糖質制限の厚揚げは湯をかければ脂が減る?油抜きと成分の数字を分けて読む

厚揚げに湯をかけたら、脂質やカロリーを少なく数えてよいのか。油抜きの見た目と食品全体の成分量を分け、大豆加工品の成分分析や豆腐の構造研究から考える。たんぱく質の残り方を決めつけず、糖質制限中でも食品表示と食べる量、献立全体を一緒に見るための読み方を整理する。

ざるに厚揚げを置き、湯を回しかける。流しに油らしい光が見えると、夕飯の計算から脂質を少し引きたくなる。糖質を控えている日の台所では、そんな小さな差が気になるものだ。

しかし、目に見える変化だけを理由に、油抜き後の脂質やエネルギーを決まった割合で差し引くのは避けたい。ここで採る実用上の答えは、湯をかけた厚揚げにも、まず買った製品の表示を出発点として使うことだ。油抜きの操作を、栄養計算の確定した補正に置き換えない。

大豆製品の加工研究では、成分によって減り方も、加工後の濃度の動きも異なる。[5] 豆腐の構造を調べる実験でも、原料の配合で性質が変わっている。[8][17] 厚揚げの油抜きを考えるなら、「何が動いたか」と「何を分母に測ったか」を分けるところから始めたい。

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油抜きという名前だけでは、脂質の差し引きは決まらない

「油抜き」と聞くと、油だけが出ていき、ほかの成分はそのまま残る操作を想像しやすい。だが、料理についた名前と、脂質を測った結果は別に扱う必要がある。台所で見えたものを、食品全体の成分表と同じ精度で読むことはできない。

湯をかけたあとに確かめたいのは、処理前の食品に含まれていた脂質の総量と、処理後に食べる部分の脂質の総量である。見た目の油膜の広さだけで、どれだけ減ったかを計算しようとしない。光る流しは、栄養成分表示の代わりにはならない。

食品の成分を実際に追った例として、大豆製品のプリン体の分析がある。プリン体は脂質とは異なる成分で、この研究では高速液体クロマトグラフィーという成分を分けて測る方法が使われた。非発酵の大豆製品について加工段階を追うと、前の工程と後の工程で含有量の動く方向が異なった。[5]

ここで参考になるのは、プリン体の減少率そのものを油に当てはめることではない。対象成分を決め、工程ごとに測って初めて変化が分かる、という読み方だ。研究で測ったものがプリン体なら、その数字の対象もプリン体である。[5] 「大豆の成分が減った」という広い言い換えにすると、脂質やたんぱく質まで同じ動きをしたように聞こえてしまう。

夕飯の準備では、この区別を計算のルールにしておくとよい。油抜きをすることと、表示から自己流で数値を引くことを切り離す。表面の様子が変わった日は、その感想を料理の記録に残せばよい。数値を変える根拠と、食べたときの感想を同じ欄に押し込む必要はない。

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加工で減る成分と、濃くなる成分を混同しない

大豆製品の分析研究では、加工品のプリン体含有量は湿重量当たりで15.11〜84.42 mg/100 gだった。[5] 湿重量とは、水分を含んだ状態の重さを基準にした表し方である。食品の成分量を見るときは、数字の後ろの単位まで読む必要がある。

同じ研究では、浸漬によるプリン体の減少は約50%、磨砕・煮沸の工程による減少は約10%だった。一方、凝固、圧搾、湯葉形成という後の工程では、プリン体含有量が3〜50%増えたと報告された。研究は、その増加にたんぱく質への取り込みや水分の喪失が関わると説明している。[5]

加工による成分の変化には、減少と増加の両方がある。この実験で大切なのは、減少のあとに増加も観察された点だ。[5] 「湯や水を使った」という共通点だけで、別の工程、別の食品、別の成分まで同じ割合で減るとは扱わない。

たとえば、原料の大豆を浸す操作と、完成した厚揚げに湯をかける操作は、同じ調理場に並んでも同一の処理ではない。研究の工程名を省いて「水に触れると半分になる」とだけ覚えると、数字の適用先を取り違える。約50%という値を読むなら、浸漬で測ったプリン体の値だという組み合わせを保つ必要がある。[5]

また、濃度と総量は別の問いだ。「食べ物の重さに対してどれほど含むか」を尋ねるときと、「皿に盛った部分に合計でどれほど含むか」を尋ねるときでは、見る数字が違う。この研究で水分喪失と成分濃度の上昇が結び付けられたことは、その違いを意識する手掛かりになる。[5]

