ピラティスの週に水泳を足すなら、マットのスイミングとプールの息は別である。13人のフィン水泳は陸の自転車と最大酸素摂取量が同じでも、最大心拍が18%低く、酸素脈は20%高く、二酸化炭素排出は17%低かった。梗塞後の男性15人では運動中の拍出が水と陸で違わなかった。種目名だけで効果を重ねず、対象と測定条件を分けて読む。
うつ伏せのマットで「スイミング」と声が掛かる。手足を浮かせたあと、プールでも同じように息を使えるのだろうか。床の上の種目名と水の中を泳ぐことは別の話である。ピラティスと水泳を組み合わせるなら、まず同じ名前をほどきたい。
ピラティスの週に水泳を足す前に、論文が返す芯は三つに分かれる。マットのスイミングは、若い腰痛の人の姿勢の揺れと、健康な女性の背中の筋電図であって、プールの換気ではない [5][14][16]。水に入るフィンは、13人で陸の自転車と最大酸素摂取量が同じでも、最大心拍が18%低く、酸素脈が20%高く、二酸化炭素の排出が17%低かった [17]。肩まで浸かった心筋梗塞後の男性15人では、安静の心拍出量と一回拍出量は水で上がり、運動中は陸と違わなかった [18]。体重を落とす順位は、この三つのどれにも入っていない。
水泳の前に胸まで浸かる水圧と、吸う筋肉の負担は、「呼吸法は水泳前に胸まで浸かると変わる?水圧と吸う筋肉の負担を研究で読む」に譲る。床の上で音楽への同調と呼吸の余裕からピラティスとヨガを選ぶ話は、「ピラティスとヨガを比較、音楽への同調感と呼吸の余裕から体験を選ぶ視点」が先に書いている。週の予約を全体の負担として足し上げる話は、「ピラティスとジムを併用する週、別々の予約を全体の負担として記録する始め方」に譲る。ここでは、種目の名前と、水に入ったときの息と循環の数字だけを見る。

マットのスイミングは、プールのレーンに着かない
若い非特異的腰痛の人46人を、20分のピラティスと休息に分けたランダム化試験がある [5]。ピラティス群は23人で、男性10人、年齢は21.8±3.2歳。対照は23人で、男性9人、22.8±3.6歳だった [5]。種目は四つ。シングルレッグストレッチ(レベル1)、ペルビックプレス(レベル1)、スイミング(レベル1)、膝立ちで対側の手足を伸ばす動きである [5]。不安定な面の上で目を閉じ、90秒立つ前後を、床反力計で見た。腰痛のある男女の結果を18〜39歳の健康な女性にそのまま当てはめることはできない [5]。
圧力中心の面積は、11.5±3.4平方センチメートルから9.7±2.7平方センチメートルへ減った(p=0.002)[5]。圧力中心の速度は、毎秒2.8±0.6センチメートルから2.3±0.5センチメートルへ落ちた(p<0.001)[5]。星状に足を伸ばす動的バランスも、ピラティス群で改善した [5]。開始時に群の差はなく、対照が改善したのは速度だけで、その幅はピラティス群より小さかった [5]。著者らの結論は、この運動が直後の姿勢の揺れと動的バランスを改善した、というものである [5]。
スイミングという名前の中身は、別の筋電図がうつ伏せで測っている。健康な女性11人、18歳から30歳が、マットのスイミング、片脚キックを添えた静的な背中の伸展、両脚キックを比べた断面の研究である [16]。腰椎の伸展筋(第5腰椎の高さ)の活動は、最大随意等尺性収縮の15%から61%の範囲にあり、スイミングは他の二つより平均29%高かった [16]。両脚キックは、片脚キックより平均26%高かった [16]。何週も訓練した試験ではなく、その場の筋の使い方の比較である [16]。
3か月以上ピラティスを続けた健康な女性18人では、両脚キック、スイミング、レッグビートの三つを、8チャネルの表面筋電図で見ている [14]。電極は広背筋、多裂筋、大殿筋、半腱様筋の左右に付いた [14]。最大随意等尺性収縮に正規化した多裂筋は、スイミングで52.3±11.0と50.9±9.8、レッグビートで51.8±12.8と48.3±13.9と、高く出た [14]。半腱様筋はレッグビートの49.2±8.7と52.9±9.3が、両脚キックとスイミングより高かった [14]。対で並ぶ数字を、左右どちらかの「正解」にはしない。
クラスで言われたスイミングは、レーンの往復ではない。背中側の筋が、短い時間にかなり働く種目である [14][16]。予定表の同じ行に書くと、床の上の背中と、水の中の息が一つの練習に見えてしまう。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
フィン水泳は、最大酸素摂取が同じでも息の振れが小さい
