マイコプロテインは満腹を長くするか 菌から作るたんぱく質を肉と比べた試験

マイコプロテインは菌類から作る、たんぱく質と食物繊維を含む食品だ。鶏肉や豆腐と比べた試験から、食後の満腹感と次の食事量を分けて確かめる。血糖が変わらなかった結果、コレステロールや腹囲を測った短期試験も紹介し、食事の置き換えで期待できることと、長期の減量まで言えないことを整理する。

鶏肉の昼食をマイコプロテインの昼食に替えた後、夕食の摂取エネルギーが18%少なくなった試験がある。[6] マイコプロテインという言葉が指すのは、菌類を発酵させて作る、たんぱく質と食物繊維に富む食品である。栄養成分の名前だけでなく、食物繊維も一緒に食べる食品として捉えると、研究の中で肉と比べる理由が見えてくる。[13]

ここで気になるのは、たんぱく質が多いかどうかだけではない。食べ終わった直後に満ち足りるのか、時間がたっても食べたい気持ちが戻りにくいのか。マイコプロテインの試験では、食事中の食べ方に差がなくても、後の食事量に差が出た例がある。「満腹」という短い言葉の中に、違う時間の出来事が入っている。[6]

ダイエットの食材として考えるなら、その差がどこまで続くかも大切だ。食事量を調べた系統的レビュー、つまり関連する試験を一定の条件で集めた検討は、短期の摂取量低下を認めつつ、試験数の少なさと研究条件のばらつきを指摘している。食後の話から、いきなり長期の減量の話へ飛ばずに見ていこう。[1]

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名前の中心はたんぱく質でも、食物繊維を一緒に食べる

マイコプロテインを論じたレビューは、菌類の発酵に由来する食品であり、非動物性のたんぱく質と食物繊維を含むと説明している。満腹感や代謝への影響に、食物繊維の量や種類が関わる可能性も挙げている。ただし、可能性としての説明と、どの成分が効果を起こしたかを確定することには距離がある。[13]

鶏肉と比べた研究を読む際にも、この点は外せない。健康で痩せた男女18人を対象にした試験では、昼食のエネルギー量をそろえ、食物繊維以外をできるだけ同じ条件にした。食物繊維はマイコプロテインの食事で11g、鶏肉の食事で3gだった。したがって、菌類のたんぱく質だけを取り出した勝負とは読めない。食物繊維を含んだ食品としての比較である。[6]

日常の食卓へ置き換えるなら、肉のおかずを別の食品に替える場面が近い。一方、普段の食事をそのままにして何かを追加する場面とは条件が違う。実際、健康な成人に管理された食事を出した試験も、昼食と夕食の主なたんぱく質源を肉・魚かマイコプロテインに分けている。「何を食べたか」と同じくらい「何と入れ替えたか」が研究の中身なのである。[5]

豆腐も比べた試験では、参加者は3回の試験日に実験室で3食を食べた。昼食の前にパスタを出し、その後の食事量を連続的に量る装置と、空腹・満腹を尋ねる尺度を併用した。食品の選び方だけでなく、食事を出す手順もそろえた比較だった。[16]

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食べている最中と、後から来る空腹は同じか

同じ論文の食事中の測定では、食べている量を連続的に量る装置を使って、食事中の行動を調べた。選んだ量、全体の食べる速さ、食べたい気持ちの下がり方に、マイコプロテインと鶏肉の明確な差はなかった。口に運んでいる最中の反応だけなら、両者は似ていたのである。[6]

ところが、昼食の後に自由に食べられる夕食を用意すると、マイコプロテインを含む昼食の後では、摂取エネルギーが鶏肉の昼食の後より18%少なかった。研究が示したのは、食事中の食べ方よりも、後の満腹の持続に差が現れたということだ。食後すぐの感想だけでは拾えない変化がある。[6]

別の試験は、過体重の成人女性42人で、マイコプロテイン、豆腐、鶏肉を比較した。昼食で先に出すパスタのエネルギー量をそろえ、含む食品を日ごとに変えたところ、マイコプロテインと豆腐の後は、鶏肉の後より直後の食事量が少なくなった。夕食でその分を食べ足す反応も認められなかった。[16]

ここで豆腐の存在が効いてくる。マイコプロテインと豆腐の後の食事量には差がなかった。菌類から作る食品にしか満腹につながる選択肢がない、と考える理由はない。研究上の比較相手は鶏肉だけにとどまらず、別の非動物性食品も含まれている。[16]

