筋トレとダイエットの餅は米と同じ?噛む力と粒の崩れ方から選び直す補食

筋トレの日に餅とご飯を選ぶなら、同じ米という原料だけでなく口での崩れ方にも目を向けたい。噛む筋肉の測定、唾液によるでんぷん分解、食後の糖の反応を分けて読み、硬さや噛む回数だけで消化の速さを決められない理由と、運動する日の補食を無理なく考える視点を示す。

温めた餅は柔らかい。それなら、粒の残るご飯より噛む力も少なくて済むのだろうか。筋トレ前の補食を用意しながら、茶碗のご飯と皿の餅を見比べる。どちらも米だから、口に入れば同じだろうか。健康な成人で噛む筋肉を測った実験では、餅とご飯で筋肉の活動の仕方が違った。原料の共通点だけでは、食べる作業まで同じにはならない。[14]

ただし、餅の方が顎を使ったことは、筋トレに適した補食である証拠でも、体重を減らす効果の証拠でもない。食べ物を噛んで飲み込める状態にする研究と、運動の成績を測る研究は別の問いに答えている。餅を加工した補給食の運動試験でも、比較した補給法の間で運動成績に差はなかった。[3][14]

量や水分をそろえる比べ方は、既存記事「ダイエットの餅は水を含めば軽い?同じ重さと同じ糖質量で変わる比べ方を読む」に譲る。ここでは、粒のあるご飯とまとまりのある餅を、口がどう処理するかを入口にする。痩せるために噛む回数を競う記事ではない。帰宅後の食卓で、噛む負担と消化の話を混ぜずに選ぶための読み物である。

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餅とご飯は、噛む筋肉の使い方が違う

日本の主食であるご飯と餅を自然な食べ方で食べてもらい、表面筋電図で筋肉の活動を調べた研究がある。対象は健康な成人6人だった。18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、この少人数の測定だけでは判断できない。測定したのは、顎を閉じる働きに関わる咬筋と、口を開く動きなどに関わる舌骨上筋群である。食品の違いを、食べた人の印象だけでなく筋肉の電気的な活動から調べている。[14]

噛んでいる時間には大きな違いがあり、噛む動作あたりの咬筋活動は餅で有意に大きかった。一方で、餅を噛む過程では咬筋の活動が徐々に低下し、舌骨上筋群の活動は一連の咀嚼を通じて変わらなかった。口に入れた瞬間から飲み込む直前まで、噛み進めるにつれて、筋肉の活動は変わる。[14]

この結果が示すのは、餅とご飯で食塊を作る過程が異なることだ。食塊とは、噛まれ、唾液と混ざり、飲み込む前に口の中でまとまった食べ物のことである。食品の最初の形だけでなく、噛み進めたときにどう変わるかが論点になる。温めた餅を見て「柔らかい」と思うことと、口が必要とする筋活動は同じ尺度ではない。[14]

少人数の筋電図の測定から、餅を食べる方が全身のエネルギー消費が大きい、と話を広げることはできない。顎の活動はその食品を処理するための測定値であり、ダイエットの成果ではない。筋トレの日だからといって、顎にまで追加の仕事を発注する必要はない。補食として考えるときは、まず食べる場面で無理なく扱えるか、という問いに戻したい。[14]

餅の研究を読む際には、噛む時間、噛む動作ごとの活動、飲み込むときの動きを区別すると整理しやすい。口にある時間の長さと、必要な力の強さは別の測定項目である。筋肉ごとに活動の推移が違ったという結果は、「噛み応え」という言葉の中に複数の働きが入っていることを教える。食感を単独の順位表にするより、何を測った順位なのかを確かめる方が実用的だ。[14]

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小さくすることと、柔らかくすることを分ける

餅の量と食感を分けて比較した、人での測定もある。健康な対象者が通常の餅を9gと3g、改変した餅を9g食べた研究では、顎を閉じる筋肉と開く筋肉の活動に加え、飲み込む際の舌骨上筋活動、喉頭の動き、音を調べた。見た目の大きさを変える操作と、食品自体を変える操作を並べている点が参考になる。健康な対象者の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、別に確かめる必要がある。[16]

通常の餅は、小さい試料ほど噛む時間が短く、回数が少なく、顎を閉じる筋肉の活動も小さかった。さらに改変した9gの餅は、通常の9gより少ない咀嚼努力で食べられ、その努力は通常の3gと同程度だった。同じ重さであっても、食品の作りによって口の作業は変わったのである。[16]

ここで慎重に読みたいのは、量と食感のどちらの操作も、飲み込みの特性に有意な差を生じさせなかった点だ。対象者は、量や食感に合わせて噛み方を調整し、食塊が飲み込みに適した性質になったところで飲み込んだと研究者は解釈している。噛む負担に差があることと、飲み込みの測定値に差があることを一緒にはできない。[16]

