

食事制限後に摂取を増やす場合と、必要量に沿った摂取の後に増やす場合は、研究の出発点が異なる。若い男性の研究は制限を経た回復の局面を含み、脂肪異栄養症の比較試験は必要量に沿った食事の後の短期反応を調べている。同じ「過食」という見出しの下に置いても、同じ実験を繰り返したことにはならない。男性やHIV感染者を含む試験のため、18〜39歳の女性の日常の食事への適用は分けて考える必要がある。[3][4]

病気に伴う脂肪組織の特徴も、比較の条件になる。脂肪異栄養症の試験では、過食前の時点から、その群の除脂肪量当たりの安静時消費が対照群より有意に高かった。過食後の変化だけでなく、もともとの消費の違いもあったのである。特別な対象の結果を、一般向けの「食べるほど消費する」という標語に変えることはできない。HIV感染に伴う脂肪異栄養症患者の結果であり、18〜39歳の健康な女性にそのまま当てはめる根拠にはならない。[4]

反対に、健康な対照群で有意な増加がなかったことから、食べる量は安静時の消費に一切関係しない、と断言するのも行き過ぎだ。若い男性の小規模試験には上昇があり、食事制限後の研究にも増加がある。対象、期間、直前の摂取状態を並べて初めて、結果の違いを扱える。[3][4][5]

読者が持ち帰れるのは、食事を足す決まった量ではなく、結果を読む順番である。誰の、どの状態から始まった反応かを先に見る。その後で消費の増加量と体重変化を読む。この順序なら、消費が上がったという事実を認めながら、それを余分に食べる勧めと混同せずに済む。[3][4]

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