
筋力が増える研究と、明確に増えない研究がある
高齢者48人をバランス運動群、マットピラティス群、対照群に分けたランダム化比較試験では、体幹を曲げる力と伸ばす力、バランス能力を測定した。ピラティス群は8週間、週2回、各66分の練習を行った。動かしながら発揮する力と、姿勢を保ったまま発揮する力を区別している。高齢者の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、この試験では確認されていない。[7]
ピラティス群と対照群の比較では、多くの指標の効果は不明確で、効果量は0.05〜0.36だった。効果量は群の違いの大きさを表す尺度である。この試験は、マットピラティスによって体幹筋力とバランスに意味のある適応が起きたとはしなかった。反対に、バランス運動では改善を報告している。[7]
それに対し、慢性腰痛の女性を扱った別の介入研究では、ピラティス群27人、対照群27人を比較した。週2回、各60分の運動を16週間行い、姿勢を保ったまま発揮する体幹の屈曲・伸展の力を評価した。研究の結論は、それらの筋力が増え、終了後も2か月間持続したというものだった。慢性腰痛のある女性の結果を、腰痛のない18〜39歳の女性にそのまま当てはめる根拠は、この研究には示されていない。[15]
この違いを「効く研究と効かない研究の多数決」にしない。高齢者の地域住民と慢性腰痛の女性では、対象が違う。練習期間も測定内容も一致していない。前者は高齢者のバランス運動とマットピラティスなどを比較した試験で、後者は慢性腰痛の女性に対する運動介入を対照群と比較した研究である。それぞれの結果は、その対象と運動条件に結びつけて読む。[7][15]
ロールアップを練習している人にとって、ここから持ち帰れるのは、種目名だけで筋力の変化を予告できないということだ。研究で測った力が増えたとしても、ロールアップのどの局面が通過できるようになったかは別途確かめる必要がある。筋力計の結果を、マット上の成功率へそのまま読み替えられない。[7][15]
筋力と持久力も同じではない。前者は発揮する力、後者は力を保つ能力として区別される。慢性腰痛の女性の研究では、最大の筋力と持久力に関する検査を別に扱っている。「腹筋はあるのに途中で疲れる」という相談を、単純な矛盾として片づけない読み方につながる。[15]
講師に伝えるなら、「毎回同じ場所で止まる」「最初は進めるが後になると止まる」といった違いを残しておきたい。同じ場所で止まるのか、練習の後半に変わるのかを伝えると、講師が確認する場面を絞れる。帰宅してから「今日もできなかった」とだけ記憶するより、次の練習に持ち込める問いになる。
筋力が残る期間と、痛みや機能の改善が残る期間にも違いがある。慢性腰痛の女性を対象とした16週間の研究では、筋力の増加は終了後2か月間持続した一方、痛みの減少と機能の改善が続いたのは1か月間だった。終了後の持久力検査では、体幹を曲げる筋の持久力と、伸ばす筋の持久力の関係も分析している。同じ参加者でも、評価する項目によって経過が違う。練習後に残る変化を考える際は、筋力、持久力、痛み、機能を分けて追う。[15]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
ロールダウンと、痛みのある動きは別に扱う
「下りることはできるのに、上がれない」という経験を、能力不足の証明にしなくてよい。今回取り上げた研究は、ロールアップとロールダウンの成功条件を直接比べていない。下りられる人なら上がれるはずだという前提も、下りる練習だけで上がれるようになるという予測も、これらからは確かめられない。[2][5][7]
そこで、下りる場面も独立した観察として記録する。「途中までは戻れるが、背中が床に近づくところで急に動く」「床へ戻れるが、同じ軌道で上がれない」といった言葉である。上がるときの記録と並べ、どの場面を講師に見てもらうかを選ぶ。動きの途中で起きたことを、完成形の丸かばつから取り戻す作業だ。
痛みがある場合には、さらに話を分けたい。慢性腰痛の女性96人、平均年齢55.8歳を対象としたランダム化比較試験では、8週間、週2回、各60分のマットピラティスを実施した。腰を伸ばす筋の活動が前屈に伴ってどう変わるか、体幹の前屈範囲、痛み、機能を測った。慢性腰痛を持つ中年女性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、年齢と健康状態の違いを確かめる必要がある。[1]
結果はひと方向ではなかった。対照群と比べて痛みは30%減り、機能の指標は13.4%改善した一方、筋の活動と弛緩の関係を表す全体の比率や、体幹の前屈範囲には群と時間による明確な変化がなかった。筋活動の左右差はピラティス群で11%増加した。[1]
研究は、痛みと機能の改善があっても、腰の筋の弛緩は回復しなかったと結論した。左右差の増加については、代償的、あるいは望ましくない活動の再配分の可能性を挙げている。痛みが減ったから動きの仕組みもすべて整った、と読むことはできない。[1]
