筋トレ後の有酸素運動を毎日走る前に、息の余裕と腱への反復負荷を分けて考える

筋トレ後の有酸素運動を毎日続けたいとき、息が楽だから脚も回復したとは決められない。歩行・走行・筋力運動でアキレス腱に掛かる力、長距離走後の回復、走り方を変えた試験を読み、心拍や運動時間だけに頼らず、種目と反復する負荷から予定を考える視点を整理する。

かかとを上げる筋トレを終え、ランニングマシンに移る。昨日より呼吸が楽だと、今日も走れそうな気がする。だが、息の余裕とアキレス腱が受ける力は、同じ目盛りでは測れない。人の運動中の負荷を集めた系統的レビューでは、歩行にも走行にも腱への力があり、筋力運動でも種目によって大きく異なっていた。[17]

「筋トレ後の有酸素運動は毎日しないほうが良い」と一律に決める答えにも、反対に「軽く走れば毎日でも問題ない」という答えにも飛びつかない方がよい。ここで扱う研究から考えられるのは、走る日数を決める前に、筋力運動と走行でどんな負荷が重なるかを分けることである。日数だけで腱への刺激を表すことはできない。[17]

既存記事「筋トレ後の有酸素運動は10分で終える?時間を延ばす前に分けたい脚の重さと疲労感」には、運動時間と疲労感の問いを譲る。こちらで考えるのは、翌日も同じ脚で走る予定を立てるときの反復負荷である。消費した時間の合計ではなく、脚が何を繰り返したかを見ていく。

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有酸素運動という名前だけでは腱の負荷は分からない

有酸素運動という言葉を、脚への力が小さい運動という意味で使うと、予定を読み違えやすい。アキレス腱の負荷を扱った系統的レビューは、人を対象に、腱に掛かる力を体重に対する比で評価した研究を集めている。採用されたのは11研究で、そのうち10研究が歩行または走行を調べていた。ふだんの移動と運動を、腱が受ける力という共通の物差しに置いたレビューである。18〜39歳の女性に限定した集計ではなく、その負荷の範囲をこの年代の女性個人にそのまま当てはめることはできない。[17]

歩行時の負荷は体重の2.7〜3.95倍、走行時は4.15〜7.71倍、筋力運動では種目によって0.41〜7.3倍の範囲だった。この数字は研究をまたいで報告された範囲であり、誰もが同じ値になるという意味ではない。歩行の範囲の下端と走行の上端を割って、自分が走れば何倍危険になる、と計算する数字でもない。[17]

ここでいう「体重の何倍」は、体重が増えたという話でも、足裏でその重さを感じるという話でもない。腱に掛かる力を、体重に相当する力に対して表したものである。レビューの測定対象はアキレス腱であり、この比を膝や腰にそのまま当てはめることもできない。[17]

それでも、予定表の見方は変わる。筋トレの欄と有酸素運動の欄を分けただけでは、アキレス腱を使う運動が重なる可能性は消えない。逆に、筋トレという名前だけで走行より負荷が大きいとも決められない。レビューで筋力運動の範囲が広かった点は、運動名の分類より、実際の種目を確かめる必要を示している。[17]

たとえば仕事帰りの記録に「筋トレ、その後は軽め」とだけ書くと、軽めなのが呼吸なのか、重りなのか、脚への力なのかが残らない。「かかとを上げる運動の後に走った」と書けば、次に予定を見直すときの材料になる。これは負荷の研究を暮らしに使うための記録の工夫であり、その文言でけがを予防できると検証された方法ではない。

歩く日を走る日の代わりに置く場合も、「歩行なら負荷がない」と扱わない方が筋が通る。歩行にも腱への力が測定されているからだ。電車に間に合うよう立川駅の階段へ向かう日と、机に向かって帰宅する日を、運動欄の空白だけで同じ日にする必要はない。ただし日常の動作を、このレビューの数字で正確に足し算することはできない。[17]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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心拍が同じでも、走る動きは同じではない

心拍計は便利だが、腱に掛かる力を直接測る装置ではない。この区別を考える材料になるのが、音楽の拍を使って走る歩数の頻度を変えた研究だ。ケイデンスとは単位時間あたりの歩数を指す。研究では、好みの歩数の頻度より速い拍の音楽を使い、走り方がその後も変わるかを調べた。[18]

参加したのは余暇に走る7人で、時間不足と急なふくらはぎのけがにより各1人が離脱し、完了者は5人だった。介入は4週間で、開始時の平均ケイデンスより7.5〜10%速い拍を使った。研究全体では12週間にわたって経過を追っている。対象は余暇ランナーであり、18〜39歳の女性が筋トレ直後に毎日走る条件へそのまま当てはめるには、対象と運動条件が異なる。[18]

