カロリー制限を2年続けた体はどう変わったか 25%を目指し約1割減らしたCALERIEの記録

太っていない大人が食べる量を25%減らす目標で2年過ごしたCALERIE試験。実際に届いた制限は平均11.9%で、体重は7.5kg減り、その7割が脂肪だった。代謝の適応、血圧とコレステロール、老化の目印、空腹と気分、後半に体重が戻った人の変化まで記録を読む。

2007年5月から2010年2月にかけて、アメリカの3つの臨床施設が、2年間、食べる量を25%減らし続ける大人を集めた。[4] 条件は、目立った病気がなく、太っていないこと。BMI(身長と体重から出す体格の指数)は22以上28未満、年齢は男性で21〜50歳、女性で21〜47歳と決められていた。[14]

施設に問い合わせてきたのは10,856人だった。そのうち9,787人が、最初の条件のどれかで外れた。[14] 審査は、簡単な条件から順に、電話での聞き取りと3回の来院で進められた。[14] 来院しての審査に進んだ1,069人も、78%が条件に合わないか、途中で辞退した。[14] くじの段階まで残ったのは220人、実際に食事を変え始めたのは218人で、最初の問い合わせから数えると2%である。[14] 残った人たちは、3人に2人の割合で食べる量を減らす群に、残りが普段どおりに食べる群に振り分けられた。[4]

CALERIEと呼ばれるこの試験は、太っていない人が長く食べる量を控えたときに体に何が起きるかを、人で確かめた唯一のランダム化試験とされる。[13] 食べる量を控え続けた2年の記録を、届いた制限の量、体の中身、代謝、検査の値、老化の目印、空腹と気分、後半の体重の順に読む。食べる時間帯を区切る方法は「16時間断食は本当に効くのか 時間制限食の試験で読む体重差と続け方の条件」に譲り、毎日の量を控え続けた記録に絞る。

25%を目指して、届いたのは11.9%だった

食べる量を減らす群の143人は、2年で平均11.9%の制限に届いた。[4] 1日の摂取量に直すと2,467kcalから2,170kcalへの減少で、普段どおりに食べた群の変化は0.8%だった。[4] 目標の25%に対して、半分に届かなかったことになる。腹八分目、つまり2割を減らす食べ方と比べても、実際の平均はその手前にとどまった。よく言われる腹八分目のほうが、参加者がたどり着いた量より厳しい。

丸めたご飯と刻んだキャベツ、葉野菜、雑穀のサラダを盛り合わせた白い皿の料理
丸めたご飯と刻んだキャベツ、葉野菜、雑穀のサラダを盛り合わせた白い皿の料理
写真: Alpha from Melbourne, Australia / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons

この11.9%は、本人の申告から出した数字ではない。体のエネルギーの出入りの釣り合いから、実際に食べた量を見積もる方法で出している。[12] 申告に頼らない理由は、同じ試験で体重が安定していた時期の測定に表れていた。217人の消費エネルギーを28日かけて測り、6日以上続けて本人が書いた食事の記録と比べると、摂取は1日350kcal、つまり15%少なく申告されていた。[10] 過体重の人では約400kcal(16%)、標準体重の人では約270kcal(12%)の過少申告である。[10] 体を動かした量も、1日約400kcal(17%)少なく申告されていた。[10] 食べた量も動いた量も、人は少なめに覚えている。

そこで試験では、25%の制限を守ったときの体重の推移を一人ひとりについて予測し、上下に幅を持たせたグラフにして、本人に見せながら進めた。[12] 体重がこの幅の中にあれば、守れているとみなす。この幅は「守れている範囲」と名付けられていた。[12] ところが後から確かめると、24か月の時点でこの範囲は10.4〜19.4%の制限に当たっていた。[12] 参加者が届いた11.9%は、その範囲の中にあった。[12] グラフの上では合格でも、25%には届いていない。著者らは、制限の目標を1つの数字にするか幅にするか、そして守れているかをその場で正しく測ることの難しさを挙げている。[12]

時間の流れで見ると、守り方は20週ごろから緩んだ。[20] 体重の推移から計算した守れ具合の点数は50を目標とし、10から80の間なら守れているとみなされた。数字が大きいほど緩い側である。[20] 点数は20週を過ぎたころに50を超え、80の内側にとどまりながら、緩い側へ動いていった。[20] 体重は60週ごろまで減り続け、その後は横ばいになった。[20]

