腕の筋トレは一日おきがいい?週の回数と量をそろえた研究で筋肉の太さを読む

腕の筋トレは一日おきがいいのか。25研究のメタ分析では、週の量をそろえると、回数による筋肉の太さの差は有意でなかった。量をそろえず回数を増やすと、多いほうがやや有利だった。片腕ずつ週3回と週2回を比べた試験、腕だけの研究と全身の研究を分けて読む。筋肉痛と回数を測った研究はなかった。

火曜の夜、ダンベルを持って鏡の前に立つ。昨日も腕をやった。力こぶのあたりに、まだ少し張りが残っている。今日も続けていいのか。それとも、よく聞く「一日おき」を守るべきなのか。

週に行う練習の量をそろえて比べた研究を束ねると、週の回数によって筋肉の太さの伸びに有意な差はなかった[1]。一日おきでなければ太くならない、という根拠は見当たらない。一方、量をそろえずに回数を増やした研究では、回数の多いほうがやや有利だった[1]。片腕ずつ週3回と週2回で鍛えた試験でも、週3回の側がおおむね大きく太くなった[13]。

総説は、週の練習の量のほうが、週の回数より大切だとまとめている[10]。回数そのものより、回数が増えたぶん積み上がる量が効いている。いまの研究は、そう読める。なお、この記事で読んだ研究の中に、筋肉痛と週の回数の関係を測ったものはない。

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「一日おき」を確かめるには、量をそろえたかを先に見る

週の回数の研究を読むとき、最初に確かめたいことが二つある。

一つ目は、週の練習の量をそろえたかどうかである。週1回で9セットと、週3回で3セットずつなら、週の合計はどちらも9セットになる。こう比べれば、回数だけの違いが見える。逆に、毎回同じメニューを週1回と週3回で行えば、週3回の側は量も3倍になる。このとき差が出ても、回数のおかげか、量のおかげかは分けられない。

二つ目は、腕だけを鍛えた研究か、全身を鍛えた研究かである。この記事で読んだ研究には、腕を片方ずつ別の条件で鍛えたもの[2][6][13]と、腕の運動で人を2群に分けたもの[14]、全身のメニューの中で腕の筋肉も測ったもの[3][8]、さまざまな部位の研究を束ねたもの[1][9]が混ざっている。腕だけの研究なら、もう片方の腕と比べられるので、人による差が入りにくい。全身の研究なら、日々のメニューの組み方まで含めた比べ方になる。

限界まで行う練習の回復と翌日の力の話は、同じサイトの「二の腕の筋トレは限界まで行うと回復も遅れる?翌日の筋力と練習間隔を読む」に、上腕三頭筋の負荷の選び方は「二の腕痩せの科学 第2回 上腕三頭筋の筋トレで何が変わるか、負荷の選び方」に譲る。ここでは、週に何回やるかと、筋肉の太さに絞る。

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量をそろえれば、週の回数で筋肉の太さの差は出なかった

2019年の系統的レビューとメタ分析は、週の練習の回数が筋肉の太さに与える影響を調べた実験研究を、3つのデータベースから探し、条件を満たした25研究を集めた[1]。

週の練習の量をそろえた比べ方では、回数の多い条件と少ない条件の間に、筋肉の太さの伸びの有意な差はなかった[1]。筋肉を直接測った研究だけに絞っても、練習の経験がある人に絞っても、上半身と下半身に分けても、回数による有意な差は見られなかった[1]。

量をそろえていない研究を集めたメタ回帰では、回数の多いほうに有利な有意な効果が出た[1]。ただし、週1回と週3回以上の差の大きさは、全体として控えめだった[1]。

著者らは、量をそろえれば、週の回数が筋肉の太さに有意にも意味のある大きさでも影響しないという強い証拠があると結論し、同じ量なら、部位ごとの週の回数は好みで選んでよいとしている[1]。

このメタ分析は腕だけの研究を集めたものではない。それでも、上半身に分けた解析でも回数の差がなかった[1]、という点は、腕の筋トレを考える手がかりになる。

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片腕ずつ回数を変えた試験:週3回の側がおおむね大きく太くなった

