ダイエット中のマヨネーズは低脂肪ほど出やすい?粘りと皿に出す量を読み解く

ダイエット中のマヨネーズは、低脂肪なら必ずさらさらになるわけではない。油を減らした食品の実験から、でんぷんやたんぱく質、製法で変わる粘りを読む。容器からの出やすさと実際に皿に出した量を分け、手作りノンオイルドレッシングとの比べ方や、表示を食卓で確かめる視点も整理する。

低脂肪のマヨネーズに替えた日の夕食。いつものつもりで容器を押したら、皿の上の線が思ったより太い。逆に、出てこないので握り直した経験もあるかもしれない。そこで浮かぶのは、「油が少ない方が、水っぽくて出やすいのか」という疑問である。

低脂肪という表示だけでは、出やすさは決まらない。油を減らすと流れやすくなる問題はあるが、たんぱく質の網目や、加工したでんぷんで構造を作ると、低脂肪でも粘りを保ち、ときには比較対象より高い粘度を示す食品が作れる。[3][4][8][18]

ただし、食品の粘度を測った結果は、そのまま家庭で使う量の増減を意味しない。本記事で扱うのは、油の割合、粘り、皿に出した量をどう読み分けるかである。既存記事「ダイエットのサラダは油の混ぜ方で変わる?乳化と消化の意外な関係を研究で読む」に消化の話を譲り、ここでは食べる前の容器と皿の間に目を向ける。

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低脂肪という表示は、粘りの順位表ではない

マヨネーズの油を減らす研究では、栄養成分だけでなく、流れ方や形の保ち方が評価される。従来型のマヨネーズは脂質を約70〜80%含む食品として扱われ、油を減らした配合で似た物性を実現することが開発の課題となっている。対象は配合を変えた食品である。18〜39歳の女性が皿に出す量や体重の変化に、この物性の結果をそのまま当てはめることはできない。[3]

たとえば2025年の実験では、油を10%、15%、30%とした配合を作り、グアーガムの濃度を0.75〜1.55%の間で調整した。グアーガムは、この実験で油以外の連続した部分の粘度を調整するために用いられた材料である。試作品は、市販の低脂肪品と似た流動特性や粘度を示した。油の配合率が違っていても、流れ方を近づけられたのである。[3]

ここで注目したいのは、脂質の削減と流れやすさを別々に評価している点だ。同じ研究では、試作品も市販の比較品も弱いゲル構造を示している。油の割合だけを見て、容器から流れる様子まで想像するのは早い。[3]

また、この実験では流れ方のほかに、粒子の大きさ、分離への安定性、酸化への安定性なども比較された。粘度が似ていることは、食品の性質が全部同じであることを意味しない。油が15%の配合は比較品と粒子の大きさが似ていた一方、色や酸化への対応にも検討が必要だった。[3]

食卓に置き換えるなら、表の栄養表示と、押したときの手応えを別々に確かめるということになる。「低脂肪だから軽く出るはず」と手に予告を出す必要はない。脂質の表示は成分を読む入口であり、手応えは使う場面で観察する対象として残しておきたい。

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油の代わりに何で構造を作るかが変わる

油を減らした配合では、ほかの材料が構造を支える。食品開発では、たんぱく質やでんぷんなどを使い、形や食感を支える仕組みを組み直す。卵黄とカゼインを用いた2024年の実験では、油の割合が30%のマヨネーズで、市販の高脂肪品に似た食感を作る方法が検討された。カゼインは、この研究で卵黄とともに構造の形成に使われたたんぱく質である。[4]

研究では、酸を加えるタイミングが異なる作り方を比較している。後から酸処理した低脂肪品は、先に酸処理した低脂肪品より、貯蔵弾性率が77.80%、粘度が90.18%高かった。貯蔵弾性率は、形を変えたときに戻ろうとする弾性的な性質をみる指標である。研究者は、卵黄とカゼインが密な網目を形成することで、半固体としての性質が実現したと説明している。[4]

この90.18%という数字を、「低脂肪マヨネーズは普通の品より約倍硬い」と読むのは誤りだ。比べた相手は、酸を加える順序が異なる低脂肪の配合である。比較相手を取り違えると、製法を比べた数字が、市販品全体の序列に変わってしまう。[4]

