
筋力と仕事の緊張も、同じ地図に入れる
肩が張るから、使いすぎた筋肉を休ませる。それは分かりやすい発想だが、筋力を測る研究は違う問いを加える。痛みのある人とない人では、首や肩甲骨まわりの力にも違いがあるのか、という問いである。
20〜45歳の男性オフィスワーカー72人を調べた横断研究は、首の痛みのある34人と、症状のない38人を比較した。首を前や後ろに動かす筋肉、肩甲骨にかかわる前鋸筋の力は、痛みのある群で低かった。一方、調べた筋肉の長さには有意な群間差がなかった。[2] この結果だけでも、筋肉が短くなったから痛いという説明では拾えない特徴がある。
この研究では、痛みのある群でパソコンを使う時間も長かった。[2] 力の測定には手持ちの筋力計、長さの検査には検査者が身体を動かす方法を使い、仕事の特徴は質問票で尋ねている。[2] 同じ「肩が張る」という訴えを調べるにも、働き方、筋力、筋肉の長さという複数の入口がある。運動を選ぶ際には、首を支える筋肉や肩甲骨まわりを含むプログラムに目を向けるきっかけになる。
さらに、仕事の緊張も肩の筋活動にかかわる。健康なオフィスワーカー60人を対象とした実験では、座って休む状態、集中してパソコン作業をする状態、集中に心理社会的なストレスが加わる状態で、首の姿勢と筋活動を比べた。[14] 心理社会的なストレスとは、仕事の状況や人との関係などにかかわる心理的な負担を指す。
集中する条件では頭が前に出る姿勢が増えたが、ストレスをさらに加えても頭の位置はそれ以上変わらなかった。一方、僧帽筋上部の活動は左右とも増え、首の前側や後ろ側の筋肉には同様の変化がなかった。[14] 姿勢の見た目が変わらなくても、実験条件によって肩の筋活動が違ったのである。
この結果を日常に下ろすなら、画面の高さだけでなく、どんな仕事のときに肩がつらくなるのかも確認することになる。難しい作業、急ぎの対応、対人場面などを記録するのは、研究を手がかりに、負担を感じる条件を観察するための提案である。[14] 椅子を調整しても残る負担を、姿勢の直し方が足りないせいとだけ考えずに済む。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
分かっていない部分を、原因の断定で埋めない
肩こりの仕組みを考えるとき、筋肉の中の変化にも関心が向く。仕事関連の僧帽筋痛のある人と健康な人の筋肉を、生検、つまり組織の一部を採取して調べた研究をまとめた系統的レビューでは、形態や生理的な特徴に明確な差があるとはいえなかった。差がないことを支持する証拠の強さも、低〜中程度だった。[11]
別の職業の人を比較対象にしたときに見つかった差は、痛みそのものより仕事の負荷を反映している可能性がある、とこのレビューは論じている。[11] 筋肉の硬さを機器で測った研究と矛盾して見えるかもしれないが、測っている層が違う。座っているときの組織の硬さと、採取した組織の形や生理的な特徴は同じ指標ではない。[4][11]
仕事のストレスと筋活動の関係にも、別の結果がある。医療、販売、銀行、大学の事務に従事する女性93人を対象とした横断研究では、首肩の痛みがある38人と、ない55人を調べた。勤務中の僧帽筋の活動は両群で低く、同程度だった。[15] ストレスが強い状況でつらさがあっても、常に筋活動が高い形で現れるわけではなかった。
同研究では、痛みのない群は仕事から余暇に移ると筋活動が低下したが、痛みのある群ではその変化がなかった。[15] 実験でストレスを加えたときの反応と、実際の職場や余暇での観察は、それぞれ違う条件を映している。[14][15] 肩こりを「筋肉が働き続けるから」の一言だけで説明し切らず、仕事の内容や休む時間まで見たい理由である。
姿勢についても、理想の形を固守する前に確かめる余地がある。慢性的な首の痛みがある15人と健康な15人のパソコン作業を調べた実験では、椅子の傾きと頭・首の位置を変え、各条件を2.5分ずつ保った。女性では、中立の頭・首の位置で僧帽筋の活動が低くなる一方、測った3か所中2か所の硬さは高くなる結果があった。[20] 短時間の測定であり、長期の痛みの改善を示す試験ではない。横断研究で見つかった筋力や硬さの違いも、症状が先か身体の特徴が先かは確定していない。また、持続する筋活動の研究で用いた4分という区切りは、測定上の定義であり、休憩の処方とは分けて読む。1時間ごとの休憩はレビューの提案で、最適な休憩時間や運動の回数・週の頻度を確かめた結果とは区別する。[1][2][4][10]
これらから、この記事では痛み、硬さ、筋活動、筋力を別の項目として扱う。原因を探すことは大切だが、原因らしく聞こえる言葉だけで、行う対策を狭めないようにしたい。硬さだけを変える目標に固定せず、仕事と休息の条件も見直すという方針は、複数の測定を読み合わせた実践上の整理である。[2][4][11][13][15][20]

よくある誤解
「肩こりの人は、みんな筋肉が縮んでいる」という思い込みがある。しかし男性オフィスワーカーの比較では、首の痛みの有無で筋肉の長さに有意差はなかった。[2] 筋肉の長さの検査と、機器による硬さの測定と、本人の張る感じは別々に扱いたい。男性72人の研究と女性32人の研究では、参加者も測定方法も異なる。[2][4]
この区別は、対策を選ぶときにも役立つ。筋肉の長さを比べる研究が答えるのは身体の特徴であり、ストレッチを実施したときの変化は介入研究で確かめる。 ストレッチの効果と筋トレとの比較は、第3回「ストレッチは効くのか 筋トレと比べて分かったこと」で、介入研究の結果から考える。
「背筋を伸ばした形なら、肩への負担はいつも少ない」という思い込みも見直したい。椅子と頭の位置を変えた小規模実験では、女性では、中立の頭・首の位置で筋活動が低く、3か所中2か所の硬さが高かった。[20] きれいな姿勢を長く固定することを目標にする前に、作業の変化と休憩を置けるかを考える。作業の変化の少なさが発症要因として挙がったレビューも、その視点を支えている。[13]
姿勢と一緒に、画面やキーボードの配置も点検する。画面やキーボードの配置を含む作業環境はレビューでも取り上げられている。[1][13] [1]は画面とキーボードを適切な高さにすることを挙げ、[13]は身体に近いキーボード位置と発症との関連を報告している。仕事の環境と休憩の具体策は、第5回「デスクワークの肩こり 画面・椅子・こまめな休憩の効果」に譲る。
今日からできること
- パソコン作業をする人は、今日の始業時に1時間ごとの休憩を予定に入れ、その区切りでいったん入力を止める。文献レビューの予防策の提案を、仕事の予定に下ろす。[1]
- 入力が続く人は、その1時間の区切りで、次に行える資料確認や打ち合わせがあるかを見て、可能なら作業を切り替える。作業内容の変化を増やすための実践上の提案だ。[1][13]
- 今日パソコンを使う前に、画面とキーボードの高さを点検する。首や肩を含む作業環境の見直しを、1時間ごとの休憩と組み合わせる。[1]
- 肩の状態を知りたい人は、その休憩で入力を止めた際に、肩の張り、痛み、動きづらさ、直前の作業を分けて書く。測定項目を分けた研究を日常の観察に生かす提案だ。[4] 首肩の筋トレの種目や時間・週の回数は、第2回の介入研究から選び、痛みを我慢して続けない。
