妊娠中の運動で体重の増え方は変わるか 血糖と出産まで追った比較試験

妊娠中の運動は、体重を減らすためのものなのか。運動の比較試験とメタ分析から、体重増加、妊娠糖尿病、出産結果を分けて確かめる。健康な妊婦と診断後の妊婦で異なる対象、高強度の運動をそのまま勧められない理由、主治医と参加条件を確認する際の具体的な視点まで整理する。

妊娠中の生活支援を比べた試験では、多くの妊婦の経過が追われていた。運動の研究で追われたのは、支援された運動を加えた集団と、通常の妊婦健診などを受けた集団の経過である。体重増加量を比べる数字も、そうした支援の違いから生まれている。[10]

運動を含む生活支援の試験では、妊娠中の体重の増え方や妊娠糖尿病の発症に差がみられる。ただし、体重が減ったという意味と、増加量が少なかったという意味は違う。出生時の体重や出産方法まで、すべてが同じ方向に変わるわけでもない。[10][19]

体重管理全体は「妊娠中の体重増加はどこまでよいか 食事と運動の試験で見える支援と数字の限界」の記事に譲る。ここでは運動を加える試験の中身に焦点を当てる。自分にも同じ量を課すためでなく、主治医と運動の選択を話すために、誰を対象に何を比べた数字なのかを見ていく。

ポーランドのニエポウォミツェにあるブウォニャ公園の散歩用の歩道 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

体重が減ったのではなく、増加量に差がついた

Teedeらの系統的レビューとメタ分析は、妊娠中の生活支援を調べた無作為化比較試験117件、計34,546人を集めた研究である。無作為化とは、運動などを行う群と比較する群へ偶然の仕組みで割り付ける方法だ。通常のケアと比べた身体活動の介入では、妊娠中の体重増加量の平均差が−1.04 kg、95%信頼区間は−1.33〜−0.74 kgだった。[10]

比べているのは妊娠中に増えた量で、信頼区間は平均差の推定の幅を表す。食事だけの介入では平均差が−2.63 kg、95%信頼区間は−3.87〜−1.40 kgとなった。支援の内容を分けることで、体重増加の経過との関係を検討した解析である。[10]

同じ解析では食事の介入、身体活動の介入、両者の併用、その他の生活支援が分けられている。食事と身体活動を併用した場合の体重増加量の平均差は−1.35 kg、95%信頼区間は−1.95〜−0.75 kgだった。比較の相手は通常のケアだった。[10]

食事と運動を一括して「生活を改善した研究」と呼ぶだけでは、実際に加えられた支援が見えにくい。書面による情報や体重の確認を含む支援と、構造化された身体活動は別に解析されている。読み手も、運動の予定が組まれていたのか、情報が渡されたのかを分けて受け取ると、研究と自分の生活の接点を探しやすくなる。[10]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

自転車運動の試験は、妊娠初期から経過を追った

運動の具体像が分かるのが、Wangらによる中国の妊婦300人の無作為化比較試験である。対象は妊娠前に過体重または肥満に当たり、単胎妊娠で、運動の禁忌がない女性だった。運動群150人と対照群150人に割り付け、両群とも通常の妊婦ケアを受け、特別な食事の推奨は加えなかった。[19]

運動群に組まれたのは、自転車を使う運動を週3回、1回少なくとも30分行うプログラムだった。妊娠初期から始め、妊娠37週まで続ける設計である。運動のきつさは自覚的な尺度で12〜14に設定され、割り付け後3日以内に開始した。[19]

妊娠末期までの体重増加は運動群で8.38 kg、対照群で10.47 kgだった。妊娠糖尿病の発症割合もそれぞれ22.0%と40.6%で、運動群のほうが低かった。通常のケアを受けながら運動を加えることによって、経過に違いが生じた試験といえる。参加時の妊娠週数は10週、妊娠前の平均BMIは26.78だった。BMIは体格を表す指標で、この試験では妊娠前の値を使って対象を説明している。[19]

時間の区切りにも注目したい。妊娠25週までの体重増加には群間差があったが、妊娠25〜36週の増加量には有意な差がなかった。インスリンの働きにくさを示す指標も、妊娠中期と後期で同じ結果にはならなかった。妊娠全体の合計に差があっても、毎週同じ差が積み上がったとは限らないのである。[19]

この試験では早産や妊娠高血圧に関連する結果なども調べたが、それらの群間差は統計的に明確ではなかった。出生体重には差があったものの、それだけで赤ちゃんへの利益を一括して判断するのは難しい。体重増加と血糖で得られた答えを、出産のあらゆる結果に広げずに読むことが大切だ。[19]

