
手幅、指の向き、足の高さを同じ変更にしない
手の位置には、左右の距離だけでなく向きもある。慢性的な肩の痛みのある男性のオーバーヘッド競技者12人と、対照の12人を比べた研究は、手を内向き、中間、外向きにした腕立てで肩甲骨の動きを測った。腕を押し上げる局面で、肩甲骨の傾きや回転を調べた比較研究である。男性競技者の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、競技経験や症状の違いも含めて検討する必要がある。[6]
結果は手の向きと群によって異なり、対照群のほうが肩甲骨の動きの変化が大きく、痛みのある群では変化が限られた。これは慢性的な痛みと動きの制限との関連を示唆するが、特定の向きに変えれば痛みを治せるという結果ではない。手の向きの比較を、手幅を狭める指示に置き換えることもできない。[6]
この研究が見ている肩甲骨の運動と、先ほどの筋電図は、体の働きを違う側面から捉えている。電気的な活動が大きいことと、肩甲骨の動く角度が大きいことを、同じ「効き方」の尺度にしないほうがよい。肩の調子を考える読者には、何を測って改善と呼んでいるかまで見る意味がある。[1][6]
床を不安定にする工夫についても、結果は一様ではない。健康な成人20人を、不安定な支持面の群10人と安定した支持面の群10人に分けた研究では、プッシュアップ・プラスで手の向きを変えている。成人を対象とした比較であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、この結果だけでは判断できない。外向きの条件では、不安定な支持面での前鋸筋の活動について、安定した支持面との差が報告された。[9]
一方、男子大学生10人を対象にした別の対照試験では、台とボールを使う腕立てやプッシュアップ・プラスを比較した。男性のみの結果なので、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは女性での比較を待つ必要がある。調べた筋肉の平均の筋電図振幅には、同じ運動を台で行う場合とボールで行う場合で、有意差がなかった。支持面の安定性よりも、手に対する足の位置の違いが、僧帽筋上部や前鋸筋の活動に影響していた。[10]
一方の結果だけを拾えば、「揺らせば肩を支える筋肉に効く」とも、「揺れは関係ない」とも言いたくなる。しかし、使う支持面、手の向き、参加者、比べる条件が異なる。両方を合わせた実用的な読み方は、不安定さだけを理由に活動の増加を約束しないことだ。手幅の疑問を確かめたい日に支持面まで変えると、何の違いを比べたのかも曖昧になる。[9][10]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
上肢テストの回数は、開始する手幅でも変わる
腕立て姿勢で行う検査の得点も、手幅の影響を受ける。上肢の安定性テストを扱った研究では、症状のない34人に、標準の36インチの手幅、身長の50%、肩幅などの開始位置を設定した。15秒の最大努力を3回行ったタッチ数の平均を用い、位置ごとの測定の安定性を比較している。症状のない人を対象とした検査研究であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは対象を絞った検討が必要だ。通常の腕立ての反復回数を競う検査とは区別したい。[3]
身長の50%を使った条件は、繰り返し測定の信頼性が最も高く、級内相関係数は0.93だった。この係数は、同じ条件で測った結果のそろいやすさを見る指標である。また、変化を測定誤差から区別する目安となる最小検出可能変化は14%だった。標準の手幅では、それぞれ0.90、19%と報告された。[3]
この14%は、肩の筋力を14%伸ばす目標ではない。検査の結果に変化があったと読むための、測定に関する値である。また、身長の50%という設定も、家庭での腕立てに推奨する手幅ではない。検査を個人の体格に合わせて行うという文脈に置けば、数字の役割がはっきりする。[3]
腕を左右に広げた長さに合わせた研究もある。18〜33歳の健康な成人65人を対象に、標準の手幅と、両腕を広げた長さの50%を使う条件で同じ上肢のテストを比べた。男性44人、女性21人の結果であり、18〜39歳の女性全体にそのまま当てはめられるかは年齢と性別を分けた検討が必要である。平均タッチ数は、標準条件の23.0回に対し、体格に合わせた条件では24.4回だった。標準条件にあった男女の有意な差は、変更した条件では有意ではなかった。[4]
ここで増えた回数は、手幅という検査条件を変更したときの結果である。練習を積んでからの成長と混ぜないことが大切だ。体格に合わせた設定が、異なる体の人を公平に評価するうえで役立つ可能性はあるが、回数の増加を深部の筋肉だけの変化に割り当てる根拠にはならない。[4]
自宅の記録にも、この視点は持ち込める。先週の狭い手幅と今週の広い手幅を比べ、「回数が増えたので肩が強くなった」と結ばず、まず条件が違ったと書く。検査研究から借りたいのは身長の割合そのものより、測り方をそろえる発想である。記録帳には回数を書く場所だけでなく、手をどこに置いたかを書く場所も要る。[3][4]

よくある誤解
「狭い手幅なら、肩のインナーマッスルも一緒に強く働く」という理解は広すぎる。狭い手幅で大きな活動が得られた胸や上腕の結果と、肩幅より狭い条件で前鋸筋の活動が低下した結果は、筋肉と種目を区別すれば並べて読める。表面の筋肉の結果を、名前の出ていない深部の筋肉にまで広げないことである。[2][8]
「肩幅が正解で、そこから動かしてはいけない」も言い過ぎだ。肩幅が提案されたのは、健康な男性のプッシュアップ・プラスで肩甲骨を支える筋活動を比べた研究である。通常の腕立てで胸や上腕の活動を求める問いには、狭い手幅の結果も関わる。目的を省いた唯一の正解は、この研究の組み合わせからは選べない。[2][8]
「難しい条件ほど奥に効く」という見方にも注意したい。不安定な支持面を使っても、調べた筋肉の平均活動に有意差がなかった対照試験がある。一方で、支持面と手の向きの組み合わせによる前鋸筋の差も報告されている。揺れた、疲れた、回数が減ったという感想だけで、深部の筋肉への効果を判定しないほうが研究に忠実だ。[9][10]
関連する「二の腕の腕立ては肘を横へ開くべき?手幅とは別に読む肩と腕の負担の違い」では、肘の開き方という問いを扱う。ここで残したいのは、左右の手の距離を変えた結果を、測った筋肉ごとに読む視点である。手の向きも含め、見た目が少し似た変更でも、比較している条件を言葉で分けておきたい。[2][6]
今日からできること
- 手幅を比べるなら、速さも記録する。20人の比較では、各位置で連続3回の動作を行い、メトロノームで速さを調整していた。これは練習の推奨回数ではなく、研究が条件をそろえた例である。[1]
- 肩甲骨を支える動作について相談するときは、肩幅を出発点として話す。男性9人のプッシュアップ・プラスでは、肩幅より30%狭い条件で前鋸筋の活動が下がっていた。「狭いほどよい」を前提にしない。[8]
