ランニング後に冷やすか温めるか、皮膚の感触は筋肉の温度より先に動く

走り終えた太ももの皮膚が冷たくても、筋肉の中の温度は同じ数字ではない。15分の冷水、4時間の氷、運動中の冷却と加温、走る前の冷却を分け、感触だけで冷やすか温めるかを決めない読み方を示す。立川駅北口の夜のシャワーの前でも、手のひらを温度計にしない。

立川駅北口の信号が青に変わる前に、走ってきた脚へ手を置く。太ももの皮膚は、夜の風ですでに冷たい。家のシャワーを冷たくするか、湯を残すか。その手のひらの感触が、今夜の決断を急かしている。

手のひらは、外側広筋の温度計に立候補している。外側広筋は、太ももの前の外側にある筋である。身体活動のある男性9人が、最大有酸素速度の70%で30分走り、続けてその100%で断続的に走れなくなるまで走った試験では、運動直後のこの筋は39℃前後まで上がっていた。夜風にあたった皮膚の冷たさと、その39℃は、同じ層の数字ではない。[6]

冷やすか温めるかも、一つのスイッチではない。走り終えたあとの15分の冷水では、ミトコンドリア(細胞の中で酸素を使ってエネルギーを扱う小器官)を増やす方向に関わるPGC-1αの伝令RNAが、3時間後に冷やす脚で高かった。運動の最中に局所を冷やすと、PGC-1αとNRF1は下がった。4時間の氷では、関連する遺伝子に差が出なかった。温めた脚の筋肉内温度は、34.4℃から36.1℃への上昇にとどまった。触った熱さと、筋の中の温度と、遺伝子の向きは、別々に動く。[1][2][5][6]

浴槽の深さと、水が体を押す圧の話は「ランニング後の水風呂、冷たさと水圧を分けて考える浅い浴槽と深い浴槽の違い」に譲る。糖を肝臓と筋肉のどちらにしまうかは「ダイエットの筋トレで糖質量を決める前に、肝臓と筋肉の貯蔵を分けて考える」に譲る。シャワーを頭から浴びるか、首の冷却と心拍の戻りを分けるかは「運動後の冷水シャワーは頭から浴びる?首の冷却と心拍の戻りを分けて読む」に譲る。ここでは、皮膚の感触で冷温を決める前に、筋肉内の温度がどの手続きで何度動いたかだけを見る。

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皮膚が冷たい夜でも、外側広筋は39℃のまま残ることがある

走り終えた直後に冷たいのは、外気に触れている面である。筋の中は、その面の感想を待たない。先の走の試験では、冷水に入る前の時点で、冷却する予定の脚の筋肉温は運動前34.2±0.9℃から運動後39.4±0.3℃へ上がり、冷却しない脚は33.9±0.7℃から39.1±0.5℃へ上がった。どちらも有意な上昇である(P<0.001)。左右は、冷やす前には同じ熱さの側にいた。[6]

深部体温も、走っているあいだに上がっている。運動前は37.1±0.4℃、運動後は39.3±0.5℃だった(P<0.001)。脚の一本だけをあとから冷やしても、走そのものが体の中心を上げた事実は残る。皮膚が夜風で冷たく感じる時刻と、深部が39℃台にいる時刻は、重なりうる。[6]

15分後の分かれ方が、感触の限界を見せる。殿部のしわ(お尻の下の線)まで10℃の水に片脚だけを15分浸けると、その脚の筋肉温は28.9±2.3℃まで下がり、水の外に残した脚は37.0±0.8℃のままだった(P<0.001)。同じ人、同じ走、同じ時計の上で、片方は28℃台、もう片方は37℃である。手のひらが「冷えた」と言うとき、左右のどちらに近いかは、触っただけでは決まらない。[6]

対象は男性9人である。立川の夜に走る女性の脚へ、人数を増やさずにそのまま写すことはできない。それでも、この試験が崩したのは「皮膚が冷たければ筋も冷えた」という採点である。採点の道具が手のひらであるかぎり、39℃台と28℃台のあいだは、感触の一言で埋まる。[6]

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15分の冷水は、片方の脚の筋肉温だけを28℃台へ下げた

手続きの中身を、湯船の気分から離して置く。連続走は最大有酸素速度の70%で30分、そのあと同じ速度の100%で、断続的に疲れ果てるまで走る。終わってから、片脚だけを10℃へ15分。もう片脚は水の外で対照である。筋のサンプルは、運動前、冷却の直後、運動の3時間後に取っている。筋肉温だけは、運動の直後にも測っている。[6]

