ダイエットのプロテインはペプシンで逆の結果も?分解率と働きを分ける選び方

ダイエットでプロテインを選ぶとき、消化試験の高い数値は何を意味するのか。ペプシンとトリプシンで酵素の割合への反応が逆になった食品実験を軸に、分解の程度、抗酸化の指標、胃と腸の段階を読み分ける。試験管の結果から一杯の優劣へ飛ばないために、対象と比較条件を確かめる視点を紹介する。

朝食のカップの横で、プロテインの紹介文を読む。「よく分解される」とあれば、体にも都合がよさそうに見える。だが、比較図の上向きの棒は、何が増えた棒なのだろう。たんぱく質の分解なのか、分解後の成分が示す働きなのか。その違いから確かめたい。

酵素の割合への反応は、酵素の種類によって違う。パンノキの果肉から分離したたんぱく質の実験では、酵素と試料の割合を変えたとき、トリプシンでの分解の程度は上がった一方、ペプシンでは下がった。さらに、分解後の液をどう評価するかによっても、目立つ酵素は異なった。[15]

これは市販のプロテインを飲んで減量を比べた試験ではない。ここで考えるのは、ダイエットのために一杯を選ぶ前に、実験の「分解された」と「役立った」をどう区別するかである。既存記事「プロテインの消化率は便だけで測れる?大腸の発酵と窒素の行方を読み解く」には体外へ出る窒素の論点を譲る。また「プロテインの消化試験は酵素の量でも違う?混ぜる条件と飲む量を分けて読む」に対し、こちらは酵素による反応方向の違いと、分解後に測る働きの違いに焦点を絞る。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

ペプシンとトリプシンで、反応の向きが違った

中心に置くのは、パンノキの果肉たんぱく質を使った食品の実験研究である。研究者は、分離したたんぱく質をペプシン、トリプシンでそれぞれ処理した。酵素はたんぱく質を分解するための材料、基質は分解される側の試料を指す。この実験では酵素と基質の比を変えて、分解の程度や生成物の性質を比べている。対象は食品から分離したたんぱく質であり、18〜39歳の女性の消化や減量にそのまま当てはめるには、人での検証が必要だ。[15]

設定した酵素対基質の比は、1:8、1:16、1:32である。同じ向きの比として読むなら、1:8のほうが1:32より試料に対する酵素の割合が大きい。数字の後ろ側だけを見て「32だから酵素が多い」と読まないことが出発点になる。比の数値は、分子と分母が何かを確認して初めて意味を持つ。[15]

結果は一方向ではなかった。研究では、酵素対基質比が増すにつれて、トリプシンで得た分解物の加水分解度は増え、ペプシンで得た分解物の加水分解度は減ったと報告している。加水分解度とは、ここではたんぱく質がどの程度分解されたかを表す指標として読めばよい。少なくとも、この材料と実験条件で「酵素の割合が大きいほど、どちらもよく分解する」という読み方は成り立たない。[15]

この逆向きの結果は、ペプシンが役に立たないという意味でもない。変えた条件への応答が酵素ごとに異なったのである。同じ試料を使うことと、同じ結果が出ることは別だ。食品実験の面白さは、単純な増減の予想に収まらない点にある。[15]

読者が商品の説明で「酵素を増やしたら改善した」という文章を見た場合は、何の酵素か、何を材料にしたか、改善とは何を測ったのかを一続きで読むとよい。パンノキの結果を、乳や大豆由来の飲料の順位に置き換えるのは飛躍になる。原料の名前が変わっても同じ反応をする、という前提をここで置く必要はない。[15]

実験で分解が進まなかった条件を、日常の「胃が弱い」に翻訳するのも避けたい。この研究が比較したのは、分離した食品たんぱく質と酵素を組み合わせた条件である。自分の胃の働きを採点する表として読むより、説明文がどこまでの対象を扱うか見極める材料にするのが筋だ。[15]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

分解の程度と、分解物の働きは別に測る

同じ実験では、分解がどれだけ進んだかに加え、得られた分解物の抗酸化に関係する性質も調べた。抗酸化という言葉が出てきても、まず測定の中身に戻ろう。ここでは特定の反応を抑える働きや、鉄イオンに結び付く働きなど、実験系の中の指標を比べている。[15]

たとえば、DPPHという試験用の物質に対するラジカル消去の能力は、ペプシン由来の分解物が43.0±0.01%、トリプシン由来が22.2±0.01%だった。一方、鉄イオンを捕まえるキレート能力はトリプシン由来で高く、過酸化水素を消去する能力はペプシン由来で高かった。どの働きを尋ねるかで、見えてくる特徴が違う。[15]

