女性の筋トレでクレアチンを使うと太る?体重と水分、筋肉の増加を分けて読む

女性の筋トレでクレアチンを使い、体重が増えたら脂肪も増えたのか。女子大学生ダンサーの水分測定、若い女性の筋トレ試験、閉経後女性のメタ分析から、体重・除脂肪量・筋力の違いを読む。追加効果がなかった研究も照らし合わせ、数字に振り回されず運動を続けるための判断材料を示す。

クレアチンを飲み始めて、朝の体重計の数字が増えたら何を確かめるべきか。「筋肉をつけたい」と「体重が増えると不安」が、洗面所でぶつかる。

クレアチンを使った女性の研究では、体重と体内の水分が増えた例がある。ただし、それだけで脂肪が増えたとは判断できない。女子大学生ダンサーの試験でも、水分と除脂肪量の測定値が増えており、研究者は実際の筋肉量の増加を確かめるには追加研究が必要だとしている。[5][11]

クレアチンによる筋トレの追加効果は、研究の条件によって異なる。若い女性の試験では追加効果が見られず、閉経後女性のメタ分析では小さな上乗せが示された。閉経後女性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめる根拠は、これらの比較からは得られない。答えは「太るか、太らないか」の二択より、何が増え、誰に、どんな条件で変化したかにある。[1][15]

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体重が増えたという事実と、脂肪が増えたという説明

体重計が示すのは体全体の重さだ。クレアチンの研究を読むときは、体重、脂肪量、体内の水分、除脂肪量という別々の測定項目を混ぜないことが大切になる。除脂肪量は筋肉そのものの別名ではない。筋肉量を測る方法のレビューでは、従来の除脂肪量は筋肉量の代わりに用いられてきた指標だと説明されている。これは高齢の男女を扱うレビューであり、身体機能との関連を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[12]

女子ハンドボール選手を対象にした研究が、その違いを考える材料になる。選手14人をクレアチンの朝摂取と夕方摂取に無作為に分け、特定のトレーニングを12週間続けた単盲検試験では、両群で体重と体内の水分が増え、体脂肪率は下がり、運動成績は改善した。朝と夕方の結果はよく似ていた。競技者の試験なので、競技をしていない18〜39歳の女性にも同じ変化が出るかは未確認である。[11]

つまり、この試験では体重の上昇と体脂肪率の上昇は同じ方向へ動かなかった。ただし、体脂肪率の低下だけから脂肪の絶対量がどれだけ減ったかを読み取ることもできない。論文が報告した測定項目のまま受け取り、「体重が増えたから脂肪も増えた」という結びつけを外すのが適切だ。[11]

ここには比較相手の問題もある。この試験が比べたのは朝と夕方の摂取であり、クレアチンを飲まない群ではない。したがって、観察された変化のすべてをクレアチン単独の作用と断定することはできない。運動も行っているからだ。摂取時刻を比べる研究と、摂取すること自体の効果を比べる研究は、答えられる問いが異なる。[11]

中央線で帰りながら「増えた体重をどう戻すか」と検索する前に、記録の欄を分けたい。重さが変わった、という記録の隣に、何が変わったかはまだ不明、と書いてもよい。脂肪の増加を確認していない段階で、体重という単独の数字にその説明まで背負わせる必要はない。[5][11]

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女子大学生ダンサーでは水分と測定上の除脂肪量が増えた

水分を実際に測った無作為化比較試験では、女子大学生ダンサーをクレアチン群7人、プラセボ群6人に分けて42日間観察した。プラセボは比較のための代替物である。クレアチン群の摂取量は体重1kg当たり1日0.1gで、比較群とともに炭水化物も摂取していた。[5]

クレアチン群の体内総水分量は、開始前の32.2kgから終了後の32.7kgへ増えた。除脂肪量は39.8kgから41.5kgへ増加した。報告された前後差は、いずれも統計学的に有意だった。統計学的に有意とは、ここでは偶然のばらつきだけでは説明しにくい差として扱われたという意味で、全員に同じ変化が起こる保証ではない。[5]

この数字を「筋肉がその分増えた」と翻訳すると、論文より先へ進んでしまう。論文の題名も除脂肪量の「推定値」の変化を扱っている。研究者は、水分と除脂肪量の推定値が増える可能性を述べる一方、筋肉量が増えたか、運動成績の改善につながるかについては、筋トレを伴うより大きな試験が必要だとしている。[5]

また、クレアチン群の開始前と終了後に差があったことと、プラセボ群より優れていたことは別だ。この研究の報告された結果では、上の数字はクレアチン群内の前後比較である。そのまま「飲まなかった場合に比べてこれだけ増える」という効果量には置き換えられない。比較の線をどこに引いた数字かまで読む必要がある。[5]