水に入る側で、息の増え方を陸の自転車と並べたのは、フィン水泳の比較である [17]。経験のある人と、ない人を含む13人が、漸増のフィン水泳と、自転車エルゴメータの最大運動を、呼吸ごとに測った [17]。心拍、換気量、一回換気量、酸素摂取量、二酸化炭素排出量、酸素脈(酸素摂取量を心拍で割った値)を取り、換気性閾値と最大酸素摂取量を決めた [17]。経験の異なる参加者の比較であり、18〜39歳の女性の通常の水泳にも同じ差が出るかは検証が必要である [17]。
最大酸素摂取量は、二つの条件で違わなかった [17]。揃わなかったのは、その周りの数字である。陸の自転車と比べ、フィン水泳では換気性閾値が上がるか、検出されなかった [17]。最大心拍は18%低く(p=0.0072)、最大の酸素脈は20%高く(p=0.0325)、最大の二酸化炭素排出量は17%低かった(p=0.0071)[17]。同じだけ酸素摂取量が増えるときの、換気量と一回換気量と心拍の変化も、有意に小さかった [17]。
著者らは、フィン水泳では筋の無酸素性代謝の始まりが遅れる可能性を示唆している [17]。筋の代謝物が心臓と呼吸中枢へかける化学反射が弱まることで、この抑えられた心肺の応答を説明しうる、とも書く [17]。13人の、フィンと自転車の比較である。ピラティスのマットを、この自転車の代わりに置いた試験ではない [17]。
中央線の帰りの画面で、プールの周回とマットの回数を同じ「有酸素」の欄へ入れる夜がある。有酸素という言葉は、最大酸素摂取量が似ていれば中身も似る、という読みを誘いやすい。この13人では、最大酸素摂取量のほうは条件のあいだで動かず、心拍と換気の振れのほうが動いた [17]。欄の名前を揃える前に、水か陸かを一行足す理由は、ここにある。
肩までの浸水は、安静の拍出と運動中の拍出を分けた
頭を水の外に出して浸かると、静脈の血が体の中心と心臓へ移り、心臓の前負荷が増える [18]。この論文が前提に置く健康な男性では、直立の脚の自転車で、水中の心拍出量と一回拍出量は陸より大きい [18]。心拍は、最大酸素摂取量の50%未満の負荷では水と陸が似て、それより高い強度では水中で下がる、とも書く [18]。これは、これから述べる15人の結果ではない。健康な男性についての、論文の置き方である [18]。18〜39歳の女性への適用には検証が必要である [18]。
同じ手続きを、心筋梗塞の記録がある男性15人で確かめた [18]。水温は31±1度、肩の高さまで浸かる [18]。安静と、最大酸素摂取量のおおよそ40%、60%、75%に当たる負荷で、心拍、二酸化炭素の再呼吸法による心拍出量、酸素摂取量を、水と陸の両方で測った [18]。安静では、水中で心拍出量と一回拍出量が上がった(p<0.05)[18]。運動中は、心拍も心拍出量も一回拍出量も、水と陸で違わなかった [18]。心筋梗塞後の男性の結果を18〜39歳の健康な女性へそのまま当てはめることはできない [18]。
ベータ遮断薬を使っていた8人と、運動でST部分が下がった5人を別に除いても、浸水は運動中の応答を有意には変えなかった [18]。著者らの読みは、梗塞があると、前負荷が増えたときの心臓の応答が、健康な男性のパターンとは違う、というものである [18]。機序として挙がるのは、心筋が広がりにくくなっていること、陸の運動の時点でフランク・スターリングの余力がほぼ使い切られていること、あるいはその両方である [18]。
立川の夜に足す水泳を、健康な男性の「水のほうが拍出が大きい」という一文だけで予定に書くと、この論文の中身とずれる。その一文は前提の側にあり、患者15人の運動中の測定は、水と陸を分けなかった [18]。既往がある人の運動は、医師の判断が先である。
数字で読む水中と陸上
最大心拍は18%低く、酸素脈は20%高く、二酸化炭素排出は17%低かった。最大酸素摂取量は、フィンと陸の自転車で違わない [17]。
換気性閾値は、フィン水泳で上がるか、検出されなかった。対象はフィンの経験がまちまちな13人である [17]。
安静の心拍出量と一回拍出量は、梗塞後の男性15人で水中のほうが高かった(p<0.05)。運動中は、水と陸で違わなかった [18]。
圧力中心の面積は11.5±3.4から9.7±2.7平方センチメートルへ。腰痛の若い成人46人、20分、スイミングを含むピラティスの直後である [5]。
腰椎伸展筋は、他の二種目より平均29%高かった。マットのスイミングを、健康な女性11人でその場比べした値である [16]。
多裂筋の正規化値は、スイミングで52.3±11.0と50.9±9.8。3か月以上続けた女性18人の、左右の対である [14]。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
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