腕を片方ずつ別の回数で鍛えた試験がある。2023年の研究は、筋トレを始めたばかりの21人を、筋肉の中の物質の量から、遅い筋線維の多い型11人と、速い筋線維の多い型10人に分けて選んだ[13]。上腕と脚の筋肉を、最大の力の60%の重さで限界まで、10週間鍛え、片方の腕と脚は週3回、反対の腕と脚は週2回にした[13]。筋肉の体積はMRIで測った[13]。

伸び方には大きな個人差があり、筋肉の体積は+3〜+14%、筋力は+17〜+47%と幅があったが、筋線維の型ではその差を説明できなかった[13]。ただ、遅い型の人は、似た伸びを得るのに、速い型の人より有意に多くの量をこなしていた[13]。週3回の側は、週2回の側より、おおむね筋肉の太さの伸びがはっきりしていて、筋線維の型との交互作用はなかった[13]。著者らは、週2回に1回足して週3回にすると筋肉の太さの伸びは大きくなるが、最大の筋力の伸びは大きくならなかったとまとめている[13]。

毎回限界まで行う設計なので、週3回の側は、そのぶん週の量も多くなる形である(私の読み)。この結果は、先のメタ分析の「量をそろえなければ回数の多いほうがやや有利」[1]と同じ向きに並ぶ。

女性の腕の試験もある。2016年の研究は、月経周期が規則的な女性14人に、アームカールを8〜15回で限界まで3セット、12週間行ってもらった[2]。月経周期の時期に応じて、片腕ずつ週3回と週1回の練習を切り替え、卵胞期に回数を多くする腕と、黄体期に回数を多くする腕で比べた[2]。

筋肉の断面積は、卵胞期の側で6.2%、黄体期の側で7.8%増えた[2]。最大の重さは36.4%と31.8%、最大の力は16.7%と14.9%伸び、どれも練習の前より有意に大きかった[2]。二つの腕の断面積の変化には正の相関があり(r=0.54)、練習の組み方の違いによる大きな差はなかった[2]。著者らは、月経周期による女性ホルモンの変化は、12週間の筋トレによる筋肉の太さと筋力の伸びに大きくは関わらないと示唆している[2]。この試験が比べたのは、週3回を周期のどの時期に置くかで、週の回数そのものではない。

1日1回、3秒の運動でも、週の日数で結果が分かれた

量がごく小さいとき、回数は効くのか。2024年の研究は、肘を曲げる筋肉で、1日にたった1回、3秒の最大の力で腕を伸ばされながら耐える運動(伸張性の収縮)を、週2日か週3日、4週間行ってもらった[14]。健康な若い大人26人を13人ずつに分け、同じ研究グループの以前の週5日の結果とも比べた[14]。

週2日の群では、最大の力に有意な変化がなかった[14]。週3日の群では、縮めながらの力が2.5%、伸ばされながらの力が3.9%と有意に伸びたが、週5日の群の12.8%と12.2%より有意に小さかった[14]。上腕二頭筋と上腕筋の厚さは、どの群でも有意に変わらなかった[14]。

週の合計は、週2日なら6秒、週3日なら9秒、週5日でも15秒である。週に6秒と15秒の違いで、力の伸びがこれだけ分かれた。著者らは、この運動で力を伸ばすには少なくとも週3日が要り、週5日のように回数が多いほど伸びが大きいようだと結論している[14]。ただし伸びたのは力で、筋肉の太さは変わっていない。1回の量が極端に小さいと、回数がそのまま量になる。

数字で読む腕の筋トレの週の回数

  • 25研究: 週の回数と筋肉の太さを調べたメタ分析。量をそろえれば回数による有意な差はなく、上半身に分けても同じだった[1]。
  • 週3回と週2回: 片腕ずつ比べた10週間の試験。週3回の側がおおむね大きく太くなり、最大の筋力は差がなかった[13]。
  • +3〜+14%: 同じ試験の筋肉の体積の伸びの幅。人による違いは筋線維の型で説明できなかった[13]。
  • 6.2%と7.8%: 女性14人のアームカールの試験で、卵胞期と黄体期に回数を多くした腕の断面積の伸び[2]。
  • 3.9%と12.2%: 1日1回3秒の運動を週3日と週5日行ったときの、伸ばされながらの力の伸び[14]。
  • 4セット: 総説が勧める、部位ごとの週のセット数の最低の目安[10]。

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宮川涼 Founder

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