ケイデンスは介入中に8.5%、介入後にも7.9%高くなった一方、走行速度と心拍数に有意な変化はなかった。著者らは、代謝面の負担を増やさずに機械的負荷を減らせる可能性に言及している。可能性という位置づけは大切で、アキレス腱の負荷がこの割合で減ったという結果に読み替えてはいけない。[18]

この研究の読みどころは、同じくらいの速さと心拍数で走っていても、歩数の頻度は変わり得ることだ。腕時計の画面が似ていることと、脚の動きが同じであることは一致しない。まして、心拍がいつも通りだから腱もいつも通り回復している、と証明できるわけではない。[18]

音楽に合わせれば安全になるという勧めでもない。完了者の少ない研究の方法を、毎日走るための裏技にするのは早い。日々の記録では心拍や呼吸の楽さを残しつつ、それと別に走った内容を残す。このように測る項目の役割を分ける方が、研究結果を広げ過ぎずに使える。[18]

翌日の回復を、長距離走の数字からどう読むか

回復を具体的に追った研究では、若いランナーと中年のランナーが21 kmを自分のペースで走り、前後の筋力とアキレス腱の性質を調べている。対象は21〜29歳の22人と、50〜67歳の27人である。超音波と力の測定を使い、腱に加わる力と伸びの関係を評価した。18〜39歳の女性全般にそのまま当てはめるには、年齢の範囲とランニング経験が異なる。[6]

ここでの腱のスティフネスは、力に対してどれだけ伸びにくいかを表す機械的な性質である。「ふくらはぎが張る」「足首が硬い」といった主観や関節の動く範囲と同じ意味ではない。研究では、若い群のアキレス腱のスティフネスは変わらず、中年群では走行直後に22%低下した。[6]

筋力は走行直後に中年群で17%、若い群で11%低下し、どちらも20〜28時間後には基準の値に戻った。中年群の腱のスティフネスも同じ測定時点では戻っていた。一方で若い群は筋力が低下しても腱のスティフネスは変わっておらず、筋肉と腱の指標が必ず一緒に動くわけではなかった。[6]

この結果から「丸一日待てば誰でも毎日走れる」という規則は作れない。調べたのは特定の年齢のランナーによる長距離走であり、筋トレを先に行った初心者の翌日の安全を判定した試験ではない。また、測った性質が戻ったという結果と、あらゆる組織が完全に回復したという主張は別である。[6]

反対に、「走ると腱の性質が変わるから走行は悪い」と読むのも違う。中年群で観察された変化は、その後の測定では消えている。運動直後の変化を、そのまま長期的な損傷の証拠と見なさないことも、回復の研究を読む際の大切な境界になる。[6]

さらに、中年群は若い群より歩数の頻度と総歩数が多かったが、それらと腱の変化との相関は確認されなかった。反復回数に注目するのは必要でも、「歩数が多かったから腱が変わった」とこの研究に言わせることはできない。負荷を理解するには、回数だけでなく測定した性質と条件を合わせて見る必要がある。[6]

レビューの対象にも目を向けたい。採用研究の多くが歩行と走行を扱い、測定された運動のうち、リハビリテーションで通常行われるものは3種目だった。筋力運動の広い数値範囲だけを見て、あらゆる筋トレを網羅した一覧だと受け取ることはできない。[17]

研究を使うときは、運動の種類を比べる問いと、毎日続けた結果を比べる問いを分けると読みやすい。腱に掛かる力のレビューは前者を考える材料であり、毎日の組み合わせの安全性を直接決定する数字ではない。著者らも健康な人と傷害のある人の双方について、データの充実が必要としている。同じ力の数値から、全員に同じ予定を配るわけにはいかない。[17]

数字で読む腱への負荷と回復

11研究:人のアキレス腱に掛かる力を集めた系統的レビューの採用研究数である。[17]

体重の2.7〜3.95倍:レビューで報告された歩行中の腱負荷の範囲であり、負荷ゼロではない。[17]

体重の4.15〜7.71倍:走行中の腱負荷の範囲であり、個人の安全基準ではない。[17]

22%低下:21 km走行直後、中年群に見られた腱のスティフネスの変化である。[6]

20〜28時間後:長距離走の研究で、低下した筋力と中年群の腱の指標が基準に戻った測定時点である。[6]

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宮川涼 Founder

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