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減った7.5kgのうち、7割は脂肪だった

2年後、食べる量を減らした群の体重は平均7.5kg減り、普段どおりの群は0.1kg増えていた。[4] 減った分のうち脂肪は5.3kgで、体重の減少の71%にあたる。[4]

体の中身をくわしく調べた解析では、24か月の時点で、制限の群は体重が7.6kg、腹囲が6.2cm、脂肪が5.4kg減った。[11] 普段どおりの群では、腹囲は0.9cm、脂肪は0.5kg増えていた。[11] 脂肪以外の部分、つまり筋肉や骨、臓器などを合わせた除脂肪量は、制限の群で2.0kg減った。[11] それでも、体重に占める除脂肪量の割合は制限の群のほうが高く、脂肪の割合は低くなっていた。[11]

除脂肪量が保たれるかを予測したのは、体を動かして使うエネルギーのほうで、本人が申告したたんぱく質の量は予測しなかった。[11] ただ、食事の申告は実際より少なく出やすいので[10]、たんぱく質が関係しないとまでは言えない。男女の差もあった。男性は女性より、胴まわりの脂肪を多く落とし、体重の減少に占める除脂肪量の割合も大きかった。[11] ただし、男性の体重に占める除脂肪量の割合は、開始時より高くなっている。[11] 著者らは、除脂肪量の減少は体が小さくなった分に見合ったものだったとまとめた。[11]

体は縮んだ分より、燃やす量を絞ったのか

制限を始める前、参加者が体重を保つのにどれだけのエネルギーを使っていたのかも測られている。対象は217人で、70%が女性、52%が過体重だった。[10] 14日間の二重標識水法(印を付けた水を飲み、体から抜けていく速さで日常の消費を測る方法)を2回続けると、1回目が2,422kcal、2回目が2,465kcalで、二つの測定はよく一致した(級内相関係数0.90)。[10] 平均の1日の総消費は2,443kcalで、男性は女性より平均580kcal、率にして20%多かった。[10] この値を体重、年齢、性別から予測する式も作られた。[10] 式では、体重1kgにつき18.3kcalを足し、女性なら338kcalを引く。[10] 同じ体重と年齢でも、女性はそれだけ少ないエネルギーで体重を保つ計算になる。ところが、体重の代わりに除脂肪量と脂肪量を入れた式では、除脂肪量1kgにつき38.7kcalを足し、女性はむしろ103kcalを足す側に変わった。[10] 女性の数字が小さく見えた分は、除脂肪量の違いを式に入れると消え、むしろ逆になる。

では、食べる量を減らして体が小さくなったとき、消費は小さくなった分だけ下がったのか、それ以上に下がったのか。体が縮んだ分を超えて消費が下がることを、代謝の適応と呼ぶ。この試験は、1年目に体重を減らし、後半の12か月は減った体重を保つ設計だった。[13]

磁気共鳴画像(MRI)で臓器や筋肉の大きさまで測った解析では、制限の群で脂肪組織と骨格筋が減っていた。[13] 眠っている間の消費エネルギーは、12か月の時点で、予測より大きく下がっていた。[13] 予測を体重だけで立てても、エックス線で測った体の組成で立てても、MRIで測った臓器ごとの大きさで立てても、同じだった。[13] 臓器の大きさまで入れた式は、開始時の消費の個人差をわずかによく説明し、適応もより大きく見つけた。[13] 24か月の時点では、体の組成と臓器の大きさを入れた式だけが、適応がまだ続いていることを示した。[13]

体は、小さくなった分以上に、燃やす量を絞っていた。少なくとも制限を強めた1年目には、それがはっきり測れた。体重を保つ後半の1年にも、その跡は細かく測るほど残って見える。減量の後に消費が下がる話の全体は「代謝適応で食べていないのに痩せない?身体の省エネと停滞の理由を論文で読む」に譲る。

数字で読むCALERIEの2年

  • 2%:問い合わせた10,856人のうち、実際に食事を変え始めた人の割合。[14]
  • 11.9%:25%を目指した群が、2年で実際に届いた制限の平均。[4]
  • 7.5kg:2年の体重の減少。そのうち71%が脂肪だった。[4]
  • 10.4〜19.4%:24か月の時点で「守れている範囲」とされた体重の幅が当たっていた制限の量。[12]
  • 350kcal:体重が安定していた時期に、本人の食事の申告が実際の摂取より少なかった1日の量。[10]

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宮川涼 Founder

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