ダイエットの筋トレで筋肉痛にならない朝、事前の説明と実施記録を分ける理由

ダイエットの筋トレで筋肉痛にならない朝、昨日の運動を失敗と決める前に、聞いていた説明を振り返りたい。痛みへの期待を変えた比較試験や回復研究から、運動直後の痛覚と翌日の感覚の違い、痛みと力を別に記録する理由を読み、予告に引っ張られず次の練習を相談する手掛かりを示す。

昨日は「明日は階段が大変かもしれない」と言われた。ところが朝、洗濯物を抱えて階段を下りても普段と変わらない。そこで運動の記録に「効かなかった」と書きたくなる。筋肉は何も報告していないのに、予告だけが採点表を用意している。

この朝に必要なのは、痛みを起こすための追加練習ではなく、予想と実際を分けることだ。健康な人の筋力運動を使った比較試験では、事前の説明によって運動後の痛みの感じ方に違いが生じた。ただし、それは翌日の筋肉痛や体脂肪の変化を測った結果ではない。筋肉痛がないという感覚から、ダイエットの成否まで一気に判定する根拠にはならない。[2]

「ダイエットの筋トレを朝に始める準備、照明の明るさと目覚めの反応を考える」は朝の準備に譲る。また「【連載】その常識、研究では? 第2回|筋肉痛は効いた証拠か——遅発性筋痛と筋肥大の関係」の問いとも分け、ここでは運動前に聞いた言葉が、その後の感覚の読み取りにどう関わるかを考える。

既存の「筋肉痛はなぜ強く感じる?先に痛いと聞いた予告と翌日の体を研究で読み分ける」には、予告で痛みが強まるかという問いを譲る。本記事の焦点は逆の朝だ。予告された痛みがなかった時に、実際に行った練習まで失敗扱いせず、説明と実施記録をどう分けて残すかを考える。

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「痛くなるはず」と聞いた時点で、何を予想したか

期待とは、これから起こることについての見込みである。痛みを扱ったナラティブレビューは、痛みを体からの刺激だけで決まる経験として扱わず、注意、以前からの信念、予測、感情、周囲とのやり取りも関わるものとして整理している。言葉の影響を検討した16研究をまとめたレビューであり、全研究を同じ物差しで合算した効果量ではない。[4]

「この動きはきつい」と「この動きをすると明日は必ず痛い」は、同じ説明ではない。前者は運動中の負担についての話で、後者は未来の症状を言い当てようとしている。さらに「痛ければ効いている」が付けば、症状の予告が成果の予告へ変わる。説明を聞いた時には自然につながって感じても、実際に確かめる対象はそれぞれ違う。

このレビューでは、脅威を感じさせる表現や否定的な期待が、痛みの増加や痛みに関わる反応の変化と関連していた。一方、肯定的な伝え方や共感的なコミュニケーションは、痛みの調節を助ける可能性があると整理された。ただし研究の方法は多様で、短期間の実験も多い。言い方を変えれば誰の筋肉痛でも消える、という話ではない。[4]

ここでいうノセボは、否定的な期待などの文脈によって不利益な反応が生じることを指す。痛みの研究では、本人の受け止め方を考えるための概念である。本人が弱い、考えすぎだと責めるための言葉ではない。言語を扱ったレビューも、こうした働きを広い支援の一部として位置付け、言葉だけの治療として扱うことには慎重である。[4]

たとえばレッスン後の会話で、「明日は歩けないほどになる」と聞いたとする。翌朝にどんな予想を持っていたかは、そのまま書いてよい。一方、実際に歩けたか、どこでどんな感覚があったかは別欄に残す。この書き方は治療法の提案ではなく、説明と観察を混ぜないための整理である。期待が痛みに関わるという研究を、日常の記録に取り入れるならここから始めたい。[4]

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筋トレの比較試験では、説明と負荷が組み合わさった

期待を直接操作した研究として、健康な60人を対象とする無作為化比較試験がある。参加者は、腕立て伏せの負担が高いか低いか、痛みの軽減について肯定的な説明か否定的な説明かを組み合わせた群に割り付けられた。運動の負荷だけでなく、受け取る説明も比較の対象にした点が、この問いに近い。健康な人の実験であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、対象と運動条件の違いを考慮する必要がある。[2]

測ったのは圧痛閾値である。これは押す刺激を強めていった時に、痛みを感じ始める境目を指す。肩の前側にある三角筋と、離れた部位である太ももの大腿四頭筋で、運動前後を比べた。閾値が高くなるとは、痛いと感じ始めるまでにより強い圧が必要になったという意味で、筋肉が大きくなったという意味ではない。[2]