3時間後に差が出たのは、PGC-1αの伝令RNAである。冷水の脚の方が高かった(P=0.014)。伝令RNAは、遺伝子の情報がたんぱく質を作る作業へ渡されるときの写しである。写しが増えたことは、その夜のうちにミトコンドリアの数が増えたことと同じではない。著者らは、運動で起きるミトコンドリアの増加を強める手だてになりうる、と書いている。確定した適応としては置かない。[6]

同じ採取で、血管や神経の側は条件で分かれなかった。血管内皮増殖因子には時間の効果があり(P=0.038)、神経型の一酸化窒素合成酵素にも時間の効果があった(P=0.019)。どちらも、冷水の脚と対照の脚のあいだの条件差は有意ではなかった。走ったこと自体で動く印と、冷水が上乗せする印は、この試験の中で一致していない。[6]

片脚だけを冷やす設計では、両方の脚が同じ走を経験している。違うのは、そのあと15分、10℃の水が片側に触れたかどうかである。9人の男性の一回から、毎週の練習方針までは伸ばさない。測れたのは、この手続きの3時間後の写しである。皮膚が冷たい、という感想は、28.9℃まで降りた条件の代わりにはならない。[6]

4時間の氷は、もっと冷たい筋肉で遺伝子を動かさなかった

冷やす時間を伸ばせば、遺伝子も同じ向きに伸びる、とはならなかった。レクリエーションとして訓練された男性の自転車競技者8人が、強さを変える90分の自転車のあと、4時間の回復に入った。そのあいだ、片脚へ氷を断続的に当て、もう片脚は対照である。年齢は25±3歳、身長181±6cm、体重79±8kg、体脂肪12.8±3.6%、最大酸素摂取量は毎分4.52±0.88Lだった。体脂肪の数字は、誰を測ったかの記述であり、脂肪の厚さが冷えの深さを決めた結果ではない。[2]

4時間を通して、筋肉内温度は氷の脚が26.7±1.1℃、対照の脚が35.5±0.1℃だった(p<0.001)。15分の冷水で28.9℃まで下がった脚より、さらに低い。それでも、運動の4時間後のPGC-1α、TFAM、NRF1、NRF2、ERRαの伝令RNAに、氷の脚と対照の脚の差はなかった。[2]

15分・10℃・走ったあとの浸漬ではPGC-1αが上がり、4時間の断続的な氷では上がらなかった。この食い違いは、どちらかを捨てる材料ではない。運動が走か自転車か、冷却が水の15分か氷の4時間か、写しを見るのが3時間後か4時間後か。手続きが違えば、「冷やす」は一つの処置ではなくなる。[2][6]

この論文の冒頭は、持久運動のあと寒い環境で回復するとPGC-1αの伝令RNAは上がり、ERRαとNRF2は抑えられる、と先行の知見を置いている。そのうえで著者らは、局所の冷却は対照と比べて、ミトコンドリアを新しく作る方向の遺伝子発現を動かさなかった、と結ぶ。刺激は、局所の筋肉温以外の要因に関係するかもしれない、とも書く。26℃台まで下げたことが、寒い部屋で回復したことと同じではない。[2]

著者らは、別の筋肉内温度でも量と反応を見る必要があると書いている。26.7℃と28.9℃を、家でオンとオフの境界には使わない。[2][6]

数字で読むランニング後の冷却と加温

片脚を10℃に15分浸けたあと、外側広筋は28.9±2.3℃。浸けない脚は37.0±0.8℃のままで、差は有意だった(P<0.001)。[6]

同じ走の直後、深部体温は37.1±0.4℃から39.3±0.5℃へ上がっていた(P<0.001)。冷却する前の筋肉温は、両脚とも39℃前後だった。[6]

氷を4時間断続的に当てた脚の筋肉内温度は26.7±1.1℃、当てない脚は35.5±0.1℃。PGC-1αを含む関連遺伝子の発現に差はなかった。[2]

運動の前に30分冷やした脚の筋肉温は29.2±0.7℃、室温で巻いただけの脚は34.1±0.3℃。4時間後のPGC-1αとNRF1は、冷やした脚の方が低かった。[5]

運動中に温めた脚の筋肉内温度は34.4±0.7℃から36.1±0.5℃へ上がった。TFAMは温めありで増え(p=0.019)、運動だけでは有意ではなかった(p=0.422)。[1]

暑熱下の持久運動の前冷却は、タイムトライアルで標準化平均差-0.37、疲れ果てるまでの時間で0.73。外からの冷却は、走の成績でとくに大きかった。[20]

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宮川涼 Founder

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