この研究の試料量は、家庭での安全を保証する一口量ではない。健康な人が実験で食べた条件を、そのまま誰にでも当てはめるのは飛躍である。日常に持ち帰れるのは、大きさと食品の性質を別々に見る姿勢だ。「柔らかくしたのに食べにくい」「小さくすると扱い方が変わる」といった自分の感覚を、原料名だけで打ち消さないようにしたい。[16]

例えば、餅を用意した日に口の負担が気になるなら、前回と比べて大きさが違ったのか、食感が違ったのかを言葉にしておく。両方を変えれば、どちらが関係したかは分けにくい。これは試験の結果を生活に照らすための観察であって、安全な飲み込みを自分で判定する検査ではない。飲み込みに不安がある場合は医師に相談する。

ご飯も、水分が違えば口の仕事が変わる

餅との比較で忘れやすいのが、「ご飯」の側も一定ではないことだ。炊く水の量を変えたご飯について、健康な対象者がスプーンで食べるときの筋活動を測った研究では、水が最も少なく、機器で測った硬さが大きい試料で、噛む回数、時間、噛む動作ごとの顎を閉じる筋活動が大きかった。炊いた米という呼び方が同じでも、口の作業はそろわない。健康な対象者の測定であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、この比較からは判断できない。[18]

研究では米の重量に対して水を1.5、2.0、3.0、4.0倍として炊き、試料を同じ重量、同じ体積、同じ固形分という条件で提供している。比較の物差しを変えて調べた点が大切だ。水の多い柔らかなご飯では、飲み込むまでの時間が短くなり、総体としての咀嚼努力が減った。[18]

ただし、水が最も多い試料は、顎を開いている時間が最も長く、その性質は機器で測る付着性と関係していた。柔らかくなれば口のあらゆる動きが一律に小さくなる、という単純な結果ではない。閉じる力、開く時間、食べ終えるまでの総作業量は、それぞれ違う情報を持っている。[18]

別の研究では、水分が52%、63%、73%の炊飯米を12人が噛み、飲み込む直前の食塊を集めた。口の中にある時間はご飯の硬さと正に関連し、食塊の水分とは負に関連した。噛んだ後には、凝集性と付着性を除く食感の性質は試料間であまり違わなかった。出発点が違うご飯を、口が処理して近い状態へ運ぶ面がある。12人の参加者による結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、検証が必要だ。[8]

通勤かばんに入れたおにぎりと、家で炊きたてを食べる場面を思い浮かべたい。同じ米の料理という記録だけでは、口で感じた違いを表せない。研究から言えるのは、初めの水分や硬さと、飲み込む前の状態を分けて見る必要があることだ。餅かご飯かという二択にする前に、その日の食品がどんな状態だったかを書き添える余地がある。[8][18]

水分を変えた研究をもう少し丁寧に見ると、噛んだ後の変化も出発点に左右されていた。水分の低い52%と中間の63%のご飯では、咀嚼後に食感の測定値が有意に低下したが、水分の最も高い73%では低下は有意ではなかった。もともと柔らかな食品と硬い食品では、口が作り変える余地も異なる。変化量が小さいことを、そのまま噛む働きがないという意味に取らないようにしたい。[8]

また、飲み込む直前の食塊では、唾液の浸透と粒径分布は、ご飯の初期の水分や食感、口の生理的な条件から独立していたと報告されている。最初の硬さだけを見れば違う食品でも、飲み込む段階に達するまでの処理が間に入る。調理後の硬さを測ることと、食塊の状態を測ることは、同じ写真の撮り直しではない。[8]

日常の比較でも、食べる前の手触りと、口の中でまとまるときの感触を分けるとよい。「硬かった」の一言に、噛み始めの抵抗と食べ終えるまでの負担を全部詰めない。研究で別々に測られた性質を、生活でも別の言葉にしてみる。その観察なら、ご飯と餅を勝者と敗者に分けずに残せる。[8][14]

数字で読む米と餅の口内処理

成人6人の自然な咀嚼の測定では、餅とご飯で筋活動のパターンが違った。[14]

通常の餅9gと3gの比較では、小さい試料ほど噛む回数と時間が少なかった。[16]

炊飯時の水を米重量の1.5〜4.0倍で変えた実験では、噛む努力にも差があった。[18]

水分52%、63%、73%のご飯を12人が噛んだ研究では、硬さと口内時間が関連した。[8]

米粉の粒の大きさを変えた蒸し菓子では、飲み込む前の還元糖量に有意差がなかった。[9]

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宮川涼 Founder

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