食べ終わった瞬間の「もう十分」と、夕方の「まだ何か欲しい」は、同じ質問で済ませにくい。これらの試験は、感覚を尋ねるだけでなく、その後に実際に食べた量も測っている。日常で食品の違いを考えるときにも、食後の印象と後の食事を別々に見るという視点を与えてくれる。[6][16]

比較方法にも目を向けたい。女性のパスタ試験は、異なる人同士の普段の食生活を比べた観察ではなく、同じ参加者が実験室で異なる食品を含む食事を経験する設計だった。食事を出す順序も偏らないように組まれている。普段から豆腐を好む人と鶏肉を好む人の違いを、食品そのものの違いと取り違えにくくする工夫である。[16]

さらに、昼食が少なかった後に夕食で取り戻すかを測ったことには意味がある。ある食事だけが減っても、後の食事が増えれば、その日の見え方は変わる。この試験では夕食での食べ足しが見られなかったが、測定したのは実験室で過ごした日の食事である。数時間の持続を確かめた結果として受け止めるのが適切だ。[16]

次の食事が減った幅は、条件を添えて見る

過体重または肥満の健康な成人を対象にしたランダム化比較試験では、マイコプロテインを含む食事と、同じエネルギーの鶏肉の食事が比べられた。マイコプロテインの量を変え、高い量の条件では、後の自由な食事の摂取エネルギーが10%、67kcal少なかった。食事量を測ったのは試験食から3時間後である。[9]

この差は、試験で用意した高い量の条件に結びつく結果だ。含有量に関係なく、食べれば必ず同じだけ減ると読むのは行き過ぎる。食品の効果を考えるときほど、数字の後ろに付いている時間を切り離さないようにしたい。[9]

この試験には、仕組みを確かめる測定もあった。食後に働くホルモンのGLP-1とPYY、胃から内容物が出る速さ、エネルギー消費には有意な差がなかった。食事量が減ったからといって、測ったホルモンが必ず増えていたわけではない。結果があることと、その理由が分かったことは別の段階である。[9]

2020年の系統的レビューが採用したのは、合計122人を含む5件の試験で、すべて短期の摂取を扱っていた。自由に食べる食事や摂取後24時間のエネルギー量が減る方向の結果を認めた一方、研究の少なさと条件の不均一さを挙げている。複数の結果が並んでも、それらが長期間の体重変化を測った証拠に変わるわけではない。[1]

この研究の食事量を調べた部分は36人、胃の動きなどを調べた部分は14人だった。試験食に含むマイコプロテインは44g、88g、132gの条件があり、次の食事量の低下が認められたのは132gの条件である。インスリン反応は低い量から順に8%、12%、21%低下していた。[9]

試験食から3時間後に用意したのは、量をあらかじめ固定した食事ではなく、参加者が自由に食べられる食事だった。そこで実際に摂ったエネルギーを測ることで、食欲の感想が食べる量にも表れるかを確かめている。食べたい気持ちを尋ねる尺度と食事量の測定は、主観と行動という異なる側面を捉えていた。[9]

食物繊維が関わるという説明は魅力的だが、食品全体を比べる試験だけで、その寄与を正確に切り分けることは難しい。食物繊維に注目するレビューの説明と、ホルモンや胃の動きに差がなかった試験結果を併せておくと、「なぜ食事量が減ったか」にはまだ確かめる余地があると分かる。仕組みが途中までしか見えていなくても、測定された食事量の差と混同せずに評価できる。[9][13]

数字で読むマイコプロテインの食後

18%:健康で痩せた男女の試験で、マイコプロテインの昼食後に減った夕食の摂取エネルギー。鶏肉の昼食との比較である。[6]

42人:マイコプロテイン、豆腐、鶏肉を含むパスタを比べた過体重の成人女性。豆腐との食事量の差はなかった。[16]

67kcal:過体重・肥満の成人の試験で、高い含有量の食事後に見られた、鶏肉条件に対する次の食事の差。[9]

5件:食事量と血糖を扱った系統的レビューの採用試験数。すべて短期の摂取を調べたものだった。[1]

−0.55mmol/L:メタ分析での総コレステロールの対照群との差。体重の減少量を表す数字とは区別する。[14]

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宮川涼 Founder

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