ダイエットの筋トレで体重変わらない時、測らなかった日の偏りを確かめる

ダイエットで筋トレを続けても体重が変わらないと感じた時、残った数字だけで判断していないかを考える。測らなかった日を増減ゼロと扱わず、測定と記録の違い、欠測を扱う研究の読み方、生活に合わせた記録の点検を整理する。体重を減らすことを全員の目標にはしない。

筋トレの実施欄には印が続いているのに、体重の欄には空白がある。出勤前は体重計を通り過ぎ、休日だけ数字を残していた。夜にグラフを開くと、点と点はきれいにつながっている。その線を見て「筋トレをしているのに体重変わらない」と思った時、まず確かめたいのは、線の間の日にも測定値があったのか、ということだ。

空白は、変化がなかったという測定結果ではない。ただし、測らなかった日に増えていたとも減っていたとも決められない。研究では、情報が欠けたまま対象者を選ぶことで結果に偏りが生じる可能性を考え、欠けた情報を統計的に扱う方法が用いられている。[6][8] この考え方を手がかりに、自分の記録でも「分かっている部分」と「分からない部分」を分けてみる。

ここで扱うのは、筋トレの効果量や体重が止まる生理的な理由ではなく、残った記録からどこまで判断するかという問いである。研究の対象には治療中の患者や中高年の集団が含まれるため、その結果をそのまま若い女性の筋トレに移せない。[1][2][8] 体重を減らすこと自体を、誰にとっても必要な目標とする話でもない。

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体重の横ばいと、記録の空白は別の出来事だ

体重のメモを振り返る時は、数字を読む前に日付を見る。「測って同じ数字だった日」と「測らなかった日」と「測ったが入力しなかった日」を、まず言葉として分けたい。これは新しい健康基準ではなく、手元に何の情報が残っているかを確認する作業だ。測定値がない欄に前の数字を書き足すと、その欄は実際の観測なのか、仮に置いた値なのか分からなくなる。

たとえば、出勤前は入力できず、休日は入力できたというメモが残っていたとする。この場合、記録から直接言えるのは休日の測定値についてである。出勤日の体重まで同じだったと読むには、別の情報が必要になる。一方、出勤日に記録がないだけで、その日の体重が違ったと結論することもできない。空白の意味を調べることと、空白の数字を当てることは、別の作業である。

選択バイアスとは、解析に入る人や情報の選ばれ方によって、知りたい対象との間に偏りが生じることだ。成人を対象とした横断研究では、欠けた関連情報による選択バイアスの可能性に対処するため、多重代入という統計的な方法が用いられた。[6] 家庭の体重記録と同じ設計ではないが、「残った情報が全体を代表するか」という問いの立て方には通じるものがある。成人全体の解析であり、18〜39歳の女性の筋トレ記録に同じ偏りがあるかは、この研究から判断できない。

ただし、自分の空白を見つけただけで「偏りが証明された」と呼ぶのは早い。何が欠けたのか、その理由は何か、欠けた部分と体重に関係があるのかを分けて考える必要がある。ここでできるのは、休日ばかり残っている、外出した日は入力がない、といった記録の特徴を記述することだ。特徴が見つかっても、見えていない日の増減の方向までは決まらない。[6][8]

グラフの見栄えは採点しなくてよい。日付に沿って並べ、測定したか、入力したか、覚えている事情があるかを読む。記憶が曖昧な日は、その曖昧さも残す。「たぶん測った」を確実な測定に格上げしない。中央線に乗れた朝と乗り遅れた朝を、あとから同じ朝に直す必要はない。生活の記録には、生活の都合が入ってよい。

測定から表示までの道筋を逆にたどることもできる。画面に点がない時、体重計に乗らなかったのか、数値を見たが書かなかったのか、書いた場所を今は見ていないのかを確かめる。それぞれで、残っている情報の所在が違う。紙の手帳に数字があるなら、それは新しい推定値ではなく、当時の記録を確認する作業になる。何も残っていなければ、数字の復元を急がず、空白として扱う。表を完成させることより、各欄がどこから来たかを説明できることを目指したい。

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欠けた情報を補う研究でも、実測値が戻るわけではない

多重代入は、欠けた情報について複数の補い方を用いる統計手法である。成人の皮膚がんと血中化学物質の関連を調べた研究では、必要な情報がそろった成人5,934人を扱い、関連する変数の欠測による選択バイアスの可能性にも、多重代入で対処した。[6] 18〜39歳の女性の体重自己記録への適用は検証しておらず、空白を埋めれば減量評価が正確になるという根拠には使えない。