水分と除脂肪量が同時に動いたことは重要だが、増えた除脂肪量のうち水分が占める割合を、この結果だけで確定することもできない。すべて水分だったとも、すべて新しい筋肉だったとも言わない。体重計の数字より細かな測定をしても、測定値の意味にはなお幅が残るのである。[5][12]

この試験の対象はダンサーであり、日常的な運動の背景がある。運動を始めたばかりの人、競技をしていない人、年齢の異なる人に、同じ量の変化を約束する結果ではない。18〜39歳の女性でも、ダンスの運動歴が異なる読者に同じ変化が出るかは未確認である。小規模試験として、起こりうる変化を知る材料にするのがよい。自分の来月の数字を予言する表としては使えない。[5]

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「筋肉量が増えた」を読むには測定と筋力を分ける

筋肉量の測定に関するレビューは、二重エネルギーX線吸収測定法による除脂肪量や、電気的な測定による除脂肪量が、筋肉量の代替指標として使われてきたと説明する。前者はDXAと呼ばれる検査である。このレビューの対象は高齢の男女であり、測定値と身体機能の関係を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。除脂肪量は、検査名にかかわらず筋肉量の代替指標として読む。[12]

同じレビューでは、筋肉量を直接評価するクレアチン希釈法による測定と、DXAの除脂肪量とで、高齢者の身体機能との関連が異なることも述べられている。これは測定法の研究であり、クレアチンをサプリメントとして飲めば身体機能が改善する、という根拠とは区別すべきだ。高齢の男女における関連から18〜39歳の女性の補充効果を予測することはできない。名前に同じ物質があっても、測るために使うことと、補うことは別の仕事である。[12]

筋力も独立した項目になる。筋トレ試験では、脚で押すレッグプレスや胸で押すベンチプレスについて、1回挙げられる最大重量を調べることがある。その重量が上がったことは、できる動作の変化を示す。しかし、挙上重量の増加を体内の筋肉の増加量として読むことはできない。閉経後女性のメタ分析でも、除脂肪量と挙上重量は別々の結果として示されている。閉経後女性での効果量は18〜39歳の女性にはそのまま当てはめられないが、測定項目を区別する読み方は参考になる。[1]

この区別を日常へ戻すなら、体の重さの記録と、練習の記録を別の欄に置く。体重が気になった日にも、扱った負荷や続けられた動作は別に振り返れる。測定値の意味を混ぜなければ、重くなったという理由だけで運動の成果まで否定せずに済む。これはクレアチンの効果を決めつける方法ではなく、研究と同じように評価項目を分ける考え方だ。[1][15]

若い女性では追加効果がなかった試験もある

筋トレ経験のある女性17人を対象とした小規模な無作為化比較試験では、平均年齢は21歳で、8週間、週4日の分割筋トレを行った。運動後に乳由来のホエイたんぱく質24gを摂る群と、それにクレアチン5gを加える群を比較した。対象は筋トレ経験が6か月を超える女性だった。[15]

結果は、両群ともDXAによる除脂肪量が2.5kg増えた一方、群の間に差はなかった。筋力と下半身のパワーも両群で改善したが、クレアチンを加えた群の上乗せは確認されなかった。この条件では「足した方がさらに増えた」という結果ではない。[15]

これはクレアチンがどんな状況でも無効だと証明した試験ではない。人数が少なく、期間とトレーニング条件が限られている。ただし、「女性の筋トレには必ず必要」という主張には、そのまま反例になる。運動とたんぱく質摂取を伴う両群で変化があり、クレアチンの有無では差を検出できなかった、という位置づけだ。[15]

隣の記事「女性の筋トレにソイプロテインは向いている?」ではたんぱく質の種類の比較を扱う。ここでの焦点は種類の優劣ではなく、クレアチンを追加したときに、比較相手より変化が大きかったかである。既存の「【連載】その常識、研究では? 第9回|サプリメントは必要か——証拠水準を並べる」に全般の選び方を譲り、体重と測定値の読み方に絞りたい。

数字で読むクレアチンと女性の体

女子大学生ダンサーの試験は42日間。クレアチン群7人、プラセボ群6人という小規模な比較である。[5]

体内総水分量は32.2kgから32.7kgへ。クレアチン群内の開始前と終了後の比較である。[5]

同じ群の除脂肪量は39.8kgから41.5kgへ。実際の筋肉量の増加が確定した数字ではない。[5]

若い筋トレ経験者17人の試験では、8週間で両群の除脂肪量が2.5kg増え、追加クレアチンによる群間差はなかった。[15]

閉経後女性のメタ分析では、除脂肪量の平均群間差はプラス0.37kg、95%信頼区間はプラス0.05〜0.69kgだった。[1]

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