
薄い側だけ増やす前に、運動の条件をそろえる
競技者の左右差をもう少し見ると、経過を追った研究もある。けがのない13〜18歳の男子クリケット投手28人を対象に、腹筋の厚さや、お腹をへこませる動作での変化を超音波で測り、シーズン中のけがを観察した前向き研究だ。後から同時点の群を比べる研究とは異なり、先に測定して、その後の経過を追っている。成長期の男子競技者の結果であり、18〜39歳の女性の日常運動へそのまま適用することはできない。[15]
シーズン中もけがをしなかった群では、安静時の内腹斜筋が非利き側で厚く、効果量は0.65だった。けがをした群では、この左右差は統計的に有意ではなかった。また、非接触性のけがをした群は、けがのない群より利き側の腹横筋の活動に伴う厚さの変化が小さく、その群間差の効果量は1.17だった。[15]
効果量は、比較した違いの大きさを表す指標だ。ここで大事なのは、同じ研究の中でも、安静時の内腹斜筋の厚さと、動作時の腹横筋の変化を別々に見ていることである。非対称がすべて悪いとも、厚い側をさらに強くすればよいとも、この観察からは言えない。[15]
日常の運動に読み替えるなら、「弱そうな側を倍にする」という量の処方を、この研究から作ることはできない。対象は成長期の男子投手で、特定の競技を続ける人たちだった。通勤のあとにマットを広げる大人の女性へ、そのまま運動量の配分を移すのは避けたい。[15]
経過を追ったことには、測定した時点とけがの発生した時期を区別できる利点がある。ただし、投手を左右差を変える運動の群と変えない群に分けた実験ではない。したがって、先にあった筋肉の特徴と後のけがに関連があっても、その特徴を練習で変えればけがを減らせる、とまでは進めない。研究者は内腹斜筋の非対称に保護的な役割がある可能性を示したが、それは非対称を作る練習の効果を確かめたという意味ではない。[15]
たとえば指導者から左右の厚さの違いを伝えられたら、「この種目で必要な分担なのか」「今の困りごととどう結びつくのか」を確かめる余地がある。競技者の研究が示すのは、差の量だけで目標を決める難しさだ。測定値を運動の目標へ移すには、対象と場面についての説明も必要になる。[14][15]
一方、運動の指示だけでも活動は変わる。活動的な女性9人が、仰向け、橋の姿勢、四つばいの姿勢を含む5種類の体幹運動を行った実験では、下腹部を背骨へ向けて引き込む指示を加えることで、腹直筋とは分けて腹横筋の活動を高められた。それでも、種目の非対称性に関係する腹横筋の左右の活動差は残った。[19]
ここでの「指示が効いた」と「左右が同じになった」は別の話である。腹横筋を意識する合図で活動を変えられても、動作に伴う差は残った。[19] 片脚を動かす姿勢で左右の感覚が違ったとき、すぐに練習失敗と判定しなくてよい理由になる。
実際に相談するなら、「左が弱いと思う」だけでなく、「仰向けで右脚を動かしたとき、左のお腹の感覚が分かりにくい」と伝えると、扱う条件がはっきりする。種目名、動かした側、姿勢、指示を受けたあとの違いを言葉にしてみる。研究が姿勢や合図を区別して測っているように、自分の経験にも場面を添える考え方だ。[19]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
ピラティスで左右差が変わった研究の中身
左右差が変わる可能性を示す研究として、活動習慣のない健康な女性9人を対象としたピラティスの縦断研究がある。標準化されたプログラムを36週間行う前後で、磁気共鳴画像を使って腹直筋と、腹斜筋群・腹横筋を合わせた体積を測定した。頻度は週2回だった。[20]
開始前には、腹斜筋群と腹横筋を合わせた体積が、非利き側で利き側より8%大きかった。運動後は利き側の体積が8%増え、非利き側は2%増で有意な変化ではなかった。左右の体積差は2%となり、統計的に有意ではなくなった。[20] 片側を削ってそろえたのではなく、両側の変化の仕方が違っていた。
腹直筋の総体積は21%増加した一方、腹直筋には開始前も終了後も有意な左右差はなかった。[20] 同じお腹の筋肉でも、最初にあった差と運動後の反応は一様ではない。「お腹全体のバランスが変わった」と大きく括るより、どの筋肉のまとまりで何が変化したかを追うほうが正確だ。
この研究が身近なのは、活動習慣のない健康な女性を対象にしている点である。ただし人数は少なく、測った腹斜筋群と腹横筋の体積は合算である。腹横筋だけの左右差が必ず解消する、すべての女性で同じ変化が起きる、と広げることはできない。[20]
この研究で経過を確かめたのは、プログラムの開始前と終了後である。毎回のレッスンで左右がどう感じられたかを追跡した結果とは区別しておきたい。日々の感覚をメモする目的は、画像の代わりに成果を判定することより、指導者へ質問する材料を残すことにある。[20]
この結果から受け取れるのは、継続した運動とともに腹壁の形が変化した例がある、という具体的な見通しである。左右の厚さを毎回採点する代わりに、どんなプログラムを続け、その前後で何を確かめたかに目を向けたい。研究の週2回という頻度も、左右差が気になる全員への必須条件ではなく、その研究が行った方法の一部である。[20]

よくある誤解
「左右同じ厚さなら、腰の状態もよい」は、競技者の比較では成り立たなかった。クリケット投手の研究では、腰痛のない群で腹筋の厚さに非対称があり、腰痛のある群では対称だった。[14] ただし、この結果を反転させて、非対称なら腰痛を防げると断言することもできない。形の評価には、その人が何をする人なのかという文脈が要る。
「骨盤が高い側を見れば、働いていない腹横筋が分かる」という理解も慎重に扱いたい。健康で活動的な若い人たちの研究では、骨盤の非対称とお腹の姿勢反応の関連は支持されなかった。[3] 写真に引いた線を、そのまま深部筋の活動の説明へ使わないことだ。
「お腹をへこませる指示で、左右差までなくなる」も実験結果とは違う。女性の体幹運動では、指示によって腹横筋の活動は選択的に増えたが、運動の非対称性に伴う左右差は残った。[19] 合図を聞いて変えられる活動と、種目が求める左右の分担は区別したい。合図を試した前後の感覚を伝えれば、次に確認したい動作が具体的になる。
今日からできること
- 運動中に左右差が気になったら、姿勢、動かした脚や腕、指示の内容を添えて記録する。女性9人の実験でも、5種類の運動と合図の有無を区別して活動を測っている。自分の記録も、違いが出た場面から始めたい。[19]
- 骨盤の見た目だけで鍛える側を決めず、「どの動きが気になるか」を相談の言葉にする。健康な126人の研究では、骨盤の非対称とお腹の反応との関連は支持されなかった。[3]
