
筋活動の数字と、強くなったという結果を分ける
健康な18〜30歳の女性11人を対象とした横断的な実験では、スイミング、静止したうつ伏せの背部伸展を伴うシングルレッグキック、ダブルレッグキックが比べられた。運動の段階を映像で確認しながら、腰部伸筋の表面筋電図を記録した。測定値は最大随意等尺性収縮、つまり本人が最大限力を出して姿勢を保ったときの値を基準にしている。[4]
筋活動は基準値の15〜61%の範囲だった。スイミングはほかの運動条件より腰部伸筋の活動が高く、論文はその比較を平均29%と報告している。ダブルレッグキックもシングルレッグキックより有意に高く、その比較の平均は26%と報告された。これらは運動間の筋活動の結果であり、胸の上がる高さや筋力の増加率ではない。[4]
この数字を「61%まで反ればよい」と読むことはできない。百分率の分母は最大収縮時の筋活動であり、反る角度の上限ではないからだ。[4] 数字に単位が付いていても、何を基準にした数字かを見落とせば、練習の指示は別物になる。数字を使うなら、背筋のどの測定かを一緒に説明したい。
また、スイミングで筋活動が高かった結果から、全員の練習をスワンからスイミングに替える根拠は得られない。比較された運動にスワンは含まれず、対象は健康な女性の小規模な集団だった。腰に症状のある人やマシンを使う人に同じ順位が成り立つかは、この実験では確認されていない。[4]
「もっと力を出す」と「同じ課題を少ない筋活動で行う」の違いもある。女性30人の比較では、ピラティス経験者と未経験者が体幹伸展のテストを受けた。多裂筋と呼ばれる背筋の左右の筋電図と、体幹を伸ばす力の指標を使い、神経筋効率が評価された。ここでの効率は、力を出す能力と筋電図の関係から評価されたものである。[2]
経験者と未経験者の間には、等尺性の最大トルクと神経筋効率に有意差があった。一方、筋電図そのものには有意差がなかった。ここで比較したのは、経験の異なる女性が体幹伸展のテストを行ったときの測定値である。経験者を無作為に作った試験でもないため、経験以外の違いまで排除して、ピラティスが差の原因だと断定することはできない。[2]
それでも、筋活動の大きさだけでは力を出す能力を説明しきれないという点は押さえられる。[2] 練習中の背中のきつさも、筋電図そのものではない。きつく感じたことと、研究で測った電気的活動と、後日に測る筋力を混ぜない。「今日はきつかった」を大事な感想として残しつつ、強くなった証拠にはまだしないのである。
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続けた研究は、反る高さを成果にしていない
長期の変化を知るには、運動中の筋活動を測る実験とは別の研究を見る必要がある。腰痛のあるヘリコプター操縦士15人を無作為に分けた試験では、通常の運動を続ける群7人と、ピラティスに基づく運動を週2回、12週間行う群8人を比較した。ピラティス群は痛みの強さが比較群より平均3.5点低くなり、体幹伸筋などの持久力も向上した。一方、腰痛に伴う障害の指標には群間の変化がなかった。腰痛のある操縦士の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、この試験では確認されていない。[5]
これは無作為化比較試験だが、対象人数は少なく、飛行中の振動や姿勢が背景にある操縦士の研究である。評価には痛みの尺度と、体幹を支える持久力の検査が使われている。立川でデスクワークをする健康な人へ、同じ変化を約束する数字ではない。まして、スワンを高く反ったことが改善の原因だと特定する結果でもない。[5]
腰痛のある19人と健康な16人がピラティスのプログラムを8週間行った研究では、痛み、柔軟性、体幹筋の持久力や筋力が改善した。体幹伸展の評価では、腰痛群で腰部の筋活動の開始からピークまでの時間が短くなり、腹部の筋の時間に近づいた。活動の強さだけでなく、活動がピークに達するまでの時間を評価した点が、この研究の特徴である。腰痛患者を含む研究であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは判断できない。[1]
この研究が扱ったのは、筋活動が最大になるまでの時間であり、単に信号が大きくなることではない。[1] 同じ「筋肉が働く」でも、活動の大きさ、時間、力を保つ能力で問いが変わる。スワンの形を見て背筋のすべてを判断したくなったら、研究者でさえ別々の検査を使っていることを思い出したい。
柔軟性を成果にした試験もある。60歳を超える健康な女性32人を無作為に分け、静的ストレッチとピラティスを、各60分、週2回、3か月行った。ピラティス群では評価したすべての動きが改善したが、時間経過による群間の違いが出たのは体幹伸展だけだった。評価したのは体幹、股関節、足首の動きであり、胸を高く上げる競争とは目的が異なる。対象は60歳を超える女性であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは未確認である。[6]
ただし、ピラティスなら体幹の力が必ず改善するわけでもない。地域で生活する高齢者48人を、バランス運動、マットピラティス、対照群に分けた無作為化比較試験では、ピラティスを8週間行っても、体幹筋力やバランスの多くの項目で明確な効果が示されなかった。対象の年齢や運動内容が違うため、操縦士の試験と同じ条件の追試ではないが、良い結果だけを普遍化しないために併せて読む必要がある。高齢者の結果が18〜39歳の女性にそのまま当てはまるかは、この試験では確かめられていない。[5][7]
長期の成果を確かめたい人にとって、練習の終わりに胸が高く上がったかだけを記録するのは情報が少ない。研究では、痛み、持久力、柔軟性、筋力をそれぞれ評価している。[1][5][6][7] 自分が何の変化を知りたいのかを先に決め、症状に関わる判断は医師に、練習内容の確認は指導者に相談する。高さは見える情報のひとつであって、研究の成果をまとめた点数ではない。

よくある誤解
「胸が高く上がらないのは、背筋が働いていないから」。女性の背部伸展の研究は、腕や支える面による筋活動の違いを示しているが、高さだけから働きを判定する方法は示していない。高く上がらないという観察と、背筋が働いていないという結論の間には、測定が抜けている。[3] まずは今回の支え方と、何を練習する課題かを確かめたい。
「マシンやボールなら、床より背筋を使う」。安定した面とボールの比較では、測定した脊柱起立筋の活動は安定した面で高かった。ボールだから増えるという思い込みは、この条件では成立しなかった。[3] マシンのばね設定については、その比較結果だけでは判断できない。道具の名前を筋活動の大小の代わりにしないことである。
