スロースクワットは膝を伸ばし切らない?力を抜く動作と効果を研究で読み解く

スロースクワットは膝を伸ばし切らず、力を抜かないほど効くのか。軽い負荷でも疲れる研究と、速い動作で筋活動が高まる研究を比較する。筋肉の血流という説明をうのみにせず、疲労、乳酸、長期の効果を分けて読み、自宅で動くときに確かめたい点と膝に痛みがある場合の考え方を整理する。

膝を伸ばして一息ついたら、スクワットの効果は消えるのか。動画に合わせてゆっくりしゃがみ、立ち上がる手前で止める。太ももは忙しいのに、画面の中の人は落ち着いた顔をしている。「膝を伸ばし切らず、力を抜かない」という指示を聞くと、少しでも楽になった瞬間に効果が消えるような気がしてくる。

膝を伸ばし切らないことを、効果の必須条件にはできない。関節を回そうとする力の作用と筋肉の活動を測ったスクワット実験では、遅い条件の膝関節モーメントは小さく、立ち上がる局面の筋活動も速い条件や通常の条件より低かった。[17] 対象は男性競技者10人で、18〜39歳の女性の自重スクワットに同じ差が出るかは別に検証が必要だ。曲げたままのつらさだけでは、関節負荷や効果の大きさを判定できない。

「ずっとつらいから効く」「血流を止めればもっと効く」と先回りする前に、研究が測ったものを確かめたい。今日のきつさを知る実験と、続けたあとの筋力を調べる試験は、別の問いに答えている。[10][8] この記事では、立ち上がりの力の抜き方を入口に、速さ、重さ、疲れ方の関係を読む。

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膝の角度と、力を出し続けることは同じ問いではない

膝を伸ばし切らずに動くという指示には、動作の終点と、途中で力を抜く時間の両方が含まれる。ここで「曲げているほど筋肉への負荷が大きい」と考える前に、関節を回そうとする力の作用であるモーメントと、筋肉が活動する時間を区別したい。スクワットの速度を比べた実験では、膝関節の平均モーメントも、筋肉の電気活動も測っている。[17]

その実験の対象は男性競技者10人である。遅いスクワットでは膝関節の平均モーメントが通常や速い条件より小さく、立ち上がる局面では、お尻や太ももの前後など複数の筋肉の活動も低かった。[17] 18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは別に検証する必要がある。この比較が示すのは、動作を遅くしている間も、関節に作用する力や筋活動が一律に大きくなるのではなく、速度条件によって変わることだ。

一方、力を出す時間を含めて運動量を数えると、重さと反復量で数えた場合とは順位が変わる。余暇に運動する男性24人の膝伸ばし運動では、力を出していた時間を考慮した仕事の指標は従来法、遅い方法、通常法の順だったが、負荷量は通常法、従来法、遅い方法の順だった。[11] 男性の実験であり、18〜39歳の女性でも同じ順位になるかは確かめる必要がある。「力を出す時間を長くする」という狙いは、扱う重さを増やすことと別の物差しなのである。

膝を曲げた状態を保つ説明を読むときも、どの角度で、どれだけの重さを、どの時間だけ支えたのかを問うと具体的になる。ただし、ここで扱う速度比較は、膝を伸ばし切る反復と伸ばし切らない反復の直接比較ではない。[17][11] したがって、特定の終点角度で筋張力がどれほど持続するか、血流がどれだけ変わるか、長期の筋力向上で優れるかまでは決められない。関節モーメントは筋張力そのものの測定値でもない。

動画の指示を確かめるなら、「立ち上がる手前で折り返す動作」なのか、「立ち上がって休む時間を短くする動作」なのかを言葉にしてみる。見た目には似ていても、変えた条件を特定するための問いが異なる。研究が比較した速度、負荷、筋活動と照らすことで、つらいという感想だけで指示を評価せずに済む。[17][11] 膝の角度の正解を探す前に、何を持続させる指示なのかを確認したい。

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軽い負荷でも、ゆっくり動くと強く疲れる実験がある

疲れ方を詳しく調べた研究では、若年成人と高齢成人がそれぞれ20人参加し、各年代に女性が10人含まれていた。若い女性も参加しているが、18〜39歳の女性全体の疲れ方をこの結果だけで決めることはできない。[10] 片脚では最大挙上重量の約80%をできるだけ速く動かし、反対の脚では約30%をゆっくり動かした。最大挙上重量とは、その運動で一度持ち上げられる最大の重さを指す。[10]

遅い条件は、力を出して持ち上げる動作も、戻す動作もそれぞれ6秒だった。どちらの条件も8回を4セット行い、セットの前後で最大随意等尺性筋力を測った。これは、関節を動かさずに本人の意思で最大限の力を出したときの筋力である。[10] 重さを軽くする代わりに、動作を長くした比較だ。

その筋力の低下は、低負荷で遅い条件が20%、高負荷で速い条件が12%だった。年齢や性別による違いは認められなかった。[10] 軽いものを使う運動なら必ず楽、という見通しは、この実験には当てはまらない。買い物袋の重さだけでは、その日の持ち運びの大変さを言い当てられないのと少し似ている。

