マシンピラティスは有酸素運動になるか、平均強度と基準を超えた時間の違い

マシンピラティスの平均強度が中等度に近くても、レッスン全体をその強度で動いたとは限らない。酸素摂取量を測った比較研究とメタ分析から、平均値、基準を超えた時間、継続後の体力変化を分けて読む。マットとの違いや休憩の扱いも確かめ、体験前に聞きたいことと運動記録の残し方を考える。

リフォーマーの上で脚を動かした後、次の種目の説明を聞く。これに通えば、別に有酸素運動の時間を取らなくてもよいのだろうか。知りたいのは種目の分類より、自分の予定表に入れる運動の中身である。

答えの芯は、ピラティスは軽度から中等度の代謝的な強度になりうるが、その平均値だけで、基準を超えた時間まで決められないということだ。研究をまとめたメタ分析も、推定値の幅と根拠の確かさの低さを示している。[3] レッスンの予約時間と、中等度で動いた時間は分けて考えたい。

既存の「【連載】ピラティスの6原則を科学で検証する 第7回|フローと運動強度——ピラティスは有酸素運動になりうるか」には、フローと強度の論点を譲る。ここでは、平均強度から何分の運動だったと読み取れるかに絞る。長く続けた後の体力改善も、その日の強度とは別の問いとして扱う。

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平均強度から、基準を超えた時間は求められない

まず数字の種類をそろえる。メタ分析で扱われたのは、代謝的な負担の目安となるメッツ、酸素摂取量、心拍数、主観的なきつさなどである。酸素摂取量は体が取り込む酸素の量、主観的なきつさは本人が感じた負担だ。同じ「強度」という言葉の下に、異なる測り方が並んでいる。[3]

採用された研究は6本で、通常のピラティスセッションの平均は3.7メッツ、95%信頼区間は3.1〜4.3だった。信頼区間は推定の幅を示す数字であり、参加者がその範囲内で動き続けた時間を表す数字とは異なる。根拠の確かさは非常に低い〜低いと評価され、研究間の違いも大きかった。[3]

さらに、偏りの危険が高く、呼気などから代謝を評価する間接熱量測定を使っていない研究を除くと、推定は3.0メッツ、95%信頼区間2.3〜3.6に下がった。著者らは、この慎重な推定を方法上もっとも信頼できるものとしている。見出しに使いやすい大きい数字だけを採ると、研究の読み方が変わってしまう。[3]

ただし、平均が分かることと、途中の経過が分かることは違う。動き続ける部分と説明を聞く部分が交じるレッスンを考えると、全体をならした数字だけでは、どの場面で基準を超えたかは復元できない。これは平均値の読み方の問題であり、「ピラティスは必ず基準未満だ」という主張でもない。

予約表の枠を全部、有酸素運動の実施時間として転記する前に、確認したいのは何を平均した数字かである。動作中だけか、休憩も含むか。参加者をまとめた平均か、自分の経過か。メタ分析の推定値は運動の特徴を考える手掛かりになるが、自分のレッスンの時間配分表そのものにはならない。[3]

研究の数字を見つけたら、まず自分の疑問を文章にしてみるとよい。「この運動はどれくらいの負担か」と、「基準以上でどれくらい続けたか」では、求める答えの形が違う。前者には平均が役立つ。後者には、基準と照らし合わせた時間の情報が要る。平均の精度が高くなっても、求めている情報の種類は変わらない。

さらに、統合した研究全体の平均と、ある参加者のセッションの平均も分けたい。メタ分析は複数の研究をまとめる方法であり、その数字が手元の予約画面に載っているクラスの実測値としては使えない。研究の違いが大きいという評価も含めて読むと、「一般的にはこの程度の負担かもしれない」という使い方に落ち着く。[3]

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マシンがマットより高いことと、十分な強度は別である

器具を使えば、マットより負担が大きい気がする。この比較を酸素摂取量から調べた研究がある。健康な女性18人、平均年齢22歳を対象に、マットとリフォーマーでそれぞれ15種目を実施し、酸素摂取量を連続測定した比較研究である。リフォーマーは、ピラティスに用いられる器具の名称だ。[9]

酸素摂取量は、リフォーマーで平均8.67、マットで6.44 ml/kg/minだった。体重当たり、時間当たりでそろえた値である。エネルギー消費はそれぞれ2.59と1.93 kcal/minで、リフォーマーのほうが高かった。一方、著者らは、調べたセッションの心血管への負担とエネルギー消費を低いものと評価している。[9]

