
座る位置と動く速さも、数字と一緒に確認する
重量の設定が合っていても、体と器具の接点を確認する作業は残る。膝伸ばし器具の研究で扱ったのは、膝関節の剪断荷重である。剪断とは、関節を構成する部分をずらす方向に働く力を指す。研究は膝の角度やパッドの位置を含むモデルを使い、この荷重を小さくする条件を計算した。[4]
結果は、パッドをどこに置いても同じではなく、膝の角度によって望ましい位置が変わるというものだった。膝の曲がりが40度を超える条件では、パッドをすねの遠位側、つまり膝から離れた側へ置くことで剪断荷重を小さくした。一方、40度以下では、動作に合わせてパッドを移動させる条件が計算された。[4]
これは解析モデルによる器具設計と使用の研究であり、固定されたパッドを読者が運動中に自分でずらす指示ではない。角度を見て、その場で安全な位置を断定するための処方にも使わない。生活の場面に持ち帰るなら、重量のピンだけで設定が済んだと思わず、体と器具が接する位置を指導者に確認するという行動になる。[4]
初めて座った器具で、前の人の設定のまま始めようとしている場面を考える。表示は自分が選んだ重りを示しているが、パッドや軸と体の位置関係まで自分向けに調整されたかは別に確認する必要がある。研究が計算に含めたのは、まさにこの位置関係である。体を合わせる作業と重りを選ぶ作業を、一つの数字にまとめないほうがよい。[4]
また、動く速さが変われば、同じ重りであっても評価する運動条件が変わる。関節のパワーを導いた研究では、大きな速度や加速度が生じるとき、重りだけからの推定との差が目立った。差は爆発的に動く運動に限らないと報告されている。加速度とは、動く速さが変化する度合いのことだ。[1]
ゆっくり動かしていた日と、勢いをつけて動かした日の表示重量を並べると、重量の記録は同じでも動作の記録は同じではない。だから比較のためには、自分がどのように動かしたかも書き添える。ここから「必ずこの速さがよい」という一律の時間設定は導かず、比較の条件として速さを扱う。[1]
研究の数字で不安になるより、設定の確認に使うのがよい。パッドの位置に関するモデルは、あらゆる器具の傷害発生率を比較した試験ではない。器具を危険か安全かに即座に仕分けるのではなく、どこを確認すれば自分の運動の条件が見えるかを考えるための研究である。[4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
重量の増加だけを、進歩のものさしにしない
同じ器具で記録をそろえた後も、動作の速さも評価対象になる。Rodiles-Guerreroらの無作為化比較試験では、男性45人を、動作速度の低下が10%、30%、50%に達する基準で運動する群に分けた。重りを積むベンチプレスマシンで、5週間、計15回の速度を基準にしたトレーニングを行った。18〜39歳の女性にそのまま当てはめて、同じ速度低下の基準を勧めることはできない。[8]
この試験が見たのは、重りの表示が正しいかではなく、反復中に速度がどこまで落ちることを許すかで、結果がどう違うかである。すべての群で推定最大重量と全負荷での速度、重い負荷での速度が有意に改善した。軽い負荷での速度に有意な改善が見られたのは、速度低下10%の群だけだった。[8]
研究は、10%の群が少ない反復で同程度の利益を得たことから、ほかの群より高いトレーニング効率を示したと判断している。「疲れて動きが遅くなるまで多く繰り返したほうが、必ずよい」という思い込みには、この試験の範囲で反例がある。少なくとも男性のマシンベンチプレスでは、反復の多さだけで結果を決められなかった。[8]
一般の女性がマシンを使う場面では、この試験を重量や反復回数の指定ではなく、動作を見る理由として使う。記録に残すのは、終盤に勢いをつけた、途中で動きが止まった、といった自分で観察できた変化だ。それを指導者に伝え、設定と動かし方を確認する。速度低下10%を目視で判定して中止する方法へは置き換えない。[8]
角度別に見ることの意味は、股関節を曲げる器具の短期研究からも分かる。Itoらは17人を従来の重り式マシンの群と、股関節の角度に応じたトルク特性をもとに作った試作機の群に分けた。週2回、4週間のトレーニング後に、角度ごとの最大等尺性トルクを比較している。等尺性とは、関節を動かさずに力を発揮する条件だ。この17人の結果だけで、18〜39歳の女性全体に同じ角度別の効果が生じると判断することはできない。[20]
測定角度は0度、30度、60度、90度、105度であり、運動形式と期間による違いが現れたのは105度だけだった。この深く曲げた角度では試作機の群が高いトルクを示した。どの角度でも一様に上回ったという結果ではない。器具の違いと運動の効果を語るときにも、どの角度で評価したかが必要なのである。[20]
この短期研究をもとに、従来機には効果がない、女性は試作機を選ぶべきだ、とは書けない。読者が持ち帰れるのは、器具の表示を比べるだけでなく、目標としている動作と評価する範囲をそろえるという見方だ。器具の選択や成績は、数字の大きさだけではなく、何を測っている数字なのかと組にする。[20]
マシンとフリーウエイトの優劣は、既存記事「【連載】その常識、研究では? 第8回|マシンとフリーウエイト、どちらが優れているのか」に譲る。この記事の問いは、その前にある表示重量の比較である。同じマシンという分類に入っていても、形状や動作条件をそろえずに同じ負荷とは扱えない。[1][3][4]

よくある誤解
「同じ表示重量なら、同じ筋力が必要だ」という理解は、器具の力学を飛ばしている。関節パワーの解析はレバー、カムと滑車、重り、脚の運動を含み、膝の荷重モデルはパッドと角度まで扱った。別の器具で持ち上げられる重量が変わった事実だけから、筋力が落ちたという結論には進めない。[1][4]
