
内ももを使うのは、広い構えだけではない
足を大きく開く写真を見ると、内ももを使う運動だと直感しやすい。そこで役立つのが、股関節の内転筋、つまり脚を内側へ寄せる働きを持つ筋群を調べた2026年の研究である。研究者は、内ももをひとまとめにせず、筋肉や部位ごとの力を推定した。[7]
けがのない15人が、スクワット、デッドリフト、スモウデッドリフト、踏み台昇降など8種類の運動を行った。身体の立体的な動き、床から受ける力、表面筋電図を組み合わせた筋骨格モデルで、個々の内転筋の力を推定している。筋肉を直接引っ張って測った数値とは区別したい。18〜39歳の女性に同じ順位が成り立つかは、この参加者全体の結果だけでは判断できない。[7]
結果では、通常のデッドリフトとスモウデッドリフトの両方が、大内転筋の坐骨顆部と薄筋で、推定されたピーク筋力が高い群に入った。大内転筋の坐骨顆部は、同じ大内転筋の中でも区別して扱われた部位である。広い構えだけが内ももを働かせる、とは読めない。[7]
研究全体では、長いレバーで行うコペンハーゲン内転運動が、すべての内転筋で高い群に入った。これは横向きで脚を支えて行う内転運動であり、デッドリフトとは課題が違う。足幅の違いを比べることと、内転筋に力を出させる種目を選ぶことは、別々に考えられる。[7]
また、同じ高い群に入ったことは、筋力の大きさが完全に等しかったという意味ではない。研究は、推定されたピーク筋力の特徴から運動を群分けしている。その分類を「両方まったく同じ」と読み替えると、筋肉ごとの差を見るという研究の利点がなくなる。[7]
この知見は、股関節を伸ばす働きと脚を内側へ寄せる働きを、完全に切り離して考えないための手がかりになる。股関節を伸ばす運動でも、大内転筋の一部に大きな力が生じていた。身体の前・後ろ・内側という見た目の区分だけでは、運動中の役割は整理し切れない。[7]
なお、ルーマニアンや台上での種目差は、既存記事「ヒップアップのデッドリフトは種目で違う?ルーマニアン・台上とお尻・裏ももの分担」に譲る。ここでの選択は、種目を次々に増やす話ではなく、床から引く構えの違いを読む話である。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
持ち上げやすさは、足幅だけでは決まらない
バーが動く距離の短さは、構えの違いの中でも目に見えやすい。30人を対象にした履物とスタイルの比較研究では、最大挙上重量の70%で5回反復したとき、コンベンショナルはスモウよりバーの垂直移動距離、機械的な仕事、持ち上げに要する時間が大きかった。18〜39歳の女性に同じ差が出るかは、この30人の比較だけで判断できない。[1]
機械的な仕事は、バーを動かす仕事量として測定されたものである。汗の量や消費カロリーをそのまま表す数字ではない。スモウで距離や仕事が小さかった結果を、運動全体の価値を決めることはできない。距離や仕事は、構えによる動作の違いを表す比較項目として読む。[1]
この研究では、靴を履く条件と裸足の条件も比べられた。靴を履くとバーの移動距離、仕事、持ち上げ時間は増えたが、床反力の垂直成分のピークとバーのピーク速度には差がなかった。研究者は、裸足が挙上パフォーマンスを改善するという見方を支持していない。[1]
構えを比べたつもりでも、片方だけ靴が違えば、別の条件も混ざる。動画では足幅が主役になりやすいが、履物も測定値を変えていた。自分の記録を見返すなら、何を変えたのかを書き分けるだけでも、比較の意味を保ちやすい。これは研究の条件設定から借りられる視点である。[1]
身体の比率から選ぶ方法も気になるところだ。2019年の研究では、デッドリフト未経験の47人に両スタイルを指導した後、順序を無作為にして最大挙上重量を測った。男性28人と女性19人が参加し、最大挙上重量にスタイル間の有意差はなかった。男女を合わせた成績なので、18〜39歳の女性だけに同じ結果が当てはまるかは区別して考える必要がある。[2]
身体の計測値と両スタイルの筋力比との関連も調べたが、有意な関連が見つかったのは座高と身長の比に関するものだけだった。報告された相関係数は0.297であり、体格を測れば構えの勝者が簡単に決まる、という強い関係ではない。[2]
ここでは、身体の比率と成績の間に関連があったことと、比率に合わせて構えを選ぶことで成績が伸びることを分ける必要がある。後者を確かめるには別の比較が要る。鏡の前で胴の長さを判定して、その日の足幅を確定するほど急がなくてよい。[2]
競技者の群間比較、同じ参加者が両方を行う実験、未経験者への短期間の指導後の比較では、出発点が違う。競技の映像で距離が短かったことと、初心者の最大重量に差がなかったことは矛盾しない。距離と重量は別の結果であり、比べた人も異なるからだ。[1][2][5]

よくある誤解
「スモウなら腰を使わず、お尻だけを鍛えられる」という理解は粗い。比較研究では、太もも前、太もも裏、すね、背中など複数の筋肉が測定され、スタイルや局面によって活動が異なった。複数の筋群が関わる動作として読むのが適切である。[4][8]
「関節モーメントが大きいほうは危険だ」という決めつけも、測定の意味を越える。2025年の研究が比べたのは、経験者が動作中に示す関節の動きや力、筋活動である。方向ごとの要求を理解する材料にはなるが、日々のけがの発生率を表す成績としては使えない。[8]
反対に、スモウで上体が起きるから安全性が保証される、と考えるのも早い。横方向や回転方向にはスモウのほうが大きい関節モーメントがあった。研究から拾うべきなのは、力が消えるという説明ではなく、動作の要求が変わるという説明である。[5][8]
「筋活動が大きいなら、関節モーメントも同じ割合で大きい」と読むのも測定項目の混同である。筋電図で比べるのは筋肉の電気的な活動であり、関節モーメントで比べるのは関節を回す作用だ。前者は筋肉ごと、後者は関節と方向ごとに整理すると、結果を取り違えずに読める。[4][8]