- 腹筋の画像や測定結果を見せてもらうときは、それが厚さ、面積、動作時の変化のどれかを確認する。約17%という面積の非対称と、活動中の非対称指数は別の項目である。[1][4]
- 続ける運動を考える際は、女性9人が36週間取り組んだ研究を、短期の完成予告ではなく経過を追った例として読む。自分の痛みや健康状態の判断は医師に相談し、研究の頻度を自己流の矯正量に置き換えない。[20]

オンザショア立川店で、通う時間を決める
左右差を気にする日も、運動を続ける予定は生活の中に置きたい。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある溶岩ホットヨガスタジオだ。営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休である。通勤前と仕事帰りのどちらを通う時間にするか、生活の予定と照らして考えられる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングがある。女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。
参加条件も先に確認したい。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。持ち物を考えるときは、この内容を確認しておきたい。
通う場所と時間を検討する入口は、店舗案内と料金である。体験の予約から、生活に運動の時間を置く機会を選べる。
参考文献
[1] Assessment of Lateral Abdominal Muscle Activation Asymmetry via M-mode Ultrasonography. — Biały M, Szewczyk W, Kłaptocz P, Gnat R., 2024, Cureus. DOI: 10.7759/cureus.57563
[3] The Association between Pelvic Asymmetry and Lateral Abdominal Muscle Activity in a Healthy Population. — Biały M, Adamczyk WM, Stranc T, Gogola A, Gnat R., 2025, Journal of human kinetics. DOI: 10.5114/jhk/191098
[4] Abdominal wall morphometric variability based on computed tomography: Influence of age, gender, and body mass index. — Jourdan A, Soucasse A, Scemama U, Gillion JF, Chaumoitre K, Masson C, Bege T, For “Club Hernie”., 2020, Clinical anatomy (New York, N.Y.). DOI: 10.1002/ca.23548
[7] Abdominal muscle activity and pelvic motion according to active straight leg raising test results in adults with and without chronic low back pain. — Crasto C, Montes AM, Carvalho P, Carral JC., 2020, Musculoskeletal science & practice. DOI: 10.1016/j.msksp.2020.102245
[14] Symmetry, not asymmetry, of abdominal muscle morphology is associated with low back pain in cricket fast bowlers. — Gray J, Aginsky KD, Derman W, Vaughan CL, Hodges PW., 2016, Journal of science and medicine in sport. DOI: 10.1016/j.jsams.2015.04.009
[15] Asymmetrical abdominal muscle morphometry is present in injury free adolescent cricket pace bowlers: A prospective observational study. — Martin C, Olivier B, Benjamin N., 2017, Physical therapy in sport : official journal of the Association of Chartered Physiotherapists in Sports Medicine. DOI: 10.1016/j.ptsp.2017.08.078
[19] Deep and superficial abdominal muscle activation during trunk stabilization exercises with and without instruction to hollow. — Bjerkefors A, Ekblom MM, Josefsson K, Thorstensson A., 2010, Manual therapy. DOI: 10.1016/j.math.2010.05.006
[20] Marked effects of Pilates on the abdominal muscles: a longitudinal magnetic resonance imaging study. — Dorado C, Calbet JA, Lopez-Gordillo A, Alayon S, Sanchis-Moysi J., 2012, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/mss.0b013e31824fb6ae
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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