妊娠25週のインスリン抵抗性の指標は、運動群2.92、対照群3.38で有意差があった。一方、36週では3.56と4.07となり、有意差はなかった。25週までの体重増加も4.08 kgと5.92 kgで異なり、血糖に関わる指標と体重を同じ時点で追っていたことが分かる。[19]

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

妊娠糖尿病の予防は期待できても、種目の順位は決まらない

健康な妊婦を対象としたPaulsenらのメタ分析では、運動と運動なしを比べた18研究で、妊娠糖尿病の相対リスクは0.66、95%信頼区間は0.50〜0.86だった。相対リスクは、比較する群を基準に発症の割合がどの程度かを示す数だ。発症者が何人減るかを知るには、比較群での発症割合も要る。[1]

この解析で、有酸素運動、筋力を使う運動、その組み合わせなどを分けても、種目や強度、監督の有無による差は検出されなかった。検討した条件は、運動の種類、強度、監督が付くかどうかという区分だった。[1]

一方、複数のレビューを整理し、試験の統合も更新したMartínez-Vizcaínoらの研究は、23件の系統的レビュー・メタ分析と63件の無作為化比較試験を扱った。そこでは、監督下の低〜中強度の運動や妊娠初期の開始で、とくに良い結果がみられると整理されている。[2]

この読み分けは実用上も重要だ。前者は条件別の差を検出できなかった解析で、後者は条件に沿った傾向を整理する広い検討である。結果を整理する単位が異なるため、結論の書き方にも違いがある。自分の運動に指導を付けるか、いつ始められるかは、主治医と現在の妊娠経過に即して考える話になる。[1][2]

子癇前症という妊娠に関連する病態についても、Paulsenらの全体解析では明確な減少が確認されなかった。妊娠糖尿病の発症に良い結果があったことと、ほかの合併症にも同じ確かさで利益があることを分けたい。異なる結果を無理にひとまとめにしないほうが、運動に持つ期待を現実的にできる。[1]

数字で読む妊娠中の運動

−1.04 kg。身体活動の介入と通常のケアを比べた体重増加量の平均差であり、妊娠中に体重が減った量とは違う。[10]

0.66。健康な妊婦の運動試験を集めた妊娠糖尿病の相対リスクであり、発症割合そのものを示す数字とは違う。[1]

16件、3,387人。出産結果を調べた別のメタ分析の規模で、運動群と対照群を合わせた人数である。[11]

129人。妊婦向けに設計された水中運動の試験の参加者数であり、一般のプール利用すべてに当てはめることはできない。[20]

診断後の血糖管理は、予防の話と分けて考える

妊娠糖尿病になる前の発症予防と、すでに診断された人の血糖管理では問いが違う。診断後の妊婦を対象としたKeatingらの系統的レビューは、14研究、母子の組として758人超を含み、運動の追加によって血糖管理に利益があった研究は半数だった。出産や新生児の結果には、おおむね影響がみられなかったと整理している。[4]

扱われた運動は、自転車、有酸素運動、歩行、ヨガ、有酸素運動と筋力運動の併用などである。ただし、そのレビューで見つかった研究には、有酸素運動と筋力運動を直接比べたものがなかった。どの運動が最適かを決めにくいという結論には、研究ごとに条件が違うことと、直接対決の材料が乏しいことの両方が関わっている。[4]

筋力運動と有酸素運動を直接比べたXieらの無作為化比較試験もある。妊娠糖尿病の妊婦100人を、筋力運動49人、有酸素運動51人に割り付けた研究だ。両群とも個別の食事支援、オンライン教育、妊婦向け講座を受け、運動だけを入れ替えて比較した。運動以外の支援を共通にそろえた設計だった。[7]

この試験は週3回、1回50〜60分の運動を6週間行った。介入後の空腹時血糖、インスリンの使用割合、有害な妊娠結果には、両群で有意差がなかった。一方、食後2時間の血糖と運動を実施できた程度には差があり、筋力運動群のほうが良い結果だった。血糖という言葉の中にも、空腹時と食後で違う測り方がある。[7]

この試験の筋力運動群では、食後の血糖と実施のしやすさがともに良好だった。研究者はこの集団における筋力運動の利用を支持しつつ、長期的な影響を今後評価する必要を挙げている。6週間の比較で得られた結果と、その後の経過は、研究上も別の課題として残された。[7]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約