脂質・たんぱく質・炭水化物を多くした同じエネルギーのシェイクを比較した試験がある。エネルギーをそろえたシェイクでは栄養素の種類で胃排出の時間は違っても、その後の食事量は変わらなかった。粘度やたんぱく質で半減時間が延びた試験と、脂肪の質や割合で血中の指標が動いた試験を分けて読む。
朝食のヨーグルトの蓋を裏返し、脂質の欄を見比べる。小さい数字を選べば、運動する頃には胃も軽くなるだろうか。食品の成分表には「胃から出るまで」の欄がない。脂質の量を読むことと、胃に残る時間を知ることの間には、まだ距離がある。
答えの芯は、脂質のグラムと胃の時計が、同じダイヤルではないことにある。若年者20人と高齢者20人の交叉試験では、約300kcal・250mlで脂質、たんぱく質、炭水化物のどれを多くしたシェイクでも、その3時間後に自由に食べたエネルギーと食欲の評点に有意差はなかった。胃排出の潜伏期と上昇時間は、シェイクの種類で違った。高齢者を含む比較なので、18〜39歳の女性に同じ結果が当てはまるかは別に確かめる必要がある。[12]
「ダイエット向きの朝食は飲むだけでよいか、運動前の液体と固形を比べる視点」は、飲み物と固形物の違いを見ている。ヨガの前の食事の温度と、胃の動き始めや半分が出る時間は別の稿に譲る。ここでは朝の脂質を、胃排出の時間、食後の血中の脂肪、脂肪の質に分けて読む。サプリが食事の脂質でどう溶けるかも、この稿の問いではない。[12]

栄養素を入れ替えても、次に食べる量は動かなかった
Dericiogluらは、若年者20人と高齢者20人に、単盲検の無作為化交叉試験を3回させた。手順は、いつもの朝食のあと、炭水化物、脂質、たんぱく質のどれかを多くしたミルクシェイクを飲む、というものである。エネルギーは約300kcal、体積は250mlにそろえてある。3時間後に自由に食べる食事を出し、摂取エネルギー、食欲の視覚的アナログ尺度、13Cオクタン酸呼気試験による胃排出を見た。若年者と高齢者を合わせた試験であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには対象の違いがある。[12]
胃排出の潜伏期と上昇時間には、プレロードの種類の効果があった。年齢は潜伏期と遅滞期に効き、高齢者の方が排出が速かった。一方、自由食事のエネルギー、その日の残りに自分で記録した摂取、主観的な食欲には、種類の効果も年齢の効果も有意ではなかった。著者の結論は、エネルギー摂取と知覚された食欲は栄養素の中身で変わらず、胃排出の時間は違った、というものである。[12]
ここで測っているのは、朝食そのものの脂質量ではない。標準の朝食のあとに足したシェイクである。結果として残るのは、エネルギーと体積をそろえた入れ替えでも胃の時間は動き、その動きが次の食事量には結びつかなかった、という分離である。[12]
同じ研究グループの翌年の試験は、問いをたんぱく質の割合に絞っている。活動的な高齢者19人と、活動の少ない高齢者19人が、自宅で2日の単盲検交叉試験を行った。標準の朝食のあと、体積250ml、約300kcal、感覚特性をそろえた高たんぱくまたは低たんぱくのシェイクを飲む。エネルギーに占めるたんぱく質は57%と17%である。3時間後の自由食事、100mmの食欲尺度、13Cオクタン酸呼気試験を使った。高齢者の栄養摂取を扱う試験なので、18〜39歳の女性の朝食にそのまま当てはめるには対象の違いがある。[4]
高たんぱくのシェイクのあとでは、胃排出の半減時間が低たんぱくより長かった。それでも、その後のエネルギー摂取と食欲評点は、活動的な群でも活動の少ない群でも減らなかった。活動的な群は、知覚された食欲が低く、胃排出は活動の少ない群より速かった。食べた量は群間で変わらない。著者は、高たんぱくは胃排出を遅くするが食欲と次の摂取は減らさず、活動的であることは食欲を抑え胃排出を速めるが摂取量は変えない、と結んでいる。[4]
蓋の「低脂質」を「胃が軽い」と読む朝に、この2本は別の見取り図を渡す。胃の時計が動いても、皿の量が動くとは限らない。活動量が多い人ほど胃が遅い、という想像も、この高齢者の比較とは逆である。対象は高齢者と、前の試験の若年者であり、レッスン前の20代に分数をそのまま写す試験ではない。[4][12]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