高い負荷と肯定的な期待を組み合わせた条件では、三角筋の圧痛閾値が有意に上昇した。低い負荷と否定的な期待を組み合わせた条件では、大腿四頭筋の閾値が有意に低下した。どちらも報告された有意確率は0.01である。ただし、この値は変化の大きさそのものを表さない。「説明で痛みが何割変わる」と読み替えることはできない。[2]

注目したいのは、結果を「肯定的に言えば全身が同じように楽になる」と単純化できない点だ。肩の局所での変化と、運動部位から離れた太ももの変化が、異なる負荷条件で報告されている。研究が示すのは、期待と運動の組み合わせを考慮する必要である。運動の重さだけを見ても、説明だけを見ても、この結果の全体は読めない。[2]

夕方の筋トレのあとに「今日は軽かったから意味がない」と思った時、この試験は別の問いを差し出す。軽い、痛い、効いたという言葉を、それぞれ何の指標として使っているだろうか。研究の測定対象は運動前後の圧痛閾値だ。翌朝の歩行時の感覚とも、長期的な体重変化とも違う。期待の影響を知ることは、感覚を無視することではなく、感覚の守備範囲を決めることなのである。[2]

もう少し測り方に目を向けると、押された時の痛みと、自分で動いた時の痛みの違いも見えてくる。試験の圧痛閾値は、決められた部位に刺激を加えて確かめる指標である。読者が「筋肉痛がない」と検索する時には、階段、着替え、立ち上がりなど、さまざまな場面を思い浮かべているかもしれない。同じ痛みという言葉でも、測定の手続きを省けば別の問いが入り込む。[2]

また、統計的に有意な差があることと、本人が日常でどれほど違いを感じるかは分けて読む必要がある。この試験の有意確率だけを見て、「肯定的な説明なら翌日の通勤も問題ない」と予定を決めることはできない。比較された説明、運動負荷、測定部位、測定時点までを結果と一緒に持ち帰る。それが、小さな実験を自分への大きな約束に変えない読み方だ。[2]

翌日の筋肉痛と、その場の痛覚を同じ時計に載せない

運動のあとに遅れて現れる筋肉痛は、研究では遅発性筋痛と呼ばれる。肩にこの筋肉痛を起こす運動を行った36人の無作為化比較試験では、電気刺激を用いる処置、見せかけの処置、対照の群を比べている。ここでは運動直後だけでなく、その後の日々の筋力、痛み、機械的な刺激への痛みの感受性、生活上の支障が評価された。運動で肩の筋肉痛を起こした参加者の結果を、18〜39歳の女性の日常の筋トレにそのまま当てはめるには慎重さが必要だ。[14]

処置は運動の24、48、72時間後に行われ、実際の刺激と見せかけの処置を受ける群はいずれも90分間の処置を受けた。対照群に比べ、実際の刺激の群では48時間後、見せかけの処置の群では48時間後と72時間後に筋力の低下が残っていた。一方、痛みに対する結果は有意ではなかった。[14]

この試験の著者らは、処置そのものや処置を受けているという認識が、運動出力にとってノセボとして働く可能性を述べている。ただし、見せかけの処置の結果があったからといって、言葉だけが筋力低下の原因だと確定したわけではない。期待を操作した腕立て伏せの試験とは、操作した条件も測定時刻も異なる。[14][2]

それでも、翌朝の自己評価に役立つ読み方がある。痛みの差についての結果と、力の差についての結果を、同じ「回復」という単語で消さないことである。この試験では痛みと筋力を別々に測ったからこそ、両者の結果が同じではないことが見えた。痛みがない日も、その情報だけで昨日の練習の全項目を採点しないという考え方につながる。[14]

記録を書く場面なら、「椅子から立つ時の感覚」と「昨日、予定した動きをどう行ったか」を分けて書ける。前者は今日の経験で、後者は昨日の実施内容だ。そこに「痛くなると言われていた」を添えれば、予告、実施、翌日の観察の区別がつく。痛みを数字にすること自体より、どの場面の何を記録したかが読み返せることを優先したい。

数字で読む痛みの予告と測定の違い

60人:運動負荷と肯定的・否定的な期待を組み合わせた健康な人の比較試験。[2]

16研究:言葉と痛みの関係を整理したナラティブレビュー。統合効果量ではない。[4]

36人:運動で起こした肩の筋肉痛に対し、実際の処置と見せかけの処置などを比較した試験。[14]

24・48・72時間後:肩の筋肉痛の試験で処置を行った時点。運動直後の圧痛測定とは時間軸が違う。[14]

158人・9研究:持久系競技者の運動後の着圧を検討した系統的レビューとメタ分析の対象。[1]

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宮川涼 Founder

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