- 手の左右の距離、指の向き、支持面、足の位置を記録で区別する。男性10人の比較では、支持面の不安定さより足と手の位置関係が筋活動に影響していた。変える条件を絞るための参考になる。[10]
- 回数を比較するときは、以前と同じ手幅だったかを確かめる。成人65人の上肢テストでも、開始位置を変えると平均タッチ数が23.0回から24.4回へ変わった。回数だけで成長を判定しない。[4]
- 肩の痛みがある場合は、健康な人向けの手幅をそのまま当てはめず医師に相談する。男性競技者24人の比較では、慢性的な肩の痛みの有無で肩甲骨の動きが異なった。手幅の工夫を治療の代わりにしない。[6]

オンザショア立川店で、動きを続ける予定をつくる
手の位置を試す日にも、まず運動する時間と場所を決めておく。オンザショア立川店は、営業時間が8:00〜23:30で、全曜日同じ時間帯の年中無休である。仕事の前に立ち寄る予定か、帰りに運動する予定か。生活の中で通う時間を選ぶための手がかりになる。
東京都立川市曙町2-14-10、エトロワビル3Fにあり、JR立川駅北口から徒歩1分。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、選択肢はホットヨガだけではない。
参加条件も予定と一緒に確かめたい。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガが選択肢となる。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。
続ける場所を考える際は、店のトップで内容を確認し、料金と通う予定を合わせて検討したい。体験の予約も、予定を具体的にするための入口である。
参考文献
[1] Comparison of muscle-activation patterns during the conventional push-up and perfect· pushup™ exercises — Youdas JW, Budach BD, Ellerbusch JV, Stucky CM, Wait KR, Hollman JH., 2010, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0b013e3181cc23b0
[2] Comparison of muscle activation using various hand positions during the push-up exercise — Cogley RM, Archambault TA, Fibeger JF, Koverman MM, Youdas JW, Hollman JH., 2005, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/15094.1
[3] A randomised observational study of individualised variations in the start position of the closed-kinetic chain upper extremity stability test — Callaway A, Peck J, Ellis S, Williams J., 2020, Physical therapy in sport : official journal of the Association of Chartered Physiotherapists in Sports Medicine. DOI: 10.1016/j.ptsp.2019.10.007
[4] Effect of an Arm-Span-Adjusted Hand Position on Closed Kinetic Chain Upper Extremity Stability Test Performance and Muscle-Related Body Composition Associations — Christodoulou F, Maniatis P, Erotocritou A, Hadjisavvas S, Efstathiou MA, Themis, 2026, Muscles (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/muscles5020037
[6] The influence of hand position on scapular kinematics in push-ups: comparing athletes with chronic shoulder pain and healthy controls — Abdollahi S, Sheikhhoseini R, Salsali M, Piri H, Hides JA., 2025, Journal of orthopaedic surgery and research. DOI: 10.1186/s13018-025-06212-1
[8] Effect of various hand position widths on scapular stabilizing muscles during the push-up plus exercise in healthy people — Batbayar Y, Uga D, Nakazawa R, Sakamoto M., 2015, Journal of physical therapy science. DOI: 10.1589/jpts.27.2573
[9] The Effect of Hand Position Changes on Electromyographic Activity of Shoulder Stabilizers during Push-up Plus Exercise on Stable and Unstable Surfaces — Lee S, Lee D, Park J., 2013, Journal of physical therapy science. DOI: 10.1589/jpts.25.981
[10] An unstable support surface does not increase scapulothoracic stabilizing muscle activity during push up and push up plus exercises — Lehman GJ, Gilas D, Patel U., 2008, Manual therapy. DOI: 10.1016/j.math.2007.05.016
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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