台所で重さを量る場合も、量っただけで脂質を分析したことにはならない。重さは食べた量を記録するために使い、成分の割合は製品表示を基準に読む。その役割分担なら、「湯をかけたあとに重さが変わったから、油が同じだけ抜けた」と早合点せずに済む。

豆腐のたんぱく質は、配合と測定条件も一緒に読む

「脂質が気になるから油抜きしたいが、たんぱく質は残したい」。この問いでは、脂質とたんぱく質をそれぞれ確かめる必要がある。別の成分が減った研究を見て、たんぱく質の残り方まで決めないことが出発点だ。

豆腐の性質を調べた実験に、食用きのこの粉末を配合した研究がある。粉末を直接加える方法と、大豆の一部を置き換える方法で、出来上がりの収量、食感、微細構造、栄養成分などを比較した食品実験である。人に食べてもらって筋肉の変化を確かめた試験ではない。[8]

粉末の割合が増すと、収量や明るさ、硬さ、まとまり、かみ応えが低下した。高い割合で置き換えた条件では、たんぱく質の網目構造が粗くなることなどと関連して、性質の変化が大きかった。大豆を1.5%置き換えた条件では、構造と食感がおおむね保たれたと報告されている。[8]

大豆を5%置き換えた条件では、粗たんぱく質は乾燥重量当たり47%超を維持した。[8] ここで「乾燥重量当たり」を落としてはいけない。水分を含んだ普段の豆腐に、その割合をそのまま当てはめる読み方は避けたい。高い割合の数字ほど、何を分母にしているかを先に確かめる。

この実験から厚揚げの油抜き後のたんぱく質残存率を計算する、という使い方はしない。参考になるのは、豆腐という食品でも、原料の配合や内部構造を調べながら栄養成分を評価している点である。[8] 商品名が近いだけで、別の条件の成分値を借りないことが大切だ。

もうひとつ、おからを配合した豆腐の食品実験では、おからの添加量と粒子の細かさが物性に影響した。官能評価では従来の豆腐の好ましさがやや高い一方、おから入りの豆腐を購入したい意向も示された。[17] この消費者パネルの評価を18〜39歳の女性全体の好みにそのまま当てはめることはできない。 食品の構造、好み、栄養への期待は、同じ尺度ではない。

食べて軽く感じる、柔らかく感じる、好みに合う。そうした評価は日々の料理には大切だ。ただし、食感の評価を脂質量やたんぱく質量の代理にしない。おから入り豆腐の研究も、物性と消費者の受け止め方を分けて調べている。[17] 味の感想には味の言葉を、成分の話には成分の数字を使いたい。

成分を比較するときは、測定の対象となった食品の姿もそろえたい。きのこ粉末入り豆腐の研究では、粉末を直接加える方法と大豆を置き換える方法を区別し、新鮮な状態、調理後、試験管内で消化させた状態を評価した。[8] 同じ材料を使った実験の中でも、条件を分けて結果を読む設計である。

試験管内の消化とは、人が食べたあとの体全体の変化そのものを測る方法ではない。この豆腐実験で調べた消化中の抗酸化活性を、日常の厚揚げ料理による健康効果として言い換えるのも避けたい。[8] 成分が残ること、消化の過程で変化すること、食べる人の健康が変わることは、それぞれ別の問いとして扱う。

たんぱく質を意識して厚揚げを選ぶ場面でも、食べた量を記録する作業と、体への働きを判断する作業は分けてよい。記録は商品名と表示、盛った量から始める。料理の手順はその横に書く。そうすれば、あとで見返したときに、どこまでが表示の数字で、どこからが自分の調理上の工夫かを区別できる。

厚揚げを切ったあとに湯をかけたのか、そのままの形でかけたのかも、料理の記録としては残してよい。ただし、手順の記録と栄養価の測定は別の作業である。実験が条件を区別している点を参考にしつつ、家庭の記録には家庭の記録としての役割を持たせるのだ。[8]

数字で読む大豆加工と豆腐の研究

15.11〜84.42 mg/100 g:大豆加工品のプリン体含有量。水分を含む重さを基準にした値で、脂質量ではない。[5]

約50%:大豆の浸漬工程でのプリン体減少。完成した厚揚げの油抜き率としては使わない。[5]

3〜50%:凝固・圧搾・湯葉形成の工程で報告されたプリン体含有量の増加。水分喪失などが関わる。[5]

1.5%:きのこ粉末で大豆を置き換えた条件のうち、豆腐の構造と食感がおおむね保たれた配合。[8]

47%超:きのこ粉末で大豆を5%置き換えた豆腐の粗たんぱく質。乾燥重量当たりの値である。[8]

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