ダイエット中のみたらし団子は焼き目で選ぶ?香ばしさと糖量を混同しない読み方

ダイエット中のみたらし団子は、焼き目が濃いほど満足できて糖も少ないのか。穀物の焙煎香とでんぷんを調べた食品加工研究から、香ばしさ、好み、消化されやすさの違いを整理する。米粉や大麦で異なる結果を読み、店頭では焼き色と成分表示を別々に確かめるための視点を示す。

団子の焼き台から、たれの焦げる香りが届く。たれの光沢は似ていても、焼き目の濃いものに目が止まる。「こちらのほうが香ばしく、食べた気になれそうだ」。その好みを、糖が少ないという判断まで進めてよいだろうか。

焼き目は香りを選ぶ手掛かりにはなるが、糖量や食べ終わる量を読み取る目盛りにはできない。穀物の加工実験では、加熱で焙煎香に関わる成分が生まれる一方、でんぷんの消化されやすさは素材や加工条件で異なる方向に変わっている。香ばしくなることと、栄養上の変化を分けて読む必要がある。[2][6][7][14]

既存記事「運動前のみたらし団子はたれも数える、個数と糖質量を分ける補給の準備」には、補給量の組み立てを譲る。ここで確かめたいのは、店頭の焼き色から何を選び、何を決めつけずにおくかである。焼き目に、成分表示の仕事まで任せない。

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焼き目の魅力は、まず香りの変化として読む

香ばしさを考える入口には、穀物を加熱したときの香りの分析がある。大麦、ライ麦、キヌアの発芽と乾燥加熱を追った食品加工研究では、未処理の試料には草のような香りに寄与する成分が多く、乾燥加熱の工程で麦芽や焙煎の香りに関わるメイラード反応由来の揮発成分が形成された。揮発成分とは、食品から気体として出てくる成分である。[7]

この実験で定量された揮発成分は34種類であった。ただし、加熱後の香りの構成は穀物で一様ではない。大麦とキヌアでは麦芽様の香りを担う3-メチルブタナールが特徴となり、ライ麦では青葉や花のような香りを与えるフェニルアセトアルデヒドが優勢なままであった。同じ「穀物を加熱する」という言葉の中にも、素材による違いがある。[7]

この結果を団子に持ち帰るなら、「焼いた穀物では、加工によって香りの構成が変わる」と読むところまでである。大麦の乾燥加熱と、たれを付けた団子の表面を焼くことは同じ工程ではない。そこで生じる香りの種類や量まで、そのまま移し替えることはできない。[7]

売り場で「香ばしいものを食べたい」と思ったなら、その希望は選ぶ理由になる。一方、「香りが強いから糖が少なそうだ」と考えると、判断する対象が途中で変わる。前者で確かめたいのは好みであり、後者で知りたいのは成分である。香りの分析値を糖量に置き換える換算式として扱わないことが、この問いの出発点となる。[6][7]

焼き色の濃さだけで香りの種類を言い当てようとする必要もない。研究では食品を分析して成分の構成を調べている。買い物でそこまで行う必要はないが、「色を見た」「匂いを感じた」「成分を確認した」という観察は区別しておきたい。串を選ぶ短い時間にも、手掛かりの役割を整理する余地はある。

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おいしさの評価を、満腹や食べる量へ飛ばさない

米を使ったヨーグルト代替食品の開発研究は、焙煎香と食感を同時に扱っている。米10%、発芽大麦5%を使う食品を試作したところ、発芽大麦の酵素の働きがでんぷんの糊化を妨げ、粘度が3.3から0.08 Pa・sへ低下した。糊化とは、ここではでんぷんが加熱と水の中で変化し、食品の粘りに関わる現象として捉えればよい。[6]

開発者は、発芽大麦粉を焙煎することで酵素を失活させ、スプーンですくえるクリーミーな食品を目指した。焙煎した粉を使った食品には、ピラジン類の存在によるナッツ様、トースト様の風味も付与された。ここで確かめられたのは、配合と加工による食品の性質の変化である。[6]

この研究は「焙煎で香りが変わる」という話に加え、同じ工程が食品の作りやすさや口当たりにも関わることを示している。ただし、粘度が変わったことを、人が間食を少なく終えられることと同義にはできない。食品をすくえるかという評価と、食べる人が十分だと感じるかという評価は、別々の問いとして扱うべきである。[6]