「途中で重くなるのは、自分の筋肉が弱い角度だからだ」と、体だけを原因にするのも早い。肩外旋の比較では器具によって運動範囲や筋活動が変わり、股関節の比較では訓練後の違いが特定の角度に現れた。体の角度と器具の抵抗の届け方を、別々の要素として見る必要がある。自分の体だけに答えを押しつけない。[3][20]
「重りを増やせば、狙った筋肉の働きも必ず増える」という理解も単純すぎる。肩外旋では、ケーブル滑車式の棘下筋活動は50%を超える負荷で増えなかった。一方で可変抵抗式では増え、高い負荷では僧帽筋上部も強く活動した。器具、負荷、筋肉の組み合わせを見ないまま、重さだけを成果に変換することはできない。[3]
この違いを知ると、隣の人の数字を見る意味も変わる。肩の比較は男性を対象にした限られた運動であり、それを女性の全身の種目へ一律に当てはめることはしない。それと同じく、自分と別の人の設定を比べるときにも、数字の背景を省略しない。表示は見えるが、体と器具の位置関係や動作条件は、それぞれ確認する必要がある。[1][3][4]
今日からできること
- 記録には表示重量と一緒に器具の種類、座る位置、パッドの位置を残す。膝のモデルが含めたのは重りだけではなく、体との接点や角度でもある。[4]
- 別の器具へ移った日は、新しい条件として設定を確認する。関節パワーの推定に50%を超える差が生じ得た結果を、器具間の重量換算率として使わない。[1]
- 始めと終わりの位置を指導者と確認する。男性11人の肩の比較では、器具と負荷によって動かせる範囲が変わった。重量だけを前回の記録に合わせない。[3]
- 動作の速さが変わったら、その変化もメモする。男性45人の試験では速度低下の基準で結果を比較したが、10%という数値を測定なしに自己判定する方法にはしない。[8]
- 記録を振り返るときは、どの動きで変化を確かめたいのかを添える。17人、4週間の股関節の比較で差が出たのは105度であり、角度を問わない優劣とは区別する。[20]

オンザショア立川店で、数字と運動の予定を分けて考える
マシンの表示重量を比べる前に動作の条件を確かめるように、通う場所も自分が取り組みたい運動から選びたい。オンザショア立川店にはパーソナルトレーニング、ピラティス、常温のヨガ、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガなどがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあるが、ヨガの体験とマシンの負荷確認は別の目的として考える。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。運動の内容は店のトップで確かめられる。
営業時間は8:00〜23:30、年中無休。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。内容を選んだ後に、通勤や通学の経路と通える時間帯を照らし合わせる。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。料金ページと予約ページを確認し、用意するものと運動の予定を具体的にする。
参考文献
- Measurement of power in selectorized strength-training equipment — Biscarini A., 2012, Journal of applied biomechanics. DOI: 10.1123/jab.28.3.229
- Muscle loading and activation of the shoulder joint during humeral external rotation by pulley and variable resistance — Peltonen H, Arokoski J, Kallinen M, Pullinen T., 2012, Journal of electromyography and kinesiology : official journal of the International Society of Electrophysiological Kinesiology. DOI: 10.1016/j.jelekin.2012.02.002
- Minimization of the knee shear joint load in leg-extension equipment — Biscarini A., 2008, Medical engineering & physics. DOI: 10.1016/j.medengphy.2007.12.012
- Effect of Velocity Loss on Strength Performance in Bench Press Using a Weight Stack Machine — Rodiles-Guerrero L, Pareja-Blanco F, León-Prados JA., 2020, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/a-1179-5849
- Effects of short-term strength training based on hip flexion angle-torque characteristics using a prototype machine — Ito K, Maeshima E, Saito K, Koshiba H, Nakamata T, Yamaguchi K, Ihara H, Hattori, 2025, Journal of physical therapy science. DOI: 10.1589/jpts.37.226
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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