朝食の粘度を上げると、半分が出るまでの時間は延びた
脂質量を振らず、とろみを振った朝食がある。Woleverらは、糖尿病のない18〜60歳、BMI 20.0〜30.0、食べ方を強く制限していない男性16人と非妊娠の女性12人に、二重盲検の無作為化交叉試験で朝食を食べさせた。重量、エネルギー、栄養素をそろえた食事は、白いパン、バター、ジャム、脂肪分2%の牛乳に、温かいシリアルを足したものである。比較はクリーム・オブ・ライス、オーツのβ-グルカン2g、同4g、そして4g相当に酵素を足して分子量と粘度を落とした条件である。男性と中高年を含むため、18〜39歳の女性でも同じ半減時間になるかは、この平均から判断できない。[19]
主要評価は、3時間後の自由な昼食(水とピザ)の摂取量だった。28人のピザは、順に887±64、831±61、834±78、847±68kcalで、有意差はなかった。血糖の増分曲線下面積は、4gで78±10、クリーム・オブ・ライスで135±15mmol×分/Lだった。インスリンは14.0±1.6対26.8±3.5nmol×分/L。胃排出の半減時間は幾何平均で、4gが285分(95%信頼区間184〜442)、クリーム・オブ・ライスが105分(95%信頼区間95〜117)だった。酵素で粘度を落とした条件では、これらの効果は見えていない。食欲、PYY、グレリンはクリーム・オブ・ライスと似ていた。[19]
半減時間が約3倍の幾何平均になっても、ピザのkcalはほぼ並んだ。バターは全条件に入っているので、この差は「脂質を足したから」ではない。粘度と分子量を落とした条件で効果が消えた、という結果が、とろみの側を指している。信頼区間は285分側で184〜442と広い。1本の交叉試験の点を、毎朝の待ち時間の早見表にはしない。[19]
コンニャクグルコマンナンでも、粘度の話は続く。Shangらは、粘度の違うゾルの流れを調べ、ヒトの胃を模した装置で排出を見た。粘度が上がるほど排出は遅れた。消化の途中で、内容物の粘度の多くは失われている。人の側は、健康な成人22人(女性11人、男性11人、平均年齢23.2±2.0歳、BMI 20.6±2.1)の単盲検交叉試験で、対照を含む4種の試験朝食を別の日に食べている。空腹感、満腹感、食べたい気持ち、このあと食べられそうな量は、条件間で有意に違った(pは0.006、0.000、0.002、0.001)。血糖と食欲関連ホルモンも粘度で変調し、自由に食べた量の減少は小さかった、と著者は書いている。[18]
同じ「粘度を上げる」でも、次の皿の動き方は論文で揃わない。オーツの4gは半減時間と血糖・インスリンを動かし、食欲とピザは動かさなかった。コンニャクは感覚の評点を動かし、自由摂取の減りは小さかった。胃が遅いことと、食べたくなくなることを、一つの結果として扱わない。[18][19]
数字で読む朝食と胃の時計
若年20人・高齢20人の約300kcal・250mlでは、栄養素の種類で胃排出の時間は違い、自由摂取のエネルギーは有意差がなかった。[12]
高齢者19人ずつの57%対17%たんぱく質では半減時間が延び、食欲と次の摂取は減らなかった。活動的な群は食欲が低く排出は速かった。[4]
オーツβ-グルカン4gの半減時間は幾何平均285分(95%信頼区間184〜442)で、比較食は105分(95〜117)だった。ピザは有意差なし。[19]
4gの血糖増分曲線下面積は78±10mmol×分/L、比較食は135±15mmol×分/L。インスリン増分は4gが14.0±1.6、比較食が26.8±3.5nmol×分/L。[19]
コンニャクの朝食では、22人の空腹・満腹・欲求・予想摂取のpが0.006、0.000、0.002、0.001だった。[18]
パン100gにレモンを添えた10人では、30分後の胃内容積が454.0±18.6mL対298.4±19.5mL、排出は約1.5倍速く、55分の血糖は35%低かった。[16]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
1
2