痛みや日常の機能の改善は、それ自体が評価する結果である。同じ研究で、痛みや日常の機能と、筋活動や前屈範囲は別々の結果になっている。ロールアップが完成したかどうかを、痛みの回復全体の成績表にしない方が研究に忠実だ。[1]
痛みを伴う動作や個別の健康状態は医師に相談する対象である。記事から自分の腰の状態を診断したり、種目を続けるべきかを決めたりせず、レッスンでは痛みの有無を先に伝えたい。[1]

よくある誤解
「できない人は、腹筋が弱い」。これは原因を絞りすぎている。呼吸の実験が示したのは筋活動の変化であり、柔軟性のレビューが示したのは主に最大前屈の変化である。体幹筋力の試験にも不明確な結果がある。それぞれの尺度を分けている研究から、成功しない人全員の筋力を逆算することはできない。[2][5][7]
もちろん、筋力が無関係だと証明されたわけでもない。慢性腰痛の女性を対象とした研究では筋力の増加を報告している。問題は、ロールアップができないという観察だけから、その人に必要な練習を腹筋運動に限定できるかどうかだ。研究結果を個人の理由へ結びつける段階には、動作の確認が残っている。[15]
「柔らかければ、必ず起き上がれる」。最大前屈が改善したという結果はあるが、起き上がる成功率の結果ではない。健康な60歳超の女性32人を対象としたランダム化比較試験では、静的ストレッチ群とピラティス群が3か月間、週2回、各60分の運動を行った。前屈を含む柔軟性を比べた研究である。60歳超の女性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、若い女性での比較が必要である。[6]
静的ストレッチ群では体幹屈曲と股関節屈曲が、ピラティス群では測定したすべての動きが改善した。しかし、時間経過に伴う群の差が見られたのは体幹伸展だけだった。ピラティス群の改善項目が多いことをもって、前屈でも他の運動を上回ったと結論しない。柔軟性の結果にも、比較の相手がある。[6]
「決まった回数をこなせば、誰でも完成する」。柔軟性のレビューでは、高い体幹前傾を得る条件として少なくとも6週間、週3回の練習に言及している。しかし、これはロールアップの習得期限でも、初心者全員への練習量の指定でもない。研究ごとの内容が異なり、競技者の結果も一致していなかった。[5]
同じレビューでは、練習をやめた期間の2週目からハムストリングの伸びやすさと体幹前屈が低下したと報告している。これは継続を考える材料だが、休んだ個人の動きが必ずその時期に崩れるという予言ではない。仕事の予定と研究の平均的な経過を、直接対決させる必要はない。[5]
今日からできること
- 次のレッスンに向けて、止まる場所を短く記録する。起きる途中と座ってからの前屈を分け、呼吸の実験で測った筋活動と、21本のレビューで扱った柔軟性のどちらに近い疑問かを整理する。自分で原因を確定するための記録ではない。[2][5]
- 呼吸の合図で感じ方が変わるかを講師と確かめる。未経験の女性19人の研究は呼吸条件による筋活動の違いを示したが、成功率は示していない。「息を吐けば完成する」と期待を固定せず、どこで息を止めていたかを伝える。[2]
- 練習の量を研究の数字からそのまま決めない。9か月、週2回の試験は思春期の人の柔軟性などを測ったもので、成人のロールアップの習得計画ではない。自分の経験や動作を講師に見てもらい、参加できる予定を相談する。[3]
- 完成度以外にも変化を残す。慢性腰痛の女性96人の試験では、痛みや機能の改善と、前屈範囲・筋活動の結果が一致しなかった。痛みがある場合は医師に相談し、見た目の成功だけで健康状態を判断しない。[1]
- ロールダウンは別の欄に書く。高齢者48人の筋力試験も、上がる動きと下りる動きの習得を直接評価していない。「下りられるのに上がれない」という違いを消さず、見てもらいたい場面を具体的にする。[7]

オンザショア立川店で、観察を持ち込む時間を
ロールアップの途中で止まった場所を伝えるなら、上がる場面と下りる場面を分けて持ち込みたい。オンザショア立川店では、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、ピラティスや常温のヨガを行っている。ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。動作について聞きたいことを整理し、通う予定とともにレッスンの内容を確認する入口にできる。
参加条件も予定と合わせて確認したい。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。場所はJR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休である。