「満足」という日常語にも、使う場面によって違う意味が入る。香りが好きだったという感想、おやつを楽しめたという気持ち、お腹が満ちた感覚、食べるのを終えた行動。団子の感想を話すときに厳密な用語を使う必要はない。ただ、研究の結果を読むときには、どの意味について話しているのかを置き直す必要がある。

たとえば、焼き目を選んで「今日はこの香りがよかった」と感じたなら、その感想をそのまま残せばよい。「だから次の食事は少なくて済む」「だから体重が変わる」という予測を後から付け足す必要はない。焙煎した発芽大麦の食品開発から取り出せるのは、加工が香りと食品の性質を変えるという知見である。[6]

ダイエット中だからという理由で、おやつの好みをすべて体重の話に翻訳しなくてもよい。選ぶときは香りの好み、量を考えるときは実際の商品というように、問いを分ける。そのほうが、食品加工の結果に食欲や減量の仕事まで背負わせずに済む。[6][7]

焼けば消化されにくくなる、という一方向の話ではない

焼き目を見て「焼くとでんぷんが変わるのだから、糖の取り込みも少なくなるはずだ」と考える人もいる。ところが、食品加工の実験を並べると、加熱後の変化を同じ方向にはそろえられない。高レジスタントスターチ米粉と、焙煎した大麦粉では、加工後の結果が異なる。[2][14]

レジスタントスターチとは、消化されにくいでんぷんを指す。高レジスタントスターチ米を使った研究では、穀粒を湿潤状態で焙煎してから粉砕し、ふるい分けた。温度と粉の細かさを組み合わせて調べた結果、130℃で焙煎して粗く挽いた試料では、その含有量が27.45 g/100 gと最も高くなった。[2]

一方、大麦粉を砂とともに焙煎する加工実験では、焙煎によって試験管内のでんぷん消化率が上がった。さらに粒子が細かくなるほど消化率は高くなり、150 μm未満の焙煎粉では94.0%に達した。食品を焼いたら必ず消化されにくくなる、という説明とは反対向きの結果である。[14]

この違いは、どちらかを選んで一般則にすれば解決するものではない。米の研究は特定の性質を持つ米と湿潤焙煎、大麦の研究は別の素材と焙煎方法を扱っている。粉の細かさも結果に関わっている。素材と工程を含めて比較することが必要である。[2][14]

団子の表面に焼き目が付いたという観察から、これらの実験条件が再現されたと見なすことはできない。「焼いた」という共通点だけでは、でんぷんの変化の向きまで決められないのである。研究を買い物に生かすなら、特別な焼き方を探すより、焼き目だけで消化や糖量を予想する習慣を手放すほうが、この結果に沿っている。[2][14]

米の研究では、焙煎によってでんぷんの鎖が再編成され、結晶性が増し、粒の形にも変化が見られた。一方、大麦粉の研究では、砂焙煎によってでんぷん粒が壊れ、分子の短い範囲での規則性が低下した。結晶性も生の粉より80〜88%低下した。食品の内部で起きている変化まで見ると、同じ加熱でも結果が違う理由を、色の濃淡だけでは説明できないことが分かる。[2][14]

また、米の研究では焙煎した試料で粘度のピークが大きく低下し、糊化して粘りを生む性質も弱まった。レジスタントスターチが多くなったという結果と、加工するときの扱いやすさがどう変わるかは、別の項目として測定されている。栄養の指標だけで食品全体を評価せず、食感を作る性質にも変化が伴うと読むと、食品開発の研究の狙いがつかみやすい。[2]

団子売り場で目にする焼き目は、このような内部構造の測定結果を掲示したものではない。表面の見た目を気に入ることと、研究と同じ性質があると判断することの間には、素材と工程を確かめる段階がある。たとえば「米の研究だから米でできたお菓子にも同じ」と考える前に、研究が粉砕やふるい分けまで含む工程だったことに戻りたい。[2]

数字で読む焙煎とでんぷん

34種類:大麦、ライ麦、キヌアの加工過程で定量した揮発成分。香りを構成する成分の数である。[7]

3.3から0.08 Pa・s:米と発芽大麦の食品開発で生じた粘度の低下。人の満腹感の点数ではない。[6]

27.45 g/100 g:特定の高レジスタントスターチ米を130℃で焙煎し、粗く挽いた試料の含有量である。[2]

94.0%:細粒の焙煎大麦粉で得られた試験管内のでんぷん消化率。団子を食べた人の血糖値ではない。[14]

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宮川涼 Founder

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