- 当店の安全方針として、持病・服薬中・けががある人、妊娠中の人は始める前に医師に相談する。産後の方は、産後すぐの方も含め、始める前に産科の医師や助産師に相談する。腕や手のしびれ、力が入りにくい、強い頭痛、発熱を伴う首の痛み、けがの後の痛みは、運動で様子を見ず医師に相談する。

オンザショアで、肩の状態に目を向ける運動の時間を作る
肩の状態を知ることから運動を続ける生活へ進むなら、仕事の予定と合わせて通える時間を選びたい。オンザショア立川店は8:00〜23:30、年中無休で、仕事の前後にも運動の時間を予定に置ける。
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所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分だ。暑さが苦手な方は常温のレッスンを選ぶ。持病のある方・妊娠中の方は、始める前に医師に相談する。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、医師から運動を止められている方は利用できない。店のトップでレッスンを見て、料金と体験の予約で通う予定を具体にできる。
参考文献
- Upper Crossed Syndrome in the Workplace: A Narrative Review with Clinical Recommendations for Non-Pharmacologic Management — N. Russin et al., 2026, International Journal of Environmental Research and Public Health. DOI: 10.3390/ijerph23010120
- Investigation of muscle imbalance among asymptomatic and symptomatic neck pain male office workers — Haifah Nitayarak et al., 2022, Physiotherapy Quarterly. DOI: 10.5114/pq.2021.108679
- Female Office Workers With Moderate Neck Pain Have Increased Anterior Positioning of the Cervical Spine and Stiffness of Upper Trapezius Myofascial Tissue in Sitting Posture — P. Kocur et al., 2019, PM&R. DOI: 10.1016/j.pmrj.2018.07.002
- Clinical features of neck and shoulder pain (Katakori) in Japanese hospital workers — A. Onda et al., 2022, Fukushima Journal of Medical Science. DOI: 10.5387/fms.2022-02
- The effect of work-related sustained trapezius muscle activity on the development of neck and shoulder pain among young adults. — T. Hanvold et al., 2013, Scandinavian journal of work, environment & health. DOI: 10.5271/sjweh.3357
- Morphological and physiological differences in the upper trapezius muscle in patients with work-related trapezius myalgia compared to healthy controls: A systematic review. — K. De Meulemeester et al., 2017, Musculoskeletal science & practice. DOI: 10.1016/j.msksp.2017.02.007
- Physical risk factors for developing non-specific neck pain in office workers: a systematic review and meta-analysis — Deokhoon Jun et al., 2017, International Archives of Occupational and Environmental Health. DOI: 10.1007/s00420-017-1205-3
- Differential effects of mental concentration and acute psychosocial stress on cervical muscle activity and posture — Bahar Shahidi et al., 2013, Journal of electromyography and kinesiology : official journal of the International Society of Electrophysiological Kinesiology. DOI: 10.1016/j.jelekin.2013.05.009
- Daytime trapezius muscle activity and shoulder-neck pain of service workers with work stress and low biomechanical exposure. — K. A. Holte et al., 2002, American journal of industrial medicine. DOI: 10.1002/ajim.10039
- The influence of chair recline and head and neck position on upper trapezius activity and stiffness during seated computer work. — Whitney L. Wolff et al., 2024, Applied ergonomics. DOI: 10.1016/j.apergo.2024.104227
この記事の情報は2026年10月時点のものです。持病のある方・服薬中の方・妊娠中の方は、運動を始める前に医師にご相談ください。しびれや強い痛みがある場合は、運動で様子を見ず医療機関を受診してください。
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