ここで43.0%を「飲んだ人の酸化がそれだけ減る」と読んではならない。測った対象は実験用の反応であり、割合の分母は人の健康全体ではない。数字の大きさを覚えるより、その数字の後ろに「何に対する何の割合か」を補うほうが、読み間違いを減らせる。[15]

また、同じ論文に載る数値でも、加水分解度とラジカル消去能力を足し合わせて総合点にはできない。前者は分解の程度、後者は分解後の試料の反応である。分解がよく進むという結果から、すべての働きが強くなるという結論へは進めない。この実験で、評価項目ごとの特徴が分かれたことをそのまま受け止めたい。[15]

トリプシン由来の分解物では、赤血球の膜の安定性や、熱によるたんぱく質の変性を抑える試験でも性質を調べている。研究者は抗酸化、抗炎症に関わる実験結果を報告しているが、日常の炎症症状の治療成績とは区別して読むべき対象だ。実験の名前に健康と関係する言葉があっても、飲む人の症状を測ったことにはならない。[15]

商品紹介の図を眺める場面では、見出しの「機能性」だけで判断せず、図の縦軸を見る手順が役に立つ。消化された割合か、試験物質への反応か、実際に食べた対象の変化か。まず測定項目を読み、それから大きさを読む。棒の高さを先に見てしまう癖に、小さな順序の変更を入れるのである。

豆の研究でも、方法が違うと順位は付けにくい

こうした条件の問題は、パンノキだけの特殊な注意点ではない。豆類由来の抗糖尿病ペプチドを扱ったレビューでは、試験管内で調べる方法の違いが、試料どうしの阻害活性を順位付けする難しさにつながると整理されている。対象は豆類の試料を使う実験であり、18〜39歳の女性の食後の反応にそのまま当てはめるには、人での確認が必要だ。ペプチドは、たんぱく質を分解して得られる成分として登場する。[1]

このレビューが取り上げたのは、でんぷんの分解や糖の吸収に関係する酵素への阻害作用を調べる研究である。阻害作用とは、その酵素の働きを抑える作用を指す。たんぱく質そのものがどれだけ消化されるかという測定と、生成した成分が別の酵素を抑えるかという測定を、ここでも分ける必要がある。[1]

差が生まれる場所は多い。豆の品種、発酵や発芽や加熱といった試料の準備、たんぱく質の抽出法、分解に使う酵素の種類と組み合わせ、酵素対基質比、酸性・アルカリ性の程度を示すpH、処理時間が挙げられている。完成した粉だけを見ると同じ「豆のたんぱく質」でも、そこへ至る道筋が違う。[1]

さらに、阻害活性を測る側にも違いがある。比較用に使う対照の種類や濃度、ペプチドの濃度、活性の表し方が違えば、数値を同じ定規に並べにくくなる。研究者が順位付けの難しさを述べたのは、単に試料の種類が多いからではなく、比較の土台にも差があるためだ。[1]

これは、異なる論文の最大値だけを拾う読み方への具体的な歯止めになる。紹介ページに高い数値が並んでいても、物質、濃度、測定法がそろっているかの確認が先に来る。別の競技の得点を並べても、勝者は決められない。レビューを読む利点は、個々の好成績より前に、比べられる範囲を整理できることにある。[1]

豆のレビューでは、試料から成分を取り出す工程と、取り出した成分を分解する工程、さらにその働きを測る工程が区別されている。たとえば抽出の方法を変えた結果なら、酵素の量だけの影響として読むことはできない。商品説明の短い文章では工程が省かれやすいため、何を変えて何をそろえた比較かを自分の言葉に直すと、結論の範囲が見えやすくなる。[1]

また、同じたんぱく質の名前でも、前処理が異なれば比較条件も異なる。レビューが発酵、発芽、加熱を挙げていることは、完成した原料名だけでは実験条件を代表できないという注意につながる。数字を選び方に使うなら、結果の横に条件も残しておきたい。[1]

数字で読む消化試験の比較条件

1:8、1:16、1:32:パンノキたんぱく質で設定された酵素対基質の比である。[15]

43.0±0.01%:ペプシン由来分解物のDPPHラジカル消去能力。人の減量率ではない。[15]

22.2±0.01%:同じ研究でのトリプシン由来分解物のDPPHラジカル消去能力である。[15]

6反復:猫用の各試験食を調べた試験管内の消化実験の繰り返し。人の参加人数とは異なる。[14]

30匹:同じ猫用飼料研究で、体内での消化性を評価した猫の数である。[14]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約