店のトップと料金で予定を確認できる。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンとバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。ヨガを試す場合は体験の予約から進める。ヨガの体験を申し込む際にも、ロールアップについて相談したいのか、ヨガを試したいのかを整理しておくと、確認したいレッスンの内容が具体的になる。完成形だけを目標にする前に、途中のどこを見たいかを持って行く時間を選びたい。
参考文献
- Impact of 8-Week Pilates Program on Lumbar Flexion-Relaxation Dynamics and Functional Outcomes in Women with Chronic Low Back Pain — Ferri-Caruana A, Salazar-Bonet LR, Romagnoli M, Staiano W., 2026, Journal of functional morphology and kinesiology. DOI: 10.3390/jfmk11010085
- The Pilates breathing technique increases the electromyographic amplitude level of the deep abdominal muscles in untrained people — Barbosa AW, Guedes CA, Bonifácio DN, de Fátima Silva A, Martins FL, Almeida Barb, 2015, Journal of bodywork and movement therapies. DOI: 10.1016/j.jbmt.2014.05.011
- Effect of 9-month Pilates program on sagittal spinal curvatures and hamstring extensibility in adolescents: randomised controlled trial — González-Gálvez N, Marcos-Pardo PJ, Trejo-Alfaro H, Vaquero-Cristóbal R., 2020, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-020-66641-2
- [THE EFFECTS OF THE PILATES METHOD ON HAMSTRING EXTENSIBILITY, PELVIC TILT AND TRUNK FLEXION] — Vaquero-Cristóbal R, López-Miñarro PA, Alacid Cárceles F, Esparza-Ros F., 2015, Nutricion hospitalaria. DOI: 10.3305/nh.2015.32.5.9678
- Comparison between static stretching and the Pilates method on the flexibility of older women — Oliveira LC, Oliveira RG, Pires-Oliveira DA., 2016, Journal of bodywork and movement therapies. DOI: 10.1016/j.jbmt.2016.01.008
- Pilates vs. Balance Training in Health Community-Dwelling Seniors: a 3-arm, Randomized Controlled Trial — Donath L, Roth R, Hürlimann C, Zahner L, Faude O., 2016, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/s-0035-1559695
- Effects of a 16-week Pilates exercises training program for isometric trunk extension and flexion strength — Kliziene I, Sipaviciene S, Vilkiene J, Astrauskiene A, Cibulskas G, Klizas S, Ci, 2017, Journal of bodywork and movement therapies. DOI: 10.1016/j.jbmt.2016.06.005
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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