この研究は横断研究であり、調査時点の情報から関連を調べている。年齢、性別、体格などを調整した解析を行っていても、そこで示された関連を原因と結果に読み替えることはできない。[6] 欠測への対処があるという事実と、研究全体が何を証明できるかは別に読む必要がある。統計処理の名前が長くても、調べた対象と項目は変わらない。

家庭の記録に戻すなら、空白に数字を入れる前に「何のために補うのか」を考えたい。見やすい線を作りたいのか、自分が測れた場面を知りたいのかで、必要な作業は違う。後者なら、欠けた日の欄に理由のメモを置けば足りる場面もある。実際に測っていない値を、測定値と同じ文字で並べる必要はない。

研究で使う補完と、本人が記憶で数字を書き戻すことも同一ではない。研究者は解析の枠組みの中で欠測を扱っている。[6][8] 昨日の体重を思い出せない時に、前回と同じだったことにする操作とは区別したい。補った数字が入った欄を見て「この日は変化なしだった」と判断すると、仮定がいつの間にか出来事の記録へ変わってしまう。

入力できなかった理由も、断定しない書き方が役立つ。「忙しかったと思う」「測ったか不明」と書いておけば、後で見た時も情報の確かさが分かる。空白の理由をすべて解明する必要はない。分からないことを分からないまま置いた表と、もっともらしい理由で埋めた表では、同じ数字が並んでいても読み取れる内容が違う。

最後まで残った記録だけを見る問題を、追跡研究から考える

中国の中高年を対象とした前向きコホート研究では、血糖、中性脂肪、腹囲と身長の比を組み合わせた指標の推移と、その後の心血管・代謝疾患の重なりとの関連が調べられた。解析対象は3,526人で、指標の推移をみる期間と、その後の発症を追う期間を分けている。[8] 18〜39歳の女性の筋トレによる体重変化に、そのまま当てはめることはできない。ここでは、経過を追う情報が誰について残るかを考える例として読む。

この研究では、無作為ではない追跡からの脱落に対して重み付けを行い、関連情報の欠測には多重代入を用いた。また、中高年の追跡では死亡によってその後の発症を観察できなくなる点も解析で扱った。[8] 途中で情報が得られなくなった人を単純に忘れてよいか、という問いが、研究の設計に含まれている。

結果では、指標の負担が低く安定していた群に比べ、負担が高く悪化した群の発症のハザード比は2.36、95%信頼区間は1.77〜3.15だった。[8] ハザード比は追跡中の発症の起こり方を群間で比べる指標であり、この数字を自分の体重が増える倍率として使うことはできない。信頼区間は推定の不確かさを表す。研究の対象と結果の種類を添えて読むことが必要だ。

日常では、記録を続けられた時期だけを切り出し、生活が忙しくなって記録が途切れた時期を振り返りから外す場面が考えられる。その時、「記録できた期間の様子」を「取り組んだ全期間の様子」と呼んでいないかを点検したい。研究で脱落や欠測を扱う考え方を参考にするなら、まず対象にした期間を明示するところから始められる。[8]

一方、この研究から「記録を休むと病気になる」「記録を再開すれば体重が減る」とは導けない。観察された関連は、特定の集団で複合的な指標と将来の疾患について得られたものだ。[8] 自分のメモに移すのは発症の数字ではなく、残ったデータだけで全体を語ってよいかを確かめる姿勢である。

数字で読む欠測と評価の範囲

5,934人:成人の横断研究で必要な情報がそろった解析対象。欠測による選択バイアスへの対処も行われた。[6]

3,526人:中高年の前向き研究の解析対象。追跡からの脱落と関連情報の欠測を扱った。[8]

2.36:同研究で負担が高く悪化した群の発症のハザード比。95%信頼区間は1.77〜3.15である。[8]

60人と57人:薬剤を比較した無作為化試験の割付人数と完了人数。研究に入った人数と終えた人数は区別されている。[2]

9研究、1,530人:インスリン自動投与のメタ分析の対象。血糖指標の改善と、体重・体格指数に変化がなかった結果が併記された。[1]

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宮川涼 Founder

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