ここで同時に成り立つのは、「マシンのほうが高い」と「調べた内容の負担は低い」である。比較相手より大きい値でも、それだけで目的に十分な強度とは決まらない。この区別を忘れると、器具があるという情報が、運動の中身を確かめる作業の代わりになってしまう。[9]

この研究では血中乳酸、心拍数、血圧も調べ、どちらのセッションでも安静時からの有意な増加は認められなかった。[9] ただし、これは調べた組み立てについての結果である。あらゆるマシンピラティスを同じ強度とみなす理由にはならない。自分が受けるクラスと研究の種目構成が同じだ、と先回りして考えないことだ。

また、連続測定した酸素摂取量を平均して示すことと、ある基準を超えた時間を示すことも別である。知りたいのが時間なら、平均値を載せた表だけで判断せず、時間についての評価なのかを見分けたい。連続して測ったという言葉から、レッスン中ずっと同じ強度だったと読み替えることはできない。

立川駅からの帰り道に体験先を選ぶなら、「マシンなので有酸素運動にもなるか」だけでなく、「説明や器具の調整を含め、どのように進むか」と聞くほうが、予定を立てる材料になる。研究で比較したのは具体的なセッションであり、器具の名前だけではなかった。[9]

心拍の山と、基準を超えた時間を混ぜない

腕時計に表示された高い心拍数を見ると、その日の運動全体を高く評価したくなる。だが、最も高い瞬間、セッションの平均、基準を超えた時間は、それぞれ別の情報である。最後の動作が大変だったという記憶だけで、そこへ至る経過まで埋めないようにしたい。

マットピラティスの21種目を調べた研究では、参加者は10人で、各種目が終わった直後の心拍数と主観的なきつさが記録された。参加者の平均年齢は26.30歳であり、18〜39歳の女性全体への当てはめには、年齢の平均だけでなく参加者の背景も考える必要がある。著者らは、約半数の種目が心拍数で中等度に達したと報告している。[1] この結果は、種目によって負担が違い、動作直後に心拍が上がりうることを考える手掛かりだ。

一方、「半数の種目」と「半分の時間」は同じではない。種目の数を数えることと、実際に続けた長さを数えることは別の集計だからである。各種目を終えた直後の値なら、その種目の最中を含む時間の経過とも区別が要る。種目の割合を、そのままレッスン時間に掛け算する読み方は避けたい。[1]

この研究の最大酸素摂取量とエネルギー消費は推定によるものだった。[1] それに対し、マシンとマットの比較研究は酸素摂取量を連続測定している。[9] 心拍数から捉えた負担と、取り込んだ酸素から捉えた負担を同じ数字のように並べると、結論が食い違って見えやすい。何を測った結果かを先にそろえる必要がある。

メタ分析の平均心拍数は108.6拍/分で、95%信頼区間104.1〜113.0だった。主観的なきつさは6〜20の尺度で平均10.6、95%信頼区間9.3〜12.0だった。[3] これらも全体の特徴を示す推定値であり、読者個人が目指す心拍数として掲げる数字ではない。

実際の記録なら、「腕がきつかった」「動きの間に説明があった」「後半は続けて動いた」を別々に残せばよい。体感を書くことと、測定した中等度の時間として数えることは分けておく。細かい数字を持っていない日は、細かい数字を作らない。それでも次回、先生に尋ねる材料にはなる。

記録を先生に見せる場面でも、「終盤に心拍が上がった」と「全体を通じて負担が続いた」を書き分けると、聞きたいことが伝わりやすい。前者ならその動作について、後者なら進行全体について相談できる。数値があることより、その数値で何を知りたいかが先である。高い値を見つける作業だけで終えず、動いた区間と照らし合わせたい。

数字で読む平均強度と測定の違い

6研究の統合で、平均強度は3.7メッツ、95%信頼区間3.1〜4.3だった。[3]

偏りなどを考慮した分析では3.0メッツ、95%信頼区間2.3〜3.6に下がった。[3]

女性18人の比較で、リフォーマーの酸素摂取量は平均8.67 ml/kg/minだった。[9]

同じ比較のマットは平均6.44 ml/kg/minで、リフォーマーより低かった。[9]

マット21種目の研究は10人を対象に、各種目直後の心拍数ときつさを測った。[1]

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宮川涼 Founder

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