でんぷんを使った実験もある。2025年の研究では、化学的な修飾方法が異なるでんぷんを用い、脂肪の置換率を40%と80%としてマヨネーズの性質を調べた。コハク酸で修飾したでんぷんを使った試料は、ほかの修飾でんぷんを使った試料より貯蔵弾性率、硬さ、付着性が高かった。ただし、それらの値は全脂肪のマヨネーズを下回っていた。[5]

したがって、構造を作る工夫があれば必ず全脂肪品を上回る、という話でもない。油を減らしたうえで何を使うかにより、比較品に近づく場合も、なお下回る場合もある。同じ「でんぷんを使った低脂肪品」という呼び方でも、材料の処理方法をひとまとめにはできない。[5]

食品の実験を読むときは、油の量だけを抜き出さず、代わりの材料と比較対象を一緒に追う。その方が、棚に並ぶ商品の見かけの硬さを、栄養上の良し悪しに直結させずに済む。硬いから脂質が多い、柔らかいから少ない、という推測には使わない。[3][4][5]

止まっているときの硬さと、動かしたときの粘りは違う

「粘り」という日常語には、形を保つ感じ、スプーンに付く感じ、押すと流れる感じが混ざっている。研究では、流れ方と弾性的な性質などを分けて測る。加工したキビのでんぷんを扱った2025年の実験では、でんぷんゲルはせん断薄化を示し、弾性的な性質が優勢だった。せん断薄化とは、ずらすような変形を加えて流すと、粘度が下がる性質である。[6]

この研究は、でんぷんに超音波による前処理と化学的な修飾を施したものだ。前処理の条件は10分と20分で比較され、その後マヨネーズの脂肪代替材料として検討された。特に20分の前処理をした試料は、増粘性と熱に対する安定性が改善し、測定した温度範囲で全脂肪の試料より高い粘度を維持した。[6]

ここで「油を減らすと粘りが下がる」という方向とは逆の結果が出ている。他方、先ほどの修飾でんぷんの研究では硬さなどが全脂肪品を下回った。研究同士が一方を打ち消すのではなく、材料と処理が違えば結果も違うことを示している。[5][6]

さらに、アマランサスのでんぷんをプラズマ処理した2024年の実験では、処理したでんぷんで脂肪を30%置き換えたマヨネーズの粘度が、対照の約7.60 Pa·sから約15.82 Pa·sへ高まった。これは特定の処理条件で作った試作品の結果であり、家庭ででんぷんを加えれば再現できるという数字ではない。[8]

Pa·sは粘度の単位だが、この値を台所の「握る力」にそのまま換算することはできない。こうした物性の実験からまず受け取るべきなのは、低脂肪化しても粘度が高い食品は作れるという事実である。容器を押す場面の話へ進む前に、測定された対象を食品の性質として押さえておく。[6][8]

実験で似ていると評価された性質が何かも、読む手がかりになる。油を減らした配合と市販品の比較で流動特性が似ていたとしても、それは比較した測定項目での話である。研究では同時に分離や酸化なども調べているため、粘度だけを取り出して「代わりの材料を使えばすべて同じになる」と読むのは適切ではない。食べ物の使いやすさは、単独の数値だけでは表現しきれない。[3]

たとえば、皿に乗せた直後の形を見たいときと、スプーンで広げるときでは、注目する場面が異なる。研究で弾性的な性質と流れる性質を分けることには、こうした観察を整理する意味もある。静かに置いた試料の印象から、動かした際の性質まで決めつけず、何をしているときの粘りかを言葉にしてみるとよい。[4][6]

もうひとつ、材料を処理する時間は調理の推奨時間ではない。キビのでんぷんの研究で使われた超音波の条件は、脂肪の代替材料を開発するための実験条件である。家庭で長く混ぜることと同じ操作として読まない。食卓に持ち帰るのは実験の手順ではなく、加工によってでんぷんの性質も変わり、完成品の粘度が変わり得るという理解である。[6]

数字で読むマヨネーズの粘り

油10%、15%、30%:油の量を変え、グアーガムで粘度を調整した食品実験で設定された。[3]

粘度90.18%増:酸を後から加えた低脂肪品と、先に加えた低脂肪品との比較である。[4]

脂肪置換40%と80%:修飾方法の異なるでんぷんを比べる条件として用いられた。[5]

約7.60から約15.82 Pa·s:処理したでんぷんによる脂肪30%置換で測定された粘度である。[8]

油を最大60%置換:膨らみ方の異なる小麦でんぷんを使ったマヨネーズ様乳化物の実験条件である。[18]

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宮川涼 Founder

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