ワイドスクワットは短い眠りが続くと浅くなる?挙上速度と深さを分ける見方

ワイドスクワットが寝不足の日に浅く感じられても、深さと立ち上がる速度は別の指標だ。短い睡眠が続いた女性の試験を中心に、回数が保たれても変わる挙上速度ときつさ、徹夜で成績が変わらなかった研究、昼寝の限界を読む。自宅の練習で何を観察し、高齢者へどこまで当てはめられるかを考える。

寝床に入るのが遅い日が続いた朝。ワイドスクワットの予定回数は終えたのに、立ち上がりが重い。鏡を見ると、いつもより浅かったようにも思える。そんな日の記録を「達成」だけで閉じると、気になった動きの正体は置き去りになる。

短い眠りが続いた女性の実験では、筋力トレーニングの総挙上量の減少は小さかった一方、下半身の種目で挙上速度が遅くなり、きつさも増していた。だが、速度が遅いことと、しゃがむ深さが浅いことは同じ結論ではない。「寝不足なら必ず浅くなる」と決めるより、何が変わったのかを分けて見るのが妥当だ。[4]

既存記事「ワイドスクワットは後半に浅くなってもよい?回数と動作の範囲を一緒に記録する」は練習中の深さの変化に譲る。また「スクワットは寝不足の日も同じ重さでよい?回数に隠れる動きの変化を研究で読む」の重さ選びから離れ、ここでは短い睡眠が続く条件と、挙上速度を深さの証拠に読み替えない見方を扱う。

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短い眠りが続いた女性では、量より速度が変わった

中心に置きたいのは、筋力トレーニング経験のある健康な女性を対象にした無作為化クロスオーバー試験である。同じ参加者が睡眠制限と通常睡眠の両方を経験する設計だ。参加者は月経周期が規則的な18〜35歳の10人で、各条件を比べる間には少なくとも6週間を空けていた。[4]

睡眠制限の条件は、ベッドで過ごせる時間を5時間にした夜を9夜続けるものだった。通常睡眠の条件は7時間以上で、各条件中に筋力トレーニングを4回実施している。ここでの時間は就床機会の長さであり、毎晩その時間をすべて眠ったという数字とは区別して読む必要がある。[4]

結果の入り口は、総挙上量の減少が1%未満だったことだ。総挙上量は、この研究で運動の量を評価するために用いられた指標である。統計的には差があっても、研究者は減少をわずかなものと位置づけている。「短い睡眠が続くと、練習量が大幅に落ちた」と書くと、この試験の特徴を取り違える。[4]

それに対し、下半身の複数の関節を使う種目では、セットごとの平均的な挙上速度が最大15%遅くなっていた。上半身の複合種目では同様の変化はなかった。バック・スクワットでは、セット内での速度低下も最大7%大きかった。量の差が小さくても、動きの速さには違いが表れたのである。[4]

「最大」という言葉も外せない。下半身の動作がすべて同じ割合で遅くなったという意味でも、自宅で同じだけ遅くなる予告でもない。女性の小規模試験で、特定の睡眠条件と練習条件を比べた結果である。大きな数字だけを抜き出すより、量と速度で変化の現れ方が違った点に意味がある。[4]

立川駅北口から帰宅して、部屋着のまま足を広げる場面に置き換えるなら、記録欄に回数だけでなく「立つときの重さ」を残す余地がある。実験室で測る重りの挙上速度と、自宅で自重スクワットをして感じる動きの重さは別物だ。目視や体感では速度の変化率を測れず、意図してゆっくり動いた場合との区別も難しい。家庭のメモは主観的な感想として扱い、機器による速度測定の代わりにはしない。回数を終えたという事実だけでは、運動中の違いを拾い切れなかった研究を、日常の観察に生かす考え方だ。[4]

量の差が小さかったという結果は、睡眠を削ってもよいという許可証ではない。研究者が強調したのは、量よりも挙上速度などの質の指標や内部の負担が、成績の低下を捉える手がかりになりうる点だった。研究の問いは、限られた睡眠でも根性で量を守れるか、ではない。量を守っているときに何が変化しているかにも向いている。[4]

また、参加者が筋力トレーニングに慣れていたことは、結果を読む際の前提になる。練習を始めたばかりの人が感じる動きにくさを、同じ原因や同じ変化量で説明することはできない。自宅での観察に取り入れるのは測定結果への関心であり、研究の参加者と自分を同一視することではない。[4]