運動の名前に期待することと、測定されたことを同じ欄に入れない。この区別があると、「こちらの構えだけが正解」と言う動画に会っても、自分が知りたいのは重量か、筋肉の分担か、続けやすい動作かを考え直せる。研究の比較項目は、その問いを分ける手がかりになる。[1][2][8]
今日からできること
- 構えを比べる際は、まず履物も記録する。30人の実験では、靴の有無でも移動距離や仕事が変わった。足幅だけを変えた比較かどうかを確認するためである。[1]
- 動画を見るなら横からの上体の傾きに加え、正面からの膝と股関節の動きにも目を向ける。男性30人の比較では、スモウで横方向・回転方向の要求が大きかった。[8]
- 自分の目的を「重いものを持つ」「筋肉の分担を知る」などの言葉でメモする。未経験者47人では最大重量に差がなく、筋電図では分担に違いがあった。問いが変われば選ぶ材料も変わる。[2][4]
- 内ももへの刺激を理由にスモウだけを候補にしない。15人のモデル解析では、通常のデッドリフトも一部の内転筋で高い群に入った。種目を選ぶ際の相談材料にできる。[7]
- 研究の重さや回数を、そのまま練習の指示にしない。85%の負荷を用いた比較は経験のある男性が対象である。初めて取り組むなら、構えの特徴を指導者と確認するための知識として持っていく。[8]

オンザショアで、構えより先に通える時間を考える
構えを選ぶための知識を、実際の運動の予定へつなぐ場所も考えておきたい。オンザショア立川店は8:00〜23:30の営業で、年中無休である。朝に動くか、仕事帰りに寄るか。自分の生活の中に置く時間を考える手がかりになる。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分である。パーソナルトレーニングのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITがある。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを扱う。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている場合は利用できない。
ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。足幅の比較で考えた「どの運動を、どんな目的で続けるか」を、予定へ落とし込む入口として使える。
参考文献
[1] Footwear Affects Conventional and Sumo Deadlift Performance — Valenzuela KA, Walters KA, Avila EL, Camacho AS, Alvarado F, Bennett HJ., 2021, Sports (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/sports9020027
[2] Anthropometrical Determinants of Deadlift Variant Performance — Cholewa JM, Atalag O, Zinchenko A, Johnson K, Henselmans M., 2019, Journal of sports science & medicine. DOI: なし
[4] An electromyographic analysis of sumo and conventional style deadlifts — Escamilla RF, Francisco AC, Kayes AV, Speer KP, Moorman CT., 2002, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1097/00005768-200204000-00019
[5] Biomechanical analysis of the deadlift during the 1999 Special Olympics World Games — Escamilla RF, Lowry TM, Osbahr DC, Speer KP., 2001, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1097/00005768-200108000-00016
[7] Hip Adductor Muscle Forces during Strength Training and Rehabilitation Exercises — Collings TJ, Horsman A, Hams AH, McGill A, Watts D, Hambly MJ, Barrett RS, Diamo, 2026, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/mss.0000000000004002
[8] Biomechanical analysis of conventional and sumo deadlift — Hanen NC, Ben Mansour K, Ertel GN, Duchene Y, Gauchard GC., 2025, Frontiers in bioengineering and biotechnology. DOI: 10.3389/fbioe.2025.1597209
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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