「背中がきついほど、筋力も伸びる」。女性の経験者と未経験者の比較では、筋電図に有意差がなくても、最大トルクと神経筋効率には差があった。[2] また、長期の比較試験には体幹の持久力が改善した結果も、筋力への明確な効果が見られなかった結果もある。[5][7] きつさを成果の代わりにせず、何を測れば目的に合うかを考える必要がある。
今日からできること
- 腕の条件を変えるときは、手の位置と肘の形を指導者に伝える。女性15人の比較は腕の条件による筋活動の差を扱った研究であり、自分の胸の高さだけを比較する根拠ではない。[3]
- マットとマシンを比べるなら、支える場所と設定の目的を聞く。安定した面とボールの15人の実験を、マシンのばねの推奨値には置き換えない。[3]
- 練習の感想には、きつさと出来た形を分けて残す。女性30人の比較で筋電図に有意差がなかった結果を踏まえ、感覚だけで筋力の増加を判定しない。[2]
- 続ける期間を相談するときは、週2回・12週間の研究が、操縦士を対象にした運動プログラム全体の試験だったことも伝える。その頻度を単独のスワンの標準処方にはしない。[5]
- 腰の痛みを良くするために反る高さを増やす、という自己判断は避ける。15人の試験では痛みと持久力が改善しても障害の指標は変わらず、症状の判断を運動の見た目で代用できない。症状の相談は医師に行う。[5]

オンザショア立川店で、練習を生活の予定に置く
スワンの高さを比べる前に、練習を続けられる時間と場所を決める。その選択肢として、オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、営業時間は8:00〜23:30で、年中無休である。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。通勤や通学の経路から考え、生活の中で通える時間を探すための条件になる。
当店にはピラティスと常温のヨガがあり、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガもある。ヨガのレッスンは25種類以上。運動を生活習慣として続ける場所を選ぶなら、通う時間と参加する種目を一緒に考えたい。仕事や講義の予定と照らして、次にも通える時間を見つけるための案内である。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。これはヨガの体験条件であり、スワンやマシンピラティスの体験内容を示すものではない。
参加の予定を立てる入口は店のトップ、費用の確認は料金、ヨガの体験申込みは体験の予約である。
参考文献
- Effects of a Pilates protocol in individuals with non-specific low back pain compared with healthy individuals: Clinical and electromyographic analysis — Alves MC, de Souza Neto RJ, Barbosa RI, Marcolino AM, Kuriki HU., 2020, Clinical biomechanics (Bristol, Avon). DOI: 10.1016/j.clinbiomech.2019.12.009
- Neuromuscular efficiency of the multifidus muscle in pilates practitioners and non-practitioners — Panhan AC, Gonçalves M, Eltz GD, Villalba MM, Cardozo AC, Bérzin F., 2018, Complementary therapies in medicine. DOI: 10.1016/j.ctim.2018.07.014
- Muscle activity of the erector spinae during Pilates isometric exercises on and off Swiss Ball — Paz G, Maia M, Santiago F, Lima V, Miranda H., 2014, The Journal of sports medicine and physical fitness. DOI: なし
- Electromyographic effect of mat Pilates exercise on the back muscle activity of healthy adult females — Menacho MO, Obara K, Conceição JS, Chitolina ML, Krantz DR, da Silva RA, Cardoso, 2010, Journal of manipulative and physiological therapeutics. DOI: 10.1016/j.jmpt.2010.08.012
- Effects of a mat Pilates-based exercise program for low back pain in helicopter pilots of the Brazilian Air Force: Randomized controlled trial — Correia Bulhões LC, Alves Gomes SR, da Silva VD, de Azevedo Rodolfo JI, Macedo L, 2024, Journal of bodywork and movement therapies. DOI: 10.1016/j.jbmt.2024.03.052
- Comparison between static stretching and the Pilates method on the flexibility of older women — Oliveira LC, Oliveira RG, Pires-Oliveira DA., 2016, Journal of bodywork and movement therapies. DOI: 10.1016/j.jbmt.2016.01.008
- Pilates vs. Balance Training in Health Community-Dwelling Seniors: a 3-arm, Randomized Controlled Trial — Donath L, Roth R, Hürlimann C, Zahner L, Faude O., 2016, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/s-0035-1559695
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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