電気刺激で起こした筋収縮の反応も測っている。本人が頑張って力を出す場合とは別に、刺激に対して筋肉がどれほど反応するかを調べる方法だ。その反応の低下は、遅い条件で14%、速い条件で7%だった。[10] 著者らは、低負荷の遅い運動では筋肉内部の疲れやすさがより大きかったと結論づけている。[10]

ここから持ち帰れるのは、重さの数字だけでは負担を見積もれないということだ。ただし、これは膝を伸ばす運動を単回行ったときの実験である。[10] その日の最大筋力が大きく下がる条件を、そのまま長期の筋力向上が大きい条件と呼ぶことはできない。測定が終わった時点と、知りたい将来の時点が違う。

立川駅から帰ってきて、動画の途中で太ももがつらくなったとする。その感覚を「重りがないのだから気のせい」と片づける必要はない。一方で、実験の6秒という設定を初心者全員の必須条件に変える理由もない。[10] 研究の条件は結果を理解するための情報であり、そのまま自分への宿題にはならない。

筋活動も乳酸も、遅ければ大きいとは限らない

疲労とは別に、筋肉の電気的な活動や血中の反応を比べた研究がある。余暇に運動する男性24人を分け、膝を伸ばす運動を異なる方法で行わせた。遅い方法は最大挙上重量の50%で、上げ下げとも3秒。通常の方法は80%で上げ下げとも1秒、別の従来法は80%で上げる動作が2秒、下ろす動作が4秒だった。[11] 男性だけを調べたため、18〜39歳の女性でも同じ反応になるかは別に確かめる必要がある。

各方法を4セット行うと、積分筋電図という筋肉の電気活動をまとめた指標は、いずれの方法でも運動後に低下し、群の間に有意な差はなかった。[11] 低負荷でも急性の神経筋反応を生じうるという結果である。ただし、群の差が有意でなかったことを、あらゆる点で同じ効果が証明されたという意味に広げてはいけない。

乳酸の上昇は、むしろ高負荷の通常法と従来法の方が、低負荷の遅い方法より大きかった。[11] 「遅いほど乳酸が増える」という単純な説明とは一致しない。動作がゆっくりかどうかに加え、扱った負荷も違う。つらさを説明するときに、乳酸だけを万能の通訳にしない方が研究に忠実だ。

この研究は運動量の数え方も比較している。力を出していた時間を考慮した仕事の指標は、従来法、遅い方法、通常法の順に大きかった。一方、重さと反復量に関係する負荷量は、通常法、従来法、遅い方法の順だった。[11] 同じ運動でも、どの物差しを使うかで並び方が変わる。

スクワットを行った男性競技者10人の実験では、下ろす局面と立ち上がる局面を分け、下半身などの筋活動を比べている。立ち上がる局面では、速い条件と通常の条件で、遅い条件より多くの筋肉の活動が高かった。[17] 18〜39歳の女性の自重スクワットにも同じ筋活動の差が出るかは、この男性競技者の実験だけでは判断できない。

その実験では、遅い条件の膝関節の平均モーメントは通常や速い条件より小さかった。[17] モーメントは関節を回そうとする力の作用を表す。筋活動、関節への力の作用、運動後の疲労は、同じ数字の別名ではない。太ももの感覚ひとつで、このすべてを判定するのは難しいのである。[17][10]

速いスクワットでは、下ろす局面でも、お尻の筋肉や太ももの前後など複数の筋肉の活動が、通常や遅い条件より高かった。[17] 立ち上がる瞬間だけを見ていると、下ろしている間にも条件の違いがあることを見落とす。「立ったときだけ力を抜かない」という指示を考える際にも、動作全体のどの局面を比べた結果なのかが重要になる。

また、同じ実験でも太ももの裏の筋肉では、通常の条件より速い条件や遅い条件の方が活動が高いという違いがあった。[17] 速度による反応は筋肉ごとに異なる。お尻を使いたいのか、太ももの前の働きを知りたいのかという問いも必要だ。「脚に効く」という短い紹介文の中には、部位ごとの違いまでは収まらない。

疲労実験では、本人の意思で筋肉を十分に働かせる程度を示す随意活性化も評価され、低負荷で遅い条件だけで5%の低下が見られた。[10] 筋肉への電気刺激の反応と、本人が力を出す際の指標を併せて測ることで、疲労の中身を探っているのである。こうした測定の組み合わせは、自宅で感じる重だるさとは違う情報を与える。

数字で読むスロースクワット周辺の研究

40人:若年成人と高齢成人を含む、膝を伸ばす運動の疲労実験の参加者数。[10]

約30%と約80%:遅い低負荷条件と速い高負荷条件で使った最大挙上重量に対する割合。[10]

20%と12%:それぞれの条件で生じた、運動直後の最大随意等尺性筋力の低下。[10]

24人:異なる負荷と動作時間で、神経筋反応と乳酸などを比較した男性の人数。[11]

10人:速い、通常、遅いスクワットの筋活動と関節の力を比較した男性競技者の人数。[17]

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