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立ち上がりが遅いことは、浅いことの証明ではない

平均挙上速度は、重りを持ち上げる局面の速さを表す。深さは、どこまでしゃがんだかという動きの範囲の問いである。女性の試験で睡眠制限による変化が示されたのは、下半身種目の挙上速度などだ。その結果を「足を広げた姿勢では膝が曲がりにくくなる」という説明へ移すことはできない。[4]

たとえば、同じ位置までしゃがんで立ち上がるのに時間がかかる場合と、途中までしかしゃがまない場合は、見た目の違いとして分けて記録できる。前者を見て後者と決める必要はない。「精度」を便利な一語にせず、今日は深さを見たのか、速さを感じたのかを言葉にすると、相談もしやすくなる。

そもそも、この試験は睡眠と筋力トレーニングの関係を調べたものであり、ワイドスクワット特有の足幅を選ぶ試験ではない。バック・スクワットの速度の結果から、足をどれほど広げるべきか、つま先をどこへ向けるべきかという処方は導けない。睡眠の話と姿勢の設定の話を混ぜないことが、研究を実用的に読む条件になる。[4]

鏡で深さを見るなら、前日に見た動画の人より、自分が比較したい動きを先に決めたい。何となく「今日は下手だった」と記すと、眠気も、きつさも、しゃがみ方も同じ箱に入ってしまう。「立ち上がりを重く感じた」「深さは自分では判断できなかった」と分けるほうが、観察として正直だ。

なお、研究で遅くなった挙上速度を、ゆっくり動く練習そのものの否定に使う必要もない。意図して速さを変えることと、同じ条件で比べたときに速度が落ちることは、問いが異なる。睡眠試験が示す差は、同じつもりで練習していても出力の様子が変わりうる、という範囲で読むべきだ。[4]

深さの映像と挙上速度の数値は、互いの代用品ではない。日常では両方を厳密に測れなくても、「速度の研究だから深さについては決めない」と境界を置ける。その境界があるだけで、寝不足の翌日に浅く感じた理由を、睡眠だけに押しつけずに済む。

同じ練習でも、きつさは別の記録になる

女性の試験では、睡眠制限中のセッションの主観的な運動強度が11%増していた。主観的な運動強度とは、運動をどれくらいきつく感じたかという評価である。同じ相対的な強度での練習でも、本人が受け止める負担は増えていた。予定した量をこなせたことと、楽にこなせたことは一致していなかった。[4]

日々の評価では、総合的なトレーニングの不調・負担を表す指標も84%増加していた。これは、個々の人の疲れを家庭でそのまま百分率にできるという意味ではない。練習量の減少が小さい一方で、本人側の負担の指標が大きく変化したという、測る対象の違いを示している。[4]

さらに、唾液中のコルチゾールの時間を通じた総量を表す指標は42%増えていた。しかし、そのホルモンの数字だけでフォームの崩れや、しゃがむ深さを判定することはできない。研究は運動の量、速度、主観、ホルモンを分けて評価している。読者の側も、どれかを万能の説明にしないほうがよい。[4]

帰宅後の練習で「今日は気合が足りない」と結論づける前に、短い睡眠が続いていなかったかを振り返る余地がある。研究では、同じ相対強度でも努力感が高まっていたからだ。きつさを言葉にすることは、回数の実績を取り消す作業ではない。実績の横に、その日の負担を添える作業である。[4]

きつさのメモは、速さの推定値にもならない。強くきついと感じたから速度も同じ割合で落ちた、と換算する道具ではないからだ。女性の試験がそれぞれを別に評価したように、日常でも感覚は感覚として扱いたい。「いつもよりきつい」と「今日は浅かったと思う」の間に、無理に因果の矢印を描かなくてよい。[4]

予定をこなした安心と、動きへの違和感が同居する日はある。運動の記録を成否だけで書くと、その同居が見えなくなる。総量の変化が小さく、速度と負担には差があった実験は、記録の欄を細かくする理由を与えてくれる。ただし、記録を細かくしたこと自体にトレーニング効果がある、という試験結果ではない。[4]

数字で読む睡眠制限とスクワット

10人:筋力トレーニング経験のある18〜35歳の女性を対象にした試験である。[4]

9夜:5時間の就床機会を続ける条件を、7時間以上の条件と比較した。[4]

1%未満:睡眠制限による総挙上量の減少はわずかだった。[4]

最大15%:下半身の複合種目で、セットの平均挙上速度が遅くなった。[4]

11%:睡眠制限中にセッションの主観的運動強度が増えた。[4]

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宮川涼 Founder

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